菜花黄名子を曇らせたい!   作:わらしべいべー

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【前回のあらすじ】
・ゲームでしかできないことを現実でするのはロマン
・《悲報》ガンマ様、この小説でもスマートに退場
・捨て猫ベータにゃん






きなこ!!

 

 

 

 

 

 

 やぁ皆んな、余だよ☆

 

 予想外のことが起きて数時間が経過したよ!

 いやぁ、それにしてもまさかベータちゃんが尾張に送られてたとは…。流石に予想をホームランと言ったところ!当然人の良い天馬くん一行は彼女を保護したわけで、現在はキャラバンに寝かされておられる。

 私の知ってる原作とは全く違う流れ…。だがワタクシはこれを前向きに捉えることにした!そもそも遅かれ早かれ原作の流れはぶっ壊そうかと思ってたし、プロトコル・オメガを捕獲した時点で原作もクソもない。なのでこの状況を利用することにした!私は型にとらわれない生き方ができる人間なのだ!エッヘン。

 

 ででで、雷門の下に来ちゃったベータちゃんなのだけれど、彼女には僕ちゃんの代わりをしてもらおうと考えている!

 当然だけど俺様は最終的に雷門を裏切る。もう心折丁寧にメンタルをへし折りにかかりながら裏切る。なので彼女には儂が抜けた際の穴埋め要員になってもらおうかなって。

 実力的にもキャラ人気的にも問題ないでしょ!ぶっちゃけ最終戦ではどうせ一緒に戦うし、今仲間になっても大して変わりないって!エルドラドもガンマたちをロストしちゃったせいですぐには動かないだろうし、これは絶大な仲間チャンスですよ!いやぁ、代わり探す手間が省けたってもんよ。今の某はRTAのオリチャーを組む走者の如く!ふふ、自分の才能が恐ろしい…。

 

 とまぁ、そんな訳で今は吾輩がベータちゃんの様子を見ている訳である。我ならいざという時対処もできるし問題ないしね!

 あ、前の席の天馬きゅんが話しかけて来た!フェイはどうする!

 

「フェイ、ベータの様子はどう?」

 

 レムレム睡眠で夢の底までぐっすりですな。今頃カートゥーンキャラとかと戯れてるんじゃね?

 

「そっか…。フェイ、なんでベータは1人であんな所に居たんだろう。あそこで消えた後に一体何が…」

 

 すまんな、それ半分以上ワイのせいや。なんて馬鹿正直にも言えないので適当に誤魔化しとこ。あー、可愛いウサギと猿にでも襲われたんじゃないのー?ワタクシにはわかんないなー(棒)。

 

「…そうだよね、目が覚めたら直接聞くしかない」

 

「…天馬、本当に連れて来て良かったのか?そいつは皆んなの記憶や円堂監督を奪った張本人だぞ」

 

 あ、剣城くん!剣城京介君じゃないか!

 登場初期は兄への想いと厨二病をアルティメット拗らせてたキザ男!まぁ拗らせた結果が黒の騎士団(笑)だったのは流石のお兄ちゃんも苦笑いものだろうけど。

 

「うん、でも見捨てられないよ。あんなボロボロになって、きっと何かあったに違いない」

 

「それに何か情報を聞き出せるかもしれないしな。彼女を保護することはこちらとしても利があるだろう」

 

「ぼ、僕としてはまだちょっと苦手意識あるんだけど…」

 

 あー、西園信助くんは親善試合でも蹴鞠戦でもボッコボコのボコにやられてたしねー。もうボーナスタイムと言わんばかりにガンガン入れられてた。護星神の名が泣くぜ…。まぁ、三国志編までは我慢やな(そこから止められるとは言っていない)。

 

 はいそんなことを話してる内に元の時代に戻って来ましたよ!

 雷門のサッカー棟に行ったら皆綺麗に洗脳が解けていて、普段通りに戻ってたぜ!いやー、良かった良かった。しかぁし、サッカー禁止令はいまだに残っている!ベータちゃんたちがやらかしたせいで、世界のみんながいまだにサッカーは暴力的やとか考えてるのだ!その為にもエルドラドに直接乗り込んでどうにかせなあかんわけや!

