仮面ライダー GENESIS CHRONICLE   作:式神ニマ

9 / 16
Track12~13 『惨劇の地』『ジェネシスVS仮面ライダー』

❖❖❖❖❖

 燦然と降り注ぐ陽光と、その熱をたっぷりと含んだ砂塗れの空気が、道行く者たちの気力を容赦なく削ぎ取っていく。いくら幌馬車の中にいようとも、かつて経験した事のない暑さを完全に防げるものでもない。森林育ちのマヤに至っては「う~……あっちぃ~……」とサンダルとフーデッドケープも放り捨てて、荷台の上に寝転んでいる。お願いだから、少々目のやり場に困るのでやめて欲しい……。レイトの頬を別の意味で汗が伝った。

 

「戦兎はよく平気だねぇ……」

「別に平気って訳じゃないけどさ。俺の国の夏は高温多湿だから、これ位ならまだ過ごしやすい」

 

 ヒートアイランド現象が常態化した現代日本と比べれば、このトンプソールの暑さはまだマシな部類だと思うが、流石に空気のいがらっぽさまではどうしようもない。心なしか少し喉が痛い気もする。

 

 旅に同行したのは戦兎とラアドは勿論、レイトとマヤにゼオラ。ヒュペリオンからはハイルとサクラ、その他数名だけだった。勿論、戦力差を考えれば全員で殴り込みをかけるのがベストなのだが、アレステリスの守りを疎かにする訳にもいかない。それに人質が向こうにいる以上、あまり目立って行動する訳にもいかないのだ。

 

「せめてエニグマが直せれば、ひとっ飛びだったのになぁ……」

 

 彼が乗ってきた平行世界移動装置『エニグマ』は、時空移動機能こそ壊れてしまっていたが、一部の機能はまだ健在だった。せめて移動機能だけでも……と思ったのだが、やはりあの場から動かす事は困難そうだった。

 

 それに今更かもしれないが……この世界にあまり自分の世界の技術を持ち込むのは危険な気がする、と戦兎は思う。生きていく為の様々な困難や不便を乗り越える為に、人は技術を発展させていく。これが1つの文明、そしてその世界全体の進歩へと繋がっていくのだ。

 この世界に広がる、デブリスやそれが齎す病、身分の格差や差別など。それらの諸問題を戦兎の持つ知識で解決させていくのは簡単だ。だが、それはこの世界の人々が自らの力で成し遂げなければならない事だと思う。もしあくまでも異世界人でしかない自分が、未知の技術でそれに干渉してしまえば、この世界のあるべき歴史を捻じ曲げてしまう。非情かもしれないが、科学が齎す力を何よりも知っているからこそ、その怖さもまた戦兎にはよく分かるのだ。

 

 では、仮面ライダージェネシスとやらはどうなのだろうか?奴の素性は未だに分からないが、明らかにこの世界とは異なる技術体系を持つ謎の存在。それがその力の限りを持ってこの世界の人々を蹂躙しようとしている。その行いは戦兎の世界でも行われてきた、明らかな侵略行為だ。奴だけは戦兎の全力を持ってして止めなければいけない。そう誓った刹那、小さい悲鳴が幌馬車の中に響いた。

 

「どうかした?」

「あの娘よ。微熱が続いてるんだけど、何だか急に体が震えだして……」

 サクラが言うあの娘とは、アレステリスで捕らえたあの少女——確かナイトラという名前で呼ばれていた——の事だろう。何か情報を引き出せないかと捕まえていたのだが、案の定全く口を割らなかった。ナイトラは驚くべき回復力を有しており、ビルド達との戦いでついた傷はあらかた回復したのだが、今ではずっと微熱が続き、衰弱を始めていた。

 

「どうかした?どこか痛む?」

「…ボーラン……そんなっ……。…消えちゃっ……」

 レイトが横たわる少女に問いかけるが、ナイトラは明らかに心ここにあらずな状態だった。体を凍える様に震えさせながら、虚空を見上げて何かをしきりに呟くばかりだった。

 

「…なんでわざわざ、コイツを連れて来たんですか?」

 ラアドが不機嫌そうに問う。戦兎は不思議そうに「なんでって……」と説明の口を開いた。

 

「サクラさんやゲイナン先生ですら衰弱の原因が分からないんだ。連れてかなきゃどうしようも出来ないだろ?」

「そういう話じゃなくて!なんで、敵のコイツをわざわざ助けなきゃならないんですかっ⁉」

 

