ベルの姉が「才禍の怪物」なのは間違っていない   作:イルイル

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炎嵐(えんらん)】は語呂が悪いので【爆炎(ばくえん)】に変更しました


第34話 妖精交流会

 

「ヘルメス様…その【連合】に入っても宜しかったのですか?一応は『中立』という建前があったのでは…」

 

「いやあヘラに『私達の可愛い孫に勿論協力するよな』っていう無言の圧力かけられたらさあ…無理でしょ」

 

「それに一応『全人類が一丸となるべき』って言われたからさ、協力しないわけにはいかないでしょ?今のアソコの戦力なら【フレイヤ】と事を構えても連合に頼らず自分達だけでどうにか出来るだろうし」

 

「ヘルメス様自身があの娘に嫌われてますけど大丈夫ですか…?」

 

団員達(おまえら)は結構気に入られてるだろう?特にアスフィは!任せた!」

 

ヘルメスが凄いイイ笑顔で親指を立てる。アスフィは凄く殴りたくなった。

 

「まあ確かに他所に散々『胡散臭い』だの『曲者揃い』だの言われているウチを珍しく好意的に見てくれている娘ですが…

あの娘と敵対するくらいなら本気でヘルメス様差し出そうとする者が居てもおかしくないんですから、気を付けてくださいね?」

 

ぶっちゃけその筆頭格は団長(じぶん)である。まあ簡単に裏切る者は信用されないし、実際は出来るだけ粘ってみるだろうが。

 

「まあゼウスに『異端児(あのこたち)を害するならマリーにお主の送還にゴーサイン出すから』って釘刺されちゃったし…女の子達だけじゃなくあの滅茶苦茶強い牛のことも気に入ったみたいだしどのみちもうあんまり余計なこと出来ないよ」

 

あの後───

【デメテル・ファミリア】の面々はデメテル様と特に仲が良い善神勢に絞って、二次会を楽しんでもらった。私達【ヘスティア・ファミリア】の団員らも呼んで、軽い交流会の(てい)でもてなした。

 

ゼウス(ジジイ)は翌朝にはカラッカラに枯れ果てていた。対照的にヘラ(おばあ)様はツヤツヤとしていた。

その後ファミリアの団員達と会わせてみたらヴェルフとリリを見て大笑いしていた。

その後問い詰めてみたら面白い話が聞けた。と言うか私に対してはかなり口が軽くなっているな。

本当は他の人間に話したい気持ちを抱えていたのかもな。

まあ今日はオラリオの方で少しは反応があるだろう。

 

そして黄昏の舘では───

 

「フィっフィルヴィスさんがレベル7ぁ~!?」

 

朝刊を視たレフィーヤが叫ぶ。

 

「ああ、流石に驚いたね…マリーが真っ先に獲得しようとしていたわけだ。僕らにとっては宿敵だった、あのレヴィスまで味方に引き込んでいるというのだから、彼女の嗅覚と手腕は恐ろしいよ。

彼女らを人間に戻した、その技術と魔法も末恐ろしいが…」

 

「まあ確かにマリーが『フィルヴィスさんは本来レベル6以上じゃないとおかしい』って前に言っていたし有り得るのかもしれないけど…」

 

「フィン…既に街中でレヴィスを見かけたのだろう…お前の見立てでは()()()()()だった?」

 

「『レベル7』は間違いなく詐称だと思ったね…最低8以上…9にも届いていたかもしれない…」

 

「マリーたんはレベル8まで秒読みの段階だと思うで?”アレ”は間違いなく【偉業】やったからなレフィーヤも間近で見てたんやろ?」

 

「ええ…『準備さえすれば何度でも出来る』とも言ってましたけど…」

 

「もう少し待てば推定レベル9にレベル8が2人、しかも8の2人はあの【才禍】だ。楽観的に見ても仮に僕たちレベル7が3人がかりで片方を抑えたとしてももう片方が誰にも抑えられない。

