おっちゃんと一緒   作:んごのすけ

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第60話

 

「師匠がアイツの気を引きつけてるうちに……サクラさんと、えっと」

「え、なんで私のこと」

「サスケだ」

「ええっと、サクラさんとサスケさん! 今のうちにイズナさんを遠くに連れて行って欲しいってばさ!」

 

ボルトはイズナの側に寄り添うサクラとサスケにそう言った。

 

「まって、君。俺は大丈夫」

「大丈夫なわけあるかって! 怪我も深そうだし早く治療できるとこに行った方がいいって!」

「アイツを君ら二人だけで倒せるの?」

「やる。やるしかないんだってばさ!」

 

痛がる様子を隠さないイズナに、ボルトは傷が深いことを疑っていた。

手の平についている血の量は多い。深傷でないはずがない。それは側で見ているナルト達もわかっていることだろう。イズナはわざと痛みを訴えながら動くことで、怪我を負わせる要因を招いてしまったナルトが思い詰めすぎないようにしているようだ。痛がる元気はあるぞと。

怪我をした事実は消せない。

 

「とにかく人手は多い方がいいだろう? それで、何かアイツの弱点とかは?」

「だけど……」

 

説得しても無駄なのだろう。実際ボルトと師匠のサスケの二人だけでは、いくらウラシキの戦い方について知っていても必ず勝てるという保証もない。以前の戦いは、たまたま同行することになったナルトが師事していた自来也の機転があっての勝利であった。この場に自来也はいないため、同じ作戦は取れない。

ボルトは渋々頷くと、こっそりとイズナ達にウラシキの情報を伝えた。

 

「アイツは短い時間なら時間を遡れるみたいなんだ。前に一度、毒を喰らわせ続けて倒したことがあるってばさ」

「時間を……なるほど、だからか」

 

それであの時、ウラシキの体にはすでにクーポン券が貼り付けられていたのかとイズナは目を丸くする。

 

「何がなるほどなんだってばさ?」

「さっきナルトとやったのがあってねぇ……ね? ナルト」

「! じゃあ……つまりさっきあったのは、先に未来の俺がアイツに貼り付けてたってことか!」

「え。父ちゃんアイツに気付かれないで触れたのかよ⁉︎」

「とーちゃん? 誰のことだってばよ?」

「あ、あああええと、ナルト! ナルトのトで……ええっと!」

「……ボルト、だよね。そう呼ばれてた気がするから」

「う、うん。そうだってばさ」

「みんな……誰かあれは持ってる?」

 

イズナは子どもらに目配せした。

 

「ーー起爆札」

 

 

 

 

 


 

 

 

 

ボルト達と別行動を取ったマダラとカカシは、イズナ達が帰っているであろうアパートの方に向かっていた。

だが家の前に来ても明かりはついておらず、人の気配もないことからすぐに留守であることを悟ると急いで部屋に上がった。

 

「荒らされた跡はありません。イズナさん達もいませんね……帰った様子もない。後をつけてきていた奴に襲われていないといいですが」

「そこらの忍一人くらいならばイズナ一人でどうにかなる。あの亀は……ここにあるか」

 

カカシが部屋を隅まで見渡すが、物が乱雑に動かされたような跡は見当たらなかった。

マダラは時間移動装置である亀のカラスキが入った引き出しを開ける。缶の蓋も開けると、そこにはまだカラスキが収まっていた。

 

「……タジマさん、弟さんを探しに行きますか?」

「その必要はない」

 

マダラはカラスキをしまうと、缶が開かぬよう厳重に術をかけた。あまり強い術をかけチャクラの反応で缶を見つけられても意味がないため、合言葉で開くような簡単な封印術を仕込む。

 

(合言葉……カカシでも解けるようにイチャパラに関連したものにでもしておくか)

 

合言葉を凝ったもので作っても、深く考え込まれ正解を読まれては意味がない。古い詩の一部が使われることがあるが、それは用いられがちだ。簡単に想像がつかない、装置にも全く関係の無い物の方がいい。

 

「カカシ、缶の蓋に簡単な術を施した。設定した問いに正しく答えられれば開く。答えは簡単だ。もしもの時はお前もすぐに開けられるようなやつにしている」

「問いですか?」

「ああ」

「因みに何ですか?」

「……フッ、お前なら簡単に辿り着くだろうよ」

「俺が? ………まさか!」

 

カカシの頬に冷や汗が伝う。

 

「今朝の名シーンですか!」

「お前の好きな本に関する物で間違いはないが……どのシーンを想像したかは突っ込まんぞ」

「……あまり深く考えなくても良さそうですかね?」

「それは開ける時に考えることだ」

 

