菜花黄名子を曇らせたい!   作:わらしべいべー

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クソッタレ課題レポートを討伐して来ました。


【前回のあらすじ】
・あどけない子供を甘言で誘惑する男!ラビットマッ!!
・剣城、白龍「「ゆ友情パパワー!!」」
・フェイくん所持権大戦in慶応!






びっぐ

 

 

 

 

 

 

 少女は気がついた頃にはここにいた。

 

 四方が白で囲まれた無機質な教室。目の前の机には簡易的なディスプレイが置いてあるだけの空間で彼女は幼少期を過ごした。いや、恐らくルートエージェント全員がそうだろう。

 

 なぜならルートエージェントとなる子供はほぼ全員が捨て子か、両親が死去したことなどにより身寄りがなくなった子どもだからだ。エルドラドがそんな子供を集めて、将来を用意するという名目で自らの私兵にする。それがルートエージェントの正体だ。

 彼女は名もつけられず親に捨てられ、エルドラドに保護された幼子だった。

 

 エージェントが任される仕事は多岐に渡り、優れた実力と対応力が求められる。なので彼女たちは常により優秀な能力を求められ、競わされた。

 個体名を呼ばれる際は姓名ではなく、決められた数字のコードで。そして行われる地獄のような訓練の毎日。

 あらゆる勉学、あらゆるスポーツ、戦闘技能。特に特別なエネルギーを発生させることのできるサッカーは注力的に競争の対象になった。

 

 彼女は才能に溢れていた。

 飛び抜けた戦闘能力と高い勉学能力、そして何よりサッカーの才に恵まれていた。

 そんな彼女に優秀な3名にしか与えられないエージェントコード『ベータ』の名を与えられるのは自然なことだった。ここで彼女は初めて明確な名前を得た。

 

 ベータに友はいなかった。

 その高圧かつ傲慢な態度をとる人間に好んでついていく人間は少ない。しかしベータにとってはエージェントコードを持つ者以外は全て下。弱いに奴らが勝手に吠えているだけだと特別気にしたことはなかった。

 しかし一部例外なエージェントもいた。

 

「ねーねー、ベータ?」

 

「……また貴女?えーっと、名前なんだっけ?」

 

「オルカよ、オルカ!本当他人に興味無いのね貴女…」

 

「私より下の子たちに気を向けたって仕方ないじゃないですかぁ。それに貴女もいい加減しつこいですよー?事あるごとにペラペラ話しかけて…これ以上ウザ絡みされると、私足が滑っちゃうかも☆」

 

「ちょ、やめてよー。私はただベータと友達になりに来ただけだって!」

 

「…はぁー?友達ィ??頭沸いてるんですか貴女」

 

「流石にその言い草は酷くない!?私は本気なんだけど!」

 

「はいはい、私他人と馴れ合うとか嫌いなんですよねぇ。鬱陶しいので早く彼方まで行ってください」

 

「いいじゃん!なんかすごい寂しそうにしてたから放っとけなくなっちゃったんだもん」

 

「私が寂しそう…?眼球腐っちゃってるんじゃないですか?担当の方に医者を呼んでもらっては。プレーに支障を来たすかもしれないので」

 

「罵倒がさらに酷く…。と、兎に角!実践的な話をすれば、団体行動の時に気楽に連絡を取れる仲間がいるのは大事だよ!ほら、仮に敵を倒す時にだって気の置けない仲間がいたら楽に仕事が終わるでしょ?」

 

「む…」

 

 確かにそれは魅力的だ。基本的にルートエージェントは多忙だが、速やかに任務をこなせば、有給休暇を取れることもよくある。

 オルカも決して落第生徒というわけではない、むしろ優秀な部類だろう。まぁ、自分の時間が得られるのなら、仕事のバディ的存在は必要だろう。

 

「……ま、少しの間だけなら良いですよ。飽きたら捨てるんで」

 

「それ公言しちゃうの!?」

 

 そこから始まった2人の友人関係。

 一緒に任務に行って派手に相手の拠点を爆破させて上司に仲良く説教されたり、ベータの休暇に勝手にオルカが乱入してゆったりプランを台無しにされたり、ちょっとした喧嘩をしてはふとしたことで仲直りしたり、遊園地に行って今を満喫したり…。いつの間にかオルカはベータにとってなくてはならない存在になっていた。

 

 遊園地の帰り道、夕陽を横目に2人は帰路に着いている。

 

「はぁー、楽しかった!」

 

「そうですね〜、特にあのパレードで兎の着ぐるみさんの顔が落ちたのはケッサクでした。素晴らしい余興だったわねぇ」

 

「あれはただのトラブルだよ!?本当、いい性格なんだから…」

 

「ふふっ…」

 

 ふとベータは手に持っているキーホルダーを見る。ここの遊園地のマスコットである青色のウサギの人形がつけられたキーホルダー。ベータが記念に買ったものだ。

 

「ねぇ、ベータ。また来ようね」

 

