菜花黄名子を曇らせたい!   作:わらしべいべー

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【前回のあらすじ!】
・ニケ「どいてパタスモンキー!そいつ殺せない!!」
・雷門中サッカー部が現れた!ゆけ!マスタードラゴン!
・フェイを生贄に捧げてセカンドステージ・チルドレンの能力値を無限大に!!ソウルエナジーMAX!!






あーさー

 

 

 

 

 

 黄名子は自分とフェイの関係性についての全てを告白した。

 初めは半信半疑だったが、未来にある黄名子の情報と、冗談ではない真剣な態度で本当なのだと確信する。フェイが黄名子の息子。チームメイトでありながら親子のその関係性は雷門の面々が驚愕に達するには十分だった。

 

「な、何だか想像以上に重い関係性だったな…」

 

「ああ、だがこれで合点もいった。黄名子はフェイがフェーダに入っている現状をどうにかする為に協力者を経てこの時代に来た」

 

「…本当はフェイのことは見守るだけに留めるつもりだったやんね。未来の自分の子供が明るく前を向いて生きていることを知れればそれで良かった…」

 

 黄名子は手に持っている兎のぬいぐるみをギュッと抱きしめる。寝込んでいた時も肌身離さず持っていたもの。

 

「…でもあの子はウチの思ってる以上にしっかりしてた。ウチの正体も苦悩も、会った時からバレてたやんね」

 

「黄名子…」

 

「本当にあの子は優しくて、仲間のために必死に動いていて…、だからこそ絶対にあの子はウチが守るって決めてた。……なのに」

 

 よりにもよってあのUSAGIにフェイを攫われるという失態。思い出すだけでも悔しさで唇を噛み切りそうになる。そんな心情を察したのか、天馬が優しく声をかける。

 

「大丈夫だよ、フェイは無事さ。絶対に助けだそう!」

 

「…うん、わかってるやんね。キャプテン」

 

 悔しいのは黄名子だけではない。大切な仲間を取られて、雷門は黙ってなどいられない。全員がフェイを奪還しようと奮起している。

 USAGIに勝てば沢山のものが返ってくるかもしれない。今まで奪われたもの全部。

 

「ねぇ」

 

「…?どうしたやんね、ベータちゃん」

 

「…そこは親子共通なのね。………」

 

「…??」

 

 ベータは黄名子を舐め回すように見る。そんな彼女の行動に黄名子は困惑するばかりだ。

 

「何か顔について…」

 

「菜花さん、貴女もうフェイ・ルーンと話したんでしょう」

 

「うん、そうやんね。いっぱいフェーダにいた時のこと話したよ!」

 

「……確認するけど、本当に貴女がフェイ・ルーンの親なのよね」

 

「?? そうやんね、フェイはうちのお腹から産まれたやんね」

 

「……ふぅん、そう」

 

 そう言葉を切るとベータはどこかに行ってしまった。

 一体何がしたかったのか。黄名子の頭には疑問符が浮かぶばかりだ。…そういえば、白亜紀では随分とフェイと親睦を深めたそうだが、その時に何か話したのだろうか?その時、黄名子に電流走る。

 

(ま、まさかベータちゃんはフェイのことを…!?だとするなら今の行動は挨拶先の親を間違えない為の確認行動…!!確かにこんな姿じゃ親なんて説得力ないし、心の準備として今みたいな問いをしてもおかしくないやんね…!)

 

 飛躍していく黄名子の思考。

 冷静に考えてこの状況で見合いの前挨拶などするわけがないのだが、黄名子は極度の精神的疲労とフェイ不足で少しばかりおかしくなっていた。

 

(べ、ベータちゃんは優秀だけどやっぱり性格が少し不安。…あのニケちゃんの時と言いフェイの周りには尖った女の子しか集まってこないやんね!こ、このままじゃフェイが女の尻に敷かれる人生を歩んじゃう!う、ウチが何とかしないと…!)

 

「黄名子ー、そろそろ出発の準備を……黄名子?」

 

 黄名子のレベルの高いフェイの将来妄想はトーブに頬を遊び抓られるまで続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 バシャバシャと洗面台で顔を洗う。

 今ベータの心中に飛来している物は、怒り。そして少しの優越感だ。

 

 親である黄名子がフェイの内心を何も知らない。…いや、知ろうとしていない事実に対する怒り。話を聞く限り、黄名子は現状の関係に満足してしまっている。

 菜花黄名子は子供だ。事実としてフェイと親子の関係にあっても、今の黄名子では子供に対する認識が不完全なのだ。無論ベータも親や子のイロハを推し測れるわけではないが、少なくともフェイが親に対してマイナスな認識をしているのは事実。それを知ってる身からすれば、黄名子の子を盲信するような発言は腹が立つことこの上ない。

 ベータからすれば黄名子の発言は自分の認識が正しいと思い込んでいるだけの妄言にしか聞こえなかった。

 

(…クソ、さっきから無性にイライラする)

 

 ベータは親が嫌いだ。特に一方的な感情や私情を押し付ける奴は大嫌いだ。その癖子供の意思は気づこうともせずに素通りする奴はもっと嫌いだ。

 

