第一章 何でも屋を始めた
とあるマンションにて引越し屋の人たちがこのマンションに引越してくる人の荷物を運んでいた
「焔ちゃん。次はこれを運んでおいて」
「はい、わかりました」
そんな中にその引越し屋の人たちを手伝い荷物を運ぶ焔の姿がそこにはあった
どうやら焔はバイトとしてその仕事をこなしているようだった
そして仕事が終わりを迎えるとこの引越し屋の長が彼女に声をかける
「焔ちゃんいつもありがとね。本当に助かるよ~」
「いえ、大したことはありませんよ」
「謙虚だね。っと、忘れちゃいけないね。…はいこれ、今日のぶんね」
そう言うと懐から今回の仕事の給料が入った封筒を渡す
「ありがとうございます。それじゃ焔はあがります。お疲れ様でした。お先に!」
「あ~い。気をつけておかえり~」
「また頼んだよ~」
給料を胸ポケットにしまい、挨拶を終えると急ぎ足で帰り路を進んでいく
ごみごみした市街地を抜けて、静かな山間の小道をかけていく
しばらくした先に切り立った崖が見え、そこに人が入れるほどの大きさの洞窟があった
そう、その洞窟こそ今、彼女たち焔紅蓮竜隊の隠れ家だ
中は入口と違って広々としていた
抜忍となり、狙われる身となってしまったがこの洞窟を見つけていこう、どうやらここには気づかないらしく、今だ見つかってはいない
そしてあたりを警戒し終え、ようやくその中に入っていった
「ただいま」
焔が帰宅すると
「あっ、おかえりなさい」
「帰ってきたわね」
「おかえりーっ!」
「遅いわ」
出迎えてくれたのは詠、春花、未来、日影だった
4人はどこぞで拾ってきたちゃぶ台を囲みながら座っていた
その他にも洞窟の壁などを飾り付けしているためそれなりに華やかな生活空間が広がっていた
それがここ、「焔紅蓮竜隊」のアジトなのである
ここを見つけ、生活するようになってもう半年は経つ
そう、あの半蔵学院と超秘伝忍法書をかけて戦い、復活した
追っ手をかわしているうちに偶然見つけたのがこの洞窟
それ以来、家賃もかからないのはいいが、家具などを集めたり食費を稼がなければいけないという部分もあるので大変なとこもあった
そのため、みんなでそれぞれ曜日ごとにバイトをすることにしたのだ
「お疲れ様、焔」
「あぁ、ありがとう未来…あれ?まだ光牙は戻ってきてないのか?」
あたりをキョロキョロ見回して自分たちのもう1人の仲間、光牙がいないことに気づいた
「光牙くんならまだ勤務中よ」
「まぁ、しゃあないやろ」
「なにしろわたくしたちの中で一番の稼ぎ頭ですしね」
どうやらまだ光牙は仕事の最中なのらしい
「あぁ、そうだな」
「ここにある殆どの家具って光牙の稼ぎで買ったものだしね~」
パソコンや冷蔵庫、キッチンやテレビなどは光牙の仕事先からの給料で得たものである
「まぁ、さっき連絡とったけど、もうすぐ帰ってくるらしいわね」
「ですので今、お夕食の準備をしていたところです」
「そうか、でも出来れば早く帰ってきてほしいな~。もう腹がぺこぺこだ」
お腹をさすりながら焔は呟いた
「なら先に食べちゃう?」
「いやっ、もうそろそろ帰ってくるなら待つさ。せっかくならみんなで食ったほうがうまいしな」
「そうね」
焔たちは光牙の帰りを待ちながら夕飯の準備をつづけるのだった
時は少し遡り、とある場所にて二輪車の愛車にまたがり、景色を眺める焔紅蓮竜隊のメンバーの1人、光牙の姿があった
ピロリ~ン♪ ピロリ~ン♪
ピッ!
「…はい、
あの戦い以降、光牙は運搬業を主体とした何でも屋、
内容は企業や業者から荷物を預かり届けたりする仕事である
荷物は一遍にあまり多くは運べないものの普通の業者などが配達する時間よりもはるかに速い
そのため評判もある程度良いようでそれなりに需要もあるとのこと
ガチャン! ブルルルルルル……!
そして携帯を切ると光牙専用の愛車
ブォォォォォ~~ン! ブゥゥゥゥゥゥゥ~~~ン!!!
