おっちゃんと一緒   作:んごのすけ

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第14話

波の国から里に戻るなり、マダラはカカシと共にヒルゼンに呼び出された。

火影の許可なしに七班の任務に同行したためである。

ヒルゼンもまさかマダラが黙って里から離れるとは思わず、そしてカカシがそのような行動を取るとも思わず、火影室でいわゆる反省会という物が始まった。

 

「カカシよ、無事に戻ったから良かったものを。タジマも何も付いて行くこともないじゃろうて」

 

マダラに関しては七班の任務に巻き込まれただけであるが、ついて行ってしまったのは自身の判断でもある。

ちなみに元々のマダラの監視役であるが、マダラが波の国から戻らない間元々受ける予定であった任務の穴埋めを必死にこなしていたようだ。

団子屋の依頼がマダラ指定で入っており、代わりにずっと店に立っていたとか。

ヒルゼンはカカシに今後連れ出す際は事前に連絡を入れる様にと言い、今度は波の国であったことを尋ねた。

カカシが霧隠れの抜け忍である再不斬達と戦闘になったことを話し、そしてあることを一つヒルゼンに頼んだ。

 

「再不斬と彼の連れていた白という少年ですが、里に来る様伝えました」

「その理由は」

 

カカシとヒルゼンのやり取りに、マダラが割って入る。

 

「写輪眼を見られた。少年の方に。再不斬の方ももう知っているだろう。里に呼ぶのは口封じのためだ」

「火影様、タジマさんはうちは一族の人間ですね。サスケ以外の生き残りの」

「ふむ、カカシもタジマのことを知ったか。……カカシよ、くれぐれも他言はせんように。タジマも周りに知られることを望んでおらん。それで、いつ頃来るのじゃ」

「勿論です。彼らですが、早ければ一週間後には来るかと。その際、入場許可をお願いします」

「……うむ。ワシの方でなんとかしよう。それから、タジマについて他に知られている者はおるか」

「いいえ、彼らだけです。現在のところはですが」

 

ヒルゼンは再不斬と白について、ある程度事情を知っている者が門番に着いた方が良いだろうと考えた。

そうなるとマダラの監視に付いたことのある人間から選ぶことになるが、日も遠く無いため早めに出られる忍がいるのか確認せねばなるまい。

ヒルゼンがチラリと時計を見やる。

次の予定が迫っているのか報告兼反省会は一旦お開きとなり、カカシとマダラは火影室から追い出された。

外に出るまで、カカシの後ろを歩きながらマダラは全く別のことを考える。

 

(さすがに埃も溜まってるだろうな……)

 

帰ったらすぐに休みたいところではあるが、残念なことにナルトと暮らす部屋は、当時忘れ物を届けるべく慌てて出たため全くと言っていいほど片付いていなかった。

ベッドの布団も、朝目覚めてからそのままだ。

洗うかせめて外に干すかはしたかったが、今日のところは我慢するしか無い。明日が晴れであることを願うばかりである。

先にナルトが帰っているはずだが、掃除は終わっていないだろうと思いながら、それではまたと片手をあげるカカシに軽く手を振りかえし帰路についた。

 

 

 

 

 

 

 

長かった波の国の任務からしばらくの事、マダラは普段の生活に戻っていた。

いつものように低ランクの任務をこなし、たまにナルトやサスケの修行に付き合い、そして時々チームを組んでいる一応監視役の忍の愚痴を聞きながら、穏やかな日々を過ごしていた。

『打倒おっちゃんの会』がナルト達の中で正式に結成されたようで、個人で倒せそうにないのならここは一つチームワークで攻めるのはどうかとナルトとサスケが結託した。

修行に打ち込むのは非常に良い姿勢であるとマダラも感心しているが、目標が自分を倒すことであると思うと、それで良いのかと言いたくはなるが。

ナルトと合同の修行はサスケも本気で取り組んでおり、実戦形式で戦わせてみれば三つ巴の揃っていない写輪眼を使いながらマダラの動きを読もうと必死に食らいついてきた物だ。合間合間で攻撃を入れる隙も伺っており、サスケの成長スピードにはマダラも日々驚いている。

