「取り敢えず一勝、ですね…」
「途中の戦闘の大半は確かに速すぎて何やってるか理解んなかったけど最後の方は魔法使ってたやろぉ?4つ以上使えるんやないか?あのベルは…」
酔っ払っている風に見せてしっかり見るべきものは見ていたわけだ。本当に油断ならない
「ええ…そう思っていただいて結構です…」
「くぅう
一応リューさんやフィルヴィスのことはこの場にいるフレイヤに漏らさないでくれる程度には配慮してくれてるらしい。
あの2人も普通に4つ以上使えるからな…特に口止めしてなかったからかあの2人は大まかにだが自分たちの第3魔法をリヴェリアさんに説明してしまったのである。
まあ知られたところで対策出来るような
リューさんの魔法がどういった
しかしたった1発の
まあ
私も上げるのに色々工夫しているのだ。自傷するのはアレだし、モンスター相手に攻撃わざと食らうのは危険だし…レヴィス相手にわざと回避せずに
さて次鋒戦か。フレイヤに常の余裕そうな笑みはない。ベルの勇姿は見れたけど自分の眷属が敗けたことは不満、という複雑そうな顔だ。
まあ決め手は手札を伏せていた上での搦め手だったが、長年この街のトップ層にいた【
もう誰もベルの実力を疑う者は居まい。皆が理解出来たはずだ。「決して【
「マリーたん、アーシェスたんと【
「そうですね…恐らく数字上のアビリティと経験もほぼ互角、勝負を分けるのはスキルと魔法、それと装備…というありきたりのことしか言えませんが…」
ヘグニの主武装が
最強という座に胡座をかいて敵なしだと思い込んでいたからか情報がいくらでも集まる。まあアーシェスに「真っ向から勝ってみます」と言われ充分勝算はありそうだったので、そのまま行かせた。
【フレイヤ】側、控室では…
「はあ…」
【
自分達の「最強」という看板を盲信していない。強者としての自覚と矜持くらいはあるが。【暗黒期】には自分も含めて
当時は最強と疑っていなかったオッタルも【ゼウス】の残党に一度は敗れているのだ。しかもその【ゼウス】の後継者達が今回の敵なのだ。彼らに
「【本気】ではあっても
この戦いの前にも
「奴らは既に【ゼウス・ヘラ】にも匹敵する、向こうの
「同じレベル8でも既に奴は
普段「脳筋」と罵られてはいるが、奴の戦闘勘と、強さについては一定の信用は幹部達全員が置いていた。
オッタルを責めることなど出来るはずもない。ずっと歳上の自分も奴より弱いのだ。だがそれより更に歳下の連中の台頭はどういうことだ。
しかも
預けられた先は
忘れていたわけではないのだが、それなりに良い暮らしをしていると思っていたのだ。
まさか外であそこまでの実力者になってこの街で敵として再会するとは…
「アレンは敗けたようだぞ…」
「まあ
「その言い方は我らにも返ってくるのだがな…しかし身内を、特に大事にするあの女が最大の敵で、奴の弟にあのアレンが倒されるというのも最大の皮肉だな」
「やはり身内を大事にしない奴らはダメだな。お前ら2人は大丈夫か?」
ヘディンが話しかけてきたが、アルフリッグが繋ぎこちらにも皮肉を飛ばしてくる。
「ああ、お前ら4人に関しては『身内だけで固まった貧弱でしょうもない連携頼りの蟻共』って言っていたぞ」
それはそれとして「ただレベルが高いだけの個の集団なんて潰すのは容易い」とも言っていたのだが。
「やはりあの女は宿敵か…」
「絶対殺す…!」
「潰そう潰そう」
「
「お前らじゃ蹴散らされるだけだから止めておけ…」
「というか随分と
「お…裏切りか?」
「処す?処す??」
「まあフレイヤ様を罵っていたことには私も思うところもあるが、それについてはあの方自身も反省しているみたいだしな…遠からず力を付けるのは判り切っていたから個人的に繋がりを作っておいたのだ」
それに
ただでさえ【ロキ】との仲も悪いのに、遠からず台頭してくると判っている冒険者との仲は良好にしておく必要があると思ったのだ。最低でもこちらに矛先が向かない程度には、と。
まあオッタルが最初から嫌われていたのと、初期の頃からのちょっかいを全て勘付かれていたため、結局ファミリアごと思いっきり嫌われてしまったのだが。その後の尾行も不味かったのだろう。
実は【フレイヤ・ファミリア】でマリーからの評価が高いのはダントツでヘディンだった。頭が良いという長所はバカばっかりの冒険者の中ではそれだけで価値があるし、何より遠距離に強い、という点が良い。
前線を支える前衛タイプはともかく、後衛の遠距離タイプなら、多少力不足であったとしても独断専行する程のバカでもない限りは足手まといになる可能性は低いからだ。
才能を考えれば8以上を目指して欲しいという程度の期待はされている。それに人形のような他の