今ここで詳しい問いについては話さない。敵がどんな相手か相対していない以上、お互いもしも操られた時のことを考え明確な答えはなるべくわからない方がいい。

 

「さて……亀は問題ないだろう。カカシ、ナルトのところに行くぞ。動けるか?」

「ええ。行けますとも」

 

カカシの返事を聞くと、マダラは家を出る前にキッチン側の棚から風呂敷と大きめのタッパーを取り出した。

 

「タジマさん? そちらどうするんですか」

「奴はあの装置を狙うだろう。考えなく里の方に戻ってきたわけではあるまい。それでだ、コイツを持っていく」

「同じ大きさ……つまりはダミーですか」

 

カカシの返答に頷きながらマダラは今度は武器やらをしまっている棚の引き出しを開けると、札を鷲掴みタッパーの中に詰め込んだ。

 

「タジマさん? 何を」

 

マダラはきゅっと風呂敷の端と端を結ぶ。そしてウエストポーチを腰に巻き、出来上がった包みをその中にしまった。

 

「……単純な仕掛けの方がかかりやすいと思わないか、カカシ?」

 

中にはありったけの起爆札が詰められていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「おい、なぜ早く逃げない⁉︎」

 

ウラシキと攻防を繰り返していた方のサスケがイズナ達の元に降り立つ。

ボルトにイズナ達を遠くへやるよう頼んでいたサスケは、戦場から離れようとしない彼らに驚いた。

特に大人のサスケは怪我をしたイズナの方を気にかけていた。怪我の程度をしっかりと見たわけではないが、戦場に出ている時代の現役の忍が痛みを訴えるほどだ。軽傷ではないのは分かっている。

 

「うちはイズナ、怪我が悪化したらどうするつもりだ!」

「俺も手伝うよ。見た感じだと二人だとしんどそうだしね」

「こちらからすれば、お前が残ってこれ以上何かあった方が問題で……いや大問題だ」

「なにが大問題だって?」

「……はあ」

 

なんだと言いたげなイズナの表情にサスケは項垂れる。

 

(あんたは怪我がきっかけで死んでるんだ……もしこの時代でそんな事になったら、あのマダラが冷静でいられるか)

 

うちはイズナは重傷を負った後、兄のマダラにその目を託している。ここでイズナが命を落とすようなことがあれば、マダラに瞳が継承されず歴史が変わる可能性もある。

この里に存在するマダラはどうやら異なる世界から来ている可能性が高いようだが、イズナに関してはまだ分かっていない。

 

(目の前のうちはイズナがこの里の過去に関わる人間だとしたら、ここで死ぬことがあれば歴史は変わるだろう。特にうちはの……マダラの周りの歴史がな)

 

イズナがここで死ねば、マダラの目が永遠の万華鏡写輪眼に変わることはない。変わらぬマダラとめきめきと力を付けていく柱間、うちはと千手の戦力差は、サスケが知る範囲の歴史よりも歴然となるだろう。

この場に残ろうとするイズナを説得したいところだが悠長に話している暇もない。引き止めたい思いのまま、サスケは口を開いた。

 

「……死ぬな、絶対に」

「勿論」

 

そう念を押すことしかできなかった。

イズナの返事をする声に張りはあるが、長期戦となればどれほど動けるか。なるべく手早く済ませ、治療を受けさせなければ。

大人のサスケの視線を受けるイズナは、そっと周囲にバレないよう自身に幻術をかける。

 

(……よし。これで動きに支障はないはず)

 

軽く腕を上げ痛みを感じなくなったことを確認すると、イズナはナルトの方に顔を向けた。

 

「さて……ナルト、用意はいいか?」

「……もう一回、やるってばよ」

 

イズナの呼びかけにナルトが鉢巻きを締め直す。

ナルトの服の袖には、サスケやサクラから渡された起爆札が忍ばされていた。

 

(さっきみたいにアイツに気付かれないように貼りにいってやるってばよ……‼︎)

 

一度は近づけている。そしてすでにクーポン券が貼られていることからも、ウラシキはナルトに触れられている事には気付いていない。あの券がもし起爆札であれば。油断している隙に爆発で一撃を与えられるかもしれない。

 

「サスケェ! サクラちゃん! 二人も援護頼むってばよ!」

「ああ!」

「うん!」

 

ナルトは十字の印を組む。再び影分身の数で押す作戦だ。

 

「俺たちのこと、舐めんなってばよ!」

 

 

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