「……ま、考えておきますよ」

 

「そう言って〜、最後には私のために折れてくれるんでしょ?」

 

「自惚れないでくださいね。オルカには明日からきっちりと私の給金を上げるために働いてもらうのでー」

 

「あはは、じゃあ私も頑張らないとなぁ。早くベータと同じくらい強くなれるように」

 

「……ま、せいぜい頑張ってくださいね。無理だと思うけど」

 

「なにをー?決めた、絶対ベータに追いついてやるんだからね!絶対!約束!」

 

「それは約束するものなの?オルカが勝手に頑張れば良いことじゃない」

 

「そうかもしれないけど、約束ってことにしたら絶対やってやるって思えるじゃん。だから約束。ほら指切りげんまん」

 

「えぇ、なんでそんな旧時代的なこと…」

 

「いいからほら!」

 

「ああもう!腕を引っ張らないで!」

 

「えへへ、約束だからね!」

 

 

 

 

 

 

 ***

 

 

 

 

 

 

 

「………」

 

 目が覚めた。

 

 眼前には満天の星空が広がっている。

 しかし寝起きは最悪だ。地面のマットレスは寝心地星1違いなしだろう。

 そんな最悪の気分の中、ゆっくりと身体を起こそうとして…、全く自分の身体が動かないことに気がついた。

 

(……あんなに走れば当然か…)

 

 雷門の一行から離れてから、ベータはひたすらに歩いて走って走って歩いてを続け、そして体力尽きて倒れ、こうして崩れるように眠っていた。

 

 当然この時代ではベータのような人間種を捕食する恐竜が蔓延っている。本来であれば論外レベルの危険行為だが、彼女は幸運なことに夜になるまで特別肉食動物には見つかっていなかった。

 しかし、そんなことがどうでも良くなるくらいにはベータは自棄になっていた。今の情けない自分をどこかに消し去ってしまいたかった。なので、喰われてしまうのならば、それはそれで良いと思っていた。

 

(まぁ、どの道私は長くないと思いますけど…)

 

 自身を蝕む激しい空腹感と、喉の渇き。

 1日以上も飲まず食わずでここまで歩き続けたのだ。当然の結果。もはや腕の一つもまともに動かすことは叶わない。

 かつてのエージェントとしての姿は見る影もない。ベータの心は連続して起こった悲劇と己への失望で完全に生きる機能を停止していた。

 もはや消えてしまいたいとすら思っていたその時、地面をする音が聞こえる。

 

「きゅう」

 

 そして聞こえる声。明らかに人のものではない。

 かろうじて動く頭を擦り音のした方へ向けると、そこには恐竜がいた。ここで見てきたものと比べると比較的小型だ。しかしその口の合間からは鋭い牙が見え隠れしていることから、肉食類だと言うことが伺える。

 ベータは自らの運命を悟る。自分はこの恐竜に食われて死ぬのだ。

 

「……あははっ、私もここまでってことね」

 

「きゅう」

 

「……殺したいなら殺しなさいよ。私は動けない唯の餌なんだから、あはははっ」

 

「きゅうー?」

 

 しかし恐竜は一向にベータに襲いかかる様子はない。ただずっとこちらを興味深そうに観察している。

 

「……何よ」

 

「きゃうぅ!」

 

 何を言っているのかは全くわからないが、こちらを襲う気は無いということだろうか。

 それにしても、こんな状況でまともに死ぬことすらできないとは、己の悪運にはいい加減飽き飽きする。

 しかもこの恐竜、全くここから離れようとしない。いい加減鬱陶しくなってくる。

 

「…何もしないならどこかに行ってくれませんかね。メイワクなんで」

 

「きゃうー?」

 

 …当然ではあるが言語は理解できていない。恐竜相手に言っても無駄なことを口走るとは、相当自分の頭はやられているらしいと自嘲する。

 その時、自身の頬に生暖かいざらりとした感触が走った。

 

「きゃっ!?」

 

「ぎゃーう!」

 

(こ、コイツ舐めてきやがった…!)

 

 味見のつもりか何か知らないが、なんとも不快な気分だ。こんな様でなければ蹴りの一発入れてやったものを…。

 しかし体が動かないこの状況では叶わぬことである。

 

「……はぁ、本当…サイアク…」

 

「きゅあー…きゃう!」

 

「きゃっ!?ちょ、ちょっと今度は何するのよ!」

 

 恐竜はベータの服を口で摘み、そのまま走り始めた。

 どこかへ連れていく気だろうか。恐竜に収集癖があるのかは知らないが、餌でも溜め込む気なのだろう。つまり死期が短くなっただけだと言うこと。

 

(…本当さっさと一思いに殺して欲しいわ)

 

 干された洗濯物のような不態な格好で、ベータは何の意味もない明日を憂いた。

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 ーー

 ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーい、3人ともご飯できたよー!」

 

「ガウルルルル!!」

 

「ぎゃうぎゃーう!」

 

