さて、とは言ったもののどうするか。持病が無くなった今、この人に弱点らしい弱点はない。オマケに【ウチデノコヅチ】の効果時間もあるから、今回時間が敵なのはこちらだ。
【ウィル・オ・ウィスプ】を使うか?抑えれば、この前のような確実に死ぬような爆発にはならない。この状況を想定して【ウィル・オ・ウィスプ】の存在そのものをおばさまにバレないように立ち回っていたのだ。
【オーバーロード】の詠唱さえ出来れば初見は確実に刺さる。だが駄目だろう。おばさまには【オーバーロード】で使える全ての手札を教えたわけでないが、だからこそ私が詠唱し出したら警戒して魔法を集中させるだろう。
一応【ウチデノコヅチ】を自分から解除しないように【
さて、私とおばさまの違いと言うと…才能は同格で、今は向こうにも
かつての強者達より洗練されたものを直接学んでいるのだ。単純な技量ではほぼ差がない。向こうが私の技術も盗めるのならこちらも同じだ。
まあ素手での組手ならともかく剣と刀で打ち合っている時は互いに盗めるものは少ないのだが。
そして【サタナス・ヴェーリオン】、この魔法が私達の戦法の根幹にあるのは共通だ。というよりこの魔法が強すぎるのだ。適当に撃ち込んでいれば階層主クラス以下の大抵のモンスターは完封出来る。
ピンポイントで”音”対策しない限りおばさまの
「病気のない【静寂】」というのは私が思っていた以上にぶっ壊れだったらしい。だが、唯の
近接戦闘技術を鍛えている理由の半分は「おばさまに直接勝ちたい」という私の意地だ。まあ「魔法を封じ込められた時のため」というのもあるのだが。メレンで当時既にレベル6だったアイズが
威力と範囲が広すぎてダンジョンじゃ深層くらい広大な場所でしか使えないだろう。ギリギリまで範囲を
なんだかんだここまでは私とおばさまに大きな差はない。やはり最大の差は【
今の【フレイヤ】ほどではないだろうが昔のゼウス・ヘラも個人主義の傾向が強かったらしい。殆ど自身しか守れない【
ゼウス・ヘラも結局のところ同一のファミリアみたいなものだったし、身内同士でのみ固まっていたということだろう。まあ2つだけで突き抜けていたお陰で、鍛冶や医療等の生産系以外は大体自分達だけでなんとかなってしまったというのもあるのだろうが。
【フレイヤ】の連中も「個人主義」と言えば聞こえが良くなるのかもしれないが同格の【ロキ】と組めない時点で明確に前時代に劣っている。自分達が頂点に立つためなら手を組めたというのに…【ロキ】も同様だが、向こうは必要とあれば他所のファミリアと手を組める柔軟性もあるだけマシだ。
こんな状況では「
「【オーバーロード】や【エルフリング】は自分達の時代では考えられない素晴らしい魔法だ」とお褒めの言葉も頂いた。まあ身内だけで固まっているようではこの手の魔法の性能は大幅に半減するだろう。
私は個人戦での実力の向上にも余念はないが、本当に真価を発揮するのは集団戦である。
今現在リヴェリアさんとアミッド先輩の魔法を本人達と同レベルで使える私は、防御結界、攻撃魔法、回復魔法、広域殲滅を1人で
ちなみにおばさまは「
上澄み中の上澄みの私達は基準にしちゃいけないと思うんだけどね…私は【サタナス・ヴェーリオン】と並行詠唱、近接戦闘の腕だけで個人戦でもトップクラスだが戦場を駆け回って後ろから魔法を撃ちまくるリヴェリアさんスタイルが最も強い。
まあリューさんと同じように敵陣に突っ込んで斬り倒しながら並行詠唱し、リヴェリアさんと同等以上の魔法をブチ込むなんて訳の分からないことも可能なのだが。
【オーバーロード】は力を貸してくれる人が多ければ集団戦においてはほぼ最強だと思っているが、【
なんせ格上を倒すのに一番手っ取り早い手段が魔法だというのにまるまるそれが通用しなくなるのだ。物理で対抗しようとしても本人自身が強すぎて結果的に鉄壁になっている。
【サタナス・ヴェーリオン】だけで中距離以下においてほぼ最強なのだ。というか一応威力は減衰しているらしいが、【
そして手札が多い私でもこの人とは相性が悪すぎる。魔法の多くが封殺されてしまうからだ。
たとえ音以上に速く動けるようになっても不可視の魔法を完全に避けるのは難しい。レベル7の私はそれくらいの速さの領域に至っているが、アイズがレベル7に至った自身の性能を確かめるように風を起こして斬りかかったが近付いて風がかき消された直後にベルが割って入るが共に撃ち抜かれた瞬間に私の掌がおばさまの背中に平手で触れる。