 まぁ、その張本人が今儂の背中にいるんですけどね。

 

「うわぁ!?ふぇ、フェイ!そいつベータじゃんか!」

 

「ッ!!」

 

「プロトコル・オメガ!」

 

 全員戦闘態勢!まぁ当然の反応ですな。それを我らが天使天馬きゅんは頑張って制止する。

 

「ちょ、ちょっと待って!今ベータは何もできないよ!」

 

 天馬きゅん一行はここまで来たあらましを語った。全員納得はしたけど、渋々って感じやな。こればっかはしゃーない。

 

「大丈夫だよ、一応拘束具は付けているし、僕も付いている。いざとなれば責任を持って対処するよ」

 

「それに彼女から未来での現状を知ることができるかもしれない。あまり気分は良くないだろうが、しばらくこのサッカー棟に置いてやってくれないか…?」

 

「…まぁ、そこまで言うなら」

 

「そうだな、仮に暴れたとしても、俺たちがそれを止められるくらい強くなれば良い!」

 

 うおっ、流石三国先輩。あまりに頼もしすぎるお言葉。セーブ率は今ひとつでも先輩としてははなまる100点だよこの人…。

 

 あっ!それより!よれよりですよ!!原作だとこの辺で…、

 

「よし!じゃあそうと決まれば特訓…」

 

 

「あーっ!」

 

 

 !!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 ー

 

 

 

 

 

 

 元気で快活な声。それは部屋にある入り口のドアから聞こえて来た。

 

「お帰りなさい!天馬キャプテン!他の皆さんも、お帰りなさい!」

 

「えっ、だ、誰?」

 

 唐突に部屋に入って来て、当然のように雷門のユニフォームを着て天馬たちに挨拶をする少女。

 しかし天馬たちはこの少女に一切の見覚えが無かった。こんなメンバーは戦国時代に発つ前はいなかったはずである。

 

「え?もー、かなんやんね。キャプテン忘れてもうたん?雷門のエースストライカーを!」

 

「雷門の、エースストライカー…?」

 

 露骨に剣城が反応する。

 

「そうそう!前にストライカー対決してウチが勝ったから、ウチが勝ったやんね!やからウチがエースストライカー!」

 

 事態が飲み込めず混乱する天馬たち。しかし尾張に行っていなかった面子は何の違和感も感じていない様子だ。それどころか、ずっと前から雷門に居たなどと言う始末。

 もしかすればタイムパラドックスで妙な影響が出たのかも知れないと言葉を溢すワンダバ。しかしそれにしても何が原因なのかがさっぱりだ。悩む天馬たちを見て少女は不思議そうな顔をする。

 

「まぁ、忘れたんなら仕方ないやんね!改めて自己紹介!」

 

 少女は天馬たちに向き直り、独特なポーズで自己紹介をする。

 

「チーッス!ウチは菜花黄名子!よろしくやんね、キャプテン」

 

「カッ!!!!」(可愛いまで言えなかった)

 

「えっ、フェイ!?どうしたの!?」

 

「どうした急に!!」

 

「胸が痛いのか!?」

 

「ああ!ベータが落ちたぜよ!」

 

「あ、危なかった…」

 

「信助ナイスキャッチ!」

 

 天馬と黄名子は心配そうにフェイに駆け寄ってくる。

 

「い、いや大丈夫なんでもないよ……はぁヤバすぎ尊い天使ですねホント

 

「え、何か言った?」

 

「いや何も」

 

「…だ、大丈夫やんね?どこか痛かったりする?」

 

「アッハイ、大丈夫ですたった今元気になりました」

 

「…本当?」

 

「本当だよ、だからほら、練習しに行こう!何事も特訓からだよ!うん!」

 

「…本当に大丈夫かフェイ。お前が良ければ少し休んできたらどうだ?」

 

「…うん、そうさせてもらうよ。ついでにベータも寝かしてくるよ。落ち着いたらすぐグラウンドに向かうから」

 

 そう言って、早足で部屋を後にするフェイ。そんな彼を黄名子は心配そうな目で見ていた。

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

「…ふぅ」

 

 

 

 はぁーーーーーー、可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛いーーーーーーーーーッ!!!推しが可愛すぎる!!!あまりにも可愛いが過ぎる!!!

