ベルの姉が「才禍の怪物」なのは間違っていない   作:イルイル

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エイナさん初登場


第6話 宣戦布告

──────あの後、ランクアップ確実の「偉業」を成し遂げながらマリーベルは事もあろうに更なる探索を提案した。

「ここからがボーナスタイムです」と言って。

大樹の迷宮まで趣き持ち前の【幸運】で宝石樹を発見しまくった。予め空のバックパックを持ってきた方がいいと提案しておいたので全員持てるだけ回収しまくった。

ヘディンもゴライアス討伐直後に姿を消したのでのびのびと探索した。グリーンドラゴンはレベル3のままでは本来厳しい相手だったのだが竜種特攻スキルを発揮して邪魔なグリーンドラゴンも自分の分は自分で倒して悠々と回収していった。

この階層でも余裕で探索出来るロキ・ファミリア上位陣からすればボロ儲けも良いところだった。特に武器の借金があるアイズ、ティオナ、ファミリアの財政状況を把握しているリヴェリアは眼の色を変えた。

 ついでに【ヒュゼレイド・ファラーリカ】【アルクス・レイ】も教えた。直接撃っているところを見た後レフィーヤ(じぶん)からのある程度の概要を聞いたところでマリーが「レフィーヤの魔法私も使っていいですか?」

と聞かれ私も普通に同意したら、もうそれで使えるようになったらしい。一度【アルクス・レイ】を試射で見せてもらったが殆ど別物だった。なんでも戦争遊戯(ウォーゲーム)後に生えてきた新スキルの影響だとか。

ちなみに仲良くなってリヴェリア様以外とは呼び捨てで呼び合うようになった。敬語は「最後の一線」と崩さなかったが…全員歳が近くて同性ならリヴェリア様以外不思議ではないだろう。

 

 そうして帰還を果たしギルドに換金する一同。丁度いた自身の担当(エイナ・チュール)に声をかけられる。

 

「あれっマリーちゃん!?【ロキ・ファミリア】の方々となんで一緒に?」

 

「なんだお前ら知り合いだったのか」

 

「リヴェリア様ッ!?」

 

「はいリヴェリアさん、エイナさんは私達姉弟の担当なんです。エイナさんこの前はランクアップ報告遅延で迷惑かけてしまったので…予め今回は早めに伝えておきます。ゴライアス単独(ソロ)討伐してきたので…多分ランクアップしました…『遠くから魔法でどーん』じゃなくてほぼ近接で倒しましたんで、まず間違いなく上がっていると思います。」

 

最も担当とは言ってもマリーの方からエイナに頼ったことは一度もないのだが…あくまで(ベル)のついでに担当してもらったという感じだ。

身内に元ゼウス・ヘラ眷属が居たという彼女は嘘か真か「70階層くらいまでの知識がある」と言うのだ。「(ベル)は決して頭は悪くないがマリー(じぶん)ほど要領は良くないからそのあたりの知識は受け継いでいない」とも…

どちらかというととんでもない報告ばかりする(ベル)とセットで押し付けられた報告用の窓口でほぼ貧乏くじだ。危なっかしいままとんでもない成長を続ける(ベル)と違って(マリー)の方は最初から殺しても死ななそうな雰囲気が

あったのでそのあたりは安心しているのだが…「ランクアップ報告遅延」の件は彼女が「自身の怠慢のせいで担当は悪くない」と口添えしたお陰で一気に忙しくなる以外の巻き添えは食わずに済んだのだが…

以前から「レベル1の取得物にしてはおかしい」とギルドでも話題になっていたのだけれども。蓋を開けてみれば(ベル)以上にとんでもないことをしていたというオチだったのだが。

(ベル)の飛躍以上にどこか納得してしまう自分がいた。流石に戦争遊戯(ウォーゲーム)はハラハラしながら見ていたが…「彼女がいるなら」という安心感もどこかにあったのだ。

 