しかもマリーは既にアルフィアの防御魔法を使っていたんだろう?リヴェリアが攻撃に参加出来ない時点で非常に不利だ。

更にレヴィスとフィルヴィスまでいるんじゃ今のレベル6の幹部が全員7になるくらいでないと勝負にもならないかもしれない…」

 

「【フレイヤ】の白黒エルフの身内だという2人も…相当だぞ」

 

「まるでゼウス・ヘラの再来じゃな…」

 

「いやそれ以上だろう。何の弱点もない2人の【才禍】が本当にどうしようもない。」

 

「ちょっと待ってください、なんでヘスティア・ファミリア(かれら)と戦う前提で話が進んでいるんですか!?」

 

「ここを見てごらんレフィーヤ」

 

「ええと、『黒竜討伐連合発足』?」

 

それまで無表情で話を聞いているだけだったアイズが顔色を変える。

 

「彼女は以前に『ファミリアが最強になったら全人類の力の全てを結集してあの黒竜(トカゲモドキ)を討ちに行く』って言っていたよ。

多分『もう自分たちが最強』っていう挑発も含まれているだろうね、勿論今のまま纏まっただけで黒竜に勝てるとまでは思っていないだろうけど…」

 

もっと言えば、直接”それ”を言ったフィン(じぶん)に対する挑発だろう。

 

「どれどれ、ファイたん、デメテル、アストレア、アルテミス、ヘルメス…ほーん見事に天峰(オリュンポス)で固まっとるなあ…アストレアなんてファミリアとしての力なんてもうないやろうに…」

 

「でも名前は使える。最初の方に連なっている名前は見事に善神しかいない。ファミリアとしてはほぼ壊滅してしまったとはいえ、神アストレアの高潔さは有名だろう。今でも通用するくらいに」

 

「それにガネーシャ、ゴブニュ、ディアンケヒト…」

 

「第一級を未だ一番多く抱えているSランク派閥との同盟だ。ゴブニュとディアンケヒトは言わずもがな、僕たちも世話になっているしね。既に誰にも無視出来ない一大勢力だろう。あの金にがめつい方の老神(ろうじん)も手を組む価値があると判断したんだろうね」

 

「『ゼウス・ヘラの遺志を継いだ上で越える』という宣言でもあるだろうな」

 

リヴェリアがそう繋ぐが、面子とかは割とどうでもいい、アイズは「とっとと仲間に入れてもらえばいいのに」と考えていた。

 

「個人では仲良くしていたロキ・ファミリア(ぼくたち)に声をかけてこなかった時点で意図は明白だろう。例えばいきなり彼女が『私達の下につけ』と言ってきたとして”それ”を君たちはすんなり受け入れられるかい?」

 

あえて問いかけるような狡い言い方をしてしまった。フィン(じぶん)としては今のアルフィアとマリーの下にならついても構わないという想いもあるのだが…

名声に拘って一番大切なこと(黒竜討伐)の足を引っ張るようなことは流石にしたくない。

 

 

「既に有力なファミリアが複数傘下についているのに、ロキ・ファミリア(ぼくたち)だけ特別扱いされて対等に扱われるということもないだろうね。

加盟すれば即ち傘下につくということだ。後からのこのこ加盟して主導権を握るのも難しいだろう。だが、協力しないのは『人類の足並みを乱している』とも捉えられかねない。

彼女は特に【フレイヤ】の現状を嘆いていたからね、テコ入れするために向こうを従えたらこちらにも仕掛けてくるんじゃないかな?」

───

なんて会話も今頃しているんだろうねえ。「連合発足」の件は予め新聞社に垂れ込み記事を作らせておいて、上手くいったので昨日の夜にゴーサインを出した。

天峰(オリュンポス)以外の面々、【ガネーシャ】や【ディアンケヒト】には予め話を通しておいた。【ミアハ・ファミリア】や【タケミカヅチ・ファミリア】は申し訳ないがネームバリューは低いので端っこの方に小っこく記載されていた。