(…これじゃあアイツの言ってた前の親とやらと変わらないわね)

 

 黄名子は優しく、慈愛がある。しかしそれは親として振る舞うにはあまりに不完全だった。

 …が、これはベータの個人的な感情。これからUSAGIと相対するに当たっては、必要のないものだ。そんな感情を払拭するように、顔の水をタオルで拭き取る。

 

 手洗い場から出て、ふと自分の隣にある何かを掴もうとして手が空振った。一瞬ベータは困惑する。

 

(……そうだった、今アイツはいないんだったわね)

 

 空を切った手を見ながら、漠然とした虚しさを感じる。無性に寂しかった。白亜紀で1人残された時とはまた違った孤独感。それがベータの心に巣食っている。

 唐突に怖くなった。自分の力不足でフェイは裏切り者としてUSAGIに攫われた。オルカをあんな様にした奴のことだ、フェイも同様のことをされていても何もおかしくない。そうなれば敵対…いや、最悪手の施しようのない状況になっても何もおかしくないのだ。

 

(…それは、それはダメ…!!アイツは俺のモノなんだ…!!)

 

 喪失への恐怖から来る深い憤り。最早フェイはベータの半身だった。彼無しではベータは生きていけない。

 大切な私物は取り返さなければならない。あんな狂人にまた取られたくない。

 

(菜花黄名子は信頼できない…、俺が、俺が何とかしねぇと…!!)

 

 赤紫色に怪しく光るその瞳からは、執着の色が隠しきれていなかった。

 

 

 

 

 

 ●●●

 

 

 

 

 

 

「……」

 

「わぁ、本当に謹慎されてる」

 

「久しぶりだねニケ」

 

「…何の用。ギリス、メイア」

 

 ここはフェーダの拠点内にある謹慎室。今のニケのようにルールを破った者や、集団の規律を著しく乱す問題行動を起こした者たちが一時的に入れられる場所。殺風景な様相で、部屋の外壁は破損を防ぐために特別頑丈にできている。基本入室には専用のカードキーが必要になるので容易に脱出はできない作りになっている。

 

「ふふ、いつもはこの部屋に入れる側の貴女が逆に入れられる側になるなんて、中々様になってるわよ」

 

「ああ。それに君がルールを無視して遊んでいる間にこちらは既にエルドラドの制圧を終わらせてしまった」

 

「………」

 

 挑発的に言う2人。まさかわざわざ馬鹿にするために来たのだろうか。確かに以前2人が問題を起こして、別々の謹慎部屋に入れたことはあったが、それをまだ根に持っているのだろうか。だとするなら器が小さいにも程がある。

 

「もしかしてまたあのフェイにかまけていたの?あんな弱い子に」

 

「しかもその上フェーダを裏切った。…ま、執心になるのは結構だけど、相手は選んだ方が良い──」

 

 その瞬間、ギリスの真横をテーブルナイフが通過する。そのままナイフは壁に突き刺さり大きな亀裂を作る。

 

「それ以上口を開けば、次は貴方の脳漿が飛ぶことになるわよ」

 

「…怖い怖い」

 

「あぁギリス、血が出てるわ。大丈夫?」

 

「ありがとうメイア、ただのかすり傷だよ」

 

 頬の傷から出る血をメイアが優しく拭き取るりながら互いに愛を語り合う。

 この2人はフェーダの中でも珍しい生粋のバカップルだ。視界に入れるだけでも鬱陶しい存在だが、無駄に優秀なので強く物を言えないのが悔しいところ。

 しかしニケも言われるままだけでは終わらない。

 

「フッ、私も聞いたわよ。貴方たちエルドラドの議長を逃したんですって?」

 

「…!」

 

「あれだけ貴方たちに優勢になった状況で、よりにもよって優先排除対象を逃すなんて、USAGIがいない貴方たちも底が知れるわね」

 

「お前ッ…!」

 

「落ち着いてメイア。…あれはあのアンドロイドが邪魔立てをしてきたからだ。そう言うのは奴等を仕留め損なったUSAGIに言って欲しいものだ」

 

「あら、むしろそこまでお膳立てされていて失敗したの?USAGIが聞けば大笑いすること違いないわ」

 

 どうせ奴のことだ、そのアンドロイドはわざと逃したのだろう。USAGIはどんな物事にも一旦は希望を持たせておくのが癖だ。相変わらず悪趣味である。

 

「…そろそろ建設的な話をしよう。議長こそ逃したが実質的にエルドラドの全勢力はフェーダが制圧した。他のメンバーが見つけ出すのも時間の問題だろう。…そしてこれから行う市民の弾圧を済ませれば、いよいよ最後のステップだ」

 

「……」

 

 最後のステップ。それはフェーダに限らず、全てのセカンドステージ・チルドレンの宿願を実現する作戦の実行。

 

「…私たちにその詳細はまだ言われてないけどね。詳細を知ってるのはSARUとUSAGIのみ」

 

「ただ知っていることは、この作戦が成功すれば、僕らの寿命問題は解決する…それだけさ」

 