 

 

 

マダラはいつものように団子屋の依頼を受け店の前に立つ。

長い髪は一つに結え頭には三角巾を巻き、店主によって左胸に名前が刺繍された紺のエプロンをかけ、注文票を片手に道ゆく人の流れを眺める。

波の国から戻り久々に依頼を受けた日には、店主にはどこに行っていたのかと心配され、常連客からはおかえりと反対に出迎えられた。

一旦客足が落ち着いたこともあり、残った団子をどうこれから売り捌いていこうか考えていると、聞き覚えのある声がしそちらを振り返った。

少し離れた先に、サクラが立っている。額当てを付けているのを見るに、任務が終わった後だろうか。

 

「こんにちは、タジマさん」

「サクラか」

「タジマさんが任務で受けてる団子屋って、ここだったんですね」

 

サクラはマダラの方へ歩いて行くと、看板を見上げた。

 

「今任務終わりか?」

「はい。カカシ先生も忙しいみたいで、もう今日は早く終わっちゃったんです。サスケくんはナルトと一緒にどっかに行っちゃうし……」

 

サクラは残念そうな表情で呟いた。

サクラがサスケに好意を寄せているのは、波の国で任務に同行している間によくわかった。

サスケもサクラの想いに気付いているだろうが、見ないふりをしているあたり、彼女の恋が成就するのはなかなか険しい道のりであろう。

とはいえサスケもツンケンな態度ではいるが、時々マダラにも最近サクラに会ったかと様子を聞いてきたりすることもあり、なんだかんだ気にはかけているようだが。

 

「最近二人で何してるんだろ……」

「修行だ。俺を倒すための」

「え、タジマさんを? なんでまたそんなことに」

「知らんが、いつのまにかそうなってた」

 

マダラがナルト達が何をしているのかをサクラに伝えると、目をぱちくりさせ驚いた。

サクラはそうだったのかと納得すると同時に、心の隅で少しばかり寂しさを覚える。

 

(私もサスケくんやナルトと同じ班なのに)

 

ナルトもサスケもどんどん高みを目指している。

担当上忍のカカシは二つ名がある程名の知れた忍で、サスケはナンバーワンルーキーと噂される程の実力を持ち、ナルトもまた日々修行に打ち込み強くなっている。

そんな人達のいる班の中で、自身は何を目指すのか。このままでは七班の足を引っ張ってしまうのではないかと、波の国での経験からサクラは思い悩んでいたのもあった。

 

「タジマさん、強いですもんね……」

「何か言ったか?」

「いいえ。そういえば以前いただいたお団子って、ここのですか?」

「ああ」

「すごく美味しかったです」

 

サクラが少し落ち込んでいるように見えたマダラだったが、話が切り替わるとサクラの表情は明るくなった。

気のせいだったかと思いサクラと立ち話を続けていると、店主の老女がサクラを手招きし中に座らせ、茶とみたらし団子を一本彼女の前のテーブルに置いた。

タレがツヤツヤと輝き、食べやすい大きさにと小ぶりに丸められた団子が、サクラの食欲を誘う。

店主がニコニコとサクラに微笑み掛ける。

 

「こんにちは。タジマさんの知り合いかい? 良かったらゆっくりしてお行きねぇ」

「え、こんなにいただけません!」

「いいのよ、いいのよ〜。若い子はいいねぇ。たくさんお食べねぇ」

「……ありがとうございます! ここのお団子、私大好きなんです」

 

