閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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第十八章 聖剣を宿す右腕

「さぁ、行きますよ……光牙くん!!」バッ

 

「っ!」

 

パワーを全開にした佐介が光牙に襲いかかる

 

光牙がそれに合わせ矢を放つ

 

 

シュシュシュシュン!

 

 

しかし佐介は高速移動を駆使してその攻撃をかわしていく

 

「(スピードの方も上がっている!?)」

 

驚く光牙だったが

 

「ふっ!!!」

 

「なっ!?」

 

佐介が瞬く間に光牙の間合いに入られてしまった

 

「たぁぁぁぁ!!!」

 

「っ!」

 

拳を突き出す佐介は光牙の頬を掠めた

 

「やってくれる!」

 

光牙は反撃開始と言わんばかり光刃を展開して佐介に斬りかかる

 

素速い身のこなしで攻撃を仕掛けるも光牙の攻撃は佐介に見切られてしまっているのかまったくヒットさせられない

 

「ふっ!セイヤァァァァ!!」

 

 

バキン!!

 

 

「バカなっ!?」

 

それどころか佐介の繰り出した手刀が光刃を簡単にへし折ってしまった

 

次はこっちの番と言わんばかりに佐介が反撃してきた

 

光刃もまた佐介の攻撃をかわしつつ距離を取ろうとした

 

「はぁぁぁぁ滅・螺旋脚!!!」

 

「っ!?」

 

その隙を与えまいと佐介が螺旋脚の強化技、滅・螺旋脚を繰り出してきた

 

粒子変化(フォトランス)!」

 

それに対処すべく盾を展開するも

 

「ふっ!…せりゃあぁぁぁぁ!!!!」

 

「なっ!……ぬあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

滅・螺旋脚の前では盾など意味を成さないと言わんばかりには盾を粉々に破壊され、さらに勢いが消えぬまま光牙を蹴り飛ばした

 

「があぁぁぁぁ!!!………っ!」

 

光牙はなんとか受けみをとって体勢を立て直すも蹴りによるダメージのせいでふらつく

 

「なんて威力なんだ」

 

「まだまだ!」

 

すると佐介は右手に気を集めていくと

 

「たあぁぁぁぁ!!」バキュン!

 

「っ!?」

 

集めた気を気弾とし、光牙に向けて撃ってきた

 

光牙はかけだしそれをかわす

 

「逃がしません!」

 

壁をかけて逃げる光牙に今度は両手から気弾を乱射する

 

 

「タタタタタタタタタタタタ!!!!!!」

 

 

バキュンバキュンバキュンバキュンバキュン!!!

 

 

佐介の攻撃を避け続ける光牙だったが

 

「はっ!」

 

「っ!?」

 

「喰らえ!輝迅!!」

 

壁を蹴って宙を舞い、光牙は佐介に向けて輝迅を放った

 

「甘いです!秘伝忍法・獣波天轟波!!」

 

 

ガォォォォォォォ!!!

 

 

佐介は拳を突き出し獣波拳と天轟拳の混合技である獣波天轟波を放った

 

獣波天轟波から放たれた獅子を模様したエネルギー波は光牙の放った輝迅をかき消した

 

「なに!?…ぐあぁぁぁぁぁ!!?」

 

技を消されたばかでなく佐介の技をまともに食らってしまった光牙は吹き飛ばされ

 

そのまま床に落下した

 

「グッ…まっまさか、俺の輝迅があんなにあっさりとかき消されるとは…」グヌヌ

 

傷つきながらも体を起こした光牙は諦めず弓を構えようとする

 

「無駄です!」

 

 

シュン!

 

 

「はぁぁぁぁ!!」ドスン!!

 

「がはっ!?」

 

佐介は瞬時に光牙に接近すると強烈なボディーブローをおみまいする

 

「あ…あぁ…」

 

「終わりです…もう諦めて降参してください」

 

段々と目が霞んでいき意識が遠のいていくのがわかる

 

「(勝てない…これがあいつのフルパワー…こんなにも、こんなにも力の差があるなんて………俺はこのまま負けるのか?あいつらとの誓いを果たせずに無様に敗北するのか…?)」

 

全力の全てをだしきって挑んだはずなのに佐介にはまるで歯が立たない自分を情けないと言わずしてなんとすると光牙は自身の不甲斐なさを呪った

 

そして光牙の体がゆっくりと床に崩れ落ちていく

 

「終わりですね…」

 

佐介は自身の勝ちを悟りそうのべるのだった

 

絶望と敗北感が光牙を支配しようとしていた

 

だがその時、ふと脳裏に蘇る蛇女に来る前にみんなと交わした誓いの言葉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『たとえ離れていても。心は常に一つ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ま、て…まだ…しょうぶは、つい…て…ない…!!」ドン!

 

誓いの言葉を思い出した光牙は崩れ落ちる体を持ち直し尚も身体はボロボロ、体力も限界な状態にも関わらず光牙は立ち続けていた

 

「っ?……なんという執念でしょう…敵ながら見事です。…ですが!」

 

その勇姿に佐介は褒言葉を送る

 

そして今度こそとどめをささんと迫り来るとともに拳を突き出した

 

「これで終わりです!!」

 

「おれは…あいつらのためにも…まけるわけにはいかないんだ…」クワッ!