「…本当、どうしてSARUたちは教えてくれないのかしら!」

 

 そうメイアの表情は不満げに言う。当然だろう。自分たちの種の存続を賭けた作戦にも関わらず、何の情報も開示されないのだから。

 それにメイアはフェーダの中でも知略、頭脳に長けたチームである『ギル』のキャプテン。自身の頭脳と力に何よりの自信を持つ彼女にとってそれほどの重要事項を知り得れないというのは非常にストレスだった。

 

「落ち着こうメイア。SARUのことだ、言わないにも何か合理的な理由があるんだよ。彼は僕らに信じろと言った。なら未来の王として信じるのが筋なんじゃないのかい」

 

「そう、ね…、ごめんなさいギリス、私熱くなってたわ。これも私たちの未来の為…」

 

「メイア…」

 

「ギリス…」

 

(あーホント鬱陶しい…)

 

 その後も適当に嫌味を交わしながら情報を擦り合わせて、今後の動きを互いに把握していく。フェーダ最大の計画だ。詳細を知らぬとは言え、失敗は許されない。

 

「計画は明後日から。その日には君もこの部屋から解放されるはずだ」

 

「それまで精々反省してることね、ふふふ」

 

 そう言って2人は部屋を出ていった。ガチャリと鍵が閉まる音が響く。

 

「………さて」

 

 明後日?いちいちそんな時間をここで過ごすつもりなど無い。

 ニケの手元にあるのはこの独房のカードキー。いつの間にかギリスの懐からカードのコピーを拝借させてもらった。セカンドステージ・チルドレンの力を持ってすれば容易なことだ。

 確か2人の話ではフェイはUSAGIが作ったパラレルワールド内にいるとの話だ。

 

 フェイのところへ向かわなければ。

 フェーダに戻ってきたことは喜ばしいが、あのUSAGIのことだ。一体何をするのかはわかったものではない。

 何より忘れられない。自分に突きつけられたフェイの言葉が。

 

「…フェイ、貴方が一体誰のものなのか、きちんと理解させないといけないみたいね」

 

 執着に染まった目を揺らしながら、ニケはカードキーを使い扉を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ●●●

 

 

 

 

 

 

 

 フェイの居場所を突き止めた天馬たちは早速アルノ博士が用意したアーティファクトを使い、パラレルワールドへとタイムジャンプしていた。

 しかしそこで見た光景は異様の一言だった。

 

「こ、ここがアーサー王のいる時代…?」

 

「な、なんじゃこりゃあ…」

 

 一言で言うならば、それはカオスの具現化だった。

 空に大地があり、村や都市があり、動物や魚が闊歩している。地面には平面的に鳥が這っていたり、草木に雲が映っていたりと、既存の法則が完全に破られた世界。

 

「どうなってんじゃこりゃあ…!」

 

「見てるだけで気分が…」

 

「時代計測は…、ダメだ、無茶苦茶にパラレルワールドが作られているせいで詳しい時代が特定できない…」

 

「フム…、これは不味いのう…」

 

「アルノ博士!」

 

「不味いって一体…」

 

「USAGIの奴、相当無茶な手段でこの世界を作ったのだろう。足りない部分を他の時代から切り取って持ってきておる。おかげで物理法則が無茶苦茶じゃ。このままでは時空嵐が起きてもおかしくないぞ」

 

「時空嵐…?」

 

「文字通り時空の捩れから起きる大規模な災害のことじゃよ。プレートが弾けて地震が起きるように、無茶な時空の歪みは相応の反動が起きるものじゃ。こりゃ早くこの世界を修正せんととんでもないことになるぞ」

 

「と、とんでもないことって…?」

 

 そう疑問を溢す信助に対してベータが口を開く。

 

「時空嵐は時空そのものが捩れて起こるハリケーン…、巻き込まれた時代は跡形もなく消滅します。仮にここを起点として起きれば私たちも文字通り時空の塵になって消えますね」

 

「うえぇ!?じゃあ早くUSAGIを探さなきゃ!」

 

「いや、でもどこにいるんだ?こんな地形じゃどこがどこやらわからないぞ…?」

 

「取り敢えず現地民に話を聞いてみよう。あのドラゴンはおそらくこの世界の生物だ。あれだけ目立つなら誰かしらが何か知っているはず…」

 

「それなら心配いらんぞい!」

 

「うわっ、大介さん!?」

 

 ズダ袋の中から円堂大介が飛び出してくる。話を聞くと、どうやら円堂大介はあのドラゴンに心当たりがあると言う。

 マスタードラゴン。アーサー王の絵物語に登場する高い知能を持った神獣だ。物語の中では悪の騎士に操られ、それをアーサー王と見習いの剣士が円卓の騎士と共に解決に向かうと言う話である。

 

「ってことはここって絵本の世界がモチーフだったのか」

 

「ウム!しかし不幸中の幸いなのは、今回の件は儂らにとっても都合が良いことじゃ!」

 

「…?どういう事ですか?」

 

「時空最強イレブン9の力と10の力、その二つはそれぞれあのマスタードラゴンとアーサー王なのだからな!」

 