「!驚いたな…アイズの風が目眩ましになったか、殺気もまるで感じなかった…タケミカヅチは何をお前に教えてるんだ」
「武器を持って斬りかかったら絶対に殺気が漏れると思ったので素手で優しく触れました。この技はタケミカヅチ様発案の私の内部破壊の必殺技【浸透掌】です。破ァッ!」
「!?ガハァッ…」
自身の魔法は
正直かなり心が痛むがこれくらいで気を抜ける相手じゃない。というか直接触れてしまったことで私のレベルブーストが解けてしまったか…結局レベル6のスペックに戻ってしまったし、ダメージは与えたがまだまだ健在だ。
一気に並行詠唱しながらダッシュで距離を取り、射程ギリギリの所から魔法を唱える。
「【【覇王】の名のもとに命ず。───【ディア・フラーテル】!」
「ほらしゃんとしなさいレベル6とレベル7でしょーがっ今の貴方達っ…」
「う…まだ頭がぐらぐらする…」
「昔の色々思い出しちゃった…」
ベルとアイズが復帰する。
「やっぱ正攻法じゃまず近づけないわね、今の貴方達なら音に近い速度で移動出来るだろうから…私が魔法撃った直後に追いかけるように突っ込みなさい、その瞬間は向こうが撃ってきても威力弱くなるから」
アステリオスがおばさまとの2戦目以降には、
魔力を伴うから
で無効化出来るのだが、完全にかき消されるまでは自身の魔法の威力が激減してしまうのだ。
「
私の【サタナス・ヴェーリオン】の射撃と同時に2人とも駆け出す。僅かに先にベルが右から斬りかかりアイズも左から行く。
おばさまの【サタナス・ヴェーリオン】の射出口は両手の2つだけだから、そこを狙う形か。
ベルの斬りかかりにおばさまが剣を抜き弾く。
「!?ナイフも斬り落とすつもりで斬ったのだがな、いや待て、そのナイフ、金色の粒子が…まさかっ…!?」
私の作った剣とレベル7の膂力、極まった技があればミスリル製のナイフを斬るのも不可能ではない。だがかなりの値段がしたことは知っているだろうに、それを斬り捨てようとするとか恐ろしすぎる。
確かに材料の差でもっと硬く斬れるナイフも私なら作れるが、ベルの能力に最適化されているあのナイフ以上の武器は今のベルにとっては存在しないのだ。
ベルが既にレベル5になったことによりナイフも成長し、ミスリル以上の硬度の謎金属と化しているが…このままいくと魔法を通し易くオリハルコン以上の硬度を誇るトンデモ武器が出来そう。
ヘファイストス様もヘスティア様の最初の眷属が第一級にまで上り詰めるとまで思っていなかっただろうに。しかも異例の早さで。まあ私の次だけど。
「じゃあナイフも
ベルのナイフもベル自身の
その気になれば簡単に解除出来るおばさまが相手じゃなければ「武器強化」も心強いだろうから今後も使える手札ではあるだろう。
今は一度斬りつけただけで強制解除されてしまうというデカすぎる弱点持ちだが。というか【
敵でも味方でも。これがガチの実戦ならとっくに範囲を広げてこちらのは全員解除されていただろう。
味方への
他者の力を借りて最強に至る【オーバーロード】とはどこまでも正反対だ。ベルとアイズが両側から攻めているが、一本の剣で両者を捌ききっているのは流石だ。
というかベルの動きが良すぎる。ベルのスキル的に「
最初はおばさまに刃を向けることに気乗りしていなかったみたいだが、今は音を置き去りにする速度で斬りかかっている。ベルにとってはスタートが同じだった私と違い、
「───【ヘル・フィネガス】!」
一気に駆け出して跳躍し、左足から【サタナス・ヴェーリオン】を撃ち出し、空中で加速して後ろに回り込む。右足は普通に魔法を撃てるように特別な仕掛けはしていないのだが、
左足は【
「『その魔法を使うな』と言っただろうがァ!」
激おこになったおばさまに、アイズもベルも斬り捨てられる。おばさまは私が【ヘル・フィネガス】を使うことをひどく嫌う。別にフィンさんに含みがあるわけじゃなく、単純に「赤い眼」が嫌いのようだ。
もうベルのものにはとっくに慣れただろうに。接近した私がレベル7の
初戦
姉弟陣営の敗け
敗因:【ヘル・フィネガス】(地雷踏んだ)
ベル君のアルフィアの呼び方
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おばさん
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お義母さん