アイズは1人【竃火の館】を訪れていた。そしてロキに教えられた言葉を第一声に放つ。
「たのもー…」
その言葉を発端に【ヘスティア・ファミリア】がドタバタし始める。
「道場破りだぁ!相手は【剣姫】ィ!誰かアルフィアさんか副団長呼んで来い!」
極東出身者も下位団員に居たことにより俄に騒がしくなる。
「いやでも【剣姫】って団長達と仲良いんじゃなかったっけ?」
「はあ…アイズ…『たのもう』は極東において道場破りの挨拶…要するに今貴女は『これからお前等潰すぞ』的な挨拶をしたのよ…その言葉を貴女に教えたのは誰?」
いち早く察知して駆け付けた頼れる
とフィンから団員全員に厳命されているのだ。このマリーに加え、今の世界では3人しか居ないレベル7までもが居るのだ。心情的にも実力的にも戦いたくない。
「えっと…ロキが…」
「後でロキ様はリヴェリアさんにしっかり説教してもらいましょうかね…ウフフ…それで今日は何をしに来たの?」
「アルフィアさんに、訓練させてもらいに」
「!?…まあ不器用で手加減下手なアイズじゃタケミカヅチ様と訓練みたいなのも無理だろうし良い選択ではあるわね…」
「フィン達がアルフィアさんは『剣を取っても凄く強い』って言ってたから…」
まあこれが持病が有った頃ならいくらアイズ相手でも私から断っていたところだ。だが、今なら構うまい。
考えてみれば【ロキ・ファミリア】の古参に純粋な剣士は居ない。多分フィンさんあたりは剣も使おうと思えば使えるのだろうが、
それでも彼も「剣士」とは言えまい。アイズのは本当に基礎の基礎だけを教わって実戦で培ってきた剣なのだろう。
「ええ、そうね、おばさまは貴女のことも気にしていたから、私も頼めば一発でしょうね」
その返答を聞くと凄い嬉しそうになる。私のことを信じ切っている顔だ。
「ちなみに断られたらどうするつもりなの?」
「その時は【
「そこであの猪が出てくるのは気に食わないけどまあいの一番に私達に頼った判断は誉めてあげるわ」
「えーと、ありがとう?」
技がどうこうとかじゃなくて、単純に自分より強い相手を求めた結果っぽいな…これ…
「ちなみになんで”今”なの?」
「次の戦いは絶対に負けられないから…」
「仮想敵はもしかして
「えっと…なんで?」
「どうしても私が相手しなくちゃならない理由が出来たから接敵しても適当に時間稼いで、私の到着待って欲しいの…もしかしたら真っ先にこっちに来るかもしれないけど」
精霊の方の意向を優先するならアイズの方、協力者である例の
少しは考える頭があるのなら普通は私の方を狙うだろうが。私に好きに動かれると向こうに勝ち目はない。
そうこう話しながら進んでいる内におばさまの部屋に辿り着く。
「構わんぞ。そいつの方から来たと言うのなら寧ろ好都合だ。なあマリー?」
「う…」
事情を話したらあっさり了承してもらえた。私からの「試すような真似は止めて」という頼みを守っていたからであろう。「ベルが惚れている」この一点だけで、キツく当たるのが目に見えていたからだ。
「最近お前監修で造り上げた『例の場所』があるだろう。丁度いいあそこを使おうか」
オラリオは万一のモンスターの氾濫を抑えるためか、高い壁に囲まれているが、そこから一歩外に出た場所に土地を持っているファミリアもいる。
代表的なのが【デメテル・ファミリア】の畑だろう。その農作業の手伝いをしている際に持ち前の【幸運】で温泉を掘り当ててしまったマリーはその周囲の土地を買い取った。
そうして
何より第一級クラスが激突しても、ビクともしない堅牢さもある。リヴェリアの魔法をラーニングしたことにより結界に対する造詣が増し、
黒竜を封じ込めているという結界魔道具と同じものを見せてもらい観客席も造り上げたが、
オブシディアンソルジャーの体石を混ぜ込んだ壁により魔法にも強い。このあたりはクノッソスを参考にしている。第一級の魔道士が本気で暴れることも出来る、広大な面積も確保している。
隣接している施設は元々保養施設なだけに休むのにも適している。オラリオ内から幾人かの一般人を雇い、今はプレオープンしている最中である。
懇意にしているファミリアの主神や団員達は既に招いたこともある。故郷に近い雰囲気を再現しているので【タケミカヅチ】の連中や
まあ連中のホームより断然広いんだけどね…私やおばさまが暴れるにはどうしてもホームの庭じゃ狭いから造ったのだ。既に第一級に踏み入れたベルにとっても、そろそろホームは厳しい。