「……………」

 

 サバンナかのような強い日差しあたる大地の中、青木な岩がいくつも集まる場所。程よく吹き抜ける風に混じって、強く香ばしい匂いが突き抜ける。

 岩場の日陰。無骨だが綺麗な平の形をしている岩にどかどかと食事が置かれていく。皆、肉を最低限の加工で丸焼きにした豪快な料理だ。どしんどしんと地を揺らすような揺れが響く。

 岩場に現れたのはティラノザウルス。しかし巨大だ。大型の草食恐竜もかくやと言わんばかりの巨体。その顔つき、そして青を基調とした体色。まさに王者と言わんばかり。そしてそんなティラノザウルスの足元で跳ねている小さな恐竜。同じくティラノザウルス。体色が同じことから親子だろうか。

 

「はい召し上がれ。今日は自信作なんだよー。焼き加減がレアなんだ!」

 

「ガルウルウル!」

 

「ぎょうぎょー!」

 

 2頭は焼かれた肉を喰らい始める。さすがティラノザウルス。豪快な食いっぷりだ。見ているこちらの腹も減るというもの。

 

「うんうん、喜んでもらえたなら何よりだよ。さて、僕らも食べよっか!ベータちゃん!」

 

「………」

 

「あれ、どうしたの。お腹減ってない?」

 

 ベータは絶賛混乱中だった。

 結局運ばれている途中に疲労で気を失った彼女。しかし目を覚ましてみればどうしたことか、何故か膝枕をしていたフェイ・ルーン、現れる厳つい顔をした洒落にならないサイズの恐竜、そして問答無用で岩のテーブルの前に座らされる自分。今に至るまでの三分間、まだ彼女のハイスペックブレインは情報を処理しきれていなかった。

 

「………とりあえず、ここは何処ですか」

 

「このデッカいティラノザウルス、ロックスターの巣だよ。ね」

 

「グルルルル」

 

 ここ一帯はこのロックスターのナワバリだ。なので下手に他の恐竜はここに入り込んでこない。

 ロックスターはベータのことを一瞥するが、特別襲いかかってくる様子はない。つまり彼が襲いかかってこないこの場所は、一種の安全地帯なのだ。

 

「…じゃあそのナワバリとやらにどうして貴方がここにいるのよ、フェイ・ルーン」

 

「そりゃ、ベータちゃんを探しに来たからに決まってるよ。みんな心配してたんだから」

 

「…そうですか」

 

 話を聞くに、どうやらフェイはベータを探している途中にこのロックスターと出会い、紆余曲折あって意気投合したらしい。そうしてここを拠点に捜索していた頃に、ロックスターの子供であるビッグがベータを連れて帰ってきたのだ。今日のこの食事はそのお礼なのだと言う。

 

「ぎゃうぎゃーう!」

 

「コラ、食事中は声を出したらダメだよ!…ま、とりあえず食べようよ。ベータちゃんには消化の良いものを出してるからさ。ご飯は逃げないし、話はその後ゆっくりね」

 

「……」

 

 目の前に出された少しの具材が入ったスープ。不思議とこれまで食べてきたどの料理よりも美味しそうに見えた。腹の虫が鳴る。

 生きる気力は無くとも、身体は正直なようだ。置いてあるスプーンを手に取って、そのままスープを食べ始めた。

 

 

 

 

 

 ●●●

 

 

 

 

 

 

「…わかった、ありがとうフェイ。また何かあったら教えてくれ」

 

 三国は通信を切る。

 

「皆んな、フェイがベータを見つけてくれたようだ。彼女の体調が元に戻り次第戻ってくるらしい」

 

 その言葉に雷門の面々は安堵する。

 突然自分たちの前から姿を消してしまったベータ。気がついた頃には影も形も無く、フェイが来るまでは完全に途方に暮れていた。

 かつての敵だったとはいえ、ほんの少しだが行動を共にした仲間。恐竜の腹に収まると言うのは後味が悪いにも程がある。

 ひとまずは最悪の事態は避けられたことに安心の声をあげる。

 

「よ、良かったぁ。ミイラにでもなっていたらどうしようかと…」

 

「こんな暑さだからね。でもフェイがいるなら安心だよ!」

 

「……なんか映像の後ろで滅茶苦茶でかいティラノザウルスがいたのは気のせいなんですかね」

 

「おー?何ださっきのは!?空に絵が出てきたぞ!」

 

「あ、トーブくん」

 

 一際興奮気味な声を張り上げるのは、三国たちとは違い、動物の毛皮で作られた簡易的な衣服を観に纏った少年だ。

 彼はトーブ。三国たちがこの時代を探索している時に出会った現地民である。複数の恐竜と友好的な関係を築いており、今日この日まで安全に過ごせたのも彼のおかげだ。

 まぁそもそもこの時代にはまだ人間種は存在しないはずだが……、今の現状三国たちだけでは何もわからないので、考えることはやめにしている。伝聞と現実が必ずしも一致しないことは孔明で立証済みなのだから。