 

 あんなの犯罪ですよ犯罪!!何ですかあのあざと可愛過ぎるポーズは!!挨拶は!!超至近距離御尊顔アタックは!!吾輩を殺す気かぁ!!!

 あの可愛さは相手に触れずともファウルが取れちゃうぞ!!初代のジャッジスルー並みだぞ!!あまりに殺傷力が高過ぎる…。これでは割と本気で行動に支障が出る。いちいち黄名子ちゃんと接しているだけで発作が起きるとかコレはまずいですよ。早いこと慣れなければ…。

 

 はいと言う訳でアレが私の生涯推し続けた最高の天使!菜花黄名子ちゃんです!!設定上はこのフェイ・ルーンの母親だぞ。うらやまけしからんねたましいねまったく。

 

 で、そんな僕の母親がどうして中学生の姿でここにいるのかと言うと、彼女はワタクシのクソ親父であるアスレイ・ルーンがタイムスリップで中学一年生の黄名子様に頼んで、俺っちを見守りにきたんだよね!いや本当あのロクでなしはさぁ…(ブーメラン)。

 

「…フェイ?」

 

 ヒョアッ!?ききき黄名子様⁉︎どうしてここに!

 

「やっぱり心配で来たやんね。ウチが何かしたんじゃないかって…」

 

 え、もしかして心配してくれてるの?はぁ、本当かわいい。まだ中学生なのに息子思いの良い親ですよ本当。まぁ本当の意味ではわっちあなたの息子ではないんですけどね!

 さて、ベータちゃんも置いて来たし、黄名子様も迎えに来たしそろそろ戻ろう!

 

「元気になった?」

 

 元気元気超元気!!むしろ貴女様がチームにいるだけで私のGPとTPは無限やで!!

 

「そっか、良かった…。よし、じゃあ一緒にグラウンド行こ!みんな待ってるやんね!」

 

 はーい!行きまぁーす!!

 

「あ、そうや!」

 

 おやおや、なんですかn

 

「よしよし、よく頑張ったやんね。これからも大変だろうけど、一緒に頑張ろう!」

 

 そう言って黄名子様は走って屋内グラウンドへと行ってしまわれた。

 

 

 

 

 

 

 

 ……危っなッ!!!

 脳内栗松で中和しなかったら即死だったぞ!?

 

 

 

 

 

 

 

 ●●●

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の日、ようやく黄名子の発する尊すぎるオーラにフェイが慣れて来た頃、クロノストーンとなった円堂大介から次のオーラ取得先が発表された。

 ズバリ次の狙いはジャンヌ・ダルク。今度の行き先は中世ヨーロッパだ。フランス戦争の英雄の力が最強イレブンの2人目に該当した。タイムジャンプに必要なジャンヌの兜も手に入れ、後は出発するのみとなった。

 

「よし、アーティファクトもゲットしたし、あとは行くだけだな」

 

「本物なのか…?」

 

「ウチを信じるやんね!正真正銘本物に違いなし!」

 

「…でもベータはどうするんだ?まだ寝てるんだろ。一応未来の拘束具って奴を仕込んじゃいるが、あのベータだぞ?万が一に居残り組の手に負えるのか?」

 

「それなんだけど、今回は僕が残ることにしたよ」

 

「えっ…」

 

 そう声を漏らしたのは黄名子だ。フェイが残ることに天馬たちも少なからずとも驚いた様子。

 確かに彼が残れば万が一は起きないだろう。しかし、なんだかんだでここまでの道のりをサポートしてくれた彼が居なくなるのは痛手と感じた。

 

