おっちゃんと一緒   作:んごのすけ

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side サスケ
第69話


 

柱間との再会からすぐ、マダラとサスケは木ノ葉隠れの里に連れて行かれた。

 

なぜ柱間があの場所にいたのか、尋ねてみればこの時代でも不思議な事象が起こりそれを調査しにきていたそうだ。

火影という里の代表になったにもかかわらずトップがこのような場所に出てくるのは如何なものかとマダラが問えば、日々執務室に篭ってばかりではと感じ何人か引き連れてあの地へ来たのだとか。結果来て良かったとニコニコと機嫌が良さそうな柱間とは反対に、同行した忍からのマダラとサスケに対する視線はあまりいいものではなかった。同行していた忍の中にはうちはの人間もいた。彼はサスケを不審な目で見つめており、出自を探ろうとしているようであった。

 

里に着くと柱間は同行していた忍に、他のうちはの人間を呼ぶよう指示を下した。呼ばれるのはリーダー格の者だろう。

この時代ではマダラが消息を断ってから早四年、長を変えていてもおかしくない。探す手がかりもない族長をいつまでも上に据えていても何も進まない。変えたら変えたで、帰らぬ者を待ち続けるよりはいい判断だ。

程なくして呼ばれて来たのはヒカクであった。

 

「まさか、本当に世継ぎを連れてお戻りになられているとは……」

「ヒカクか。まあ順当……ん? 世継ぎ? ……柱間ァ?」

 

ヒカクの言葉にマダラは首をぐるりと回して柱間を睨みつけた。睨まれた柱間はというと、恥ずかしそうに首の後ろを掻いていた。

 

「いえ、冗談です。マダラ様」

「だそうだぞ、マダラ」

「頼むからヒカク、お前までコイツのノリに乗らないでくれ。今日はもう捌ききれそうにない」

「マ、マダラ様」

「俺はおっさんの子どもなんかじゃねぇよ」

「な、お、おっさんだと……この方を……」

 

ヒカクは顔を引き攣らせながらサスケを見下ろした。

ヒカクは日常において、周囲に畏怖の念を抱かれていたマダラよりは同族らとの接点はあった。多くいる一族の中のまとめ役の一人だ。その為どこからどう見てもうちはの子どもにしか見えないサスケに、どこの誰の身内なのか考えるが、その答えには辿り着けそうになかった。よく観察してみれば、少しばかり幼い頃のイズナに似ているだろうか。

柱間がヒカクに向き合った。

 

「さてヒカク殿。マダラとこのサスケなんだが……」

「……ええ、そうですね。こちらで連れ帰りますとも。何ですかその顔は。連れ帰りますが」

「……おっさん、コイツは?」

 

サスケはマダラを軽く小突くと、うちはの代表として現れたヒカクのことを尋ねた。

 

「? ……サスケは知らないか。耳を貸せ」

 

サスケがマダラを小突いたのをよく思わなかったヒカクが口をきつく結んだ表情でサスケを見遣る。

ヒカクのサスケを見る疑いの目もそうだが、それに負けず劣らずサスケも怪訝な表情でヒカクを見返した。マダラ達は互いに知っているからこそ話が進んでいるが、サスケは柱間のことも急に増えたうちはの人間だというヒカクの事も知らない。

柱間がヒカクに話しかけた。今のうちだと、マダラはサスケに説明しようとしてハッとする。

 

「アイツは……」

「……?」

 

サスケがまだかとマダラに目配せする。マダラはというと、サスケの耳元に手を当てながらあることを思っていた。

 

(そういえばサスケは俺のこともそうだが、柱間の名前にも反応していない……まさか、歴代火影の名前を覚えていない……? さすがに……だがな……いや、アカデミーでの評判は所詮ただの学績からにしかすぎん)

 

もしやと、マダラはどう説明するか頭を悩ませてしまった。

おそらく興味がない事はあまり記憶に残っていないだけなのだろう。

実際サスケはマダラが『タジマ』という人物ではないことに気付いているのだが、マダラはサスケが自身の正体を知らないのではといまだに思っていた。このまま「ヒカクは俺の側近だった男だ」と言ったところで、果たしてサスケは理解できるだろうかと不安に思った。

 

「……」

「おっさん? 早くなんか言えよ」

「サスケ……まあいいか。ヒカクだが、アイツは俺の側近だった」

「……側近? おっさんの?」

 