 

「彼ちょっと好奇心が旺盛すぎるっス…」

 

「す、ストロウ君…お疲れ様…」

 

「頭のストローがぐちゃぐちゃっスよ…、これセット大変なのに…」

 

 気怠そうに声を漏らす赤髪の少年。彼はストロウ。

 言わずもがなフェイのデュプリの1人である。彼はフェイの頼みで雷門を助けに来たという体で彼らに接触、生活の支援をしていた。

 今ではすっかりその髪型に興味を持ったトーブの玩具である。

 

「あ、三国先輩、通信機鳴ってますよ」

 

「ん、またフェイか?」

 

「…いえ、これはキャラバンから?」

 

 この時代には無いキャラバンの通信が何故?取り敢えず三国は通信に応答する。すると映像が機器が反応して、空中に白衣を着た老人が映し出された。

 

『おお、やっと繋がったわい』

 

「貴方は確か…アルノ博士!」

 

『ウム、キャラバンの通信機器が直ったからこちらから掛けてみたのじゃ。ひとまず無事なようで何よりじゃよ。…しかし白亜紀とは、また奇怪なところに飛ばしたのうUSAGIの奴は』

 

「やはりこの状況はUSAGIの…」

 

『ウム、しかし彼奴があのような芸当ができるとは、正直度肝を抜かれたぞ。いくら超能力でもあのような事はできんからな。あの芸当を成すにはもっと別の要因があると思うのだが…』

 

 USAGIの行った時空への干渉は、明らかにセカンドステージ・チルドレンが扱える能力を逸脱している。何かしらのタネがあるとアルノ博士は考えているようだ。

 

『…と、すまん話が脱線してもうたわ。それで、そっちはどうだ?帰る手立てはあるのかね」

 

「はい、フェイが持ってきたタイムマシンがあるので。ですが他のみんなが何処にいるのか…」

 

『フェイが…?まぁ良い、お前さんら以外は皆ワシと同じ時代におるわ。待っとれ、今座標を送る』

 

 デバイスに座標のデータが送られる。このデータ通りにいけば、晴れて全員集合というわけだ。全員が安堵の感情を露わにする。

 

『おおそうじゃ。おそらくそちらにパーフェクト・カスケイドが向かった。今すぐの帰還をお勧めするぞ』

 

「パーフェクト・カスケイド?」

 

『エルドラドの最高戦力チームじゃよ。プロトコル・オメガとは比較にもならん強さを持っておる。ワシのいる時代にはフェーダの干渉が入っておるから入り込みは不可能だったのじゃろう。そちらの白亜紀に狙いを定めたようじゃ』

 

「うえぇ…、そんなおっかない奴らが来てるの?」

 

「ちょっと待ってください!そっちの時代にはフェーダが来てるんですか!?」

 

『ウム、今はお主らの仲間とドンパチやり合っとるぞ』

 

「な、なんてことだ…」

 

 どうやら帰りは急を要するらしい。こちらの時代にやってくるエルドラドの最高戦力。そして向こうの時代に襲来したフェーダ。とんだ挟み撃ちだ。

 

『さてタイムマシンの修理もあるからそろそろ切るぞい……と言いたいが、ここでお主らには言わなければならないことがある』

 

「言わないといけないこと?」

 

『ウム、お主らは今後エルドラドではなく、フェーダと本格的な敵対をすることになるじゃろう。その上ではきちんと理解してもらわなければならんことじゃ』

 

「……」

 

『良いか、落ち着いて聞け』

 

 普段とは違う積み重ねを感じる厳かな雰囲気に三国たちは思わず口を閉じる。アルノ博士は一拍息を置き、事実を述べた。

 

『フェイ・ルーンはセカンドステージ・チルドレン。つまりフェーダの一員じゃ』

 

「……え?」

 

 その事実に全員が言葉を失う。フェイがフェーダの一員。それはつまりフェイが自分たちの敵であることに他ならなかった。

 真っ先に声を上げたのは信助だった。

 

「何言ってるんですか!!そんなわけないよ!フェイが…フェイが敵なんて!!」

 

『フェイがセカンドステージ・チルドレンなのはデータ上しっかりと証明されている事実じゃ。フェーダの所属データにも彼奴の姿はしっかりと残っておる』

 

「…でもッ!それでも信じられないよ、フェイが、あのUSAGIの仲間なんて…!」

 

『……』

 

 信助の慟哭と共にアルノ博士の脳裏に蘇るのは、初めてフェイと出会った記憶。

 ある日自分の秘密のラボに突然現れた少年。その時は驚いた。アルノ博士は知人であるアスレイに息子のフェイの捜索を頼まれていた。なかなか見つからないと手を焼いていたが、まさかその探し人が直接自分のラボの玄関を開けるなど一体どう予想すれば良いのか。