「ランクアップ?は?誰が?「私が」いくつに?「4です」この前3になってからどれくらいの期間だっけ「えっと23日くらいかと」ええええええええええっ!?」

 

「ああ、まだきちんと確認してないんで今日更新してもらってしっかり確認してから明日改めて報告しに来ます。今のは仮報告みたいなものなんで上にはまだ伝えないでください。最も明日はベルの方の話題にもってかれるでしょうけど…」

 

「ああ、うん、今日確かにベル君も報告しに来たけど…」

 

「それじゃあまた明日にでも…」

 

バベルを出ると周りはすっかり夜になっていた。

 

「いやー凄い儲かったねーお金稼ぐだけならわざわざ深層なんかに行かないで中層くらいでマリーと稼ぐのが一番良いんじゃないのリヴェリアー?」

 

「言うな…私も少し考えてしまったが金目当ての付き合いになったら不健全だろう…どこかで拗れる…」

 

帰路につくために別れる際にマリーベルは悪戯っぽく笑うと、

 

「皆さーん今日は楽しかったですありがとうございましたー!」

 

「私はあと5年以内にベルと共にレベル10以上になって最大派閥にしたらその時には黒竜(トカゲモドキ)ぶっ殺しに行くつもりでーす!」

 

「戯言だ」とも笑えない。今日までの異常なペースを知っているからだ。何より今日の()()を見た後では…というか今日は礼儀正しく過ごし、一度も例の「ビッグマウス」はなかったのに最後の最後でぶっ込んできやがった。

 

「その時ロキ・ファミリア(あなたたち)が私達以下だったら顎でこき使ってあげるんで覚悟しててくださーい!」

 

「マリー…アレを殺すのは私…アナタじゃない」

 

「アイズもアレ倒したいんですか?じゃあもしロキ・ファミリアが頼りなかったらウチに来たらどうですかっ?ベルも喜びますしいつでもウェルカムですよーっ♪」

 

「なぁっ…」

 

「だめー!アイズはアタシらのーっ渡すわけないでしょーっ!」

 

「そうですよーっ!」

 

ティオナとレフィーヤがアイズの腕を引っ張る。

 

「勿論ティオナとレフィーヤも歓迎しますよっロキ様のセクハラが嫌になったらいつでもどうぞー♪」

 

副団長(わたし)の前で堂々と引き抜こうとするとはいい度胸だな…?」

 

「勿論リヴェリアさんも大歓迎ですよっロキ様の酒癖が嫌になったらこっちへ来ましょうっ♪ヘスティア様は酒もあまり飲まないしセクハラもないですよー」

 

「むう…」

 

「リヴェリアさん…今少し揺らぎましたね…?」

 

「え…」

 

レフィーヤが裏切られたかのような顔をする。

 

「ばっ馬鹿言うなっそんな訳ないだろうっ!」

 

アイズもちょっと揺らいでた。今のファミリアは好きだから捨てる気はないが「ベルもこの娘もいるのなら成長の秘密分かるかも」という考えも浮かぶ。

何より自身の悲願への最短ルートのように思えたのだ。「レベル10」もハッタリに聞こえない。ベルとこの娘なら或いは──────

 

「じゃあまた会いましょーっヘスティア・ファミリアはいつでも有能な人材を歓迎してますからねーっ!」

 

そう言いながら手を振り最後に舌を可愛らしく出して去っていくマリーベル。

 

残された者達は誰ともなく笑い出す。

 

「あっはははははっ本当マリーってば面白い娘だねー?」

 

「ふふっでもっ…リヴェリア、ティオナ…あの娘は多分…いやあの子達は絶対そう遠くない内に『ここ』まで来ると思うよ?」

 

アイズの黒い炎も少し和らいだような気がした。

 




新スキル
魔改造(カスタムマジック)
魔法のアレンジ・最適化。
「オーバーロード」で使用する莫大な魔力の余剰分を強化・改良に回すことの出来るスキル。
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