サクラは勢いよく頭を下げて礼を言うと、店主に釣られて笑顔になった。

ここの店主だが、かなりおっとりしている。

歳を取り重いものが運べなくなったとのことで、店の手伝いを里に依頼するようになったそうだ。

かつてはくのいちだったらしく、まだ若い頃に怪我をしそれを理由に引退してからはずっと甘味処を営んできたとか。

店が暇になった時に、マダラはよく昔話を聞かされている。

息子がいたそうだが先の大戦で亡くし、孫もいるそうでたまに手伝いに来るようだが学業に専念してほしいと思い、彼女は里へ依頼するようにしているとか。

たまたま暇そうなマダラが依頼に引っかかり、毎度違う人間が来るよりは勝手を知る人が来て欲しいと、以来この団子屋の任務はマダラのいる班で受け持つようになっていた。

サクラが串に手を伸ばす。

そして口元に運び、一つ頬張るとパッと瞳を輝かせた。

焼きたての団子は美味いだろう。

サクラが食べている間に、一人二人と店に客が現れる。

マダラが対応するのを、お茶を飲みながらサクラが見守った。

客は年齢問わず、サクラと年の頃が近い少女達も訪れている。

マダラの見た目からして店に立つ姿をいまいち想像できていなかったサクラは、意外にも慣れた様子で案内する姿に少し面白さを感じた。

波の国で圧倒的な強さを見せた忍が、団子を売っているのである。

ギャップを感じない者がいるだろうか。

面白い事に、すっかりとこの団子屋に馴染んでしまっている。

会計をする様子を見ていると、包みを受け取った少女はその友人と一緒にチラチラとマダラの顔を見ているのがわかった。

彼女達が会計を済ませ店を立ち去る際の姿も眺め、口元に手を当て笑顔でヒソヒソ話す様子に、二人ともはしゃいでいるように見えた。

 

(……あぁなるほど、多分今の子達タジマさん目当てね)

 

そんなことを思いながら、サクラは団子を楽しんだのだった。

帰り際には、ちゃっかりお土産用の団子を包まれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

また何日かいつもの任務をこなす日々が過ぎ、マダラは今日もまた一仕事終え帰ると、テーブルに一枚の紙が置かれているのが目に入った。

紙をまじまじと眺めていると、ナルトが寝室の方からひょっこりと顔を出して現れる。

 

「おっちゃん、おかえりー!」

「ああ、ただいま。……中忍選抜試験?」

「そ! あのさおっちゃん、オレ受けていい?」

「まあ、いいんじゃないか」

 

マダラが適当に返事をするとナルトは嬉しそうに飛び跳ね紙を手に取る。

そしていきなりドヤ顔でマダラを見上げると、胸を張ってこう言った。

 

「おっちゃんとオレ、どっちが先になれるか勝負だってばよ! でさでさ、明日からで、アカデミー集合なんだって!」

「? ……俺は試験を受ける気はないぞ?」

「え! ナンデ⁉︎」

 

まるで一緒に受けるかのように思っているナルトの様子に、マダラはすぐに疑問を感じると首を横に振った。

ナルトはすごく驚いたようで、マダラを見ながら目を大きく見開いている。

 

「なんでも何も、試験は他国と合同だ。どんな奴が来るかも知れないところに行くわけにはいかないだろ。そもそもなる気もない」

「それはそうだけど……でもおっちゃん、それだといつまで経ってもおんなじ任務しか出来ないってばよ。それに強い奴と戦えるかも!」

「……別に、試験を受けにくる奴らに強さは期待してない」

「そんなツレないこと言うなってばよー」

 

ナルトは残念そうな顔をしながら、紙をいつもの上着のポケットにしまった。忘れてしまっては試験に参加できなくなってしまう。

試験は明日らしいが、マダラも事前に中忍選抜試験については聞かされており、監視役から受けたければ火影に掛け合ってみるがとは言われているのだが、興味はないと断っていた。

基本的にチーム制となっているそうで、受験するとなれば知らない人間と組むことになる。見ず知らずの他人とうまくやれる気がしなかった。

 

「遅刻はするなよ」

「カカシ先生じゃあるまいし、大丈夫だってばよ」

 

 

最近は里内で見かけない顔が多いと思ったが、開催日が近くなれば集まるのも当然だろう。

参加者のほとんどが既に里に来ているということだ。

 

 

中忍になれるかどうかはともかく、マダラはひとまず試験が無事に終わることを祈るのであった。

 

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