「さて、この前ぶりですねヴェルフ・クロッゾ、いつも弟がお世話になっているようで…」
「ああ、いや俺の方こそいつも助けてもらってばかりで…この前は貴女にも助けられましたし…」
「貴男がどんなに特殊な才能を持っていてもまだLv.2の鍛冶師っていったらそんなもんでしょう。それに吹っ切れたみたいですし…」
そうして用意したクロッゾの魔剣に眼を向けるマリーベル。だがヴェルフは彼女には感謝はしているがどちらかというと苦手な方だった。
ベルと同い年で自分より歳下なのに椿やヘファイストス様までべた褒めだったのだ。
それでいて今の自分には作れない出来の自作の刀を携帯しているのだ。材料そのものは自身の現在のレベルに合わせたランクのもののようだが、
椿からの申し出を断って自作の武器を使っているらしい。聞けば鍛冶以外にも様々な分野に手を出しているとも。
片手間程度でその道の
ヘファイストス様にも「彼女と自身を比較するのは止めなさい」と言われた。椿にも似たようなことを言われた。それこそ「魔剣を作らなきゃ話にもならない」と言いたげだった。
既に椿に追従するくらいの腕は持っているらしい。神友の眷属とはいえ、ファミリア外の人間を特別扱いするわけだ。
「さて、ベル…手筈通りに場は整えてあげるから向こうのカス団長は貴男がタイマンで倒してね?」
「うん、ヒュアキントスさんは僕が倒すよ、姉さんの手は最初以外に煩わせない」
「今更アレを私がまた倒しても経験値の足しにもならないわ、それよりレベル2から3への相手ってあんまり都合のいいモンスターいないのよね。だから貴男は『経験値が向こうから寄ってきた』くらいの
気持ちで好きなようにやんなさい。万一負けそうになったら私が
姉とは未だダンジョンを共に潜ったことはない。この前帰還の際を共にしたくらいだ。なんなら共に肩を並べて戦うのも実戦じゃ初だ。アイズさん、ティオナさんとの直前の特訓には参加していたが…
あの最強の象徴であった叔母がいるようで本当に頼もしい。双子で歳の差などないのに「姉さん」と呼んでいるのもそれだ、昔からあの叔母と同じくらい頭が上がらない。この街に初めて来た時に姉の方から告げてきたのだ「ファミリアは同じがいいけど、ダンジョンにはお互い強くなるまで一緒に潜らないことにしましょう、私がいると貴男がダメになるから」と。
最初から見ている視座が違うのだ。普通の人なら笑い飛ばす大言壮語でも彼女の才覚を知れば誰もが笑い飛ばせなくなる。それどころか「彼女ならもしかしたら」と思わせてくれる。
「…それよりマリー様…私の作戦を制止したんだから何か考えはあるのですよね?」
「ええ、そう難しいことじゃないわ、私が不在でこちらが格下側だったら良い作戦だったと思うけど、正面から勝てるのならそんなの必要ないじゃない?」
「この場はいずれ最強へと至る
凄まじい大言壮語だ。だがこの場にいる者達は黒いゴライアス相手に彼女が大立ち回りしていたのを直接目撃している。命やリューは彼女が近接戦闘でも非常に優れていることをよく知っている。
姉は「自分よりも人の上に立つ資質はベルの方が上」と言って、副団長の立場に甘んじているが…そんなことないと思うんだけどなあ…
なんなら向こうの団長にも既に勝っているくらいだ。不安要素は何もない…はずだ。
病気デバフもない天才なので「あたしってばサイキョーね」を地でいく自信家。本当に最強(予定)。