「えっ、ええっ!?」

 

「滅茶苦茶ラッキーじゃん!!」

 

「ウム、ラッキーだ。ラッキーだが…腑に落ちない部分もある」

 

「…うまく行きすぎている?」

 

「その通りだ。USAGIが拠点にしていた先の現地民が偶然儂が目をつけていたオーラ先など、ちと都合が良すぎんとは思わんか?」

 

「…言われてみれば確かに」

 

 慶応の時も、白亜紀の時もそうだ。飛ばされた先は偶然にも目的のオーラがある時代だった。これを偶然と捉えるのは無理がある。

 

「まるでこちらの考えを見透かされているかのよう……USAGI、得体が知れず、侮れん奴だ」

 

「いやぁ、かの円堂大介にそこまで言われるなんて、照れますねぇ!」

 

「でも、そこに必要なオーラがあるなら俺たちは行くしか……えっ?」

 

 一瞬遅れて全員が天馬のいる中心を見る。そこにいる兎の被り物をつけた狂気。全員の毛が逆立つ。

 

「うっ、USAGIッ!?」

 

「ちーっす!昨日ぶりくらいだね少年少女!」

 

 突然のボス襲来に全員が身構える。ベータと黄名子は直ぐにでも攻撃を開始せんと言わんばかりだ。

 

「はっ、丁度良い!イカレ兎自らお出ましならここでテメェをぶちのめせば全部解決だ!」

 

「縛り上げて、フェイの居場所を吐かせるやんね!」

 

「うわ、女性陣が怖すぎるんですけど…。ちょっと男子ー、ちゃんと手綱は握っといてくれないとー」

 

 即座に攻撃を仕掛けたいところだが、前回のようにテレポートで逃げられては意味がない。それにこうして現れた以上、何かしらを仕掛けていても何もおかしくない。警戒に警戒を重ね、確実に仕留められるタイミングをベータは探る。

 一触即発。互いに衝突が起きるその時、その場に勇ましげな声が響いた。

 

「諸君!離れたまえ!!」

 

「えっ!?」

 

 空から誰かが降ってきた。その男は黄金の装飾が施された純白の剣を振るい、USAGIに容赦なく切り掛かる。

 USAGIは一撃目を軽やかに躱し、二撃目を素手で白羽取る。

 

「おっと、もう来たんだねアーサー王。君もしつこいねぇ」

 

「この身体が動く限り私は何度でも立ち向かう!さぁ、今度こそ私の国を返してもらうぞラビットマン!」

 

「あ、アーサー王!?あの人が!?」

 

 突如現れた黄金の冠に純白のマントを身につけた男。彼はアーサー王その人であった。

 

「あっはっは、返してほしくば嘆きの洞窟にくることだなぁ!そこで決着をつけようぞ!」

 

 そう言い、USAGIは背後の崖から飛び降り、そのままどこかへ去ってしまった。アーサー王は逃してしまったことに歯噛みすると剣をしまう。

 

「…すまないな、突然目の前で剣を振るってしまって」

 

「い、いえ!おかげで助かりました。ありがとうございます」

 

「…ほ、本当にアーサー王なんですか?」

 

「ああ、私こそがブリテン王国の王、アーサー王だ。…とは言っても今や率いる国も騎士もいない孤王だがな」

 

「えっ、それってどういう…」

 

「アーサー王!」

 

 響く男の声。崖から飛び降りてきたのは白のローブに身を包んだ男だ。

 全員が何者かと警戒するが、黄名子だけはその姿に見覚えがあった。

 

「あ、アスレイさん!?」

 

「む、黄名子!やはりこの時代に来たのか…」

 

「え、だ、誰?」

 

「なんか怪しいニオイがするぞ!このトーブ様が退治してやる!」

 

「うわっ!?な、なんだ!?」

 

「待って落ち着いてトーブ!この人は味方やんね!」

 

「おー?」

 

 尻餅をついたアスレイをアーサー王が手を取って起き上がらせる。どうやら2人は顔見知りのようだ。起き上がった時に、ローブが脱げて顔が露わになる。

 

「すまないアーサー王殿…」

 

「…??なんかフェイに似てる…?」

 

「この人はアスレイ・ルーン。…ウチの未来の夫やんね」

 

「…え、この人が!?」

 

 全員が驚愕する。話には聞いていたが、確かに容姿は似ている。性格はフェイの父にしては控えめな雰囲気はあるが…。

 どうやらアスレイもこの時代にフェイを追ってやってきたらしい。支援者Xという立場でフェーダに潜り込んでいたアスレイ。しかしフェイが突如誘拐されたことで急遽面舵を変更。フェーダと敵対覚悟でこの時代にやってきたそうだ。

 アスレイは雷門の皆を見渡す。

 

「…そうか、君たちがフェイが選んだ子たちか。君たち雷門のことはフェイから聞いている。未来を救ってくれる希望だと」

 

「き、希望だなんて…」

 

 フェイが父にそうまで言ってくれている事実に天馬たちは若干照れ臭くなる。

 

「…君もありがとう、ベータ。エルドラドを離れてまであの子の為に協力してくれて」

 

