【オリジナル設定マシマシなので苦手な方はブラウザバック推奨です!】
会話文は最後のオマケにしかないのでソレだけでも暇潰し程度にどうぞ!
後書きに六尾橙のプチ設定や今話の大雑把なまとめがあるので、時間に余裕があれば是非そちらも読んでくれると嬉しいです。
ただの黒猫から六尾の化け猫へ
ある日、八雲藍は己の式を
賢者の式の式となる条件はいろいろあるが、最低条件は妖怪(妖獣)であること。
藍はある程度の力を有する野良妖怪を調教して式にする案をまずは考えた。
しかし、藍のお眼鏡にかなう妖怪はなかなか見つからなかった。
そこで藍はここ千年ほどで修めた妖術や呪術などを用いり、己の手で式となる妖怪を生み出そうと考え実行して見せたのである。
当然ながら主である紫には事前に許可を貰った。
普段は受け身がちな藍が最初から自分で考え行動に出たことに紫は嬉しく思い、二つ返事でOKを出したのである。
主の許可が出てすぐに藍は事前に企てた計画を元に行動に移す。
幻想郷内外から多種多様な動物を攫って妖術で生み出したやや狭めの異空間へ順に入れて争わせる。
異空間内は鼠、犬、猫、獅子、虎、牛、羊、熊、その他の動物たちがひしめき合っている。
これは通常ならば毒虫で行う蟲毒の獣だけ使用したもの。
蟲毒を最初に考えついた人間は呪いの手法として編み出したのだろうが、実際は死にゆく者たちの怨嗟や悔恨によって生き残る最後の一体の存在を“魔”に近づかせ使役する呪術なのである。
そんな蟲毒(獣ver.)を行うこと数週間。
異空間の中は死屍累々の光景が広がり、中心には最後の一体である“黒猫”が仕留めた虎の肉を貪っていた。
そう、生き残ったのはまさかの齢二、三ほどの小型の猫だった。
この結果には藍と見守っていた紫は少し驚いた。
蟲毒では
しかし、正直に言うとこの黒猫は他の鼠などと共に適当に入れた、言わば数合わせの存在だったのだ。
そんな弱者がまさか生き残るとは藍は想像していなかった……が、それと同時に“魔”に近づいたことで存在感が増した黒猫を眺めて『面白い』とも思った。
猫という食物連鎖の中では弱い立場の側でありながら、“弱肉強食”の固定観念を真正面から打ち破って見せた黒猫の在り様に藍はとても惹かれたのだ。
紫もまた藍と同じ考えを抱いたのか、蟲毒の結果に驚きこそしたが文句も不安も特に漏らすことはなかった。
ここからは最後の仕上げ。
鉄は熱いうちに打つのが最善であるように、藍はすぐさま本格的にこの黒猫を妖怪化(妖獣化)させる工程に移る。
妖怪にさせると言っても、動物の妖怪化に関してはとても簡単である。
対象を長生きさせたりなどいろいろあるが、中でも手っ取り早いのは、生きた人間を食べさせる。
ただそれだけ。
死体を食べさせる手もあるが、それをすると猫の場合は火車という死体好きの妖怪になってしまう。
賢者の身内になるということもあり、それだと体裁が悪くなる可能性が高いため今回は生きた人間で妖怪化させることにしたのだった。
なにより生きた人間を使う方が何かと安全なのである。
強いて注意点を上げるのならば、無理やり食べさせるのではなく自ら人間を食べること。
なので、藍はスキマで蟲毒の残骸を一瞬で片付けた後、広くなった異空間に新たなスキマを開いて事前に用意していた妖術で眠らせた人間を黒猫の前へ放り出した。
ここで藍が黒猫に与えた人間のことを話そう。
当初、藍は適当に
しかし、与える前に傍で見守っていた紫がストップを出した。
紫は藍に言い聞かせるように、『せっかくの逸材なのだから、与える人間もより良いモノの方がいい』と言葉を送る。
どうやら紫には彼女が言う“良いモノ”に当てがあるようで、スキマに潜って何処かに行ったかと思えば、五分もせずに人間が入っていると思われる麻袋を持って戻ってきた。
藍は当然、麻袋の中の人間の正体を紫に問う。
そして紫は藍からの問いへ口で語る代わりに麻袋の封を解いて中の人間を見せることで答えを返した。