まあファミリアというより個神(こじん)でタケミカヅチ様の知名度は「私の師匠」ということで結構上がってきているみたいだが。

個人的には「【フレイヤ】の方が先だろう」と高を括っている【ロキ・ファミリア】にいきなり宣戦布告して泡を食っているところを見てみたい気持ちもあるのだが…

まあそのへん抜きにしたら【フレイヤ】の方が優先度は高い。【ロキ・ファミリア】は今のままでもある程度は勝手に強くなってくれるだろうが、【フレイヤ】の方は早急にテコ入れが必要だ。

オッタルや他の連中も自己鍛錬で、アビリティは上げられているみたいだが…特に幹部連中は主神(フレイヤ)ばっかり優先してあまりダンジョンにも潜ろうとしないから、偉業達成(ランクアップ)の機会に恵まれない。

満たす煤者達(アンドフリームニル)】も同じく。

一度徹底的に叩きのめして(おご)りを無くさせ、「今のままじゃ駄目だ」と理解らせてやる必要がある。リュディを通してヘディンにも忠告したから多少なりとも改善が見られれば良いのだが…

ベルがレベル6、私が8になったら仕掛けるつもりだ。大義名分なんざいくらでもある。オッタルがミノタウロスを鍛えていた現場も多少は他所(よそ)の連中にも目撃されているし、「散々弟共々ちょっかいかけられたから報復に出た」

とヘスティア様から声明を出せば問題ないだろう。戦力的に怪しければアステリオスとメリュも投入するつもりだったが、レヴィスとフィルヴィスの加入でその必要も無くなった。

【ロキ・ファミリア】の方は…「どちらが人類を束ねるのに相応しいか」と言えば乗ってくるだろう。そちらはロイマン(ブタくん)が待ったをかけてきそうだが。

どこにも死亡者出させる気ないんだけどね。「救助サービス」の方はまあはっきり言えば餌だ。加入させるための。勿論人命を大事にしたい気持ちもあるのだが。

今のところ【ヘスティア・ファミリア】は非常にクリーンなイメージで通っている。そこに曰く付きの者達を3人も加入させるのだから、印象(イメージ)回復のために利用するつもりなのだ。

なるべくあの3人を救助に向かわせて、感謝されるようになれば良しと言ったところだ。レヴィスは流石に【ガネーシャ】の団員とは組ませない。基本私と組むことになる。

まあ今の彼女と組める者が能力的にかなり限られているので、加えて技量も低めの脳筋近接特化スタイルなので、万能の私と組むのが一番安定するといったところだ。

フィルヴィスもイメージ回復が出来るまでは私が直接面倒を見る。【ガネーシャ】と組むことにしたのは、闇派閥(イヴィルス)が完全に消えた今、どう考えても過剰戦力を持て余しがちだからである。

「同じ冒険者を取り締まるためにはそこらの冒険者より強くあらねばならない」という理念でもあるのかもしれないが、レベル5が11人は流石に多すぎるだろう。

ロキ・フレイヤ以外の揉め事ならレベル4が複数いれば充分過ぎるくらいだ。現状その最大派閥連中を取り締まれていないのだから、暗黒期ならともかく「今はそんな大戦力必要ないだろう」というのが正直な気持ちである。

今くらい強くなったのも暗黒期の後だが。まあダンジョン攻略にも結構力を入れているのでここにテコ入れはあまり必要あるまい。レベル6以上が輩出されるように催促はしていくつもりだが。ガネーシャ様のことは結構尊敬しているのだ。

リューさんは昨夜アストレア様と再会して久々に更新してもらい、レベル5になったらしい。改宗(コンバージョン)待ち状態にもしてもらった。

なんかすっごい魔法を習得したらしいが…聞いた限りでは私が使うのは無理そうな類のものだ。リヴェリアさんやレフィーヤといい、魔法特化種族は伊達じゃないな。

数の常識を当たり前のようにぶっ壊してくる。私はまあ…最強だから。リューさんの手配も形式上は死亡扱いにして既に解かれている。

まあ「元冒険者【疾風】が【豊穣の女主人】で働いている」ということは神々の間では有名だ。確かに乱暴なやり方だったかもしれないが当時の闇派閥(イヴィルス)に大打撃を与え暗黒期を終結させた彼女の行いを本気で糾弾する者は真っ当な者にはいない。

公然の秘密というやつだろう。まあだからリューさんの方は大した問題じゃないのだ。問題は実際に手を汚し、【死妖精(バンシー)】とまで呼ばれていたフィルヴィスの方だ。と言うか大手以外の一般冒険者共は馬鹿しかいないのだろうか?

