Poler night World
(極夜世界)
Episode:Solitary Night
(エピソード:孤高の夜)
Author:Flower Lover
(著者:花好き)
782X年の地球。
誰でも一つの能力をもっている時代。
光を放つ子供、鳥に変身する男。
それらが当たり前に存在する時間軸のお話――。
誰もが寝静まった夜のこと。
孤児院で少年はバックに荷物を詰めていた。
これから彼は孤児院をこっそり抜けるつもりなのだ。
少年の見た目は青みがかった黒髪、幼さは僅かに残っているが鋭い目、少しだけ色黒の肌、全身白でハイネックで腹部に大きなポケットがついている長袖の服と、長ズボン。
必要なものを調達するために彼は孤児院の中をこそっと歩き回る。
旅をするために彼は水と食料を持ち出し、いつも携えているナイフを引き出しから取り出す。
ナイフは少し冷たく、その感触で彼は現実感をやや取り戻した。
少年は手に持っているそれをじっと見つめた後、何かを決心したような表情になって、ナイフをポケットに入れた。
すべて必要なものを揃えた後に彼は、
一階の食堂のテーブルに自分が旅に出るという伝言を書いているメモを置いた。
少年は荷物をリュックに詰め終えると、玄関は鍵がかけられているので
気づかれないように二階から木を伝って外に出た。
音を抑えようとしても、どうしても木がざわざわいってしまうが、幸い誰も起きる様子はなく降りることが出来たようだった。
木から降りた後、孤児院の玄関側に回って――、
そして、彼は街に行くために歩き始めた。
孤児院から街に行く道中には森がある。
その森は彼が何度も遊びに来たことがある、見慣れた場所だった――が。
森に着いた時、彼は大きな違和感を感じた。
森の様子がおかしい。霧が異常なほど濃い。
このまま霧の中に入ってしまえば道がわからなくなる――
彼はそう考えて霧から遠ざかろうとしたが、すでに遅かった。
辺り一帯、霧に包まれていたのだから。
ゆっくりと霧は彼を飲み込んでいく。
霧に飲み込まれた彼は完全に視界を妨害された。
自分の手すら見えないほどの異常な霧に、少年は驚く。
完全にこれは普通の霧ではない事くらい分かっていた。
彼は一旦座り込む。
そしてそのままじっと霧が消えるのを待ち――。
しばらくして霧は晴れた。
辺りを見渡すと。そこは彼の見知らぬ土地だった。
彼は一歩も動いていなかったにも関わらず、景色が森から草原に変わっていた。
(Season1 - 一話に続く)