女性だ。妖術で眠らされているのだろう、麻袋に包まれながらも静かに寝息を零している。
年齢は四十半ばだろうか、剃神しており、頭部から視線を下げると袈裟を身に纏っていることに気付く。
尼僧。
この人間はどうやら仏門に入った女性のようだ。
藍は一目見て分かった。
この者は悟りを開くべく真面目に修行して徳を積んできたのだろう。
世が世ならば魑魅魍魎たちがこの者の血肉を求めて大きな争いを巻き起こしたはずだ。
思わずそう思って程に、この尼僧は妖怪化させるための“贄”としてはまさに最上級の存在である。
――紫様はこんな徳の高い尼僧をどこでどうやって攫ってきたのだろう……
山の中で修業していたところを、隙を突いて拉致してきたのだろうか。
それともずっと昔に攫ってきてから妖術で上手く保管していたのか。
あとで聞いてみようか、そう思いながら藍は麻袋から尼僧を引きずり出し、スキマを用いて黒猫がいる異空間へ放り出した。
黒猫に尼僧を与えてから数日後。
最初は急に出現した眠る尼僧を警戒し近づくことはなかった黒猫だったが、時が経つに連れて腹が空いてきたことで抵抗なくあっさりと人間を貪り尽くした。
その結果、黒猫は妖怪化——化け猫と成ることに見事成功。
人化の術を自然に覚えたようで、異空間内には人の形をとった黒猫がちょこんと座り込んでいた。
ただここで再び藍と紫の想像を超える事態が発生。
なんと、黒猫が妖怪化したことで一種の若返りが発生してしまったのだ。
簡単に言えば、黒猫改め藍命名“橙”は妖怪として赤ちゃんからのスタートである!
そして予想外の事態が更にもう一点。
獣同士の特殊な蟲毒によって濃い“魔”に近づいた状態で徳の高い尼僧を食したことによって、橙は幼体でありながら強大かつ膨大な量の妖力を身に宿してしまったのだ。
妖力の総量はそのまま尾の数や大きさに現れる。
橙の尾てい骨からは二本の普通の毛が生えた尻尾に加え、妖力で構築されていると思われる四本の尻尾が生えていた。
計六本。
橙はただの黒猫から世にも珍しい“六尾の化け猫”として生まれ変わったのだった。
―~―~―
以下、賢者と九尾の狐の掌編小説
①封印
藍「なッ!? なんか橙の妖力量、凄過ぎませんかッ!?」
紫「んー……ちょっと調子に乗ってやり過ぎちゃったかしら……というか橙、自分の強過ぎる妖力に肉体が耐えきれてないわね。あのままだとあの子の命が危ないわよ」
橙「~ッ! ~ッッ!!」
自身の内から止めどなく溢れ出る妖力による圧に苦しみ泣き喚く橙ベイビー。
藍「くッ、どうしたら……」
紫「簡単なのはすぐに橙を殺して楽にさせてあげることだけど――」
藍「それは嫌です。自分の手であの子を生み出した以上、生みの親として、主人として、責任をもってあの子を育てると決めましたから」
紫「ふふふ。やっぱり式を持つとヒトは変わるものね……ならば行動しなさい。主を名乗るのならば橙を救いなさい」
藍「分かっています!」
力強く言葉を吐くと同時に藍は橙から噴き出す妖力の渦の中へ飛び込でいった。
そして悪戦苦闘の末に橙の妖力の大半を己が修めた中でも屈指の強度を誇る封印術を用いて抑え込むことに成功するのだった。
➁初育児(ミルク)
封印後、八雲家にて。
藍「なになに、ミルクの温度は体温ほど……ふむ、これくらいかな……いや、まだ熱過ぎるか?」
紫「40℃くらいが適温みたいよ?」
藍「40℃……ぬるいような……いや、赤ちゃんにはまだ熱くないですか? 橙が火傷してしまうかもしれません……」
紫「冷まし過ぎのミルクもお腹を下しちゃったりする可能性があるから、そっちもそっちで危ないわよ?」
藍「なるほど……まさかミルクをあげるだけでもこんなに難しいとは……」
紫「いやいや、アナタ、まだミルクをあげる段階にまで辿り着けてないわよ?」
藍「うぅッ……」
授乳後。
しっかり完飲した橙を褒めた藍はゲップを出させるべく橙の背中を優しく叩いていた。
藍「ゲップしようなー」