 ラアドからすれば、目の前の少女は仮面ライダージェネシス——つまり、自分の家族を殺し、仲間達を攫っていた仇敵に仲間なのだ。この反応はある意味仕方ないと言えるが、さてどう説明したものかな……と、思案を巡らせた刹那、前方の御者台から「見えましたです!あそこじゃないですか?」とラナの声が響いた。

 

 馬車を止め、戦兎達が飛び降りると、そこには確かに焼け焦げた集落の跡が……最初の目的地であったサンドレアヤードの残骸が広がっていた。

 

「これは……」

「なんて惨状だ……」

 

 ここにいる誰もがこうした破壊の現場を見た事はある。だがそれでも、目を剥く様な光景だった。地には無数のクレーターが穿たれ、周囲の一木一草も尽く根絶やしにされ、地域の水源だった井戸も干上がってしまっている。まるで文明の痕跡すらも残さない様な徹底的な破壊。ただ、1つの民族を攫っていく為だけにここまでする必要があるのだろうか?まるで、彼らのルーツを根こそぎ消し飛ばし、心ごと削ごうとするかの様な———。

 

「くぅっ……!なんでっ……!なんで、こんな事っ……‼」

 だが一番悔しい思いをしているのは、間違いなくラアドだろう。生まれ育った土地が根こそぎ破壊され、そこに根付く思い出ごと踏み荒らされたのだ。レイト達は改めてこれだけ暴挙を働いた存在——仮面ライダージェネシスへの怒りを募らせた。

 

 ここに来たのは、まだラアドの他に逃れられたサンドラスがいないか確かめたかったのもあるが、何よりも目に焼き付け、心に刻み込ませる為だ。これから戦うべき相手の恐ろしさを。そして、負けてはいけないという己たちの決意を。

 

「…とにかく、俺たちはスタート地点に立った。あとは奴らの拠点まで一気に———」

 

「愚か者の愚か者たる所以が分かるかね?」

 

 突如、ゾッとする程に酷薄な声が中空から響く。ラアドがビクリと全身を震わせるのが分かった。その目線の先、まだ微かに黒煙が靡く空の中に仮面をつけた1人の男が()()()()()のが見えた。

 

 呪術師が付ける様な大仰で、しかしどこか嘘くさい仮面と衣装。それとは明らかにミスマッチな金属質のベルトが男の腹部で輝きを放っていた。

 

「感傷に浸り、失われたものにいつまでも執着しようとする。感情などという不必要なパーツを持つ、貴様らの事だ」

「…お前が、ジェネシスか?」

「如何にも。我こそがここに千年王国を築く、時空の覇者・仮面ライダージェネシス!ビルド……多少は警戒していたが、こんな辺境まで追ってくるとは……。諦めの悪い男め」

「そんな事はどうでもいい。アイリィやサンドラの人々を連れ攫って、お前はこの世界で何をするつもりだ⁈」

 激昂したレイトが問い質す。だが、男は不遜にフンと鼻を鳴らすだけだった。

 

「アイリィ、サンドラ……?…あぁ、あの()()()()はそんな名前だったか。まぁどの道、貴様らは知らなくとも良い。貴様らも同じ運命を辿るのだからな‼変身!」

 

 叫びながら、男がベルトの側面部のスイッチを押し込んだ。ベルトの中央、円盤状の画面に色とりどりの渦が浮かび上がり、男の体が変身を遂げていった。

 

 禍々しい赤いラインが血管の様に走った白いアンダースーツ。その上から銀色の装甲が被さり、戦士としての装いを整えていく。装甲の各部にはまるで宇宙を思わせる藍色のクリアパーツが覗き、まるで遥か深淵の力を内包しているかの様だった。

 藍色のクリアアーマーに顔半分を覆われ、表情の分からない無貌がしかし確かにレイト達を睨み付ける。溢れかえる力に酔いしれた様に全身を震わせ、仮面の戦士——『仮面ライダージェネシス』が高笑いを上げた。

 

「コイツが……!」

「何が千年王国の覇者だ。さっさと終わらせてやる」

「ああ……こんな奴に、これ以上仮面ライダーを名乗らせて堪るかっ‼」

 レイトとハイル、戦兎がそれぞれのベルトを装着し、アイテムを装填していく。

 