 少年は言った。自分はフェーダの企みを止めたいと。友人の暴挙を止めてこの世界で自由に過ごせるようにしたいと。

 少年の目は本気だった。組織の目を盗んで、自分の秘密のラボまで見つけ出して、態々ここまで来た。フェーダと理解していても、彼を追い返すことをアルノ博士はできなかった。

 

 少年は純朴だった。話に聞いていた凶暴なセカンドステージ・チルドレンとはまさに真逆の性格。純粋にボールで遊び、ラボにある過去の試合記録を見たり、タイムマシンの技術に興味津々だったり、自分の作ったクマのアンドロイドと交友関係を築いたり、年相応の姿を見せた。アスレイには悪いが、正直あまり似ていなかった。

 アルノ博士は少年を信用することにした。彼ならばきっとエルドラドが行おうとしている凶行にもきっと対抗しうると信じて。

 

『落ち着けい。…確かにフェーダに所属しとるとは言ったが、敵であるとは一言も言っとらんわい』

 

「…えっ?」

 

『彼奴の目的はフェーダの解放。未来でのセカンドステージ・チルドレンの凶行を止めることにある』

 

「…待ってくれ、じゃあフェイはどうして俺たちのところに?」

 

『彼奴には共に戦う味方がおらん。フェーダを倒しうる可能性のある存在を信じてお主らに接触したのじゃろう』

 

 本来はフェイがもっと早くにこの事実を告白するつもりだったらしいが、突然起きたトラブルの連続。これ以上知らぬままフェーダに接触するのは危険と判断したアルノ博士が独断で告白したのだ。

 

「じゃあフェイは…!」

 

『ウム、これまで通りお主らの味方じゃ』

 

「よ、よかったぁ…」

 

『詳しい事は本人に聞くが良い。…落ち着いた時に全てを話してくれる』

 

「はいっ!ありがとうございます!」

 

 元気に喜色を出しながら返事をする信助。他の全員もフェイに悪感情を持っている様子はなさそうだ。

 アルノ博士は一先ず今後のフェイの誤解は解けるだろうと息を落とす。

 

(とは言っても、彼奴にはまだまだ謎が多い。…彼奴が自覚しているかどうかわからん部分も含めてな…)

 

 そもそもの話、フェイ・ルーンの身体自体が何処か妙なのだ。

 まず、人には必ずオーラと呼ばれるものがある。オーラは人のエネルギーそのものであり、必殺技や化身の源だ。その人特有のオーラを他人と混ぜ合わせるのがミキシマックスなのだが、当然だがオーラは十人十色。逆を言えばその人にはその人の体に合ったオーラが現れる。薪に火が灯るように。

 しかし、フェイの場合は全く違った。フェイのオーラはまるで肉体と一致していないのだ。まるで氷から火が出ているかのような不可思議な状態。肉体の色と魂の色が一致していないとでも言えば良いのだろうか。あまりのそのチグハグさに当時は頭を抱えたものだ。

 

(何よりあのオーラの強さ。…偉人でもここまでの濃さと強さはなかったぞ)

 

 オーラの強さは意志や人間性の強さに直結する。それほどまでにフェイの皆を救いたいと言う覚悟は極まっている事なのだろうか。

 

(しかしそれにしては随分と何か…誤魔化されているかのような感じがするの…)

 

 意志は強いのにオーラの在り方は曖昧。肉体とのチグハグさと言い、フェイの体にはもっと何か秘密があるのかもしれない。

 

(…ま、この一件が無事に終わればフェイに頼んで研究させてもらおうかのう。ホッホッホ)

 

 自らの知らない未知に期待を膨らませながらアルノ博士は三国たちとの通信を切った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ●●●

 

 

 

 

 

 

 

 

「…はぁ」

 

 白亜紀に来て2日目の夜。相変わらず人工灯が無いからか、よく夜空が見える。無駄に大きな月を見上げながら、ベータはため息をついた。

 

(……無駄に美味しかったな、アイツのご飯)

 

 あの後フェイがどこからか用意した食事をたらふく食べた。ベータも生き物だ。三大欲求には逆らえない。しかも他にも生活に必要な備品も大量に持ってきていた。それこそ普段生活に困らない程度には。

 笑顔で持ってきたものを自慢げに説明するフェイの姿が頭に浮かぶ。

 

(…これじゃあ死ぬに死ねないじゃないですか)

 

 昨日までは死にたい死にたいなどと悲劇ぶっていたのに、今はそんな考えのカケラすら思い至らない。

 

(……まぁ、情けなさはそのままですけど)

 

 生きたところでこれからベータにこれからどうするかを決める気力は無い。

 そう、今のベータは無気力だった。プライドもモチベーションも全て砕かれ、何を成そうともできないデク人形。彼女は自分がこれからどうすれば良いのかが全くわからなかった。

 

「ぎゃうー?」

 

「待って待って…ってあれ、ベータちゃん」

 