「大丈夫だよ、そっちにはワンダバもいるし、いざという時はこれで連絡してくれれば良い。きっとナビゲートには困らないさ」

 

「な、ならウチも待つやんね!」

 

「ダメだよ黄名子、君は雷門のエースストライカーなんだ。今回の旅、エルドラドが何もしてこないとは限らない。それにジャンヌ・ダルクとのミキシマックスにもきっと君の力が必要になる」

 

「でも…」

 

「今回だけだよ、次の旅からは僕もしっかりついていく。だからみんなをお願いね」

 

「……………わかったやんね」

 

 明らかに落ち込んだ様子で黄名子は引き下がる。

 そうしてフェイを外したメンバーで天馬たちは中世フランスへとタイムジャンプしていった。

 

 

 

 

 

 

 

 ●●●

 

 

 

 

 

 

 菜花黄名子はフェイ・ルーンを見守る為に未来からやって来た存在だ。

 

 ある日突如自分の目の前に現れたアスレイ・ルーンと名乗る男。彼は将来の自分の夫だと言う。彼はお願いをして来た。未来にいる自分の息子を見てやってほしいと。

 そうして話されるフェイの事柄。フェイがセカンドステージ・チルドレンと呼ばれる異端として生まれて来てしまったこと、それが原因かフェーダというテロリスト組織に入ったこと。そして、もう何年も会えていないということ。

 

「…それが本当なら、ウチは心底貴方を軽蔑するやんね」

 

「……言い返す言葉もない。私はどうしようもなく間違ってしまった。私はあの子のそばにいるべきだった」

 

 アスレイは俯き懺悔を口にする。まるでそれは許しを乞うかのようだった。

 

「…私はあの子が分からないんだ。力に目覚めたあの日から、人が変わったかのように何も言わなくなったフェイが、どうしようもなく恐ろしかった」

 

 アスレイの脳裏に思い出させるのは、フェイがセカンドステージ・チルドレンとしての力が目覚めた次の日のこと。

 フェイは家から消えた。何の言伝も無く、自宅から忽然と姿を消したのだ。当然アスレイは探した。当時フェイは5歳。何らかのトラブルに巻き込まれたと考えるのが自然だった。

 

 しかし立場、人脈、金、そのどれを尽くしてもフェイが見つかることはなかった。

 それから5年が経ったある日、セカンドステージ・チルドレンが世間に台頭して来た頃、エルドラドが秘密裏に入手したフェーダの内部映像にフェイの姿があったのだ。すぐにアスレイは独自でフェーダを調べ始め、フェイを見守る為に敢えてフェーダの協力者となり今に至る。

 

「…あの子がフェーダに入って何をしているのかはわからない」

 

 実際のテロ行為の中でもフェイらしい影は見当たらなかった。実践として彼がテロ行為に参加している訳ではなさそうなのだが…。ただ所属自体はしていることは間違いない。

 

「だがあの子は組織の中では常に無表情だ。会話も最低限。力に目覚める前の快活な笑顔を浮かべていたあの子はもういなかった…」

 

「………」

 

「頼む、フェイのことを、あの子の側で、見てやってくれないか…?そして叶うならあの子に笑顔を取り戻してやってほしい…!」

 

 黄名子はどうすれば良いかわからなかった。突然未来の夫やら息子やらと言われても理解が追いつかない。

 

「…未来の、貴方の時代のウチはどうなってるの?」

 

「それは………………」

 

「………もう、良いやんね」

 

「……すまない」

 

 頭が痛くて、目眩もひどい。平衡感覚が体から抜け落ちていく。

 自分は将来この人と身を結ばなければならないのか?フェイ・ルーンを産まなければならないのか?……そのまま死ななければいけないのか?