〈ライト!シルバー!ファンタスティック!栄光のレシピ‼〉

〈ライトブレード!テリフィック!閃光の魔剣‼〉

〈MAXハザードON……!〉

〈ラビット&ラビット!ガタガタゴットン!ズッタンズタン!〉

 

〈Are You Ready?〉

 

「「「変身‼‼‼」」」

 

〈ミスリックナイツ‼〉

〈ソーディア、ライトブレード‼〉

〈紅のスピーディージャンパー!ラビットラビット‼ヤベーイ!ハエーイ‼〉

 

 ディライトとソーディアは使い慣れた基本形態に、そしてビルドはラビットフルボトルの力を増幅した真紅の形態『仮面ライダービルド ラビットラビットフォーム』へと変身した。

 

 許されざる悪意の化身に向かって、3人の仮面ライダーが裂帛の叫びと共に突撃していく。だがジェネシスは慌てふためくどころか、戦いに構える様子すら見せない。仮面の奥でため息を1つ漏らすと、そのまま何かを払いのける様に手を軽く振った。瞬間、不可視の力が仮面ライダー達を包み込み、横合いへと吹き飛ばした。

 

「ぐあっ⁈」

「コイツ……!何をしやがった⁉」

「愚か者どもめが。何故この私が覇者と言えるのか教えてやろう。このジェネシスこそが、全てのユニバースで最強の仮面ライダーだからだよっ‼」

 

 ジェネシスが両手を突き出すと、指という指の先から稲妻が四方八方に発射された。紫電が地面を抉り飛ばし、空気が焼けたオゾン臭が辺り一帯に広がる。恐るべき熱量を秘めている様だ。光の速度で飛来する電撃を、しかしビルドの中でもトップクラスのスピードを誇るラビットラビットフォームが天高く跳躍し、脚に仕込まれた『ディメンションスプリング』を伸ばして蹴りを放った。

 よろめいたジェネシスの元へ一気に降り立ったビルドが更に連続でキックを炸裂させる。ラビットラビットフォームの攻撃には相手の装甲強度を無効化する機能があり、如何なる防御も無力……となる筈なのだが、しかしこのジェネシスは削り取っていけるという感触がまるでない。まるで、どれだけ掘ったとしても底が見えない穴に挑んでいるかの様な……。

 

「甘いわっ‼」

 

 ジェネシスが再び手を開くと、そこから解き放たれた不可視のエネルギーが再びビルドを吹き飛ばした。だが、それと入れ替わる様に今度はソーディアがデウスカリバーを構えてジェネシスの周囲を駆け回る。魔剣開放技・ソーイング。独特の歩法で移動と剣技を同時に放つこの技はその軌道を予測するのが極めて難しい。目にも止まらぬ速度でジェネシスの背後を陣取ったソーディアの剣がその首筋を捉えるが———。

 

「無駄だ」

「なにっ⁈」

 

 ジェネシスの手から雷の剣が出現し、ソーディアの剣技をも超える速度で振り抜かれた。剣はデウスカリバーの防御をいとも簡単に崩し、ソーディアの胸甲を捉えた。絶対防御の力を持ってしても消しきれない衝撃がハイルの全身に叩き込まれ、吹き飛んだソーディアは指一本動かせない程のダメージを負っていた。

 

「ハイルくん⁈」

「クソッ、何だよアイツ!シスの暗黒卿かなんかか⁈」

「ぼやいてる場合か!こうなったら遠距離から一気に!」

 

〈タンク!ガトリング!フェニックス!ゴリラ!アルティメットマッチデース!!!!〉

 

 ビルドが取り出した大型の専用武器『フルボトルバスター』に4つのフルボトルを装填し、その銃口を向ける。ディライトもガンモードに変形させたトランスラッシャーを、更にサクラとラナ、マヤもそれぞれの遠距離武器を構えた。

 

〈ヴァリアントシュート‼〉

〈アルティメットマッチブレイク!!!!〉

 

 ディライトとビルドの銃器からエネルギーを秘めた光弾が、サクラ達のキャニスターボルトからエレメントを帯びた無数の小矢が発射され、ジェネシスへと殺到する……が、それらは全てジェネシスが拳を振り上げると、空中で静止した。

 

