「バルカ・ペルディクス」についても知れた。そいつさえ倒したらクノッソスも乗っ取れるかもなあ。
というか私が派手にクノッソスをぶち抜いて壊したせいで発狂して使い物にならなくなったらしい。ウケる。
その後の身柄は
普通のモンスターを狩るだけなり、歓楽街で女を抱いて楽しむなど他人に迷惑かけない範囲で満たされていたのならともかく、外道な行いで沈めていたというのなら元々そういう人間だっただけという話だ。
一応私の超魔力で強引に呪いは解呪してやったが、もう表に出てくることもないだろう。多くの首なし死体は身体の方はダンジョンに捨てて首だけはこっそり運び出して共同墓地に纏めて埋葬した。
同情の余地のない外道共ではあっても死んでしまえば皆同じだ。被害者たちが浮かばれないかもしれないが、弔う余裕があるならそれくらいはしてやってもいいだろうと思って弔った。
クノッソスの、奴らが使っていたあの区画は、奴らの形跡を綺麗に掃除して消しておく予定だ。
レイはホームに置いてきてヘスティア様やアベル達とお日様の下ゆっくりしてもらっていた。
春姫や
開き直って明日、普通に観光を楽しんでもらうことにした。ウラノス様やガネーシャ様が「滅多にない機会だ」と言って会いたがっているらしいが…どうせこれから何度でも会える。
まあ今はまだ「
明確に自分達を狙い打ちにした悪意を煮詰めたような人間の中でも底辺中の底辺の所業だもんな。連れて行かなくて本当に良かった。
方法の詳細は明かせない「モンスターの密輸」は除いても普通に他の犯罪をしまくって一般人も食い物にしていたファミリアだったので「監督不行き届き」ということでディックスのステイタスを封印した後、主神のイケロスは追放された。
「ウラノス様から下されたミッションを『あるファミリア』が電撃的に速やかにこなして【イケロス】を壊滅させて、団長の【
何も知らない者達は【ロキ】か【フレイヤ】あたりが実行者だと思うだろうが、まあフィンさんには私達がやったことくらいバレてるだろう。【
ダイダロス・オーブを借りにいったのだ。もう10個以上集まってしまったので、明日普通に返しに行く予定だ。
そして翌日…
「マーちゃんッマーちゃんッッこれっ美味しいよッ!」
今は普通に街をぶらり
本来モンスターを普通に連れ回していたら違法だが私だけは特例というか、ウラノス様の強権で合法化している。1年後には
今のレイは私と同レベルの美貌を持った、何一つ欠点のない美女だ。そんな娘が初めて見る街の物に目を丸くしながら私に質問したりしてはしゃぎ、太陽のような笑顔を見せているのだ。
そりゃあ目立つ。連れが有名人の私というのも大きいだろう。この娘の正体を判る者がいるとすればフレイヤくらいだろう。多分魂そのものは人類とそう差はないと思うから実際に見極められるかは微妙だと思っているが…
神々はこういう時普通にストーキングする。ひどい時には隠れようともせずに複数で追いかけ回すのだ。まあしつこいのには何回か
「【静穏】ちゃん【静穏】ちゃんっそのすっげー可愛い娘だれぇ!?新入団員っ?俺とお茶しない!?」
「この娘はどこのファミリアにも所属していない
周りの連中は「おお~っ」とか騒ぎ、女神たちは「キャーキャー」黄色い声を上げている。まあダンジョン中層以下を活動の拠点にしていることが多いのが
私にとっては大して遠くないが、多くの者達にとっては凄く遠い場所だろう。だから嘘は言っていない。