「…………チッ」

 

 ベータは嫌悪感丸出しの視線を向けるとアスレイから離れていく。…どうやらあまり好かれてはいないらしい。あの子の出自を考えれば自然なことだろうが、今はこうして雷門と協力関係になってくれているだけありがたい。

 

(…フェイも大したものだな。あのベータを絆してしまうとは)

 

 ただ女付き合いは少し考えて欲しいと思うところもあったりするが…。そんなことを考えていると、黄名子がおずおずとした様子で話しかけて来る。

 

「…その、アスレイさん。ごめんなさいやんね、人形もフェイもUSAGIに奪われちゃって…」

 

「…気にすることはない。USAGIは他人を弄ぶ残虐な性格だが、フェーダの仲間のことは大切にしている。きっとフェイは無事だ」

 

「………うん」

 

「そういえば、アーサー王はどうしてここに…?USAGIを追っていたみたいですけど…」

 

「うむ、不覚にも奴には散々にしてやられた」

 

 アーサー王の話を聞くに、どうやらこの世界は最初は何もないような平和な国だったらしい。

 しかしあのラビットマンが現れて、このような目も当てられない有様になり、挙句国も騎士も姫も全てを奪われてしまったのだ。アーサー王はフェイを追っていたアスレイのおかげで助かったが、今手元に残っているものはこの聖剣のみ。全てを取り返すために、今にもアーサー王は孤軍奮闘しているわけだ。

 

「アーサー王!俺たちも協力します!」

 

「む、だがしかし、騎士でもない者を戦場に連れて行くのは…」

 

「俺たちも目的はあのUSAGIです。俺たちもアイツにいろんな物を奪われてきました」

 

「一緒に力を合わせるべきやんね!」

 

「…アーサー王、私からもお願いします。彼らは必ず貴方様の力になってくれるはずです」

 

「…成程。格好こそ妙だが、立派な騎士というわけか。…わかった、このアーサー王の名の下に君たちに協力を依頼しよう!」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

 オーラ元であるアーサー王と同行することになった。これでオーラを入手できる確率はグッと上がったことだろう。

 

「…さて、私は早速嘆きの洞窟に向かう。そこに奴はいるらしいからな」

 

「嘆きの洞窟って…どこだ?」

 

「…地形こそ無茶苦茶になっているが、おそらくこの先だろう。らしいものは前に見た」

 

「あそこって…ずっと空の上か?」

 

「うむ、この宙に浮く島々。その頂点にマスタードラゴンのいる嘆きの洞窟はある。元々そこに向かっている道中だったのだが、先ほど君たちと共にいるUSAGIを偶然見つけてな…」

 

「よし!なら早速行こう!キャラバンなら上までひとっ飛びだ!」

 

「おお、空を飛ぶ手段があるのか。それは頼もしい」

 

 ベータ以外の全員が一致団結する中、アルノ博士は1人考え込む。

 

(…この現状をUSAGIが後天的に作った?奴ならば不可能ではないだろうが、いったいそれに何の意味がある…?)

 

 パラレルワールドを無理やり作った影響でこうなるのはわかる。しかしわざわざUSAGIが手ずからに荒らしたとなれば、話は全く変わってくる。

 アーサー王の話を聞くに時代そのものも安定していた様子だったし、敢えて荒らす意味が見つからないのだ。

 

(こんなことをしても時空嵐の危険性が増すだけ…。USAGIの奴、一体何を狙っておる…?)

 

 

 

 

 

 

 

 ●●●

 

 

 

 

 

 

 

 こんにちはー、こんばんはー、笑顔が大事ー!

 どうもフェーダのヒーローラビットマンだぜー!今日はぁ、雷門をメッタメタにしようと思います!

 

 冗談ですけど冗談ではない。ズバリ今回の目的はぁ、時空最強イレブンの完成!いやついにここまで来たという感じである。ラスボスになる上では完璧な状態の敵対者は必須だからね!

 そして、ここがフェイくんと雷門の禊を断つ場でもある!!シクシク、みんなとの旅もここまでと思うととても悲しい…。しかし同時にとても愉しみなのだ…。

 

 サッカーコートも、囚われのフェイくんも、スペシャルゲストのサリュー君も準備バッチリ!

 さて、後は全員揃えるだけだね!向こうもちょうど終わったみたいだし、仕事終わりすぐで申し訳ないけど、こっちに強制帰還させてもらいましょう!帰って来いパワー発動ッ!

 

「うっ!?」

 

 や、おかえりマントちゃん。

 

「と、父さん…!?」

 

 そうだよー、君たちの生みの親ラビットマンだよー。ってボロボロだね。いやー、相当ザナーク様とクララジェーンに扱かれたと見える。ま、とりあえず傷と服装直してあげてっと。ホイミ!

 

「……ありがとう父さん」

 

 どうだ驚いたか!デュプリは言うならば私の分身!私の力にかかれば傷や衣服などご覧の通りだよ!

 って、なんだかマントちゃんのテンションが低めだね。どしたのー?なにかあった?あ、もしかしてザナーク様に負けたの気にしてる?それなら全然気に留めなくて良いよー。ザナーク様の成長速度がおかしいだけだから!

