翌日─────マリーはロキ・ファミリアがダイダロス通りで発見した門に共に集まっていた。
ダンジョンのもう一つの隠された入口があるというダイダロス通り、そこに
私の役目はある程度把握している。【サタナスヴェーリオン】による即座の対応力と、万能の【オーバーロード】による幅広い対応力だろう。
例の
そして───いた。フィルヴィス・シャリアさん。レフィーヤのために援軍にきたらしい。
レベル3というのには不安だがレフィーヤもそうだし、なんなら自分もレベル3のままで参加する可能性は大いにあったのだ。
自分と同じ立場の外部協力者だし、「友達の友達」が友達になれるとは限らないがまずは仲良くすべきだろう。
「
聞いていた話だと握手を求めても払われる可能性が高かったのでこちらから強引に握ってしまう。なんだろうこの違和感…良い人なのは間違いないんだけど…
彼女の才能と活動年数で未だレベル3というのにも違和感がある。それに私を…警戒している?それに測ろうともしているような───
「ディオニュソス様からなんか言われましたか?」
図星か。一気に顔色が変わる。「
「
ベート・ローガさんか。「雑魚」が口癖らしいのに言わなかった。一応実力は認められているらしい。
「やあ君がマリーベル・クラネルか。今日はよろしく」
「『マリー』でいいですよ、フィンさん。リヴェリアさん達もそう呼んでいますし『クラネル』じゃ弟と紛らわしいでしょうし」
「それでアルフィアは…」
「あ、もう、知ってましたか、流石ですね。おばさまは今はファミリアとして大事な案件にかかっているので…ごめんなさい、今日は連れてこれませんでした。それに勘ですが今日は決着までいかない気がしているので。
もう体調に不安はないので『その時』がきたら思う存分に使ってあげてください。最終決戦になりそうな時は必ず予定空けさせとくのでその時は事前に教えてください」
「ああ、頼りにしているよ、勿論君も」
そうして───クノッソス突入後マリーはフィンについて回った。
そうして辿り着いたダンジョンの
「フィ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ン~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッ!!」
「会いたかったぜぇ!クソすかs「
マリーはそのまま第一級冒険者でも気を抜くと見失ってしまいそうな速度でその女ヴァレッタ・グレーデに肉薄して彼女に刀を振り下ろす。
が、然しもの相手もレベル5、すんでのところで抜いた剣により止められてしまう。
「テメェゼウスやヘラの身内っつーバケモノみてぇなガキか!っつーことはアレだ!テメェ
「…殺す!!」
産まれて始めてこれ以上なくキレたマリーは武器を使い捨てる前提で【サタナスヴェーリオン】を纏った刀で相手の剣を切り裂いてその光を奪い首を掴んで押し倒しマウントポジションになった。
「ぃぎゃぁッ!?」
そこから先の展開は───ロキ・ファミリアが顔面蒼白になるほどの惨劇だった。
「
魔法を纏った拳でグシャグシャにその顔面を潰していく。グチャッグチャッグチュッと大量の血液が拳と顔の間で糸を引き打撃からするはずのない音が混じる。
「おっ…えっ…」
ラウルや他の下位団員達は吐いている。然しものフィンも表情には出さなかったが内心驚いていた。
唯の才能と強さだけの少女じゃないとは思っていたがまさか
彼女の逆鱗は身内のことなのだろう。そこを無遠慮に逆撫でする者がいれば”こう”なってしまうというわけだ。だがもうヴァレッタは事切れている。
「もういい」
「───もう止めるんだ。とっくに死んでいるだろう彼女は。」
その殴る腕を掴んで止めた。
「すいません!お見苦しいところをお見せしました!」
と、本気で申し訳無さそうにしてからニッコリと笑う。
この切り替えの早さはフィンですら呆気にとられた。
周りの団員達はそれを不気味に思ってしまう。ティオナはどこか
そしてヴァレッタの懐をまさぐると「D」という文字が刻まれた赤い球体を取り出す。
それを使って近くにあった扉を少し操ってみる。その後フィンにその球体を投げ渡した。