そして辿り着いたあるじゃが丸君屋台───そこにはアイズがいた。
「あらおはようアイズ、こちらは私の新しい友達レイよ」
「レーちゃんそちらは私の友達のアイズよ」
「「よろしくお願いします」」
2人同時におじぎをする。アイズが
「
私が連れているクロとアベルを見て複雑そうにそんなことを言うアイズ。
「そうよ、ほら、この子なんてベルみたいで可愛いでしょー?『アベル』って言うの名前も私達から取ったんだけどねえ」
私がアベルを撫でていると「きゅーきゅー」気持ちよさそうに鳴く。うむこれは可愛い。そうしていると焼き餅を焼いたのか、クロが私に飛びついてくる。
一瞬私が襲われると勘違いしたのか、アイズが身構えたがすぐに勘違いだと気付いて収める。「クゥウウン」って甘えられると無視出来るわけがないっっ。
こやつ自分の可愛さを理解っててやっているな!?やだ…ウチの子達賢すぎ!?レイまでもが「私もー!」とか言いながら抱きついてきて収拾がつかなくなった。
「ぷっあははははっ…」
アイズが大笑いしている。
「アイズ、この子達が殺さなきゃいけない恐ろしいモンスターに見える?」
「ううん、見えない、少なくとも今は」
「引っかかる言い方だねえ?」
「その子達が危害を加えてくるのなら…ううん」
「
生々しい殺意に思わず息を呑むレイ。アベルとクロも少し怯えている。アイズは行き過ぎた部分があるが”これ”がこの世界の普通だ。別に珍しくもない。
しかしモンスターが恐ろしいのは当然だが、殆ど自身の意志も持たずに本能に支配され続けているモンスターという種族そのものを憎むこと自体が私からすればナンセンスである。
せいぜいが獣以下の害獣であろう。一部の大物を除けば大抵は悪意のある人間のほうが何倍も恐ろしいというのに。いやあの
私には「誰かが」というより貴女がずっと泣いているように見えるけどね、アイズ。
リヴェリアさんほどの面倒見の良い人に長年お世話になっててまだ”こう”なのだから相当根深いのだろう。ベルも難儀な娘に惚れたものだ。
まあ切っ掛けは見た目と強さだけだったのだろうが。今は私としても中身も好きだけど。恐らくベルも。
「まあこの子達にそんな心配はないわよ、もしもの時は私が責任取るから。人間は悪人以外襲わせないようにしているし」
「もう…レベル5になったんだよね?」
「ええ、そうよ、ようやく半分ってところだけど、貴女のところまではあと1つね、私がレベル10になる頃には8くらいにはなっててよね、じゃないと置いてっちゃうから」
「うん、それくらいになったら黒竜一緒にぶっ殺しに行こう!」
「私も黒竜一緒にぶっ殺しに行きますっ」「ウォンッ!」「キュッ!」
レイも一緒に宣言するが、見た目年頃の少女達の会話じゃないなこれ…クロやアベルも宣言する。周りからすれば吠えたようにしか聞こえないだろうが…
「そう言えばレイさんって冒険者?レベル5くらいの力感じるけど…見たことない」
「ああレーちゃんはテルスキュラのような特殊な所出身で、私がスカウトしてきたファミリアの秘蔵っ子みたいなものなの」
誤魔化せたかなあ?まあこれで勝手にフィンさんのウチへの警戒度上がりそうだけど
そうして4人分のじゃが丸くんを購入してアイズとも別れる…
「マーちゃんあの人…」
「ああ、あの娘のモンスターへの憎しみは尋常じゃないからね今はまだ難しいだろうけど…いつか貴女達のことも受け入れられてもらえるようにしてみせるから…それとも単純に自分より強そうで怖かった?
