ベルの姉が「才禍の怪物」なのは間違っていない   作:イルイル

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魔眼って中二が好きそうな能力だよね…
「クク…眼が疼く…」


第44話 報復戦争4 副将戦「魔眼」

「さて、次は、いよいよやな…」

 

「直接関わった誰もが『頭が良い』『強い』『素晴らしい』と褒め称えるけど、一般的なエルフよりは気さくでも直接関わった者はまだそんなに多くない、『優れた魔法剣士で氷を使う』という情報くらいしか出回っていない、

あのリヴェリアが今まで会った同族では1番にべた褒めするほどの才媛だ。そしてあのヘディンが、感情的になる数少ない例外だ」

 

「【四妖精】のリーダー…、【白妖の魔杖(ヒルドスレイヴ)】の妹…リュディスさん…」

 

ちなみに【四妖精】というのは、リュディス達4人のエルフの呼び名だ。

リューさんは立場上あまり認知されないように動いてはいるが、よく4人で纏まっているのは目撃されている。

全員がレベル6以上の超ハイレベル帯の冒険者で加えて綺麗に属性も分かれている。

【氷のリュディス】【雷のアーシェス】【風のリュー】【炎のフィルヴィス】みたいな感じだ。(フィルヴィスのは偽装だが)

王族(ハイエルフ)のリヴェリアさんほど関わるのに敷居が高くないということで若いエルフ達には憧れられているらしい。最強はフィルヴィスだが、リーダーは満場一致でリュディスなのである。

 

「加えてめっちゃ美人やな!マリーたんはどう見るんや?」

 

「まあ総合的な性能(スペック)は互角じゃないですかね、リュディは対人戦が非常に優れていますし…別に対怪物(モンスター)戦が苦手というわけでもないのですが…

距離を何百(メドル)も置いた場所からのスタートならともかく開始位置が10(メドル)以内のこの闘技場なら…彼女に勝てるレベル6は現在はほぼ存在しませんよ」

 

「ほぼ」と言ったのはアイズあたりとは相性が悪そうだからである。冷気や氷による単純な力押しではあの「風」を突破するのは難しいだろう。

勿論リュディスが殺意全開で切り札だのなんだのを色々と切れば勝ち目はあるが、現状味方に近い【ロキ】の人間にそこまでのものをぶつけることはないだろう。

たとえ戦争遊戯(ウォーゲーム)でも。ちなみに剣だけなら間違いなくリュディが上だ。ベルやリューさんでもまだ勝てないし。

高い戦闘力と優れた頭脳、指揮能力、無詠唱魔法。広域殲滅魔法と回復魔法まで持っている。治癒士(ヒーラー)に徹してもアミッド先輩に近い腕を持っている。

どんなパーティでも1人は欲しい人材だろう。ヘディンよりは剣士としての比重が高めのスタイルであるだろうが、彼に明確に劣る点は、遠距離戦くらいだ。というかその土俵では私達を除くと彼が都市最強だろう。

私達の「音」は物理的な性質としてそこまで射程が長くない。中距離以下での撃ち合いでならほぼ最強だと思っているが。まあ私もレベルが8になった際に習得したスキルのお陰で、「他人の魔法をコピー元(オリジナル)の詠唱で撃てる」ようになった。

消費魔力も相応のものだけだ。元々が短文詠唱の魔法の場合、毎回長ったらしい詠唱させられていたら使う気も失せてしまうので非常に助かった。まあぶっ壊れと言えばそうなのかもしれないがレベル8にもなれば大抵の相手は基礎性能(スペック)だけで圧倒出来る。

もっと低レベルの頃からあれば助かったのだが、ここまでレベルを上げられたことの見返りと思えばそこまでズルくもないだろう。

スキル【魔改造(カスタム・マジック)】が適用されなくなるのでオリジナルの詠唱で使用した場合は大幅なアレンジは出来なくなるが、お陰で超短文詠唱や無詠唱魔法も非常に使い易くなった。

なので今ならヘディンと中距離以上から撃ち合うことも不可能ではない。その場合はレベル差に加え【静寂の園(シレンティウム・エデン)】もあるので絶対に勝てる。

彼とマトモに撃ち合ったらリヴェリアさんでも不利だ。魔力量もそうだが、とにかく詠唱が短いからな、リヴェリアさんの魔法は強力で射程も範囲も広い分、詠唱がとにかく長い。