主のためのより良い未来を考えて動くことの出来る忠誠心を評価していた。オッタルも近いスタンスなのかもしれないが、いかんせん彼はバカなので、ヘディンのように自分で物を考えて一時であろうとも命令に背くような動きなど出来るはずもない。
そんな背景もあって
ここにきてそのあたりのことを振り返りも反省も出来ないのが彼らが【
今回はマリーの温情で失う物も少ない戦いになったが、これが「主神の首を賭けて」という条件だったらどうなっていただろうか───
マリーは正直「連中の扱い面倒すぎるし、もう私らと
「裏切りか…最初は『フレイヤ様のためになるならそれも』と考えていたが…今となっては何をしても結果は変わらんだろう。フレイヤ様も言っていただろう『せいぜい楽しめ』と。裏を返せば『もう結果は変わらんから好きにしろ』ということだ。
万に一つ我らが勝てて奴らを手に入れていたとしてもそれがあの方にとって良い結果になっていたとも思えん。
そもそも奴らがレベル2の時に私が『フレイヤ様の今のお気に入りの2人は近い内に台頭してきて最悪の場合敵対されるから、念の為早めにレベルを上げられるように動け』と忠告はしただろう。
それを貴様らは余裕ぶって『戯言だ』と切って捨てていたな?その結果が今の試合だ」
ちなみに真っ先に切って捨てていたのはガリバー兄弟達とアレンである。オッタルは超人的な勘で近いことを思っていたし、ヘグニはアビリティもあんまり上がらなくなってきてたし、
「そろそろランクアップしたいなー」くらいには思っていたのだ。まあヘディンも流石にここまで早く自分達を
2敗がほぼ確定しているので、自分達レベル6の幹部達は1つも落とせないのが前提だったのに、いきなりアレンが敗けてしまった。そうなるとここからの勝負はいかに傷を浅くするか、
という戦いだ。何より妹に舐められっぱなしというのは腹が立つ。フレイヤが既に気にしていない以上、最早ファミリアの看板なぞどうでも良かったが、せめて一矢報いるのは自分でありたいと各々が考えていた。
「さてと…気が重いけど…行ってくるよ…」
まあ【暗黒期】の時の戦いと違って「絶対に敗けられない戦い」とかでもないからそういった意味では気が楽なのだが。一応はこんな自分でもかつての兄貴分としての面子や沽券があるのだ。
「
「『自分の言葉で話せ』って説教されちゃったからね…これ以上失望されたくないし…何より、僕自身で向き合うべき問題でしょ。」
「お前…」
大抵の嫌なコトは【もう1人】に押し付けて逃げるこの男が…思いがけない成長にヘディンは少しこのダメダメな相棒を見直した。
そうして闘技場の中心で2人は向き合った。
「逃げずにきちんと【自分】で赴いて向き合ったことは褒めてやる…」
(うわあ判っちゃいたけどメチャクチャ塩…)
「『誰だお前?』とか『話し方気持ち悪い』とか言われちゃ流石にね…」
「当たり前だ、ただの従兄妹だというのに神々に私まで変な喋り方を期待されている身にもなってみろ。最近はマリー様の威光のお陰で余計なちょっかいは減ったが…」
「でも、いいn…「”元”だ!丁度いい!過去の汚点としてこの場で斬り捨てて下らない因縁に決着を着けてやる!」
「それでは始めっ!」
試合前の前口上として様子を見ていた【ガネーシャ】の審判が開始の合図を出す。ヘディンの主武装【ヴィクティム・アビス】は自身の体力と引き換えに「斬撃範囲を拡張する』という効果を持つ
「斬撃範囲を広げる剣だったか、それは!フンッ
(見切られてる…!?初見で完璧な対応されるのは初めてだ)
アーシェスは拡張した範囲斬撃も凡そ見切っていた。「恐らく視覚に余り頼らないほうが良い」というマリーからの
斬撃が見えない程度で喰らっていては【ヘスティア・ファミリア】ではやっていけない。レベル8以上のマリーだのアルフィアだのレヴィスだのの斬撃など視覚で捉えていては反応など無理だ。
格上と戦い続けていれば自然と回避技術も鍛えられる。自身の直感では遠からず
何年も停滞し続け下から追い縋られる
最初は見えない部分の斬撃の大体の範囲を測っていたが、それも終えると剣で反撃し、打ち合うようになってくる。
地面から流れてくる電流が身体を伝い剣にも
アーシェスの第一魔法【サンダーボルト】は非常に使い勝手が良く、強力な魔法だった。
ベルが真っ先に
「やっぱり…あの人は…!」
「うん?どうしたんだい、アイズ?」
「素で
「はい、貴女と同じように精霊の関係者ですよ。アーシェスは。尤も何代か前のご先祖様までの話らしいですけど、ね」
アイズの眼は誤魔化せないと思ったマリーはあっさりゲロする。近くに居たロキとフレイヤ、ヘスティア以外の神には聞こえない程度の声だが。
「その
耐えきれず契約を切ってしまったらしいですが…」
だからかなり詳しいことを伝え聞いているアーシェスは他の