 岩場の影からあの恐竜とフェイが現れた。恐竜はベータの下に駆け寄って来る。またベロリベロリと顔を舐められて気分は最悪になる。

 腹が立って無理矢理引き剥がそうとするが、全く離れない。

 

「随分懐かれたね。はいタオル」

 

「……懐かれたようなことした覚え無いんですけど」

 

「美人好きなんじゃない?ベータちゃん美人だし」

 

「…とりあえずそのちゃん付け、やめてほしいんですけど」

 

「あはは、ごめんごめん。癖になったから無理かな」

 

「……」

 

 なんだかんだでベータはフェイに対して悪い印象は持っていなかった。

 ご覧の通り時折腹の立つことこそして来るが、作る食事は美味しいし、何かと世話焼きだ。雷門にいた時も甲斐甲斐しく食事を作ったり話を聞いてくれたりと、ベータとしては決して悪い気分では無かった。

 だからこそ不思議だった。己は敵である。ましてや雷門のメンバーにとっては大事なものをいくつも奪った怨敵。それをこうして付きっきりでいてくれて、挙げ句の果てには白亜紀まで態々駆けつける始末だ。そんな自分にどうしてそこまで尽くすのか。ここまで来ると一周回って不気味である。

 そんなフェイは駆け寄ってくるビッグを撫で回している。

 

「おー、よしよし。お前は可愛いねビッグくんよ〜」

 

「ビッグって…勝手に名前つけたんですか」

 

「いや、壁に書いてあったんだよねー。あのおっきいのがロックスターでその子供がビッグくんだって」

 

「…この時代に言語がある時点でタイムパラドックスが起きかねないのだけど。なんですか、私たち以外に人間種がいるとでも?」

 

「いたらいたで保護すれば良いさ。一応それもルートエージェントの役目なんでしょ?」

 

「……もう私はルートエージェントでもなんでもないですよ」

 

 ベータは疲れてしまっていた。

 持ち得るもの全てを砕かれ、彼女は今失意のどん底にいる。完全な無気力状態。何を成す気力もベータには残っていなかった。

 

「…ベータちゃんはさ、まだ友達を取り返したい?」

 

「…………」

 

 無言。ベータは諦観の底にいるような表情で押し黙る。

 

「……このままだと、本当に攫われた友達は碌な目に遭わない。断言するよ」

 

 あのフェーダだ。旧人類であるオルカが非人道的な扱いをされていることは目に見えている。しかしそう考えても尚、ベータの身体は動かない。

 

「……私なんかが動かなくてもフェーダの件は解決する。だって貴方たちがどうにかするんでしょう?」

 

「……」

 

 雷門はこれまで何度も限界と言う限界を超えてきた。たった数日でベータたちを倒せるくらいには急激な成長。そしてあの時、実力では及ばなくともUSAGIに全員で喰らい付いた果敢さ。

 彼らの眩しさがあれば最早自分がなにを動いたところで無意味極まりない。ベータはそう思っていた。

 そんな心情を察したのか、フェイは小さく嘆息して、優しげな笑みを浮かべてベータに言葉をかける。

 

「ねぇベータちゃん」

 

「なんですか、と言うか良い加減そのちゃん付けをやめて───」

 

「僕さ、セカンドステージ・チルドレンなんだよね」

 

「………………」

 

 突然の告白にベータは完全に固まる。

 数秒の沈黙の後に、溜め込んだものを吐き出すような声が出る。

 

「はっ?」

 

「ずっと前からフェーダに所属してて主にエルドラド襲撃の補佐をしていた」

 

「おい…」

 

「8歳の時かな、リーダーのSARUと一緒にフェーダを設立した」

 

「おい待て!」

 

「でも正直超能力はあまり強い方じゃなくてね。実践部隊からは離されちゃってるんだ」

 

「待て!!」

 

「だから今回サッカー抹消を防ぐためにこうして雷門に取り入ってここまで来た」

 

「待てって言ってるだろうがッ!!!!」

 

 全力の怒声がその場に響き渡る。ビッグは驚いて岩場に隠れた。

 ベータは冷や汗を流しながら肩で息をしている。その顔は焦燥に染まっていた。

 

「どう、いうことだ」

 

「言葉のままの意味だよ」

 

 それ以上フェイは何も語らない。それ以上は不要と言わんばかりに。

 

「……冗談にしてもタチが悪いわ。貴方がフェーダ?そんな証拠が何処にあるって言うのよ!」

 

「……」

 

 何も言わずにフェイは近くの岩に手をかざす。フェイの背よりも何倍も大きな岩だ。彼が空を掴むような所作をすると、岩が重力に反して浮き上がった。

 ベータは瞠目する。あれは紛れもなくセカンドステージ・チルドレンが使用する念動力。フェイは暫く岩を空で弄んだ後、元の場所に戻した。

 信じたくないと言いたげな表情で言葉を詰まらせるベータ。理由のわからない焦りとショックが彼女を襲う。そんな彼女を見てフェイは小さく微笑んで話しかける。

 

「……よかったね」

 

「…は?」

 

 よかった?何がだよ。

 

「僕はフェーダだ。僕を問い詰めれば、あるいは人質に使えば、君の友達も取り返せるかもしれないよ」

 

「…!!!」

 

 そうだ、確かに。

 コイツはフェーダ。内部の情報ならたんまり持っている事だろう。人質に使ったり、内部分裂を行わせるために逆スパイとして送り込んだり、打てる手段は無数だ。そうすればオルカが取り戻せるかもしれない。ベータの中でドロリとした執着の炎が再燃する。

 しかしそんな想いに反してベータの体は動かなかった。理由はわからない。

 

(…なに、なんなの、どうすれば良いの?)