大丈夫よどんな相手からでも私が守ってあげるから」
「うんっ、ありがとうっ」
(でも、いつかは…私が守ってあげられるようになりたいな…)
なんて気持ちも伝わってきているんだよねえ、知らなかった頃ならともかく知り合ったからには切り捨てられるわけがない。
そして他の
そしてかつてのホーム付近に買った貸家に案内する。資金はもうかなり潤沢になってきたので都市中に拠点として利用出来る場所を確保しているのだ。
買ってきたお菓子や飲み物等を用意して
「フィンさーんみなさーんこんにちはーこれ、ありがとうございましたー」
ダイダロスオーブを返却する。もう余り切っているものだ。多分今の私なら複製も出来るがその必要も無くなった。
そしてラキアとの戦争ごっこが落ち着いたのか、何故か幹部まで勢揃いだった。アイズも帰ってきている。本当は私を滅茶苦茶引き抜きたいんだろうなあ…ロキ様は2日酔いなのか蹲っている。
「律儀だね、元々君が手に入れた物だし…預かっといてくれてても構わないのに…ああ、それと【イケロス・ファミリア】が潰されたという話だが…」
「フィンさんの予想通りですよ。私とおばさまの2人で潰しました。
同情の余地のないクズ共だったんで、良心は全く痛みませんでした。」
「ゴーグル野郎の厄介な
「
「【
一応ポーズとして質問はしてきたが私が何をしに来たかは判っているのだろう。その欠損者達も広間に集められている。
「【【覇王】の名のもとに命ず。───
リヴェリアや周りのエルフ、ヒーラーは思わず息を呑む。この前の戦いで散々この魔法の行使は目撃したのだが、迷宮内を並行詠唱しながら駆け回り回復させていたからじっくりとは見れなかったのだ。
レベル5になってこの前より力強くなった。淀みのない魔力行使は以前からだが…リヴェリアにとってレフィーヤは年齢を考慮すればまだ精神的に未熟な部分を除けば(克服されつつあるが)どこに出しても恥ずかしくない自慢の弟子だがこの娘と比べると霞んでしまう。
アルフィアに自慢されたらぐうの音も出ないだろう。既に自身の魔力と同等以上あるようにも見える。人間同士の戦いになっても微塵も揺るがない精神性もこの歳でどうやって培われたのかが気になる。才能だけでは説明がつかない。
「【ディア・パナケイア】」
【オーバーロード】の詠唱からその魔法名までが紡がれた瞬間に指を失っていた者も手を失っていた者も腕を失っていた者も眼を失っていた者も足をを失っていた者も例外なく再生されていく。
「まさか、本当に…!」
「奇跡だ!」
本来はこんな纏めて治せる魔法ではないのだが私だからこそ出来る芸当である。ついでに余剰分の魔力でロキ様の2日酔いも治しておいた。
周りは滅茶苦茶喜んで盛り上がっている。魔法でモンスターを殺しまくってせこせこ金を稼ぐよりもこういった魔法行使の方が人に感謝されやすい分嬉しい。
アミッド先輩の気持ちが少し理解ってしまう。
「半ば予想していたけど本当に再生出来るとはね」
「元々の使い手については言及を控えてください、善人であることは保証しますが、何分表には出てこれにくい立場の方なので…」
「それは残念だ。しかし、人脈まで凄いんだね君は…逆に何か欠点はあるのかい?」
「感情的になると制御が効かなくなるところですかね」
この前の”アレ”を見たであろう何人かが顔色を変える。
「君はザルドとはどういう関係なんだい?」
慎重な彼が踏み込んできたのは意外だった。
「身内です。他の身近な異性が
「やっぱりそうだったのかこの前のは…」
「あの人が”あんなこと”をした意味も考えようとしない何も知らない無知な民衆があの人を罵倒する分には構わないんですよ、まあ少しはイラッとしますが。あの人も”そう”なることくらいは覚悟していたでしょうし…
でも、仮にもあの人を直接知る人間から罵倒されたら許せそうもないです。」
「君が
「勿論懇意にしている【ヘルメス・ファミリア】のぶんもありますが…
「私が奴らを狩るのは『身内の不始末』を片付けるためです。
まあ奴らのしぶとさを考えればいくらおじさまでも1人で狩り尽くせたとは思えないが。強さの問題ではない。どんなに強くても少人数じゃ取りこぼしが絶対に出るだろう。
「
「流石に対外的にもタダというわけにはいかないですからね。ああ、もろ稼ぎを奪われただろう【ディアンケヒト】には私から話をつけておくので大丈夫です」
治療費は後日ホームに届けるという形で話は纏まり颯爽と去ってしまう。いきなり詳細な説明もせずに治療したことから半ば予想していたが破格だ。普通に数百万ヴァリスは取れる治療内容なのに。
「参ったな、また彼女の価値が上がってしまった。というかどんどん恩が重なっている気がする」
フィンのマリーへの評価はロキ・ファミリア内でも一番高いものだった。既にレベル5になったことまで考慮すれば、オッタルと共闘するよりも彼女1人がいてくれた方が頼もしいとすら思える。