「フィルヴィス・シャリアとパーティを組んだ者達が頻繁に死ぬ」って真っ先に本人が手を下していることを疑う状況だろう。

なんで「悪いジンクス」程度で済んでいたのかが理解できない。まあ仲間を犠牲にするか或いは巻き込み易くなるスキルか魔法を持っている程度は疑われていたのかもしれないが。

実際のところは怪しんで深入りした者らは残らず始末されたのだろう。大方「レベル3程度がそんな大それたことなど出来るはず無い」という先入観と、実際に感じられる力量だけで判断していたのかもしれない。

まあそのギルドも含めたガバのお陰で余計な犠牲者が増えすぎず、私達の仲間に出来たのはラッキーだ。

ただ、【エインセル】を使って分かれていた時は、実際にレベル3程度の力量だけしかなかったので、脳筋冒険者連中に見破れるはずもないか。あの衣服は私以外から見ても怪しそうだったけど…

流石にリリやリュディには聞かれたが。まあそれが普通だ。彼女らの頭が良いとかは関係ない。2人の詳しい境遇もベルと併せてリリとリュディと居合わせたアーシェにも聞かせたが、余りに重い過去に皆が絶句していた。

不幸さなんて比べ合うものじゃないが、フィルヴィスのものは余りにも特殊で凄絶過ぎてリリにも想像がつかないレベルだろう。ベルは感化されて涙ぐんでいたが。同時にそこから救い上げることが出来た私に対する皆の尊敬度が上がった。

リリは自身も似たようなことを経験しているので、フィルヴィスが信頼出来ると判断したようだ。少なくとも「マリー(わたし)を裏切ることは絶対に有り得ない」と。さて今日は彼女らを迎える準備をしなければな。

 

「話には聞いていたが本当にこんなものを造っていたとは…」

 

リュー・リオンはオラリオ郊外に訪れていた。

円形闘技場(コロシアム)…である。ダンジョンの奥深くにはその名を冠するスポットもあるが、それとは違う、観客も招き入れることが出来る、正真正銘の闘技場(コロシアム)である。

オラリオ内にあるものより数倍でかい。最近はあんまりダンジョンに潜っていないらしいが、資金力がおかし過ぎる。色々と手広くやっているようようだが…

彼女は【ヘスティア・ファミリア】からの【許可証】を貰い、【ガネーシャ・ファミリア】に正門の検問でそれを見せてここまでやって来た。

「ランクアップ後のズレを無くすための調整」という名目で誘われていたのだ。

 

「既に…誰か戦っている…?」

 

既に複数が入り乱れて戦っている。全員が強い…恐らく第一級(レベル5以上)

気にはなったが、そのまま入口から入り、その戦闘が目に入った。

 

「アレはフィルヴィス・シャリアにこの前の2人と…ベルさん」

 

レベル7の1人に対しレベル5の3人が組んで入り乱れて戦っている。

 

全員得物は刃を潰した模擬戦用の剣みたいだが、非常に頑丈らしい。

魔法は使っていないみたいだが、一番パワーのあるアーシェスを主軸に、リュディスが的確に援護しながら、ベルは縦横無尽に駆けながら攻撃を仕掛けている。

オラリオ外での戦いが多かったアーシェスは基本魔石(弱点)を気にしない、相手の身体ごとぶった斬る豪快なスタイル、リュディスはダンジョン産のモンスターより小さい魔石を正確に穿って仕留める無駄のない思わず寒気を感じさせるような、スタイルだったらしい。