 

 ベータは混乱していた。

 自分の中でも理解できない感情が飛来している。

 フェイの顔を見る。相も変わらず優しげな腹の立つ笑みを浮かべている。彼が敵。セカンドステージ・チルドレン。いずれ抹殺する敵。…そう考えるとますます目の前が暗くなっていく。

 

(…ま、まさか、私はこのフェイ・ルーンが敵だったことを認めたくない…!?)

 

 ベータは自分の中で、フェイという存在が想像以上に大きかったことを自覚した。

 雷門に拾われてから常に自分の隣にいてくれた彼。一見おっとりしているが、意外と行動的で熱血な彼。自分が嫌味を言っても、自暴自棄に感情をぶつけた時にも、嫌な顔ひとつせずにそばにいた彼。

 

「ハァーッ、ハァーッ…!」

 

 呼吸が荒くなる。

 エルドラドに刷り込まれたセカンドステージ・チルドレンを排除しようとする自分と、フェイのことを大事に思っている自分がぶつかり合って心がぐちゃぐちゃにかき混ぜられる。眩暈がする。心が許容量を超えてひどく気分が悪い。

 

 吐き出さなければ。何処かに。何か形にしてぶつけなければ。

 

「…あっ、あぁ、あ"あ"あ"あ"!!!」

 

「うぐッ!」

 

 ベータはフェイに襲い掛かり、思いっきり押し倒す。彼女は完全な恐慌状態になっていた。

 馬乗りになって、その細い首を力いっぱい絞めつける。思ったより首は硬かった。セカンドステージ・チルドレンだからだろうか。

 

「ウグ…、ア…!」

 

「ヴヴヴ…!」

 

 力を入れた両の手は確実にフェイの命の灯火を奪っていく。ぼやけるフェイの視界。今、フェイの命が終わろうとして───、

 

「───アハッ」

 

「ッ!!!?」

 

 ベータは弾かれるようにその場から飛び退く。あまりに慌てていたからか、飛び退いた先で尻餅をついた。

 

「ゲホッ、ゲホッ!!」

 

「……あ、ぇ、私…」

 

 ベータは信じられないような表情で自分の両の手を見る。

 どうやら正気に戻ったらしい。落ち着いたフェイは喉を抑えながら再びベータを見やる。その目はいまだに優しげだった。

 

「…ッ!」

 

 感情を処理しきれなくなったベータはその場から走り去ってしまった。フェイはその場に1人になる。

 

「………ゴホッ、ゴホッ!」

 

 ベータには発信機をつけてある。何処か遠くに行ってもすぐに見つかるだろう。

 今は落ち着く時間が必要だ。時に時間がものを解決する時もある。

 

「…はぁ」

 

 フェイはゆっくりと空を見上げる。空には大きな巨大な満月がある。向こうの時代のスーパームーンなど比にならない大きさだ。

 

 黄名子と食べた団子にそっくりだ。

 その手のひらにベットリと着いた血を拭き取りながら、月見に興じるために適当に寝転がった。

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 あっはっはっはっは!!いやー死ぬかと思ったわー!

 

 まさか首を絞められるとは、追い詰められた人間は何するかわかったもんじゃねーな!ま、それくらいベータちゃんがワタクシのことを想ってくれてたってことで、大きな収穫としましょう!クク、好感度は無事に稼げてたようですな。

 

 …ま、でもぶっちゃけあそこで死んでもよかったんだけどね。そりゃ今後にもやりたいことは勿論色々あるけど、ここでの僕の死にエンドの結末もそれはそれで見たい。

 

 何より!再会を約束して別れた黄名子ちゃんの、圧倒的曇り顔!!再会した時には息子は物言わぬ屍になってましたー。黄名子ちゃんは曇る!最高!そしてその感情はきっとベータちゃんに向く!殺意の波動に目覚める黄名子ちゃん!最高!でも根が優しいから恨みきれない!どうすれば良いかわからず吐き気と眩暈に見舞われながら自室に引き篭もっちゃう黄名子ちゃん!!最高ッ!!!

 ほほぉ、ニヤニヤが、止まらないんだよねぇ!!!ギャギャギャギャギャ!!!