「馬鹿の一つ覚えの様に次から次へと……いい加減、鬱陶しいっ‼」

「ぐあぁぁぁっっっっっっ!!??」

 

 手が振られると、弾丸の全てがビルド達の下に戻り、爆発した。少女達はディライトが庇ったお陰で直撃は避けられたが、降りかかった衝撃を全て消しきれた訳ではない。気を失ったマヤ達を尻目に見ながら、ディライトとビルドは再び地面を蹴って飛び掛かった。

 

 バスターソードとトランスラッシャーの斬撃が暴風の如く、絶え間なく降り注がれるが、しかしジェネシスには掠りもしない。2人の攻撃を巧みに躱しながら、ジェネシスから繰り出される攻撃は仮面ライダー達の体力を少しずつ削り取っていく。

 

 なんて奴だ……!と、戦兎は歯噛みする。ラビットラビットフォームは戦闘兵器ビルドの持つ攻撃力を最大化させた形態だ。その性能は並の敵相手ならば、手を焼く事は先ずない。そのラビットラビットフォームがこうして後れを取っている。正に宣言通り、敵が並の相手ではない証拠だ。

 

「どうしたぁっ!もっと抵抗して見せろ!抗ってみせろよぉっ‼わざわざ世界を超えて挑みに来たのだろう?貴様らの安い正義感で、この私を超えてみせろぉぉぉっっ‼」

「うるさいっ!お前みたいな奴の……どこが仮面ライダーなんだっ⁉」

「見解の相違だなぁぁっっっ!力を持って全てを征する……それこそが、“英雄”というものだろうがぁっ‼」

 

 興奮してきたのか、ジェネシスの口調が荒くなり、陶酔の色を強めていく。ディライトの攻撃を受け止めると、左手がその頭部を鷲掴みにして拘束する。

 

「貴様の事はよぉく知ってるぞ、ディライト!伝説の勇者の力を手にしておきながら!英雄の資格を得ながら!みすみすそれを手放した大バカモノだぁっ‼」

「…黙ってろ」

「どっちが真の英雄か、分からせてやるよぉっ‼私の正義を持ってしてなぁっ‼」

「黙れって言ってんだよ!そんなモノに……負けて堪るかぁっ‼」

 

 かつて世界をデブリスの王『ディアバル』の侵攻から救い、知る者はいない英雄となった先代のディライト。その力を継承したレイトだったが、その道のりは決して平淡ではなかった。今のレイトはとある理由から、勇者としての栄光の道を外れ、人々からの称賛も名誉も放り捨てて、ドランバルドの1国・シドニア帝国から反逆者として追われる身だ。だが、それを後悔した事は一度もない。何かの犠牲の上に成り立つ正義など、誰かの悲しみが沈み込んだ大儀になど意味がないと心の底から思うからこそ———!

 

 転瞬、ディライトドライバーに装着されたライトライドラッグがかつてない程の輝きを発した。眩い光輝の余波を受けてミスリックナイツの銀のマテリアメイルが金色に染まっていく……。

 

「うあぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっ‼」

「なんだとぉっ⁉」

 

 ディライトがジェネシスの拘束を振り切り、渾身の力でジェネシスのドライバーを蹴りつけた。ガキィン‼という何かが弾けた様な音と共に、ジェネシスの体が吹き飛ぶ。だが、直ぐに体勢を立て直し、「貴様……!」と表情の分からない仮面越しからディライトを睨み付けた。

 

「誰かを踏み躙って……犠牲の上に成り立つものを、正義とは言わない!アンタの言ってる事はただの自己陶酔……いや……」

「なんだとぉっ……!」

 

「力にしかっ……英雄にしか縋れない者が言う……ただの空っぽの屁理屈だ‼」

 

「うがあァァァァァッッッッ‼言わせておけばぁぁぁぁっっっ‼」

 

 転瞬、ジェネシスの全身のラインが眩く発光し、無数のレーザーを四方八方に斉射した。岩をも斬り裂く超高熱の光矢が地表を貫き、周囲一帯を炎熱の坩堝に変える。「危ない!」と、生身のサクラ達を庇ったビルドに無数の光線が突き刺さったのが陽炎越しに見えた。

 

「戦兎⁉」

「余所見をしている場合かぁっ⁈」

 ジェネシスが噴煙を突き抜け、ディライトを思いきり蹴り上げた。地面を転げたディライトにジェネシスが雷槍を突き刺そうと手を振り上げるが———。

 