ホームから遠いのだけが玉に瑕だが、宿の方は客棟と従業員棟に分け、後者はほぼ第2のホームと化している。
団員だけで訓練する場合は合宿場と化してこちらに拠点を移すわけだ。風呂どころか温泉まであるので
ロキ様も1度招いたが、「酒も料理も美味い」と言って帰りたがらなかった。妙に温泉で酒を飲む姿が似合っていた。仕方なくリヴェリアさんに連れ帰ってもらったが…
ギルドが管理下に置きたがっていたが、神々のみの施設にする気はないので無視した。今は【デメテル・ファミリア】や一部の目敏い神々が利用している。
まだ客は少ない。というより多くを捌けるほどまだ雇っていない。そのへんをアイズに説明しながら闘技場に辿り着く。
闘技場は一般開放していないので観客席には誰も居ない。
「さて…【剣姫】アイズ…これからお前を鍛えていくわけだが、生憎私は手取り足取り教えるような真似は向いていない。というかする気もない。お前もわざわざ他派閥の
そんなことを期待して来たわけではあるまい?存分に叩きのめしてやるから覚悟しろ。なぁに多少の傷はマリーが治せる、思う存分にかかってこい、なんならお前の自慢の”魔法”を使っても構わないぞ?」
「むっ…剣だけで戦います…」
うわあ…自分には魔法が絶対通用しないことが判ってて…意地悪だなあ…そして私が作った剣を抜く。銘はデュランダル。紛い物の
オリハルコンと
私の発展アビリティ【錬金】から見つけた奇跡の配合率から成る金属で【
これらだけでもかなり【偉業ポイント】が溜まったらしくお陰で私は既にランクアップ間近だ。高レベルになってから殆どダンジョンに潜らずにランクアップしているな私…その【デュランダル】をおばさまが引き抜き構える。
「!…その剣」
「ほう…気付いたか…これはマリーが私のために作った私だけのための剣だ。材質の差でお前の
「でもそれっ…私のと同じオリハルコンじゃないですか…?」
「”半分”当たりだ。さて、これから私はゼウス・ヘラの連中の再現した剣技を使ってお前を
体調の関係で無理だった再現率の低いものでも今なら100%再現、或いは改良したそれ以上のものを扱えるわけだ。この引き出しの多さはこの人だけのものだろう。
それからアイズの地獄の特訓が始まった。偶に私がアイズの相手を剣でしたが、普段遣いは刀でも、剣も高いレベルで使える。致命傷に至る攻撃は避けているが、細かい傷は重なっていくので
その段階になると私が治す。そうして夕暮れまで特訓は続く。アイズがここに泊まることをロキ様に知らせたらリヴェリアさんとレフィーヤを伴ってロキ様もやってきた。
そうして夜、迎えた3人を旅館のロビーで相手取る。
「さて久しぶりだなとs…リヴェリア…そちらがお前の弟子とやらか。レベル3という割には中々の魔力を感じさせる…まあ同じ頃のマリーの方が上だが…」
無駄な諍いの種になるから「失礼なことは言うな」と厳命していたのに言いかけたから睨んだら言い直した。
この場は他のエルフがレフィーヤだけだからまだいいが、「年増」だの「ババア」だの言って他のエルフの耳に入って都市中に広まったら非常に面倒なことになる。
あとフィンさんに見下すようなことを言ってティオネさんに襲われる展開も目に見えている。それが落ち着いた状況でならまだいいが、大事な戦いの前とかにされたら最悪だ。
だから今から口の悪さを矯正するように仕向けているのだが…と言うか私でマウント取るなし…
「何を勝ち誇っているのか理解らんがマリーとお前は親戚に過ぎないのだろう、『おばさま』?」
うわっとリヴェリアさんから痛烈なカウンターが入ったああ!?
「どうでもいいですが喧嘩なら外でやってくださいお2人とも。ピッカピカの新築を幼稚な争いで壊されたら堪ったものじゃありません」
「そうだよ、リヴェリアの方がアルフィアさんより歳上なんでしょ?大人気ない…」
「「「ぶふっ」」」
私に続いて
そのままリヴェリアさんの
その後は温泉で1日の疲れを癒やして、珍しい極東料理に舌鼓を打って、就寝した。
尚ロキ様が当然の如く、温泉で私達にセクハラしようとしたが、私とおばさまには
というか女版
まあ敵対派閥の猪君よりもっと都合の良いアルフィアさんいるならそっち行くよね
ベル君のアルフィアの呼び方
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おばさん
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お義母さん