ベルの姉が「才禍の怪物」なのは間違っていない   作:イルイル

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ちなみにアポロンは余りの恐怖で記憶が飛んでいて、助っ人が認められました()


第2話 開戦前・上

 

数日後───豊穣の女主人の離れで、ヘルメスはリュー・リオンにヘスティア・ファミリアの戦争遊戯(ウォーゲーム)への協力要請を出していた。

 

「というわけなんだけど、また協力してもらえないかな?」

 

「『彼女』は?」

 

「え?」

 

「あの娘…マリーベルも出るんでしょう?彼女が出るなら私の力なぞ不要と思われるのですが…訓練に付き合ってもらっているのでこの前からランクアップしたのも知ってますよ。

貴男は彼女にどつかれて気絶してて直接は見てなかったんでしたっけ、万能者(ペルセウス)からの報告は聞いていないのですか?」

 

「ううっアスフィの奴、なんだかあの娘のこと気に入っちゃってさぁ『魔道具の話で初めて自分についていける逸材だー」って言ってそっち関連の話しかしてくんないんだよー」

 

「まあ今回のことはあの娘も怒っていたから…やり過ぎないように近くで見守ってますよ参加は了承します」

 

──────

 

「アイズ、凄かったねアルゴノゥト君もだけど、あの娘…」

 

「マリー…マリーベル・クラネル」

 

「剣術は…私より上だった…”アレ”で本分は魔導士だって…」

 

「…マジ?」

 

「マジ。『直剣と刀じゃ厳密には比べられない』って言ってたけど」

 

「魔法…どんなんだろう…」

 

「『第二魔法は派手に使うから見てて』って…」

 

「『ヘスティア』の方に賭けておかない?」

 

「そう…だね…凄く稼げそう」

──────

 

 

結局不正を疑われないように既にレベル3であることは1から2への正確な昇格時期も含めてギルドに報告された。

「余りにも早すぎて虚偽を疑われるから」と本人は告げた。実際に自分より少し遅かった(ベル)ですら疑われていたのだ。

決して嘘ではなかったので、ヘスティアと関係の薄い間違いなく中立と思われる神の協力でこの言い分も真実と認められ罰則は特になかった。

 

そしてそれの発表に都市中が沸いた。「アポロン圧倒的優勢」かと思われていた直後に新たな最速(レコード)更新だ。正確には時期そのものもベルより前だったので「更新」ではないのだが…

しかもそれが同一のファミリア所属であり、実の姉弟であるという事実に沸いた。

「もしかしたら」という割合が増えた。

更に弟の容姿も良いが、姉の方は「剣姫」に匹敵する美貌の持ち主だ。それでいて聞こえてくる噂はどれも非常識なものばかり。

怒ると口調が荒く苛烈になる彼女だが暴君だった叔母に比べると天使だ。普段は(ベル)なみに人当たりがいい。

良い噂も多く、善神達の多くに気に入られている。戦争遊戯(ウォーゲーム)開始前から、「ヘスティア」の人気が上がり勝利を望む声が増えてきた。

だが昔からいる一部の神々や冒険者達は少しだけ反応が違った。ドレスは着ていなくまだ若いが、姉の方は「ある人物」にそっくりだったからだ。

「今現在の二大派閥」に追いやられて姿を消した「かつての最強派閥」の片割れに所属していた神時代最高の天才に。

もう少し詳しければ寧ろその妹の方に似ているということにも気付けたのだがそちらは無名だったので、気付けたのは恐らくフレイヤを含めたごく少数だけだろう。

追いやられた【静寂】の足取りを知る者なんていない。もしいるとするなら、ヘルメスかかつて【暴喰】を引っ張り出してきたエレボスくらいだろう。

後者はもう送還されている。そして前者は捕まえようとしても飄々と逃げ続けていた。

一方アポロン・ファミリアの反応は様々なものに分かれた。

というか乗り込んできた時に居た者達と街中で倒された者達、そのどちらにも関わりを持たなかった者達で180°反応が違った。

前者は「まだ()()でレベル3なのか」という戦慄、後者は「なんだレベル3程度か2の連中で囲めば勝てるだろう」という楽観的な予測。

特に前者の中の「教会破壊」に関わった者達は、精神を病むようになっていた。どこにも逃げ場がなかったからだ。

「一部始終を覗いてたわけじゃないのだから関わった者全員を殺すなんて無理だろう」なんていう常識的な考えを出来る者はいない。

「”アレ”は『殺る』と言ったら絶対に殺るだろう」と恐怖で雁字搦めになっていたのだ。「それに一応命は保証されているのなら…」と。

そうなったら逃げられるわけがない。

 

「あの場」に居た神々は誰もが「ヘスティア」に賭けた。本人からすればキレ散らかしていただけなのだが誰もが「英雄の誕生」を予感したからだ。

ヘスティアが止めなければ本当に”子”による「神殺し」が行われていてもおかしくなかった。

本当の意味での「死」からは程遠い神々は楽観的だ。自分達に向けられる可能性を考えず、下界の常識外の行動をするような”子”を好む。

一部「弟や主神、お母さんのためにキレるマリーちゃんかわええギャップ萌えええ」

みたいな声も上がっていたが、大半が姉弟に対して同情的だった。

同時に先走った愚かなアポロンにも。そちらは自業自得だったので、同情とは言っても嘲笑も含まれていたのだが。

「可愛い子兎だけを拐うつもりが子兎の身内に虎が居た」なんて誰が予想出来るだろうか。

そうして原作(正史)と同じように「攻城戦」が行われることになったのだが、まさかそれがあんな悲劇を起こすとは誰も予想していなかっただろう。

神々からすれば喜劇以外のなにものでもなかったのだが。




静穏の夢アフタールートなんでアルフィアは田舎でかろうじて生きています。
ザルドだけ誘いに乗っちゃった感じ。今はヘラに面倒見てもらっている。
街での生活の基盤が整ったらいずれオラリオに来てもらうつもり。
ヘラとの面識は姉だけ。ゼウス・ヘラファミリアの事情は早熟だった姉にだけ全て伝えられている。
アイズほどではないが当然黒竜は大嫌い。「アルフィアの生き写し」とは書いたけど中身含めた印象なんで、
白髪なぶん見た目だけなら若い頃の実母(メーテリア)まんま。基本外面は良く健康体なので、姉妹のような儚さはなく生命力に満ちているので、
そのあたりの印象はどちらにも似ていない。お陰で生意気な部分はあってもアルフィアにもヘラにも溺愛されている。
ヘラのことは「おばあさま」と呼んでいる。
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