「これ重要なアイテムっぽいんでフィンさん持っててください。あと
そこからのマリーは獅子奮迅の活躍をした。フィンに対するレヴィスの奇襲も、【サタナスヴェーリオン】で妨害してカットし、
纏めて回復させていった。最初は「解毒魔法」だと聞いていたのだがそういう認識だけでは発動しなかったので、色々と認識を変えて試してみたら十全に使えるようになったのだ。
火炎石による自爆など【サタナスヴェーリオン】で迎撃していき、一切近づかせないまま燃え尽きさせていった。
そうして今はある意味待ち望んでいた大物と対峙している。きた…!これが
個体名『天の雄牛』である。深層種の「パワー・ブル」の寄生体。パワーと耐久重視の個体である。
「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
耳障りな哄笑がする。人間体の上部が変に美しいためにそのちぐはぐさが気持ち悪さを助長している。
ガレスさんは詠唱する私を気にしつつヒリュテ姉妹やフィンさんらと共に今も眼前の精霊を削っている。私は並行詠唱しながら走り回っているので守る必要なんてないのだが盾役としての意識だろう。
「【突キ進メ
きた!少し前から詠唱は始めている。奴が魔法を使おうとしなければ攻撃魔法をそのまま使うつもりだった。
「──────我が元へ参れ。繋ぐ
大爆発が起きる。そのまま威力だけを上げようとしたら理論上はレベル10でも即死しそうな超爆発が起きそうだったので無理矢理爆発に指向性を持たせて下に向かうように操作する。
スキル【
そして今使用した【ウィル・オ・ウィスプ】。ヴェルフの使用する、
強力な精霊魔法を使うという
【ウィル・オ・ウィスプ】自体は相手の魔力を利用する性質上、更に魔力の低いヴェルフが使うこともあり大して自身の魔力を使用しない魔法だ。その上で【オーバーロード】で大量に余った莫大な魔力を
あたかも爆薬を継ぎ足すかのように、自身の魔力を足して相手の魔力ごと起爆すればどうなるか。凄まじい轟音が鳴り下の階層に爆発が向かう。直下に誰か居たら確実に死んだろうな。
多分現在造られている最下層まで到達しただろう。そして精霊本体は跡形もなく消滅した。自分でやっといてなんだがこっわ。
ちなみに【オーバーロード】の消費魔力は【ジェノス・アンジェラス】以上である。いくら大型とはいえモンスター1体に使う魔力量じゃない。
フィンさんやガレスさん、ロキ・ファミリアは例外なく青くなっている。
「一応は成功…ですね。またアレが出てきたら私に「「「「任せられるかぁ!」」」」なぜ…」
「
「大分威力は抑えたのですが…それでも確実に一撃で仕留められるくらいまでに調整した結果がアレです。」
結局ロキ・ファミリアはその日は撤退した。かなり被害を抑えてくれていたマリーの消耗も大きかったからだ。マジックポーションを使いつつも今日は【オーバーロード】を10回は使っている。
魔力を多少なりとも扱える者らは使用時の桁外れの魔力を肌で感じていたので自分らに向けられる精霊の魔法よりもある意味で生きた心地がしなかった。しかも並行詠唱で、第一級なみの速度で移動しながら使っているのだ。
神がかった技量。怪物以上に怪物のような人間まさしく「才禍の怪物」。だが彼女の才能に驚いても本気で怖がる者は少ない。ロキ・ファミリア内で長らく語り継がれることになる「【
彼女に救われた者が多かったからだ。「鍵」を押さえられた以上焦る必要もない。厄介な参謀であっただろう【
病のないアルフィアが完璧な形で投入出来るのだ。外部協力者にあまり頼り過ぎになるのも良くないのだがその2人を指揮下に収められることにフィンは高揚すら感じていた。
ただ、一番労いたかった肝心の彼女は「まだ間に合うかも」とか言ってあっという間にホームに帰還していった。
死者0名、但し欠損者が複数名。
刀は折れました。
ベル君のアルフィアの呼び方
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おばさん
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お義母さん