 

 吐き気を催すほどにぐるぐると頭に回る不安。分からない。自分がどうすれば良いのかが。

 

「……無理と言うならば、断ってくれて構わない。元は私の責任で起こった問題。嫌と言うならこの出来事の記憶を消して、君とは2度と関わらないと約束しよう」

 

「…それは」

 

 目の前に出される抜け道とも言える提案。この苦痛から抜け出せる唯一の道。

 

 正直、逃げたい。こんなことは忘れていつもの何も考えずに過ごせていた日常に戻りたい。

 だが本当にそれで良いのだろうか。例え夫であろうとなかろうと、目の前に困っている人を見捨てるのは果たして正しいのだろうか。

 

 何より未来の自分の子供をこのまま捨て置く。そんなことは、1人の母になろうとしている少女としてどうしても見過ごすことはできなかった。

 

 黄名子の天秤の傾きは前に踏み出す勇気に切り替わる。

 

「……ウチは、どこに行けば良いの?」

 

「…!!ありがとう…!」

 

 そうしてアスレイの手引きでその時代に自分の存在を埋め込み、雷門の一員となった。

 

 戦国時代に行っていたみんなが帰ってくる。そう言って他のみんなが帰還した面々の元へ向かっていく。

 黄名子は1人個室の扉の前に立つ。この先に自分の子供がいる。そう考えると妙に体が強張った。

 思い切って扉の開閉ボタンを押す。真っ先に目に入って来たミントグリーンの髪の少年。直感で理解できた、あれが自分の子供。将来自分が産み落とす命。

 

 瞬間、自らの内に溢れる未知の感覚。あの子を守ってあげないと、そばに居てあげないといけないという衝動が止まらない。きっとこの衝動こそがあの子が自分の子供だという確固たる証拠なのだろう。

 

 フェイは優しい子だった。少なくとも表面上は。

 アスレイ曰く、フェーダのリーダーの命でここ雷門に送り込まれているらしいが、きっとその際に他のメンバーと接しやすいように性格を演じているのだろう。

 胸が苦しくなる。息子だとか関係なく、彼を開放してあげたい。その生まれで歪んでしまった冷たい心を温めてあげたい。そう思える心こそが菜花黄名子の優しさだった。

 そのためにもあの時空最強イレブンの旅に同行する必要がある。きっとフェイも付いてくるから。

 

 しかしどうしたことか、予想と外れてフェイは旅に同行せず雷門での留守番を選択した。慌てて黄名子も残ろうとしたが、ジャンヌのミキシマックス候補だということでフェイに止められてしまう。

 

 中世ヨーロッパへのタイムジャンプ中、黄名子は鞄の中からぬいぐるみを取り出す。アスレイがフェイに渡し損ねたという人形だ。この人形を見ていると不思議と勇気が湧いてくる。

 

「あれ、何その人形!兎?可愛いね」

 

「あ、天馬キャプテン…」

 

「何だかフェイと別れてから元気ないけど、大丈夫?」

 

「……うん、大丈夫やんね」

 

 今落ち込んでも仕方ない。こうなってしまった以上、何としても向こうから成果を持ち帰らなければ。

 

「あっ、そうやんね。天馬キャプテン、フェイから通信用のデバイス貰ってたよね!あれウチに預けてほしいやんね!」

 

「え、別に良いけど。はい」

 

「やった!ありがとうやんね!」

 

 デバイスを手にして喜ぶ黄名子。それを見ていた剣城が訝しんだ目で言葉を発する。

 

「…黄名子はフェイのことが気になるのか?」

 

「えっ…まぁ、そんな感じやんね」

 

「おおっ!これはアオハルの予感なんじゃ!?」

 

「へぇ、フェイくんも案外モテるんだねぇ」

 

「ちょっと男子ども!!黄名子ちゃんは女の子なんだぞ!!もうちょいデリカシー持って話せ!!」

 

 マネージャーに怒られるチームメイトを見て黄名子は吹き出すように笑う。

 

(…フェイならきっと大丈夫やんね。こんなに愉快な仲間に囲まれてるんだもん。きっと改心してくれるやんね)

 

 

 

 

 

 

 ●●●

 

 

 

 

 

 

 

 さて野郎ども、よからぬ企みの時間だよ。

 

 ククク、我が何の考えも無しに留守番などするわけないだろう?

