閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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第十七章 譲れない約束が俺にはある

半蔵学院によって占拠され生徒たちが凶暴化し、暴れ狂う蛇女子学園に

 

月夜に背を向けるように空から舞い降りる6つの影が

 

 

シュタッ!

 

 

その6つの影が満を持して蛇女に降り立つ

 

「よし、全員いるな?」

 

「「「「「おう(はい)(ほ~い)(うん)(は~い)!」」」」」

 

全員がいることを確認すると光牙たちは自分たちのなすべきことを再確認する

 

自分たちがすべきこと、それは半蔵学院のものたちを倒して占拠された蛇女子学園を奪還し秘伝忍法書の力で凶暴化した生徒たちを救うことだ

 

「この戦いには蛇女子学園の未来が…いや、俺たちの未来が懸かっている。絶対に負けるわけには行かないぞ」

 

「おうとも!」

 

「そうですわね」

 

光牙の言葉に同意する焔たち

 

「…だが、鈴音が言ったように俺もあえて言う。…誰一人として死ぬな!」

 

心からそう願う光牙の思いは焔たちの心の蔵にまで刻まれた

 

「そうね。私たちの未来はまだまだこれからだものね」

 

「せやね」

 

「うん!…うん?」

 

「どうした未来?」

 

ふと未来何かに気づいたようだ

 

「大変だよみんな!蛇女のみんなが暴れてる!」

 

未来が指さす先には凶暴化の影響で荒れ狂う生徒たちの姿が

 

すると周りから生徒たちが光牙たちを取り囲むように集まってきた

 

「構えろ!」

 

光牙の合図とともに焔たちが一斉に構える

 

しかし未来の手は震えていた

 

やはりまだともに忍を学び競い合ってきた仲間である彼女たちを手にかけることに迷いが生じていた

 

「未来」

 

「…光牙?」

 

そんな未来を見た光牙が声をかける

 

「…俺たちはここに来る前から覚悟は決めたはずだ。俺達はここで止まるわけにはいかないんだ。例え相手が学園の仲間であろうと手加減はせず全力で戦え!それが同じ悪忍としての礼儀であり、秘伝忍法書の影響で凶暴化し、苦しんでいるこいつらを救ってやる唯一の手段だ」

 

「光牙の言うとおりだ。一刻も早くこいつらをこの苦しみから解放するためにも私たちは先に進まなきゃいけないんだ!」

 

「光牙、焔…」

 

未来は光牙と焔、二人の強い意思と覚悟を目にし自分がいかに甘い考えだったことを自覚し目が覚めた

 

「苦しんでいるみんなを救う……わかったよ光牙。あたしやるよ、みんなを救うために!」

 

さっきとは違い未来の目にはみんなを救わんとする使命感に満ち溢れていた

 

「よし……ではいくぞ!!」

 

光牙の合図とともに一斉に目の前の相手に向かっていく

 

 

「閃光龍雨!!」

 

 

ギャォォォォォォ!!!!!

 

 

「切り刻んでやるぜ!!」

 

 

ザシュ!ザシュ!ザシュ!ザシュ!ザシュ!

 

 

「シグムンド!!」

 

 

ドスウウウウウゥゥゥゥン!!!!

 

 

「いくでぇぇ!!」

 

 

シュン… ズシュシュシュシュシュ!

 

 

「喰らえ!ワルキューレ!!」

 

 

バキュン!バキュン!バキュン!バキュン!

 

 

「行くわよ。DEATH×KISS!!」

 

 

チュ♪ ポワワワワワ~ン♪

 

 

「「「「「「「「「「「「きゃあぁぁぁぁぁ!!!!!」」」」」」」」」」

 

光牙たちの必殺の一撃が荒れ狂う生徒たちに炸裂する

 

生徒たちは力尽き、気を失った

 

「よし、なんとかなったな?」

 

「…いや。まだだ」

 

「なに?…っ!?」

 

倒したことに安堵したのも束の間

 

新手の生徒たちがこちらに向かって来ていた

 

「これじゃキリがない!?」

 

「どうすれば…」

 

「固まっていてはダメね。みんな!ここからはうちあわせ通り、それぞれ別々に行動しましょう!」

 

春花が分かれて城へ向かうよう提案する

 

「了解した。みんな、生きてまた会おう!」

 

「「「「「あぁ(えぇ)(ほいな)(うん)(えぇ)!!」」」」」

 

こうして光牙たちは押し寄せる生徒たちを掻い潜りながらそれぞれ城に向かうため駆け出す

 

「さぁ、もたもたしている暇はない、ともかく城へと向かわねば!」

 

仲間と別れながらも光牙はまっすぐ城へと向かっていった

 

 

 

 

 

 

 

「はぁぁぁぁ!!!」

 

 

シュンシュンシュンシュン!!