 

「皆ーリューさん来たみたいだからそのへんで切り上げてー」

 

観客席から眺めていたマリーが飛び降りて近付いてきて、皆にそう告げる。

 

「リュディ、お願い」

 

「【癒しの光よ 心正しき者に恵みを与え給え】【トータル・ヒーリング】」

 

ベル達3人が緑の光に包まれ、細かな傷と体力も回復する。

ちなみにフィルヴィスは元々傷一つ無く一切息を乱していない。

 

「しかし、どんどん動きが良くなるなフィルヴィスは!」

 

「元の戦法(スタイル)との擦り合わせに苦労したがな…単なるランクアップ後のズレとも違う。というかこの身体の基礎性能(スペック)が高すぎるんだ。雑に戦っても普通に怪人(クリーチャー)時代より強いぞ。」

 

「皆さんこんにちは」

 

「「リューさん、こんにちは」」

 

「こんにちは、リュー」

 

「リュー、今日はよろしく」

 

「こんにちは…私も『リュー』と呼んでも良いかい?『リオン』も【疾風】もマズいらしいからな…」

 

「ええ、構わないですよ、【白巫女(マイナデス)】…いえ、もう【爆炎(ばくえん)】でしたか…」

 

「いや、『フィルヴィス』で構わないよ…」

 

フィルヴィスは表向きの3つ目を【ファイアーストーム】にした。ヘスティア様の象徴である「火」が良かったんだとか。

ヘスティア様の「火」はそーいう物騒なものじゃないんだけどなあ…まあベルのも攻撃魔法だしいっか。

私としては使い易そうな【カエルム・ヴェール】あたりがオススメだったんだけどなあ…

まあ戦争遊戯(ウォーゲーム)とかになれば制限なしにバンバン使わせるつもりだけど。ダンジョンじゃ浅い階層では使う必要ないから、そこからバレることはないだろう。

フィルヴィスは長年の主神が悪神(ディオニュソス)だった反動でヘスティア様のことを滅茶苦茶慕っている。神不信と男性不信が極まりそうだったのだが、そうはなっていない。

最初はレフィーヤが余計なことを吹き込んでいたせいでベルのことも警戒していたのだが、割とすぐにそれも解かれた。最初は「団長」呼びだったのに今では普通に呼び捨てで名前を呼んでいる。

と言うか「レフィーヤはなんでこんなに善良な少年を悪く言っていたんだ?」と疑問を呈する始末。レフィーヤの反応が楽しみである。

 

「さてマリー貴女には色々と話がありますが、それは後にしましょう。」

 

「じゃあベルと入れ替わりで、武器はこれを使ってください」

 

模擬戦用の剣を渡す。切れ味はないが非常に頑丈で魔法との親和性も高い。

 

「リューさんも新魔法習得したらしいですし、せっかくだから全員魔法解禁でいきましょうか、多少やり過ぎても私が蘇生させるので、頑張ってください」

 

「それでベル…どうだった?あの2人と組んでみて、まあ今のフィルヴィスは普通にバロールより強かっただろうけど、魔法なしなら威圧感(プレッシャー)は流石にバロールには劣っていただろうけど…」

 

ベルに最近相談されたのだ。基礎アビリティもオール4桁に突入し、流石に伸びが悪くなってきたので偉業達成(ランクアップ)の相談をされたのだ。

アイズと同じ「ウダイオス単独(ソロ)討伐」を提案したのだが断られてしまった。ゴライアスの時と同じ方法使えばイケると思うんだけどな…

じゃあそれならと「バロールをレベル5の3人で討伐してみたら」と提案したのだ。

ちなみにゴライアスの時は再出現の周期のパターンを参考に大体の復活のタイミングにアタリをつけ【英雄願望(アルゴノゥト)】をフルチャージ状態で待機し、

再出現したタイミングで即【聖火の英斬(アルゴ・ウェスタ)】をぶち込んで討伐し、レベル3から4に【ランクアップ】したのだ。アレ以来ベルも【幸運】の使い方が理解ってきた感がある。