この前の働きはそれほどだったのだ。ヴァレッタに対するアレも結果を見れば最善だっただろう。何より恩恵を授かる前に自身で師を見出して師事していたこともある自分からすれば、
彼女の基礎を大事にする考え方は非常に好ましい。まだ武術の腕はあまり見れていないのだが。だが同時に引き抜くのは非常に難しいと思う。
彼女は【ロキ・ファミリア】の最大派閥という立場にも何ら価値を見出していない。何故なら自分1人いれば(或いは弟と2人)勝手に人が集まり大きく出来ると思っているからだ。
というか零細の方が黎明期から関われて自分好みのファミリアを作れて都合がいい、とまで思ってそうだ。
「はあマリーたんええなあなんでドチビなんかの所に…」
「いずれにせよあの娘も、もう第一級だ。アイズの言う通り最速で”ここ”まで来た。これから都市のパワーバランスにも関わってくるだろう」
「ハンッいいとこまだ入り口くらいだろうが」
「そんなこと言っといてベートったら抜かれるの怖いんじゃないのーぉ?次で追いつかれるもんねえ?」
「うっせえバカゾネス!テメェも、っつーかウチの幹部全員レベル6だろうがっ!」
正直幹部全員にそのプレッシャーは存在する。次のランクアップも年単位はかからないのは目に見えている。
と、こんな会話も昨今のロキ・ファミリアでは日常になっている。最初はロキは、「クソ生意気なドチビの所の子に、『調子乗んなや!』とか言ったろ」とか思っていたら普通に礼儀正しいし可愛いし、
来る度に手に入りにくい酒を持ってきてくれるし(途中でリヴェリアに「甘やかさないでくれ」と止められたが)
レフィーヤとアイズの成長が著しくなるし、可愛いし、何より可愛かったので元々美少女に弱いロキはあっという間に絆されてしまったのだ。
そして「マリーたん引き抜き作戦会議」なるものをしょっちゅう開いているのだ。真面目な内容は殆どなく、どちらかというとマリーとアイズやレフィーヤとの交友の報告会が主となっているのだが。
ちなみにママたるリヴェリアやアイズに惚れているベートはほぼ皆勤賞である。
そんな会話がされているとは露知らずなマリーはレイを迎えに貸家に戻った。そしてレイを連れてそのまましっかり修復されたピカピカの教会に入っていく。
そこにはアルフィアとヘスティアとガネーシャとフェルズが待ち受けていた。
フェルズは複数の
「さて…音を合わせるのは久しぶりだな、ピアノとは初めて、か」
おばさまがヴァイオリンを持ち出す。音楽は戦闘特化のおばさまの唯一と言ってもいい文化的な趣味である。昔は動けないことが多かったお母様によくヴァイオリンの音色を聞かせていたとか。
私達にも聞かせてくれて、よく合わせて一緒に歌っていたものだ。天才の私は当然のようにヴァイオリンの演奏を覚えてそのうち一緒に弾くようになった。
ベルは歌だけであったが。まあ音の魔法に目覚めるくらいだ。音楽が趣味なのも自然なことだ。ピアノは流石に山奥の家にはなかったのだが、オラリオについてから演奏も覚えた。
そして教会の修復ついでに購入し設置したのだ。ヴァイオリンならヴェルフも演奏出来るらしいからそのうち一緒に合わせたいものである。
「さて…歌うなら一番慣れた姿の方が良いでしょう?【響く十二時のお告げ】」
レイを元のセイレーンの姿に戻す。
私がピアノの元へ座り演奏しだす。
「さ、まずはレイの知っている曲よっ歌いましょう?楽器に合わせるのは初めてでしょう?」
「ウッ、ウンッ!」
おばさまが追従するようにヴァイオリンで演奏しだす。
レイもその綺麗な歌声で歌い出す。
まあ少しは私も
聴衆が3人だけなのは少し寂しいが
レイも知らなかった少しマイナーな曲を教えて、一緒に演奏した。と言うか普通に金取れるレベルの演奏だったな。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおガネーシャ感激!これぞ真の
「ああ、もうっガネーシャ様になんてことしてるんですかっおばさまっ」
まあ回復魔法をかけるほどではない。
「レイ。お前の歌声は中々心地よかったぞ。機会があればまたやろう。」
「うんっありがとうっアルフィアさんっ私もとても楽しかっタです!」
「うんっまた
まあ良い思い出になったらいいのだが、これからレイとだけでなら何度でも出来る。
いつかは地上で全員で集まって楽しみたいものだ。
レイちゃんはこれで完堕ちしました()
ベル君のアルフィアの呼び方
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おばさん
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お義母さん