おっちゃんと一緒   作:んごのすけ

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第3話

ある日の正午過ぎのこと。

マダラは火影室に書類を持って現れた。

ヒルゼンに書類を手渡すと、直々に新しい木の葉の里の額当てを受け取った。

 

「タジマ、本日付でお主をこの木の葉隠の里の忍に任ずる。わかっておるとは思うが、くれぐれも、くれぐれも厄介ごとだけは持ってこんでくれ」

「未来の俺は何したんだよ、信用ねえな」

「本当に調べんかったんじゃの」

「いや、大まかには知ってる」

 

ヒルゼンは苦笑する。

 

マダラが元の時代に戻れなくなってから早くも二年近くが経とうとしている。

ヒルゼンの手伝いで賃金は得てはいたが、流石に戻る様子のないまま延々とナルトにいそーろーのおっちゃん扱いされているわけにはいかないと(暇だった)マダラは、ヒルゼンに相談し忍として働くこととなった。

マダラに木の葉の里に対し敵意がないことは、ヒルゼンやマダラの監視に着いた忍達がよくわかっている。

マダラにはさっさと過去に戻ってもらいたかったのだが、帰れる兆しもない。誰がマダラを未来に飛ばしたのか、故意でなかったとしても、過去の記録から里の中で時空間忍術を扱った忍がいないか探したが現時点それらしいのは見当たらなかった。

ヒルゼンはもしかすると今は亡き二代目火影こと師でもあった千手扉間が、術の研究中に暴発してたまたまマダラが未来に飛んでしまったのでは?と考えたこともあったが、マダラがいなくなったとなれば当時の初代火影の柱間がもう少し騒いでいそうだとヒルゼンはその案を頭の中でかき消したのだった。

マダラは受け取った額当てを付けることなく仕舞うと、それじゃと言って火影室を出ようとする。

やることやったらさっさと帰る、それが最近のマダラであった。

 

「これ、忍になった後の話がまだじゃ」

「どうせ草むしりやら犬の散歩やらしろって言うんだろ」

「それはそうじゃが、いや、マダラよ。まさか本当にするつもりか。あのうちはマダラが? 犬の散歩を?」

「俺が、うちはマダラだが。猿飛のガキ」

「ゴホン、その呼ばれ方も久々じゃの。ここに来てすぐくらいか、まったくワシをガキ扱いしおって。何倍生きていると思っておる。口の悪さがナルトにうつらんでよかったわい」

「はっ、むしろ俺があの口癖に連られそうだ」

「良いのではないか、そのうち人相も良くなるじゃろ」

 

マダラは鼻で笑うと、少しばかり自身がナルトの口癖で喋っているところを想像した。自分で想像しながらあまりの似合わなさに寒気がした。

マダラとしては特に長話をするつもりもなかったが、引き止められては仕方ないだろう。

今回忍として登録してもらうのに当たって、気がかりだったことをヒルゼンに尋ねた。

 

「……他の上層部の連中からは何か言われたか?」

「……まあ多少小言はもらっておるが、お主が気にする程の物でもない。今まで通り、『タジマ』として過ごしてもらいたい」

「ああ」

「さて、お主のこれからじゃがの」

 

ヒルゼンは話を切り替えると、マダラに任務について話し始めた。

必ず何件かはDランク任務をこなしてもらうこと、単独任務は基本行わず必ずスリーマンセル、フォーマンセル以上での班編成で任務に当たってもらうことが条件であることと提示された。

 

「四人で草むしりかよ」

「そこは必要に応じてじゃな」

 

いままでは里の人間との接触を必要最低限に抑えていたが、正式に里の忍になったからには、関わらずに過ごすことはできない。

ヒルゼンとしては、本来知っているマダラよりも話ができそうな目の前の彼のこの里で過ごした日々も顧みて、今は信用しても良いと思っている。

今更目の前のマダラがナルトから九尾を抜き、里を襲うことはないだろうと。

見れば見るほど、老年のヒルゼンからすればマダラなど悩める若人の一人にしか見えなかった。

初代火影の柱間しか止められないような戦闘狂とも言えるような男だと聞き及んでいたが、言葉を交わしてみればただの一人の人間だった。

だが、今ここにいる彼をそう思ったとして、『うちはマダラ』がしでかしたことを正当化することはできない。

うちはマダラが九尾を伴い里を襲った日、当時は柱間の手によって里は守られた。

そして約十二年前、再び九尾が里を襲った。何者かに操られて。

ヒルゼンはマダラを信じたいと思っている。

ナルトとこの二年近くうまくやれているのだ、かつてヒルゼンも知らなかったマダラの新しい一面も見ている。

 

(……このまま戻らぬのであれば)

 

過去の人間を関わらせるべきではないと理解はしている。

マダラに余計な動きをさせないために行動を制限していたが、こちら側に付かせられるのであれば。

 

(『うちはマダラ』が取った行動について、此奴ならどう考えるーー)

 

どうしたら『うちはマダラ』がその行動を取るのか。

木の葉隠れの里は、千手とうちはが手を取り合い創設された。

里の設立はマダラの夢ではなかったのか。

それをなぜ手ずから壊そうとしたのかーー。

 

うちはマダラは何を知っている……?

 

「期待しておるぞ」

 

 

 

 

 

 

 

その日の晩のこと。

晩御飯を食べながらマダラが思い出したようにナルトに言った。

 

「そういえば……ナルト、今日から無職のおっちゃんじゃねぇからな」

「え? ……え?! おっちゃん忍になったの!?」

「なんだよ、なったら悪いのか」

「クソー! 先こされちまったてばよ!」

「いや俺は競ってたつもりはないんだが?」

「俺だって、俺だって今度こそは!」

「もう来月か、早いな」

 

大したことないように忍者登録を済ませたことをナルトに話すと、箸を落として驚かれた。

ナルトの卒業試験だが、来月に迫っていた。

手裏剣術や体術等の基礎的な物はかなり仕込んでやったと、マダラは思っている。

何度転ばされ投げられ蹴られても向かってくるナルトに、マダラも見上げた根性だと感心した物だ。

 

「筆記試験もあんだろ、しっかり勉強しとけ」

「うぇー」

 

マダラにそう言われ、晩御飯を食べ終えた後ナルトは持ち帰っていた教本を適当に開いてみた。

そしてナルトは見えた文字にあれ?と小首を傾げる。

 

「おっちゃんの名前が載ってるってばよ」

「今更かよ!?」

 

 

 

 

 

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