 

 

「「「「「「きゃあぁぁぁぁぁ!!!!」」」」」」

 

 

「城は…もうすぐだ!!」

 

 

波のごとく押し寄せる生徒たちをなぎ倒した光牙はついに城内へと入ることが出来た

 

「他のみんなは無事についただろうか?」

 

城を目指してそれぞれの道をいく仲間たちの身を案じながらも光牙は先へと進む

 

そして前方にある部屋に向かっていく

 

 

その刹那

 

 

「っ!?」

 

光牙は感じた前方にある部屋から強大な力を、既に知らぬとは言えぬ程に何度も感じたこの気は

 

「(この向こうにいるんだな…佐介)」

 

自分が強者と認めた佐介のものだった

 

やはり自分と佐介は戦う定めなのだとそう感じずにはいられなかった

 

覚悟を決めた光牙は扉を開くとそこにはじっと自分が来るのをずっと待っていたように立ちつくす佐介の姿があった

 

「待っていましたよ。光牙くん…」

 

「あぁ、きたぞ佐介」

 

光牙と佐介は互いを見つめ合う

 

緊張感張り詰める空間の中、佐介が口を開く

 

「…僕は」

 

「っ?」

 

「初めて会ったあの旅館の時から、光牙くんってすごい人だなって思ってました。何よりもその鍛え上げられた体がそれを物語っていた。それにあなたはとてもクールですごくて、そんな光牙くんを僕は…カッコイイ人だなって思ってたんです。それに…あなたとならよきお友達になれると思っていたんです」

 

佐介は内に秘めていた思いを語る

 

自分に対する憧れなどを光牙に話して聞かせた

 

「…ふっ」

 

「何がおかしいんです?」

 

「いやなに、不思議なものだなと思ってな。…俺もお前を初めて見た時、その気弱そうな顔に似合わぬほどに強靭な肉体とその肉体に宿る力に恐れ入ったものだ」

 

「きっ、気弱そうな顔…」ショボーン

 

光牙の言う言葉にしょぼくれる佐介

 

以前からちょっと自分が周りから可愛いとか小動物くさいとかか弱そうとか言われることを気にしていたのである

 

「そしてあの時、相対してみてわかった。お前がどれ程の長い期間もの間、修行に明け暮れたのかが技を通して俺の全身に伝わってきた。そして俺の直感は感じ取った。お前ほどの男ならばこの光牙の好敵手(ライバル)と呼ぶにふさわしい存在だと。そしていつかは決着をつけたいと」

 

「光牙くん…」

 

「だが今、俺にはそれ以上になさねばならないことがある。仲間たちの誓いのためにもお前たちを倒し、この蛇女を取り戻し、もう一度あいつらと会うためにもこの戦い、絶対に負けるわけにはいかない!」

 

そう言うと光牙は矢を構える

 

「そうですか、あなたにも仲間との絆が…ですがそれは僕も同じこと飛鳥ちゃんや斑鳩さんたちともう一度笑顔で会うためにも僕も負けるわけにはいかないんです!!」

 

佐介が叫んだ瞬間、佐介の体から今以上に強大な気が漏れ出すと同時に高まっていく

 

「これは?」

 

「ここに来る前にこの戦いに備え、半蔵さまにお願いして潜在能力を解放する術をかけてもらったのです。これからお見せするのは僕の潜在能力が解放されたまさにフルパワーの僕です!」

 

そうして佐介は気をもっと高めるために構える

 

 

 

「ハアァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!」

 

 

 

佐介の気が上がる度に地面が揺れ、その揺れが激しさを増していく

 

「っ!?」

 

これには光牙も驚く

 

決して驚いているのは見ための変化からではなかった

 

一番の理由はその変化とともに佐介の気がどんどんと膨れ上がっていくことだ

 

そして…

 

 

 

「たりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

 

 

ついに気を全開にしたフルパワーの佐介が軽く息を履くと光牙のほうを睨みつける

 

「………お待たせしました。これがフルパワーの力を解放した僕です」

 

「まさか…ここまでとはな」

 

ここまでのパワーアップとは思いにもよらなかった

 

佐介のフルパワーは光牙の想像のはるか上を行くものだった

 

「しかし、負けるわけにはいかん。もう一度あいつらと生きて会うためにもお前をここで倒す!」

 

光牙もまた負けじと自分の持てる力を全開にして挑む

 

「僕もこの戦いに勝利し、飛鳥ちゃんたちのもとに帰るんです!」

 

 

今ここに互の仲間との誓いをかけた両者の対決が幕を開けるのだった

 


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