まあ同じ方法で相手だけ変えて再び実行しても【偉業】扱いされるか微妙なのだが。ちなみにウダイオスと私は()()()()()()()ため討伐は試してない。

魔石が剥き出しの相手なんて私やおばさまからすればカモだ。【サタナス・ヴェーリオン】一発で片が付く。どれくらい相性が良いかというと、レベル5の時のおばさまが単独(ソロ)討伐したのにランクアップ出来なかったくらいだ。

 

「うん、バロールがどれほどのものかは理解らないけど2人とも凄く強くて頼もしかったし、勝ち目もあるんじゃないかな…?」

 

「じゃ、そっち方向で考慮しておくわね、あ、来たか…」

 

───

 

リヴェリア・リヨス・アールヴとレフィーヤ・ウィリディスの2人もオラリオ郊外を訪れていた。

 

「相変わらず、凄く大きいですね、ここ…普通は入れないのにオラリオの名所の1つ扱いにされつつあるらしいですよ」

 

「まあ外からだけでも眺めた上で隣接している旅館に呼び込めたら儲けものというやつなのだろう、それよりも凄まじい魔力だな…こんな連中と戦うことはあまり想像したくないのだが…」

 

先程から轟音と共に凄まじい魔力の衝突が感じられる。レフィーヤも同じ気持ちだった。レベル3以下の頃なら卒倒しかねないような、魔力の奔流だ。

単純な魔力量だけではない。いや、そちらも凄いが、レフィーヤならなんとか背中が見えるレベルだ。それよりも針を刺すかのような研ぎ澄まされた戦意が乗った鍛え上げられた魔力…

そういった気配に敏感とはいえなかった純後衛のレフィーヤでも理解る。今戦っているのは全員が一級の魔法戦士だ。そして内部へ入り、その現場に辿り着くと、そこはさながら終末戦争(ラグナロク)のような有様になっていた。

炎が、雷が、氷が、風が、時には巨大な岩石まで飛び交い、そんな中で全員剣でも斬り結んだりしているのだ。全員が当たり前のように並行詠唱も使っている。私達同胞(エルフ)はいつからこんな戦闘特化の蛮族になってしまったのだろうか?

 

「皆ーリヴェリアさん達が来たから一旦切り上げてー」

 

マリーのその声で、全員がピタリと止まり、リヴェリアとレフィーヤに向けて会釈する。

 

「「「リヴェリア様、レフィーヤさん、こんにちは」」」

 

リューと、リュディスとアーシェスがまず挨拶をする。

 

(覆面(だった)人…)

レフィーヤはフィンたちから【疾風(リュー・リオン)】のことも聞いていた。【暗黒期】に終止符を打った英雄の1人。並行詠唱の腕はリヴェリアが自身以上の腕と認めるほどだとか。

 

「リヴェリア様(さん)、レフィーヤこんにちは」

 

フィルヴィスとマリーも挨拶をする。

 

「息災のようだな、フィルヴィス…君のような、強く誇り高い同胞(エルフ)が、救われたのは本当に喜ばしいことだ。【疾風】も…再び立ち上がってくれたことは喜ばしい」

 

2人共リヴェリアに褒められ案じられているのは凄く嬉しそうだ。まあレフィーヤ(じぶん)も彼女に偶に褒められれば凄く嬉しいから同胞(エルフ)なら当然か。

というかフィルヴィスは明らかに4つ以上魔法を使っていた。元々は持ち得なかった超長文詠唱魔法でも難なく並行詠唱で使いこなしていたのは流石だが…

というか「魔法剣士」というものはあそこまでのことが出来なければ駄目なのだろうか。全員が剣も魔法も持ち得て楽しそうに戦っていた。

レベル4の自分でも細かくは何をやっているのか理解出来なかった。速すぎて。マリーに「魔法剣士(そっち)の才能はあんまりないから諦めなさい」とも言われてしまっているのだ。