リヴェリアさんが1発撃つ間に、2、3発は飛んでくる。これではいくらリヴェリアさんでも撃ち合いじゃ勝ち目はないだろう。対怪物(モンスター)戦では、リヴェリアさんの方が心強いかもしれないが、

それも明確な優劣は付けられない程度の差だ。まあ今回はその遠距離特化の部分は発揮されないだろうから、かなり勝算は高い。恐らくだがリュディスは口で言うほどヘディンのことを嫌ってはいない。

【フレイヤ】の現状を嘆いているのは私と同じだろうが。それも「貴方ならもっと良く出来たはずだ」という期待が裏切られたが故の失望といった感じだ。兄の能力の高さを信じ、高く評価しているからこその怒りだろう。

久々に面と向かって会っただけでも現在の能力の高さを肌で感じたのに、明確にファミリアとして【ロキ】に後塵を拝し始めていたから怒りも沸いたのだろう。

私達の台頭がなければ【ロキ】に入団してファミリア巻き込んで扇動して【フレイヤ】に戦い挑んでいたかもしれないな…勿論フィンさんやリヴェリアさんが居るからそう上手くいくとも限らないのだが…

彼女の能力の高さは誰もが無視出来ないので、すぐに高い発言力を得てフィンさんら相手でもなんだかんだ上手く焚き付けていたかもしれない。ロキ様も美女に弱いし。

そういった意味では私達のファミリアは最高の条件だっただろうな、元主神(アルテミスさま)が太鼓判を押す善神と、【フレイヤ】にも対抗出来るであろう人材の集まり。最初から燻っていた因縁。明確に黒竜討伐を目指す意識の高さ。

故郷(ヒャズニング)が滅んだ経緯は都市に入った直後にフレイヤから勧誘された時に聞いたらしい。「滅んでせいせいした」らしいので、フレイヤ本神(ほんにん)に恨みはないどころか「寧ろありがとうございます」と言い放ったらしいが。

 リュディの能力の恐ろしさ、それは無詠唱魔法とスキルと呪詛(カース)の3つからなるコンボによるシナジーである。彼女の呪詛(カース)は非常にシンプルで、「眼が合った相手の速度と魔法への抵抗力を下げる」というものである。

「魔眼」と呼ばれる珍しい類の能力だが、シンプル故に対策が難しく強力だ。発動に詠唱もいらない。そしてスキルの方は「認識した相手への魔法が必中になる」というものだ。視界に捉えている相手は当然のこと、

眼で捉えなくとも気配を認識していれば必中になる。私達の気配察知術も身に着けつつあるから360度ほぼ死角がないも同然だ。無詠唱故にそこまで高威力ではないのだが、

そこで役に立つのが【魔法抵抗力低下】である。集団戦でも普通に使えるし、バロール戦でも使っていたらしい。抵抗力を下げた上でヴェルフに爆破させていたわけだ。

まあこれ見よがしにでかい単眼があるからかけ易かっただろうな…そのうち単独(ソロ)討伐をしてレベル7になるつもりらしい。

複数に使うと結構疲れるらしいが、逆にタイマンならそのあたりの欠点も全く問題ないわけだ。眼を合わせてはならないことなど知っていなきゃほぼ不可能なので、まず間違いなくかかる。

以前ヘディンと喫茶店で小競り合いした時は普通に手から冷気を放出して軽く偽装する仕込み(オマケ)付きだ。ヘディンは一応の対策として普段のローブに偽装したサラマンダー・ウールを羽織っている。

炎対策として有名だが冷気にも効果がある。まあ単に冷気を放出する魔法だったら効果はあったかもしれないが、彼女がスキル付きで魔法を使用した場合は服だの防具だのお構いなしに周囲の大気に働きかけて、

直接対象を氷漬けにするから基本的に逃れる(すべ)はほぼない。ヘディンの得物は長刀(ロンパイア)だがリュディの方は細剣(レイピア)だ。

後者の方が小回りが利くが恐らく数字上のステイタスは大差ないだろう。

 闘技場の中心で2人が向き合う。同じ種族、同じ血筋、同じ魔法剣士。強く賢く美しく気高く…ある意味で同胞(エルフ)達が理想とする体現者ながら2人の陣営は敵対しており立場も対照的だった。