何でとサスケが首を小さく傾げる。

 

「サスケ。ここに来て今更なんだが……何か聞きたいこととかないのか」

「は?……いや別に」

「……。それはそれでどうだか……例えば俺が何と呼ばれていたのかも」

「……? あ。おっさんのことはイズナの奴の件で知った。で、あの男が側近だったって?」

「……」

 

サスケはだからなんだと言いたげな顔である。

知っていたかと、マダラはやれやれと頭を振った。道理でイズナがサスケ達の記憶を消したがった訳だと。

 

「俺のことはどれくらい知っている?」

「……実はアイツの兄弟で、族長やってたってことくらいなら」

「……」

「な、なんだよ」

 

サスケも大まかだが、何となくは知っているようだ。それ以外にももっと知っておくべきことはありそうだが。マダラはナルトが使っていたアカデミーの教材を見たことがあるが、里の歴史に関してさてはその内容のほとんどを忘れているなとマダラは確信する。

程なくし、柱間が首を動かしてマダラ達の様子を伺うような動きをし始めた。

 

「……おおーいマダラァ、もう良いかー?」

「……後で説明する。柱間、まとまったか?」

「ああ。ではマダラとサスケについてはそちらに任せようぞ」

「ええ。さあ、参りましょうか」

 

マダラとサスケの身柄だが、うちはで預かることに決めたらしい。サスケはともかく、マダラはうちは地区へ行くのが無難だろう。歓迎されようがされまいが元の場所には一旦帰還すべきだ。

去り際柱間がマダラに告げた。

 

「マダラ、お前が戻った事については扉間にも報告しておこう。あの術が正しく動いた事もな」

「……」

 

柱間の声掛けにマダラは応えなかった。柱間はマダラ達が見えなくなるまでその背中を見送った。

 

ヒカクに連れられ、マダラはサスケと共に久方振りに元の時代のうちは地区へと足を踏み入れることとなった。

 

 

 

うちは地区に戻ったマダラ達は早速注目を浴びることとなった。

四年も姿を消していた族長がいきなり帰って来たとなれば騒ぎにもなろう。幼い子ども達はともかく、出陣経験のある大人達の反応は三者三様であった。帰りを喜ぶ様子を見せる者やぽかんと眺めるだけの者、他にも驚き固まる者もいれば様々だった。

マダラが注目の的になると同時にサスケも皆の視界には入る。ヒソヒソとあの子どもは誰だと囁かれるのが聞こえた。

 

(嫌な空気だ……おっさんがやっと帰って来たってのに、どいつも遠巻きに見てるだけだ)

 

サスケは見られる事よりも、周囲の反応のせいで居心地が悪かった。

 

大きな屋敷に通されると、サスケはマダラとは違う部屋に押し込められた。

許可があるまで厠以外の場所への出入りは禁止である事を言いつけられる。

六畳程度の床間がある部屋には家具は特になく、押し入れを開けてみても何も入っていなかった。

サスケは静かな部屋で一人になると、途端寒気がして来た。

 

(……おっさんがいるとはいえ、これからどうなるんだ)

 

イズナを追いかけたところ、こんな時代に来てしまった。

元々マダラがいた時代らしいが、イズナの一件がなければマダラもいつ戻るかわからなかったのではないだろうか。戻るのにかかった時間は四年。マダラが戻れたのも偶然にすぎないのだろう。

 

「おっさんて……偉かったんだな」

 

マダラの正体を知ってからもサスケの態度は変わらなかった。族長をやっていただろうが何だろうが、サスケにとってのマダラはナルトの同居人のままだ。そう思っているからこそ、いざ他人から敬称で呼ばれているのを見るとむず痒かった。

 

(だってな……団子屋のおっさんだぞ……)

 

サスケは壁にもたれながら座り込んだ。部屋を出るなと言われたからには大人しくしているしかない。勝手にうろついては、マダラにも迷惑が掛かる。

 

「……ナルト、サクラ」

 

ナルトはあの後どうなったのだろう。きっとあの場所にはカカシが残っている。里に帰っただろうか。

 

(……どうにかして戻らねぇと)

 

すぐに戻る方法は見当がつかないが、マダラがナルトの元に現れたようにいつかあの時代へと繋がり帰れる可能性はある。

サスケは両腕を抱え込むと、跡が付く程強く手を握った。

 

 

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