「動くな!動くとコイツを殺す‼」

 ラアドだった。馬車の中に寝かせていたナイトラを抱え上げ、その喉元に槍を突き付けていた。

 

「なんだ、貴様か。必要な資源はもう手に入った。もう貴様に用はないぞ?」

「黙れ!脅しじゃない!さっさとレイト達から離れ———!」

「やれやれ、コレだから低能なサルは……。悪いが、脅しになぞならんよ。ホムンクルスの小娘如き、いくらでも替えがきくのだからなぁっ‼」

 ジェネシスが掌底を突き出し、そこにマグマの如き熱エネルギーが溜まっていく。大玉のスイカ程の大きさにまで肥大化した炎が、ラアドとナイトラの2人へと解き放たれ———。

 

「くっ……!やめろ–––––––––––––––––––っっ‼」

 

 立ち上がったディライトが2人を庇う様に覆い被さった。やがて火球が直撃し、猛烈な爆発が広がった。後に残されたのは、ズブズブ……と黒煙を上げて燻ぶる地面と、そこに転がるディライトドライバーのみ。どうやら跡形も残さず蒸発したらしいと判断し、ジェネシスが「ンハハハハハハハッッッッ‼」と哄笑を上げた。

 

「愚か者どもめがっ‼この我に逆らうからこうなる———ん?」

 ディライトは消えた。ビルドとソーディア、その仲間達も倒れ伏した。逆らう者は全て自らの力の前に屈した。悦に入っていたジェネシスだったが、突如ベルトが細かく震えだし、そのまま腰から溶ける様に消えてしまった。変身が解除され、男——コルテスは「チッ……気まぐれな奴め」と舌打ちを漏らした。

 

 強力な力を授けるジェネシスのベルトだが、時折こうして消えてしまう時がある。直ぐに戻ってくるのだが、その間はジェネシスに変身する事が出来なくなってしまう為、忌々しい事この上ない。

 

「やはり早急に新しい力を手に入れる必要があるな……。その為にも、こ奴らを連れ帰るとするか……」

 

 仮面ライダービルドこと桐生戦兎はともかく、この場にいる誰もがあのサンドラ族の連中よりも錬真力が高い様だ。既に捕えてある小娘を含めて、これだけの“人柱”があれば、自分の体に更なる強化を施す事も可能になるだろう……。またしても哄笑を上げようとしたコルテスの腰から突如、通信機の受信音が鳴り響いた。

 

「フランハイムか。丁度いい。新しい資源を確保し———」

 

『そ、それどころじゃないぞコルテス!あの小娘が……!トンプソール人どもを率いて脱獄したんだ‼』

「…なんだとっ⁈」

 

 絶句したコルテスの手から滑り落ちた通信機が、土の地面の上に転がって乾いた音を立てた。

 

 




〈設定メモ〉
◇神聖アネスタ皇国
・ドランバルド三国連合の南に位置する国。君主は若干23歳の女王『クリスティン・ビバリー・アネスタ』。
・かつては貿易大国として栄えていた歴史を持つ。デブリス病が蔓延する現在は三国連合以外との交易は途絶えている。
・温暖な気候で、食料の生産が盛ん。経済的に豊かで「おとぎの国」「愛と高潔の国」とも呼ばれる。

◇トンプソール武族連合
・ドランバルド三国連合の東に位置する国。複数の武族が国中に乱立し、その代表たる『族柱会議』が国のトップを務める。
・三国最大の面積を持ち、豊富な地下資源と、デブリスすら恐れない多数の武族を有する。
・一方で近代化は少々遅れ気味。

◇シドニア帝国
・ドランバルド三国連合の北に位置する国。シドニア王家が君主であるが、現在はデブリーターに乗っ取られている状態。
・元は複数の国の連なりであり、王家は存在しつつも、実質的には各諸侯の力が強く、封建制に近い。
・錬真術には欠かせない豊富な水資源を有するが、国土の多くが湿地であり農業に適さない為、経済的に困窮している地域が多い。一方で民間ギルドを中心に対デブリス戦闘の経験が豊富な者が多い。


設定メモながっ!
国の設定とかはあまり本編では出せないので、つい書きすぎてしまうのです……。
ご意見・ご感想など頂けると励みになります。
そいではまた。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。