片や外のファミリアで実力を伸ばした後に新興のファミリアに鞍替えした妹と、片や迷宮都市内の大手で長年幹部として君臨し続けた兄。

片や真っ先に故郷を見限りどこまでも自由で有り続けた妹と、酷い故郷と自覚しながらも簡単には見限れず、逃げずに責務を果たし続けた兄。兄は「他所から見れば無責任」とも取れる妹の行動を少しも否定する気はなかったしどこか羨望すらしていた。

そんな気質だから故郷を捨てた王族(リヴェリア)とも、宿敵の一族の女(アーシェス)とも気が合って仲良く出来たのだろう。

妹が出奔する直前に共に行くことを誘われても兄は結局その手を取ることはなかったが。兄は更に昔は「同じ親から生まれた女」くらいの認識だったが、成長するにつれ、自分と同等以上の才覚を見せつつあった、妹のことを兄は可愛がっていた。

両親に対する情が失われて久しい2人にとっては互いだけが唯一の家族だった。妹も「自分には真似出来ないな」と思いつつも自分とは在り方の違うそんな兄のことを慕っていたし、尊敬もしていたのだが、成長してファミリアでも責任のある立場になると、

かつての兄の重圧というものを理解出来てしまった。世界中を回って竜の谷から沸いてきた竜種のモンスターの被害を目の当たりにする機会が増えてから「黒竜討伐」を意識するようにもなった。

「故郷の外が楽園」などというお花畑みたいなことを連想していたわけではないが、もっと()()だと思っていたのだ。それはある意味では当たっていた。

モンスターに蹂躙された場所はどこもかしこも故郷以上の地獄だった。【アルテミス・ファミリア】に入ったのもそんな人々を見捨てられなく、すぐに神の恩恵(ファルナ)を欲し、

手を伸ばした、ほぼ衝動的な行動の結果だった。人同士の争いのある所では自分達の故郷と大差のないような所もあったが。故郷(ヒャズニング)は2人の傑物によって長年拮抗状態が続いていたため、

一方的にどちらかが蹂躙されるような展開はほぼほぼ無かったため、あんな戦だらけの場所でもマシと思えるような世界があるのだ、ということも知った。

 

 それから今代の最強を調べていたら、久しぶりに兄の名前に行き着いたのだった。幹部に名を連ねていたのは当然だとは思ったが、同時に副団長(ナンバー2)ですらない、一幹部(ナンバー3いか)に甘んじているという事実に愕然とした。

聞こえてくるファミリアの噂はどれも碌でもないものばかり。主神の気まぐれで偶に慈善活動らしきことをすることもあるが、良い噂なんてそれくらいのものだ。

団員の治癒士(ヒーラー)の腕頼みで、非効率な身内同士のバカみたいな削り合いにかまけてダンジョン攻略は疎かにしている始末。今世界中で起きている悲劇を止めるにはダンジョン攻略で力を付けて、

対モンスター戦に長ずるようになることが一番効率が良いというのに。「主神(フレイヤ)の愛を求めて」だのと正直バカバカしいとは思ったが「それが彼らの士気(モチベーション)の根源だというのなら一概には否定出来ない」とも思ったが、

結局古巣を捨てて自分達がオラリオに来た頃には、【ロキ】に揃って抜かれているような始末だ。「唯一のレベル7保有ファミリア」という優位(アドバンテージ)が、【ロキ】側から3人も同時に輩出されたことによりあっさり覆された。

外でも悪名高かった闇派閥(イヴィルス)が未だに地下で健在だったことには驚いたが。そいつらとの戦いに積極的に矢面に立っていたのもほぼ【ロキ】単独で結局【フレイヤ】は最後の最期しか出てこなかった。

それもマリー様のお膳立てがあって引っ張り出された形だ。ここまでくると主神(フレイヤ)の身勝手さにも腹が立ってくるが、同時にそれを良しとしている団員たちにも腹が立った。兄にも。

なんとなく理解っていたがオラリオ内と外にいるファミリアとでは「黒竜討伐」への意識が違う。日夜命懸けでダンジョン産のモンスターと戦い続けているオラリオの冒険者達からすれば、【ゼウス・ヘラ】ですら敗れ未だ封印されている黒竜のことなんて、

どこか遠い世界の他人事でしかないのだろう。だからこそ、”それ”を強く意識するマリー様と出会えたことは運が良かった。力を付けることも名声を得ることも目的を果たすための土台作りとしか思っていない。

異端児(ゼノス)との出会いは価値観が変わったが、 そんな者達まで戦力として取り込もうとしようとする、()()()()()()()ところにも惹かれた。

それも「上手いこと乗せて利用してやろう」とかじゃない。本気で信頼出来る仲間として取り込む気なのだ。実際メアリー以外の者達にも何度も会わせてもらえた中で警戒心が強い者もいたが基本的には