 

「…いや、何でもない。それよりもこれから試合なのよね」

 

 そうそう、いやーごめんね!仕事終わりの後にさ!

 

「大丈夫だ、私たちは父さんの道具だ。気にしなくて良い」

 

 もう!道具って言っちゃダメって言ったじゃん!君たちは某の家族なんだから。ほーら、よく頑張ったねーなでなでなでー。

 

「…ん」

 

 おやおやおやおや、マントは頑張り屋で可愛いですね…。首輪を付けて飼いたくなってきますよ。

 そんな頑張り屋さんのマントちゃんには何かご褒美をあげないといけませんねぇ。欲しいものなんでも言ってみなさい…。

 

「………なら…全部が終わったら、家族みんなでピクニックに行きたい…。またあの草原で、父さんとサッカーをしたい…」

 

 ピクニックかぁ。確かに最近行けてなかったからねー。

 でもごめんよマントちゃん、その願いは叶えられそうにないのだ。そう!何故なら私は死ななければならないのだから!!家族か野望って言われたら当然野望でしょー。

 ま、そんなことこの超可愛い我が娘の前で言えるわけないので、適当に行けたら行く程度の返事を返しておきましょう。

 心配で表情が曇るマントちゃん!うーん、マントちゃんの曇り顔も味わいがありますね…。ま、そう気を落とすなって!代わりの最高のご褒美はちゃーんと準備してあげてるんですからねぇ!

 

 さて、目の前に俺様のデュプリが全員揃ったわけだが、話の通り天馬きゅんたちには我が息子娘たちと戦ってもらうぞ!全11人のチーム【ウサギーズ】!パーカス壊しちゃったからね、因縁を果たすと言う意味でもラスボス直属チーム戦は燃えるでしょう!

 

 因みに原作で出てきたデュプリは9人しかいない。なので残り2人はワタクシが色々考えて作り上げたメンバーになるぞ!

 その名もR-1とR-2!敵のモブみてーな名前してるが、まぁその通りである。だってこの子ら儂が数合わせに作った雑兵だもん。

 デュプリとはまた作りが違うけど、実力は大差ない。見た目もモブっぽくて、兎の被り物した男女って感じだ。本当に雑兵って感じなので人格もほとんどデザインしてない。ま、要はデュプリ版パーカスって思ってくれれば結構!とにかく、これで準備万全だぜ!

 

「USAGI!!」

 

 さて、良い感じにアーサー王とみんなを合流させながらも挑発したおかげで皆んなすんなりとマスタードラゴンの元に来ましたね。

 

 さぁ、これから始まるのはステキなショータイムだぜ!!

 ここは未来のラスボスとして華麗に登場してあげましょうか!!

 

 

 

 

 

 

 ●●●

 

 

 

 

 

 

「あーっはっはっはっは!!」

 

『!!』

 

 暗がりで周りが見えない洞窟に響く不快な声。次の瞬間、天馬たちの目の前がライトアップされた。

 眼前に広がるは赤の芝生に染まったサッカーコート。全員が注目している中、チームの前にポップな煙と共にUSAGIが現れる。まるでサーカスの道化だ。

 

「ふっはっは!よくぞここまで来たな円卓の騎士どもよー!このフェーダの騎士ラビットナイトが相手をしてくれるわー!」

 

「USAGI…!」

 

「って、やっぱり今回は偉人さんとか来てない感じなんだねぇ。ミキシマックスはちゃんとできたんでしゅかぁー?」

 

「……狙っていると知って、みすみすお前の前に沖田さんたちを連れてくるわけがないだろう」

 

「ふーん、まぁいっか!それよりも君ら何か返して欲しくてここに来たんでしょ?」

 

「何かも何も、全部返してもらうためだ!!」

 

「そうだ!アーサー王の国も、シャルル王子たちも、そしてフェイも!!」

 

「フェイはどこにいるやんね!」

 

「うんうん、素晴らしいお返事どうもありがとう!ほらお目当ての子はここにいるぜ」

 

 ライトが洞窟の奥に当てられる。そこには鳥籠型の檻に手足を縛られた状態で入れられたフェイがいた。しかしその側にはマスタードラゴンが控えている。

 

「フェイッ!!」

 

「フェイ…!」

 

「黄名子!父さん!」

 

 皆を見て叫ぶフェイ。

 フェイは黄名子だけでなく、アスレイもいることに驚いている様子だ。思わず黄名子がフェイに近づこうとするが、マスタードラゴンの咆哮に威圧され吹き飛ばされてしまう。アスレイは黄名子をうまく受け止める。

 

「はーい、というわけで今から雷門の皆んなにはワイらとバトってもらうぜ!勝利条件は二つ!!一つ!このマスタードラゴンの討伐!二つ!ワタクシの直属チーム【ウサギーズ】に勝利することだ!」

 

 その瞬間にUSAGIの背後にライトが当たる。立ち並ぶ11人のメンバー。中には見知った顔ぶれもいた。

 その時ズキリと天馬たちの頭に痛みが走る。

 

