その日は朝に千草が命を訪ねてきた。それが多分切っ掛けで夜になるとこっそり命が外出をし、それをベルとヴェルフとリリが尾行し、更に私がそれらを尾行している。
バレにくいようにアスフィ先輩の
おばさまは付いてきていない。というか寧ろ「お前も行け」みたいに促された。しかし歓楽街かあ…嫌な予感がする。気持ち悪い視線ぶつけてきてたからもう少し強くなったらこちらから乗り込んでやろうと思っていたけど…
こういうのは大体状況が待ってくれない。敵であろうと友に成り得る人であろうと「巡り合わせ」というやつなのだろう。
それにヘルメスの奴がいたのが気になる。女を漁りに来た感じじゃなかった。後で口割らせよう。
今ベルはアマゾネス達に群がられているが、これくらいなら手出しする必要はない。
全員で協力してかかられたらやばいけど皆我先にと競争しているような状況だ。結構美人もいるのに本人はあわあわしているだけでその気は全く無さそうだ。
この年頃の男の子ならもっと性に興味を持ちそうなものだけど…
アイズに惚れているみたいなのに先が思いやられるなあ…
今目の前にいるアイシャ・ベルカにも完全に呑まれている…仕方ない。美人相手だし、普通なら例え身内でもこのまま食われるの見逃しても良いところだけど、ベルは別だ。
このまま食われたら多分
「ゲゲゲゲゲッ!」
来やがった!本当に蛙みたいな笑い方すんだなあ気持ち悪ッ
アイシャと言い争っているところでマントを脱いで姿を現す。
羽織ったまま奇襲しても良かったけど性に合わない。
「ねっ姉さんッッ!?」
「「せっ【静穏】ッッ!?」」
「あれだけ
「今宵は是非
最初はベルやアイシャと一緒に呆然としていたフリュネだったがすぐに憎々し気に醜い顔を更に歪める。
「
「ベル?というわけでこのカエルは私とこれから
((やばい…!ここにいると死ぬ!))
アイシャとベルは顔を青くしてそそくさと部屋を脱け出す…
「【リトル・ルーキー】?あいつは…アンタの姉はレベル3だったんじゃないのかい?」
「いえ…明日にでも発表されますが姉さんは昨日4になりました。」
「はあ!?そういや今朝にもアンタがレベル3になったなんて発表あったねえ?アンタら姉弟はどうなってんだい…でも残念だったねえいくら4でもフリュネには勝てない、あいつは5だし」
「いえ、多分、姉さんは…」
(気のせいじゃなければフリュネさんにも全然負けていない気配をしていた…普段はかなり「抑えて」いるんだろう)
直後にドゴォン!と爆音がして先程までいた建物の一角が崩れ落ちる。
そこから出てきた2人が対峙している。
「さて…得物を取りに行く時間くらいはやりますわよヒキガエルさん。」
「あぁん?テメェを潰すのにんなモンいんねェんだよォ!」
「あらそうですか?そんなだからアイズを何回も襲撃しているのに尽く失敗しているんじゃありませんこと?」
「減らず口をぉ…お喋りなぶんあいつの何倍もむかつくねェ~~~」
さて…余裕ぶって挑発しまくっているのはいいものの、間近で視ると思っていたより強そうだ。レベル5上位クラスか…限界突破を繰り返している私の基礎アビリティを考慮すれば「成りたて」とはいえ、
ズレも解消出来たから既にレベル4最上位クラスくらいはある。ほぼ2レベル差を覆したことのあるベルや私のような異端者がいると忘れそうになるがレベル差というのは本来1だけでも絶対的なものだ。
まあ有り得ない仮定だがたとえば99とか100とかまで普通に上がる世界だったら誤差になるのだろうが現状一桁の数字の中で右往左往している今の人類からすれば1だけでも絶対的な差だ。
だが早熟スキルと
ベルが近くにいるお陰か少し強くもなっている。
この前のゴライアス戦後に目覚めたスキル…
【
「自身の2倍以上の体躯の相手に全能力の高補正。」
非常に微妙な表記だ。アクティブなんで自分から発動出来るかどうかですぐ判断はつくのだが…本来モンスターのみを意識して発生したスキルなんだろうけど、
「モンスター」という表記ではなく「相手」という表記。これはモンスター以外にも使えるということなのだろう。
もしかしたらオッタルをそのうち自らの手でぶちのめしたいとか思っていたからこんなのになったのだろうか。
それと「2倍以上の体躯」という表記、これも何を持って「2倍」とするかだ。身長に限った話とするなら私の身長はベルと同じ165C程度、「倍以上」が3m越えになってしまう。
流石に今の人類にここまでの大きさの者はいないだろう。眼前のフリュネは2mは余裕で越えているが流石に3mもない。これが「体積」という認識でいけるのなら余裕で2倍以上はあるだろう。
どうみても重さは倍どころじゃないし。このあたり
思い込み次第なら発動出来そうではある。…よし【
これで恐らくレベル5中位くらいのスペック…まだ少し届かない。現状この能力で対抗していくしかない。
瞬時にこのあたりの計算を戦いながら弾き出して今も戦い続けている。
奴の手には得物の斧はないが巨体に見合わぬ身軽さがある分素手でも普通に例の黒いゴライアスよりは脅威なので油断できるはずもない。
サタナスヴェーリオンは撃ちまくっているが、ダメージはあるが決定打には程遠い。刀で斬りつけても傷は付くが、固くて柔らかいブヨブヨした肉体が邪魔して断ち切れない。
流石に私でも周囲を気にする余裕はないので周囲の建物や人も巻き込んで破壊しながら戦っている。周囲のアマゾネス達がある程度避難誘導してくれてみたいだが…
「ゲゲゲ…少しは痛いが、そんなモンかいせぇいおん?」
「デカいだけあって無駄にタフね…」
しかし何発か軽くもらっているが私にダメージは蓄積していない。
「!?テメェ…なんで傷が治ってやがるぅ!?」
「さあ?ご自分で想像してみたら?その足りない頭で…」
私は体力も回復しほぼ全快だ。新スキル【
追いかけてくる奴を尻目に詠唱しながら駆け出し距離を取る。建物の屋上や屋根を飛び移り避けにくいように誘導する。
「【【覇王】の名のもとに命ず。地上の
「まぁちやがれええええええええええええええ!」
奴が宙に跳んだところで───今だ!
「【アルクス・レイ】!」
その瞬間空中に
「いぎゃああああああああああああああああ」
「あららこんがり焼けてヒキガエルから焼きガエルになっちゃったわね」
ズシャァッという音と共にフリュネが地面に墜落する。
「ウソだろ…フリュネが…」
「「「負けた?」」」
周りのアマゾネス達は呆然としている。利用客であろう男共は喝采を上げている。
まあこんなのいたら歓楽街利用しにくいだろうしなあ…男が捕まったら=死 だし。
自分で身を守るにはレベル5はいるし…当然だがそんな冒険者そうそういない。私が目を向けると
「ヒッ」
アマゾネスには結構ビビられている。
いや私はイシュタル・ファミリア潰しにきたんじゃなくてフリュネという個人を潰しに来ただけだから。
貴女達には何もしないよーホントだよー?
ベルも既に逃げたようだ。何やら出会いがあったようだが…当初の目的は果たせただろうか。
フレイヤ・ファミリアの強大さを示すための餌に過ぎない方でしたけどそのままじゃあんまりなんで少し使わせてもらいました。
ベル君のアルフィアの呼び方
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おばさん
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お義母さん