トン、トン。
橙「……」
藍「……」
トン、トン……トン、トン。
橙「……」
藍「あれ……出ない……」
トン、トン……トン、トン……トン、トン。
橙「……ケプッ」
藍「ッ!! よ、よかったぁ……やっと出たぁ」
すぐ出ると思っていたため一向にゲップを出さない橙に不安を募らせていた藍だったが、やっと聞こえた可愛らしい小さなゲップを聞いて胸を撫で下ろした。
普段行っている幻想郷の結界の修繕業務よりも疲れた気がするな、等と思いながら橙の抱き方を変えて顔を確認する。
お腹が満たされて眠気がやってきたのだろう。
橙はウトウトした表情で藍の顔を見上げている。
藍「ふふ、可愛いな。明日からも育児を頑張ってみるから安心して眠ってくれ、橙」
穏やかな声色でそう語りかけ、藍は橙が完全に眠ったのを確認した後に餅のように柔らかな橙の頬へ優しく口付けを落とす。
スキマ妖怪の式や策士の九尾などと呼ばれ紫と共に恐れられてきた藍であるが、母性に目覚め、橙を愛でる今の彼女の姿は母親そのものであった。
★進化させたらレベル1からレベリングし直すタイプのゲームってありますよね、ただの黒猫から化け猫に成った橙はソレと同じような認識でお願いします。
★妖夢の原作年齢が60歳前後らしいので、橙の原作時空の年齢は50歳くらいにして妖夢の妹分にしたいと思ってます。5~10歳差。
(八雲家が白玉楼に遊びに出かけた先で邂逅し、お姉ちゃんぶる妖夢をいつか書きたいです)
★赤ちゃん状態の今話から五十年ほどかけて原作の橙に成長したのが前話です。
・二本の尾は原作通り実体があって尾てい骨からしっかり生えている。
・前話で《幻尾》と名付けた妖力で構築された四本の尾は封印が緩むごとに増えていくor満月の魔力などによる一時的な肉体強度の高まりによって一気に生える時もある。
・封印はナルトをイメージしました。なので腹部に封印の紋様が刻まれていたりします。(コレもいつか書きたい)
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【今話の大雑把なまとめ】
①藍様が八雲の後継ぎとなる式を欲する
②幻想郷内外で候補を探す→お眼鏡に適う逸材はいなかった
③仕方がない……自分で創り出そう!
④千年の間修めた知識と技術をフル活用
⑤橙を含めた幻想郷や外の世界から集めた獣たちだけの蟲毒による振るい落としのような儀式(藍のオリジナル仕様)を決行
⑥虎や熊などライバルを制し、まさかの黒猫の橙が生き残る
⑦藍様と紫様が興奮し、少々調子に乗り出す
⑧獣(動物)の妖怪化には人間の肉を自ら食べさせる必要がある
⑨せっかくの逸材だし、どうせなら質の良い(徳の高い)尼僧を食べさせれば面白いかも!by,紫様
⑩橙が赤ちゃんに若返る→強大かつ膨大な妖力が吹き荒れる!?
⑪ヤッベー化け猫(六尾)が生まれてしまった……
⑫自身の強く濃い妖力の“圧”に橙の肉体が耐え切れず苦しみ、泣き喚く
⑬母性が芽生え始めた藍様が必死に封印を施す
→ここで妖力の尾は消え、原作通りの二尾へ
⑭慌ただしくなったものの、こうして八雲家に新たな家族が加わったのだった!!
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赤ちゃんから育てたのだから、そりゃあ藍様は橙を溺愛しますよね。
藍様は畜生界の元ヤン(?)だったらしいのでかつてつるんでいた尤魔がこの話の藍様を見たらどんな反応をするんでしょうね(獣王国参照)
紫様が育児に手を焼く藍様を眺めてかつて自分も行った藍様の育児を思い出して「育児って大変なのよねぇ……」という話を書こうと思ったのですが、原作では既に大きくなってから式になったらしいのでひとまず止めておきました。
最後に、『創った』と言うより『改造した』したと言った方がいいかもしれない……などと書いてて思ったりしました。
ここまで読んでくれた方々、誠にありがとうございました!