「…ッ、あれ、ま、マッチョスさん…?」

 

「山南さん…?」

 

「ストロウもいるぞ!どうなっている!?」

 

「お、洗脳が切れてもうたか。まぁ所詮その場しのぎのやつやししゃあないか」

 

 そう呟くウォーリー。今の状況とその言葉で白竜は全てを察する。

 

「やはり貴様らはUSAGIの手先だったか…!」

 

「いやーごめんな。でも正直ヒヤヒヤしたで、特に君や諸葛孔明は勘が鋭いからな。バレるか思うたわ」

 

「8割バレてたと思うけどな!お前は胡散臭すぎるんだよ!」

 

「弱ったなぁ、はは」

 

 そう笑うウォーリー。

 つまり、つまりはだ。ここにいるウォーリーもマッチョスもストロウもマントもその全員がUSAGIの手先だったと言うことだ。一部のショックを受けている者を置いて、USAGIはマイペースに話を進めていく。

 

「さて、そんで気になる勝利報酬は超豪華!!まずはここにいるフェイくんに始まりぃ〜…そしてコレ!」

 

 そう言い懐から取り出したのは青紫色の石。そう、クロノストーンだ。

 

「…ッ!円堂監督!!」

 

「ザナークが持っていたはずなのにどうしてお前が…!」

 

「んふふふふふ、ワタクシのチームに勝てれば〜?これを返すことも吝かではないぜよ〜?」

 

「お前ッ…!」

 

「あ、あとコレもかな?」

 

 そう手にぶら下げるは黄名子から奪った人形。黄名子が強く反応する。

 

「フェイの人形!!…試合に勝ったらそれも返してもらうやんね!!」

 

「えー?俺様結構コレ気に入ってるのにー。ほらこの真っ赤なおめめ、可愛いじゃんっ」

 

 くりくりと人形の目をUSAGIは弄る。その挑発的な行動に黄名子の怒りのボルテージが上がっていく。

 

「…それはアスレイさんがフェイの為に用意した心のこもった人形やんね!…今は他人同士のウチら家族を繋いでくれる大切な人形。貴方なんかが持って良いモノじゃ無い!!」

 

「……おもちゃ一つでなーに熱くなっちゃってるのさ。市販品なんだから買い直せば良いだけでは無いか」

 

「他人のものを奪って弄ぶ貴方じゃ一生分からないことやんね」

 

「………他人ねぇ。……クフッ」

 

「…何がおかしいの」

 

「いやっ、んふ、ちょっと、あんまりにも面白くて、ギャふふふふっ!!」

 

「…チッ、相変わらず気持ち悪りぃ奴だ」

 

 USAGIが気味が悪いのは今に始まった事ではないが、あの妙な態度と余裕が常に天馬たちの不安を煽る。しかしやるしかない。喰らって喰らって喰らい付いて、あのマスクと一緒に余裕を引っ剥がすしかない。その為に今自分たちはここにいるのだから。天馬は内心で気合を入れ直す。

 

「ごめんごめん!じゃあ早速試合を──」

 

「ちょっと待ったぁ!!」

 

 突如響き渡る声。その瞬間、雷門とUSAGIの間に時空の穴が開き、そこから赤と金のツートンカラーのバイク型のタイムマシンが現れた。

 勢い収まらぬままにタイムマシンのバイザーが開き、中から男が飛び出してくる。そのまま男は容赦なくUSAGIに鉄拳を振り抜いた。

 

「おっと…!?」

 

 予想以上のパワーにUSAGIは僅かに仰反る。男はUSAGIに向けて凶暴な笑みを浮かべる。

 

「久しぶりだなぁ!USAGIィ!!」

 

「ザナーくん、そろそろくる頃だと思ってたぜ★」

 

 突如試合前に乱入してきたザナークに雷門全員が呆気に取られる。

 

「お前をぶちのめすために俺は帰ってきた!!さぁ勝負だUSAGIィ!」

 

「わーお、血気盛んなことで。けどまぁ落ち着けって、物事には順序があるのだ」

 

「あぁ?」

 

 その瞬間、ザナークの身体は念動力で縛られる。ザナークにとってはすっかり慣れ親しんだ力だ。

 

「…父さんから離れろこのバトルジャンキーが!」

 

「…マントか。フッ、前までの冷静さはもうカケラも残ってねぇな。そっちの方が好みだぜ」

 

「黙れ…!!」

 

「そう言うなよ。これでも俺は感謝してるんだぜ。お前のおかげでこうして再び奴に会えたんだからなぁ!!」

 

 ザナークはマントの念動による拘束を力づくで抜け出した。無理矢理拘束を外された反動でマントの手に少しの痺れを残す。

 

「…クク、それにしても父さん、か。随分悪趣味なことじゃねぇか、USAGI。セカンドステージ・チルドレンのお前と大して歳は変わらねぇように見えるが?」

 

「ふふふ、悪趣味も何も事実さ。君こそ態々女の尻を追いかけて来るなんて、もしかしてウチのマントちゃんに惚れたぁ?」

 

「ほざけ!こんな明らかな挑発残しておいてよく言うぜ!」

 