 

声を荒らげ、光牙は叫ぶ

 

 

 

 

 

その刹那

 

 

 

 

 

【力が欲しいかや?】

 

 

「っ!?」

 

 

脳裏に声が聞こえる

 

 

「声…?」

 

 

聞き覚えのない声を聞いた時だった

 

 

「っ!?」

 

 

 

ズゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ~~~~~ン

 

 

 

 

「…ここは?」

 

 

光牙の意識が突然、不思議な空間に飛ばされた

 

 

そして光牙の前にはどでかい檻があった

 

 

「いったいここは?」

 

 

【あえていうならお主の心の世界じゃよ。我が主様よ】

 

 

「お前は?」

 

檻の方から声が聞こえ、声のする方をむくと白い髪に白いワンピースを着た少女が立っていた

 

 

「お前は誰だ?なぜこんなところに女の子が?」

 

 

【ふん。我が主ともあろう人がわしに気づきもせんとはの〜】

 

 

「……まさか?」

 

 

理解できずにいた光牙だったが、ふと思い当たるものを思い出した

 

 

【ふふっ、気づいたかや?】

 

 

「おまえ…ドラゴン?」

 

 

【やっと思い出したか。正解じゃ♪】

 

 

「っ!?」

 

 

その言葉に光牙は驚きを隠せなかった

 

 

「っ!!」

 

 

【いきなり構えるとは無愛想じゃの~】

 

 

「当たり前だろ。以前は貴様のせいで暴走してあいつらを傷つけたんだからな!」

 

 

【安心せい、わしとてお前様を殺してやりたいとこじゃが…あいにくこの折に閉じ込められた身でそんなことはできまいて】

 

 

目の前の幼女が誰かと知るや光牙は構える

 

 

「にしてもなんだそのふざけた姿は?」

 

 

【ふふ~ん。わしの趣味じゃ!いいじゃろ〜?】

 

 

自分の姿を見せびらかす幼女竜

 

 

そんな幼女竜を見て呆れた顔を浮かべる

 

 

【まぁ、そんなことはどうでもよいか…それはそうとお前様はあのわっぱを倒せる力を求めておるのじゃろ?…ならばわしが力を貸してやらんでもないぞよ】

 

 

檻に封印式が施されているため、幼女の姿なのに檻から出られない竜が光牙にそう呟く

 

 

「お前の力だと?」

 

 

【そうじゃ、わしの力を使えば今のあの小僧とも互角以上に戦えるじゃろうて】

 

 

幼女竜の言うことがよくわからない顔をする光牙だったが

 

 

「どう言う意味だ?」

 

 

【わしの力を使えばこの状況を打破できるということじゃ】

 

 

「…例えそれが事実だとして、なぜ俺に力を貸そうとする?」

 

 

【ふふふ、な~に、ちょっとした気まぐれじゃ。お前様を見込んで少しの間力を貸してやろうと思っての~…ただそれだけのことじゃ】

 

 

そんな理由で力を貸したのだと幼女はいった

 

 

「……信用できないな」

 

 

【信用するもしないもお前様次第じゃが…果たして今のお前様に選択肢があるのかえ?】

 

 

「っ!?」

 

 

確かに今のままでは佐介に勝つことは不可能に近い、しかしこの力を使えば勝てる可能性は格段に上がる

 

 

光牙にとって苦渋の選択だった

 

 

しかし、今、自分がなさなければならないことを考えれば

 

 

答えはただひとつしかない、選択肢など存在しない

 

 

「……よこせ貴様の力を」

 

 

【懸命な判断じゃの~…ならばわしの手を取れ】

 

 

光牙はこの力を使うことを選んだ

 

 

今尚戦っているであろう焔達のためにも、自身の勝利のためにも

 

 

ここで負けるわけにはいかないと

 

 

そして幼女竜が差し出す手を握ると

 

 

握られた手を伝って力が光牙に注がれる

 

 

「これは…?」

 

 

【今からお前様の右手は鋭き刃となる。その斬れ味はまさに聖剣のごとし】

 

 

「聖剣?」

 

 

自分の右手を眺め、光牙はボソリとつぶやいた

 

 

【よきに計らうが良いぞ】

 

 

「感謝するぞ」

 

 

【さぁ、叫ぶがよい、その聖剣の名を!】

 

 

幼女竜が叫ぶとともに光牙の頭に名が浮かぶ

 

 

「…唸れ、聖剣」

 

 

 

そう言うと光牙の身体が光り出し

 

 

 

 

「クラウ…ソラァァァァァス!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

ジャキィィィィィィィィィィン!!!

 

 

 

 

 

「…っ!」

 

 

「あっ…がっ…がはっ!?」

 

 

次に意識を取り戻した瞬間

 

 

目の前の佐介の体には右脇から左肩にかけて大きな切り傷が出来ていた

 

 

口から血を噴き出し膝をつく佐介

 

 

光牙の手刀が佐介の体にあそこまでの深い傷を負わせた

 

 

「はぁ…はぁ…やっ、やってくれましたね!まだそんな力を隠していたなんて」グヌヌ

 

 

佐介は切られた箇所を抑えながら呟いた

 

 

そして光牙は目の前の佐介の姿と彼の身体を切り裂いたであろう自分の右手を見てあれが夢でないことを悟る

 

 

「…佐介」

 

「っ?」

 

「覚悟しろよ。ここからはさっきまでのようにはいかん。これからが本当の勝負だ!」

 

 

 

復活とともに真に覚醒した光牙

 

はたして二人の戦いの行く末はいかに…

 

 


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