フィルヴィスがあのまま死んでいた場合のどっかの世界線の自分は「意志を継ぐ」とか言って魔法剣士(そっち)を目指すなんていう頓珍漢なことをしていたかもしれない。マリーが居てくれて本当に良かった…

その後マリーが【妖精交流会】と銘打ったその交流が始まった。

 

「アーシェス…君は黒妖精(ダークエルフ)の王族ではないのか?黒妖精(ダークエルフ)自体もう数が少ないから知る者は少ないが彼らは基本銀髪のはずだ。そして黒髪は…我ら白妖精(ホワイトエルフ)でも偶にそこなフィルヴィスのようにいるが、

黒髪の黒妖精(ダークエルフ)は…王族(ハイエルフ)だったはずだ。」

 

「私は偶々血を引いているというだけで、そう振る舞う気も明かす気もないです。黒竜を始末した上で、同族で私に”そういった”役割(モノ)を求める者がもし居たら、その時は考えますが…

私も基本兄貴分(ヘグニ)と同じで戦いしか能がないので…上に立つ適正は低いですし、今は”そういった”ことを考える余裕もないです…ちなみにリヴェリア様…私の血筋のことに勘付いてる者は…?」

 

「少ないだろうな…私も同じ王族(ハイエルフ)同士で昔交流があったから知っていただけで。君と同族の黒妖精(ダークエルフ)ならもしかしたら知っている者の割合も多いかもしれないが…そもそも彼らの絶対数は少ないからな」

 

「君も王族(ハイエルフ)だろう…私相手にかしこまる必要なんてないんだぞ…?」

 

「貴女様がそう仰ってくれても周りが認めないでしょう。それに『ラグナール』を名乗っている時点で、そう思う者も居ないはず。

血筋を明かして変に崇められるような余分も今は煩わしいだけです。」

 

「成る程…あくまで一番大事なのは『黒竜退治』だと…」

 

「その通りです」

 

迷いなくリヴェリアを正面から見据えて宣言するその覇気に、その場の白妖精(ホワイトエルフ)達は「王の風格」を見た。

 

「成る程…君達が【ヘスティア・ファミリア】を選んだわけだ…常日頃マリーは『黒竜退治』を口にしているからな」

 

「【ロキ・ファミリア(ウチ)】に来てくれなかったのは残念だが…リュディス…君はあの【白妖の魔杖(ヒルドスレイヴ)】より頭が良いらしいじゃないか…

フィンが彼と話した際そう言っていたらしいぞ?『珍しくあのヘディンが自慢気だった』とな…最も『【フレイヤ・ファミリア】からは逃げられてしまっただろう』と指摘したら悔し気にしていたようだが…」

 

「あんな不甲斐ない兄様なんて、もう兄様じゃないですっ自身で主導権握っていればあのファミリアももっとマシになっていたのに…」

 

「ハハハ手厳しいな…それはマリーの影響…と言うより”外”から見た評価か」

 

「ええ、そうですね『女神のケツを追いかけて闘国(テルスキュラ)と大差ない物騒な潰し合いばかりしている脳筋ファミリア』ってところです。その割に幹部達も長年ランクアップしていないし…あ、【ロキ・ファミリア】

はその点少し前のレベル6ラッシュがありましたし、それも若手ばかり!将来性という点では【フレイヤ】より断然上と、大体どこでも高評価ですよ。今回の御三方のレベル7ランクアップもありましたし、

今や【フレイヤ】よりも普通に上ですもんね、これで危機感を感じないようならどうしようもないから、そちらの予想通り遠からずマリー様主導で【フレイヤ】には仕掛けます」

 

レフィーヤは思わずゴクリとツバを飲み込んだが、ヘスティア・ファミリアの面々は皆好戦的な笑みを浮かべている。「本当に同胞(エルフ)」なのかなあ…とレフィーヤは思ってしまった。フィルヴィスも染まっちゃっているし…

 

 

 

 




戦闘民族(エルフ)

ベル君のアルフィアの呼び方

  • おばさん
  • お義母さん
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