 ザナークの手には一通のメッセージカードがある。これはマントが突然消えたと同時にその場に落ちてきたものだ。

 

「"お友達を返して欲しかったらこの座標にまで遊びにきてね★"……全く舐めた事してくれやがる」

 

「お友達を取り返すには、マントちゃんたちとサッカーバトルで勝利するしかないぜぇ?」

 

「……」

 

 ザナーク・ドメインのメンバーはザナーク個人としても容易に切り捨てられるような関係ではない。ここで力づくで居場所を吐かせるのもアリではあるが、それはリスクが高い。

 しかしサッカーバトルを受けると言うことは、あの雷門と共闘することに他ならない。ザナークはしばし悩む。

 

「……俺はお前を叩きのめすためにここに来た。俺が勝てば仲間の解放、お前との一騎打ち。この二つを呑んでもらうぜ」

 

「ああ、良いとも!ふふ、勝てればだけどネ」

 

「フッ、そう言うと思ったぜ…!」

 

 凶悪な笑みを浮かべてザナークは雷門の元へ歩いていく。

 ザナークがチームに加わることに未だ困惑を隠しきれていない様子だが、そんな雷門の面々を置いてUSAGIは試合を始めるべくスキップで実況席に行く。

 

『はーい、ちゅーわけでこれより雷門中対ウサギーズの天下分け目の超決戦を始めたいと思いまーす!!実況はワタクシフェーダのヒーローラビットマン!!そして解説は〜』

 

『僕未来の皇帝・SARUがやらせてもらうよ。…こんな感じで良いかい』

 

『満点!ばっちぐー!威厳ギンギンだぜー!』

 

「アイツらふざけやがって…!!」

 

「…やはりいるか、SARU」

 

『やぁ、元エルドラド議員アスレイ・ルーン殿。いや、支援者X。あのまま現状維持を続けていればこちらは何もしなかったんだけどね、こうなってしまったのは残念で仕方ないよ。彼の為に態々有利な立場すら捨てるなんて、そんなに我が子が大事かい?』

 

「……」

 

『まぁ良いさ、以前から君が何の目的で動いているのかは知っていた。切り捨てる時期が早まっただけさ』

 

 当然その情報の筋はフェイからだ。しかし敢えてSARUはアスレイを処罰しなかった。親という存在が何の価値もないことを証明し、本当の絶望を与える為。

 少し予定とは違うが、それを示す場がこうしてやってきた。

 

(過去の遺恨なんていらない。僕らは新しい世界で新しい人類になるんだ。だから僕らは全ての過去を洗い流さないといけない。…そうだろう、フェイ)

 

『フフフ♪』

 

 いつも通りに不敵に笑うUSAGIの視線の先で、今試合は始まろうとしていた。

 

 

 

 






【今日の格言!】
・それはアスレイさんがフェイの為に用意した心のこもった人形やんね!…今は他人同士のウチら家族を繋いでくれる大切な人形。貴方なんかが持って良いモノじゃ無い!!

【フェイのコメント】
・アギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャwwwwww
超滑稽!!!マジたまんねーわ!!







































 ーーー






「…やはり彼らはUSAGIの配下でしたか」

「む、孔明よ。何を見ておる」

「見ての通りですよ。彼らを通じて今の様子を見ているのです」

 孔明は目の前にある映像デバイスを劉備に見せる。そこには天馬たちが今ウサギーズに挑まんとする様子が映されていた。

「おおっ、信助たちか!あの妙な仮面男もいるな。今から戦うのか?」

「そうみたいですね、勝てればUSAGIに奪われたものを全て返還されるようですが…」

「くぅ〜!儂も戦に参加できんのが心苦しいばかりだ!頑張れい皆ー!関羽と張飛を頼んだぞー!ピンチになったら儂も駆けつけるからなぁ!」

「全く無理を言うものではありません。私たちが行けば彼らの良い的ですよ。…ですが、こうして安全圏で見ているだけでは貴方も暇でしょう。なので暇つぶしついでに頼まれごとを」

「ん、構わんが何だ?」

「難しいことではありません。ここにタイムジャンプで来た人たち全員を集めて欲しいのです」

 その発言に劉備の勘がピンと反応する。

「……ほう、新しい企て事か?」

「ふふ、それはその時までのお楽しみですよ。…ただ、ひとつ言うならば私はやられた事はタダでは返さないと言う事だけです」

「かぁーっ、怖い女だぜ!!ま、儂も奴には1杯喰わせてやりたいと思ってたところだ!任せとけ!」

 そう言って劉備はそそくさと部屋をで行った。外から遠耳でも喧しい声が聞こえる。…人選を間違えただろうか。
 まぁあの調子なら直ぐにここに来るだろうと、再び映像に向かい合う。目の前にいるのは試合が始まるまでの時間を電子ゲームをプレイして潰しているUSAGIの姿。

「……未来人か何かは知りませんが、叩きつけられたツケは全てここで返させていただきますよ。なぜワタクシが天才軍師と呼ばれているのか、その所以をたっぷりとご教授してあげましょう」



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