 

 ふぅー……。さて、一先ずベータちゃんは一旦気持ちの整理のために逃げ仰せた。一見ディスコミュニケーションに見えるが、実はこれでよろしいのだ。

 ベータちゃんに必要なのはズバリ成長イベントである。ベータちゃんの根本的な心の問題を解決して成長させることが今回の狙いであり、最難関のミッションと言っても良い。現在ベータちゃんは何もかもを失った未亡人みたいな雰囲気出してるからね。あれで雷門と一緒に戦うのは無理あるわけなのだ。まぁそれもこれも儂がやる気出しすぎちゃったせいなんだけどね。てへっ★

 ま、要するに、粉微塵に打ち砕かれたベータちゃんのプライドと意志の強さをこの白亜紀で再生させましょうと言うわけだ。

 

 無論一筋縄では行かない。

 なので、ここからはベータちゃんに試練が訪れることでしょう。なんか目がカクカクした変な集団が襲いかかってくるでしょう!ですがそれを乗り越えた時、君はきっとお友達を救出できるようになりましゅよー!あははははっ!

 

 余談だけど、ベータちゃんに付けてる発信機は俺様がエルドラドからくすねてきたやつなんだよねー。だから発信情報はエルドラドの本部にも送られているわけだ。そして今にも動き出しているパーフェクト・カスケイド。

 

 ならどうなるか。結果はただ一つだよね★

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

「……誰よ貴方たち」

 

 いつの間にかベータの周りの岩場に囲むように現れた人影。

 夜目がまだ効かず姿ははっきりとしないが、間違いなく人間の姿だ。つまりこの時代の人間ではない。

 ようやく落ち着ける場所を見つけた折にこれとは、実にツイていない。

 

「……」

 

 彼らは言葉を発さない。物言わぬ人形のようにただ立ってこちらを見ているだけだ。月明かりしかないこの環境だからか、それが不気味に思えてならなかった。

 

『久しいな、ベータよ』

 

「…ッ!」

 

 突如暗闇に映し出される光の映像、そこに映る男。キャリアスーツにネクタイ、橙色の枠の大きなサングラスをかけた壮年の男性。

 

「サカマキ…司令官…」

 

『少し見ない間に随分と仲良しごっこが好きになったと見える。まさか自分の役目を忘れたとは言うまい』

 

「…ッ」

 

 サカマキの高圧的な物言いにベータはたじろぐ。

 2人の関係性は言うならば上司と部下。幼い頃からその関係性を植え付けられている彼女がこの状況で抵抗を見せるのも自然だった。

 

『まぁ良い。お前の処遇は連れ帰ってから決める。今回のメインの任務は貴様の回収なのだからな』

 

 月明かりに当てられ、背後にいる彼らの姿が顕になる。

 パーフェクトカスケイド。エルドラドの現最高戦力であり、未来の技術を結集させた冷徹なサイボーグ。

 その無機質な眼光は、ベータに従順以外の行動を許さないと言わんばかりだった。

 

『命令だベータよ。帰還するぞ』

 

「いっ…嫌です…」

 

『……何?』

 

 口に出してハッと気づく。

 無意識に拒絶の意を示していた。まるで本能のように自然と出ていた言葉。理由はわからない。しかしベータは今エルドラドに戻りたくないと思っていた。

 

『ベータ貴様…今自分が何を口にしたのかを理解しているのか?』

 

「ぅ…」

 

 時空改変のためエルドラドの代表として来ているサカマキ。そんな彼を命令を拒否すると言うことは、エルドラドを裏切ることと同義であった。

 

『…どうやら貴様は雷門と長く居すぎたらしい。嘆かわしいな、ルートエージェント…しかもエージェントコード持ちからこのような欠陥者が出てくるとは』

 

「………」

 

 裏切った。エルドラドを捨ててしまった。最早戻ることは叶わないだろう。

 しかし戻りたくないと言う気持ちもまた本音だ。やはり理由はわからない。USAGIに立ち向かう気概も無くなったのに、なぜ足掻くのかが。しかしここで戻れば、本当に取り返しがつかなくなる。そんな気がした。

 

『どうやら貴様には私手ずからの再教育が必要なようだな。…パーフェクト・カスケイド』

 

 集団が一斉に地へ降りてくる。その動きは統一されており、一切の無駄が削がれている。

 

(…噂には聞いてましたけど、あれがパーフェクト・カスケイド。本当にロボットなのね)

 

『ベータを捕らえよ。死ななければ多少痛めつけても構わん』

 

「了解しました、サカマキ監督」

 

 パーフェクト・カスケイド全員がサカマキの前に出て、ベータの前に立ち塞がる。

 

「…ッ!」

 

『任務開始』

 

 その掛け声と同時に彼らの数人がベータへと走り掛かった。

 

 

 

 

 








【今日の格言!】
・約束ってことにしたら絶対やってやるって思えるじゃん


【フェイのコメント】
・約束は大事!何事も決めておくことでモチベーションが保たれるものだからね!報告書…期限…ニケちゃん…ウッ、アタマガ…



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