善良で純粋でマリー様が味方したくなる気持ちも理解出来てしまった。また強化種(ゆえ)潜在能力(ポテンシャル)か見所のある者らも多く、打算的に考えてもメリットだらけだった。

アルフィア様が「自分にとってマリーは太陽のような存在だ」と言っていたことがあるが、確かに「人類の本当の夜明け」を齎すのは彼女をおいて他に居ないだろう。

持病もあり、本来は後進に任せる気だったアルフィア様が愛する子たちのために病気を克服し、参戦する気でいるのだ。更に歳上の自分達でも触発されもする。あの2人が在籍するファミリアなら文句なしに今の【ヘスティア・ファミリア】が最強だろう。

世界中を見てきたから極稀に自分より優れた点を1つくらいなら持つ者も偶に居た。初めてだったのだ。自分をして「何1つ勝っているところがないのではないか」と思わされたのは。

自身が「天才」という自覚があっただけにそれ以上の本物中の本物の存在は衝撃だった。

指揮を預かる気がないのは、独断専行が彼女にとって最高のパフォーマンスだからだろう。必要とあれば咄嗟に誰かに指示することくらいはある。

それに加え、自分とリリルカも居るからだろう。リリは頭脳関連では出来が良すぎて教え甲斐がある意味では少ない弟子だった。最近では高い武力も身に着けつつあり、そのうち抜かされそうでちょっと恐い。

相棒(アーシェ)が「同格の競争相手だけでなく下から追いすがろうとする者も居た方が重圧(プレッシャー)もあるが楽しい」とも言っていたが、それも理解出来てしまった。

今日の戦争遊戯(ウォーゲーム)の後には【フレイヤ・ファミリア】には本格的にメスを入れて改革するつもりらしい。

マリー様は確実にオッタルを下すだろう。だからもう4勝はしたようなものだ。新たに堂々と「最強」を名乗るためにも自分の番でだけケチをつけるわけにはいかない。

ただ「副将戦(じぶんたち)のところが一番負ける可能性が高い」とも言われた。「別にベルやアーシェ達に貴女が劣っているわけじゃなく向こうのレベル6で一番強いのは間違いなく彼だから」と。

ヘグニさんについては「人見知りだから会場的に満足な実力を発揮出来ない可能性が高い」とも。それ「例の人格改変魔法使わないように釘刺した」とか言ってたけど封じちゃダメなやつだったんじゃ…

前口上は要らない。今日までマリー様とフレイヤ様らの計らいで何回も話しているから。

 

「それでは始めっ!」

 

合図と同時に互いが同時に斬り込む。ヘディンの横薙ぎの斬撃をリュディスが剣で逸らし距離を詰める。鍔迫り合いのような状態になったところですかさずリュディスから蹴りが跳んできてヘディンがそのまま吹き飛ばされる。

 

「ぐっ…」

 

ダメージは軽いがレベル6同士の戦いともなれば超人同士の戦いだ。その場に留まり踏ん張ろうとする力より蹴りで吹き飛ばそうとする力の方が遥かに強いのだ。しかし少しも踏ん張らなければ壁に衝突して大ダメージを被る。

それを嫌がった結果ある程度飛ばされたところで着地をするが、少し滑った後に彼らしくもなく一見すると無様にすっ転んだ。

 

(な!?凍ってる!?いつの間に…!?取り敢えず出来る反撃を)

 

「【永伐せよ、不滅の雷将】!」

 

当然だが大半の冒険者は氷上なんて慣れていない。ダンジョンでも氷に覆われた環境など深層でも特に深い階層になるし、オッタルやヘディン達ですら未踏の領域だ。

ここまで魔力の流れを感知させなかったのは、試合開始直後から彼女が呪詛(カース)で重圧をかけ続けていたからである。そして”次”の布石は既に打ってある。

蹴りで吹っ飛ばす以前から仕込んでいた”それ”をヘディンの頭上から落とす。頭上の影と風切り音ですぐ気付き対応する。跳び退こうとするが、先ほど滑ったことを思い出し、その場で対応することにする。

 

氷塊(ひょうかい)!?デカすぎるッ駄目だこちらの対応からせねばっ…)

 