「ほーん、しかしハイエルフなのに加え、精霊の関係者って…他のエルフにバレたらかなりヤバいことになるわな、マリーたん…」
「話が漏れていたと判断したら予告なし、
「ヒェッ」
「ロキ…神フレイヤも理解ってると思うけどこの話は…」
「ええ、勿論黙っているわよ?外野のせいであの子の輝きが陰るのは本意ではないし…」
「あの力は…もしかして地電流かい?」
「ええ、そうです、よく知ってましたね、私も
「昔読んだ本に書いてあっただけだよ…トールというのは?」
「ああ、トールっちゅうのはウチやフレイヤと同郷の雷神や、降臨したって話は聞いとらんな」
「ええ、ロキの本当に数少ない
「うっさいわ!と言うかマリーたんからなんでアイツの名前が出るんや」
「それは権能被りってことで
「うへぇ、もしかしてゼウスが知っている神々は皆知っとるんかい?」
「はい、
ロキ様の所は有力候補だったんですけどね、ベルを門前払いした時点で『縁はない』と思い、選択肢から切り捨てました。」
一瞬だけフィンから剣呑な気配が上がった。元団員のクソ門番を少し思い出したからだ。それはそれとしてマリーにフィンは感心した。幼い頃熱心に知識を身に着けていた頃の自分を思い出したからだ。
自身にも身近に親しい神が居ればそこから色んなことを学ぼうとしただろうし、自身とも被る行動パターンだ。アイズにも少しは見習って欲しいな…と視線を向けると、何かを察したのかわざとらしく視線を逸らす。
「それでアーシェスは地電流を利用することで自身の魔力の消費を抑えて強力な雷撃を扱うことが出来ます。魔法そのものの性質というより彼女自身の体質のようなものなので、
仮に彼女の魔法をコピーしても”そこ”までは無理でしょうね」
ちなみにダンジョン内でも普通に使えるスキルである。攻撃特化の魔法とスキル構成だが、非常に継戦能力が高い。
「『あれ』は剣にも仕掛けがあるんじゃないのかい?ベルのものも相当な業物だったし」
「まあそのへんは
アーシェスが雷を収束させて剣に纏い、3
「ハァッ!【
「ガッ!?…」
「あ、やば…」
全身を黒焦げにしたヘグニが崩れ落ちる。マリーは既に察して詠唱しながら、走り出して、観客席を飛び降りた。
「勝者、アーシェス・ラグナール!」
審判により勝者が宣言されたと同時にマリーがヘグニの倒れた場所に辿り着く。
「【ディア・パナケイア】!】」
黒焦げだったヘグニの皮膚が再生され、元通りになっていく。灰は残っているが、その下から新たに再生されていく。
「お疲れ様です、試合前に魔力を使って良かったのですか?」
アミッド先輩が出てきてこちらを
「別に…オッタル程度魔法なしでも勝てますし…これくらい【精癒】で回復出来る範囲ですよ、あれ以上遅れたら蘇生魔法切らざるを得なくなっていたかもしれないですし…」
「もう単体相手なら蘇生魔法抜きでも私以上ですね…もう私の魔法は使わないのですか?」
「単独相手ならあの方の魔法が一番効果が高いんですよ、先輩の魔法が明確に劣っているってわけじゃないので安心してください」
「複数相手ならこの後にコピーするであろう
膨れっ面のジト目でこちらを見てくる。可愛らしい人だ。
「
「フン、マリー様の蘇生魔法なんて贅沢すぎる。もっと転がしておけば良かったのだ、この男は…」
「うう…」
妹分に完全敗北を喫した挙げ句にこの塩対応とは哀れすぎる…少しフォローしておこう。
「まあそう捨てたものじゃないですよ、少なくともアレンよりは使えそうですし…」
というかアレでも少し手加減していたのだろう。もっと真芯の部分でぶった切ってれば身体の大部分は消し飛んでいただろうし。
ベル君はマリーの【オーバロード】は使えません。仮に使えるようにしても自分の足で集めることになるかな…
原作で言及無いけどレフィーヤが【アストレア・レコード】使えるとは思えないし…
コピーのコピーは無理ということで。
ベル君が長文詠唱の魔法使いこなせるイメージ無いし、【フツミノタマ】とか使いこなせるとは思えないし…原作よりも団員充実しているからこそ活きる魔法ですが…
ベル君が使うのには、まあ【ウィル・オ・ウィスプ】くらいならいいかなって…普通にクソ強い魔法だとは思いますが。
アルフィアがいる時点で充分チート性能化してますけどね。ベル君が【アルクス・レイ】とか使い出したらレフィーヤが憤死しそうだし。まあそれはそれとしてフィルヴィスの魔法を使えるからどのみち憤死しますが。
ベル君のアルフィアの呼び方
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おばさん
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お義母さん