 さぁここで問題!ラスボスとして絶対的に必要な要素は何か答えよ!答えは初遭遇イベントだ!

 どんな敵だって初回のインパクトある絶望感を与えない敵はいない!エイリア学園だってそうだった!ぽっと出のラスボスなんていうのは大体存在が薄いもの。俺様はそんなチンケなものになるつもりはないのでな。ここいらで絶大なインパクトを残す敵として顔出しをしておこうという算段だよ。わはは。

 

 ちゅーわけで今からワタクシもヨーロッパにタイムスリップします。え、どうやってって、この腕時計型デバイスでだよ。

 あらかじめ時間軸に行って設定を行わなければならない使い捨てインスタント仕様ものだけれど、原作を知っている俺ちゃまは既にヨーロッパ行きのデータを確保済みだぜ!流石私、惚れそう。

 

 はいそう言うわけでレッツゴー…と言う前に、まずは僕の代わりを作らなければならない。本当にベータが暴れたら困るし、通信機器も渡しちゃってるからね!というわけで、現れよ!我が化身よ!

 

「……」

 

 目の前に現れる我輩と瓜二つの存在!ふふ、これぞ拙者が特訓に特訓を重ねて生み出した人形化身、デュプリだ!

 いやね、原作のフェイ君は軽く生み出してたんだけど中身別人なわけだからわっちじゃあ同じ化身も作れないわけよ。

 原作ではデュプリはフェイくんが親に捨てられたと勘違いした際の孤独感から生まれたなんて漫画版で言ってたからね。でも儂孤独でも何でもなかったので自力で作る必要があったのだ。今後のことも考えてもデュプリの存在は必要不可欠だからね。

 そうして4年にも及ぶあまりに過酷な特訓の結果、化身と超能力を融合させることで11人+αのデュプリを作ることに成功したのだ!いやぁ、ぶっちゃけ必殺技の特訓なんかより何百倍もキツかった…。何回心折れそうになったことか…。

 そして今生み出した奴こそ、某の最高傑作と言っても過言ではない分身デュプリだ!これは見た通り自分と瓜二つのデュプリを生み出せる技術。性格性能も使える必殺技も全部同じ!まさにハイスペック!こいつを留守番の代わりに使うわけだ。

 

「よし、じゃあよろしく頼むぞい」

 

「ん、おっけー」

 

 軽快な返事でサッカー棟へ戻っていくデュプリ。

 …よし、これで一安心ですな。万が一異変が起きてもすぐに戻ってこれるし、まさにパーペキな計画!さて、んじゃ早速行きましょう!フランスへ!

 懐に隠していたウサギの絵柄が描かれたボタンを取り出してそれを押す。すると巨大な兎の着ぐるみの頭部が出てくる。それを頭に装着して、首元にある機動スイッチを入れる。そうすればスーツが全身を覆って、マントも生成。これにて変身完了!

 

「フェーダのヒーロー、ラビットマン。いざ出陣!」

 

 そう言ってタイムジャンプ装着のボタンを押して、颯爽とその場から消え去った。

 

 

 

 

 

 







【嘘予告】
1427年!!フランスは地獄の業火に包まれたぁ!!何事もなく終わるかと思われたフランスの旅は、突如現れた謎の俺様野郎の乱入により混沌を極めるぅ!!戦いの余波で崩壊していくヴォーグルールの大地ぃ!!混乱するフランスの民!!そんな中現れる謎の着ぐるみボーイ!!
「地獄の業火から現れた男、フェーダのヒーローラビットマッ!!!」
 〜次回:神も仏もいやしないが、兎はいるよね〜

※実際の内容とは異なる場合があります。ご了承ください。



【今日の格言】:どんな敵だって初回のインパクトある絶望感を与えない敵はいない!


ごもっともですねぇ。例え最終話近くで出て来た敵でも一度は勝てないんじゃと登場人物視聴者共々思わせてくれるわけですよ。圧倒的存在感を大事にしなければラスボスウェイは歩めないのだ!いじょー!


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