そしてハンドルを握り、道を走り出すのだった
そして時刻は焔がアジトに戻った頃
ようやく仕事を終えて隠れ家のほうに帰っていた
山道なので
そしてやっとアジトに到着するとアジトがある洞窟からちょっと離れた場所にもう一つ
小さい洞窟があり、光牙はそこに
「今帰ったぞ」
「「「「「おかえりーっ!」」」」」
帰ってきた光牙を焔たちが出迎える
「お疲れ様ね光牙くん。上着預かるわ」
「あぁ、助かる」
脱いだ上着を春花に渡すとちゃぶ台のほうに腰掛ける
「今日も稼げた?」
「あぁ、それなりにな」
「さぁ、熱いうちにどうぞ」
「おっ!待ってました!」
すると詠ができた夕食を乗せた食器をちゃぶ台に並べていく
焔はやっと飯が食えるといいたそうな顔でそう呟いた
しかし、出されたものを見てその顔は一瞬にして引きつった
「……これは、なんだ?」
皿の中には緑色のスープらしきものが
「今夜は野草のカルボナーラですわ」
「野草の、カルボナーラって……?」アセアセ
そう。普通、カルボナーラとはスパゲッティのことであり、麺をお湯で湯であげるもの
しかしこのカルボナーラはどうやら麺のかわりに野草を湯で上げたものが入っていた
「さぁ。みなさん遠慮なさらず召し上がれ」ニコ
詠が満遍の笑みを浮かべながらそれをすすめた
「あぁ、いただくよ」
「はい、召し上がれ♪」
焔たちが少し戸惑っている中、光牙はなんの躊躇もせず野草のカルボナーラを口にいれ食べ始める
元々、焔たちと出会う前から厳しいサバイバルを経験し、食材を見つけられない時は泥さえ食ったほど
そんな彼にとって今さら野草のカルボナーラなどなんのことはない、むしろご馳走ですらあるほどだ
「私たちもいただくとしよう」
焔たちも光牙に続いて食べ始める
すると食してみると見た目に似合わず、その味は美味しいと言えるほどいい味だった
「詠お姉ちゃん。これ美味しいよ!」
「あら、そうですか♪」
「そうですかって…味見してないの!?」
「えぇ、ですので味はわたくしにもわかりません」
軽く言い放った読みを見て未来は唖然とする
「まぁ、腹を壊さなければ、べつに"なんでも"構わんさ」
「」キュピーン✩
このあと、光牙は自分のいった発言に後悔することになる
「みなさん。実はもう一つ作っておいた料理があるのでそちらもどうぞ召し上がってください」
詠のその言葉に他の全員がキョトンとする
そして詠はあるものを持ってきた
「お待たせしました。野草とにんじんのサラダです!」
「」ピクッ!?
「おっ、これは見た目的にはさっきのよりうまそうにみえるな」
「もう、さっきのだって美味しかったでしょう?」
そんなこんなで焔たちがサラダを食べ始める
「ささ、光牙さんも召し上がれ♪」
「あっ、あぁ…」
光牙もサラダに箸を伸ばす
ただしにんじんを跳ね除け野草だけをとろうとする
「あら、ダメですよ光牙さん。にんじんも一緒に食してください」ニコ
「いっ、いや。べつに野草だけでもいいだろう?」アセアセ
「光牙さん。先ほど言いましたわよね?『腹を壊さなければ、べつに"なんでも"構わんさ』っと」ニヤ
よからぬ笑みを詠は浮かべた
「っ!?はっ、謀ったな詠!?」
「なんのことでしょう~?さぁさぁ、そんなことよりも召し上がれ♪」
箸で野草とにんじんをつまみ光牙の口元まで持っていく
「いっ嫌だ!!」
「往生際の悪い。日影さん、春花さん!」パチッ
「ほ~い」
「任せて~♪」
ガシッ!
「なっ!?」
光牙は日影と春花に両手を拘束されてしまった
「さ~さ~。もう逃げられませんわよ」ニヤ
「やっ、やめろ…やめるんだ詠!?」アセアセ
「好き嫌いはよくありませんわよ~…ということで。うふふふふふふ」ニヤニヤ
「やめろ。やめろーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」
光牙の断末魔が洞窟内に響き渡るのだった