レベル6にもなれば氷塊(ひょうかい)のみの単純な質量攻撃くらいでは死にはしないだろうが、それでもマトモに喰らえば大ダメージは避けられない。

 

「【ヴァリアン・ヒルド】!」

 

リュディスに向けようとしていた魔法を頭上の氷塊(ひょうかい)に向ける。

雷の砲撃が弾けて大半の氷を一瞬で溶かす。大分小さくなったそれを落ち着いて歩いて躱す。というか唯の氷の塊如きが自身の魔法で破壊しきれないほどデカいとは…妹の殺意の高さにヘディンは改めて戦慄したのであった。

余談だがこういった質量攻撃が得意になったのは彼女が【ヘスティア】に入団してからである。アルフィア達の【静寂の園(シレンティウム・エデン)】対策には、質量攻撃が最適解の1つであった。

武器による直接攻撃もそうだが、魔力を帯びた火炎や雷撃、冷気ならともかく、形と質量を得て顕現した物質までは魔力が込められていても流石に彼女らでもに無効化出来ない。

だから【アイシクルエッジ】や【メテオスウォーム】を使えるフィルヴィスは魔法で彼女らに有効打を与えられる数少ない存在なのだが。基本的には【サタナス・ヴェーリオン】で迎撃されるのが関の山である。

それに模擬戦程度ならともかく、実戦では彼女らが仲間ということも考慮すれば余り意味のない相性だ。或いは以前のように【神の鏡】を使って覗けていればここまで翻弄されなかったかもしれないが…

どのみちヘディンクラスでも彼女が強敵なのは間違いなかった。

 

(ぐ…地面に氷を張った魔法と、巨大な氷塊(ひょうかい)を数秒で作り上げてしまう魔法…同一の魔法なのかも判らない…だが相当自由度の高い魔法なのは間違いない…しかも無詠唱)

 

この場での魔法の撃ち合いは不利と見たヘディンは剣で斬りかかる。

 

(あーあ、それはもうリュディの思う壺よ)

 

マリーはこの勝負の趨勢を見切ってしまった。呪詛(カース)による能力低下(デバフ)はもう気付いているだろうが条件までは流石に判るまい。ヘディンの第3魔法は割れているがタイマンで役に立つものじゃない。

アーシェスの方が力押しで好戦的なイメージを持たれがちだが、本当に破天荒で型破りなのはリュディスの方である。そして剣での勝負には間違いなくリュディスに分がある。

彼女の剣は一見するとどこまでも理詰めの剣だがその中に偶に理合とはかけ離れたような斬撃が紛れてくるのである。それは決定的な場面で最悪の雑音(ノイズ)となり致命の一撃と化して襲ってくるのだ。

技量が高いものほどその術中に嵌り易い。力で押し切って早めに速攻出来れば封殺出来なくもないのだが、あの2人にそこまでのステイタス差はない。賢くて物分かりが良いようで、その本質は我儘でお転婆で自由なのが彼女の本質である。

まあそんな気質でもなきゃ10歳で故郷を出奔なんて無茶苦茶なこともしないであろうが。基本的に周囲には毅然として振る舞っているが、そんな本質はマリーにもアルフィアにも少し剣を交えただけであっさり看破された。

武人は言葉で語るより剣で語るほうが見えてくるものがあるらしいが、それと似たようなものである。そんなこともあり仲間内では割と素で振る舞っているが。

呪詛(カース)で集中力を乱しながら、ヘタに魔法を撃つと自身まで巻き込まれ兼ねない距離まで詰めて自身の方が小回りが効く点を活かして攻撃していく。

彼女の剣術は個々の剣技ならともかく全体的な「剣術」そのものとしてはアルフィアやマリーらが「一朝一夕で模倣するのは無理」と判断したほどのものだ。

似たような組み立てをして似たようなことをするのは不可能ではないが「全く同じものは相当の時間をかけなければ無理」と言わしめた。このあたりは流石に「年の功」ということなのだろうが。

尚言ったら凍らされる。世界中を巡り「自身より全体で劣る者でも1つでも勝るところがあれば学び取り入れよう」としていた勤勉さと貪欲さから成せる(わざ)である。

ダンジョン探索歴の短さという冒険者としての弱点を感じさせないほどの引き出しの多さ。これも彼女の武器の1つである。やがて更に速度を落としていき、徐々に捕まって傷を作り、

逆転の目が無くなるとヘディンの方から降参した。

ベル君のアルフィアの呼び方

  • おばさん
  • お義母さん
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