【完結】天に輝く二ツ星 作:アクアハーレム最後の刺客不知火フリル
「この映画は、実際の関係者の話と書籍「真実のアイ」を元に、私や脚本家、あるいは演者達が補完して作り上げた映画です。つまり二次創作です。だから、念押ししておきたい。この映画は事実を元にしたフィクションであり、事実とは異なる部分があります。この映画が100%真実の話の話ではない、ということだけは、皆さんには覚えておいてほしい」
──五反田監督の初受賞記念インタビューから抜粋
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それは映画撮影の休憩中の出来事だった。アイが、ふと何かを思い出したかのようにあかねに言う。
「そういえばあかねちゃんって、私のモノマネ出来るんだよね?」
「えっ!? えっと、はい。そうですね、アイさんの
まだ不足がありますと言わんばかりのあかねの台詞だが、アイは感心してしまう。ふと脇を見ると、ルビーやかなはもちろん、ヒカルまで興味深そうに見てきている。見学に来ていたニノまでチラチラ見てきているので、あかねの再現するアイがみんな気になるようだ。アクアは1度見たことがあるのだが、完成度が更に増してるのではとやはり興味深そうに注目している。
「じゃあ見せてみてよ! えっと~そうだなぁ……私がデビューしてから四年後くらいの時の私!」
アイは自分でも無茶言ったなあ、と思った。あの頃のアイは自分自身でも複雑怪奇な状態だったと思っている。外側からはわかるはずもなかろうと思っていたのだが。あかねはその上を行った。何時ものように瞳を閉じてゆっくりと深呼吸すると、きゅっと口角が上がって完璧な笑顔を浮かべる。
「『……よしっ! こんにちはー!
わずかな仕草と台詞だけなのに、そこにいたのは
あの頃の無敵仕様のアイを思い出して、トラウマがぶり返したニノは軽くめまいでふらついたほどだった。
「……すごいね!? あの時のわたしだよこれ!」
「ヤバい! マ……お姉ちゃんじゃん!」
「前よりもクオリティ上がってるな」
「メソッド演技だけならもう僕より上だ。成長したね、あかねちゃん」
本人と子供、そして劇団の先輩からの賛辞に、アイとして、そしてあかねとしても演技をやめて答えた。
「『応援ありがとー☆』 ……ふ、ふぅ……えっと、ありがとうございます」
まるでぱちんと電源を切るかのように元のあかねに戻る。これも、アクア達もスタッフも慣れたものだ。はじめは監督すら驚いたものだし、実物をみたアイは
「……そうだ。こういう企画やらない? カミキミッションのネタでさ。あかねちゃんと、アイと……あとルビーとアクア、もちろん僕も。みんなでアイのコピーをしておんなじシーンをワンフレーズくらい撮って、かなちゃんとMEMちゃんで当てるみたいな企画、視聴者参加型で……」
ふと何かを思い付いたらしいヒカルが、悪巧みする子供のような顔をしていた。その提案に反応はまちまちだったのだが。
「面白そうだな。一発ネタとしてやってみるか。ん、そろそろ休憩終わるぞ」
という案外悪ノリも好きなアクアの一言によってそうなった。そんな様子を、まるで悪戯小僧たちを見守る母親のような微笑み*1で、ツクヨミが一歩離れたところから見ていた。
「アクアもルビーも、楽しそうだね」
そんな風に小さく呟いた彼女の言葉には、万感の想いが籠められていた。
☆
そんなわけで映画はスムーズに撮影が再開し、クランクアップも間近。メインの映画宣伝はB小町が行うことになっているから、彼女たちは朝番昼番地方と大忙しだ。映画の主題歌は意外にもB小町ではなく、若い世代を中心に人気の有名アーティストが歌うこととなったが、楽曲をB小町でも使ってもよいという契約体系になった上、MVにはアイを中心に苺プロメインで出演することになっている。
特に久々のMVで気合いが入りまくっているニノはどういう魔法を使ったのか(流石に切った髪はウイッグだが)当時のニノと遜色ないレベルまで絞って仕上げてきた。アイはそんなニノをみて「ニノはやれば出来るって信じてた! じゃあみんな出来るはず! 初代B小町復活させちゃお☆ えーと、ありぴゃんときゅんぱんはいるから、まずは高峰と渡辺、それからカナンとめいめいとー……あれ、あと誰だっけ?」と旧メンバーを全員をMVに呼び出そうと画策していた。
しかし当の要因となった死ぬ気で努力した仕上がったニノが「お願いだから。やめといてあげなさい」と止めたので事なきを得た。半分くらいはもう一般人だし、なんならアイを酷く苛めたせいで辞めさせられた連中もいるくらいなのだ、今さらまた芸能界に来いとは酷な話である。今は、アイとニノは、ヒカルも交えてコンポーザーと延々と歌詞の模索中である。
そうなると、アクアやあかねは比較的暇になってくる。比較的、というだけでアクアもあかねも、東京ブレイドやフリルの七色キッチン等を踏み台にして、タレントとして更に飛躍していた。
「久々の休み一致だな」
「うん。ほんと忙しかったなあ」
そんなことを言いながら、カップル向けのひとつのパフェを二人でつついていた。映画の打ち上げ後に、家族水入らずで二次会をと思ったアクアが、あかねに協力して店探しを手伝ってもらっている形なので、そのお礼も兼ねている。
「SNS用の写真は撮れたか? 俺の方は大丈夫」
「うん、私も良い感じのが……えっと、これとこれ」
「いいな」
「でしょ?」
あかねが画像フォルダを整理しながらそんなことを言う。画像フォルダの中にかなちゃん(推し活)(10)とか、かなちゃん(発禁)(7)とかあるのはもう慣れたものだ。最初は軽く引いたのだが。
単に当のアクアもみんなとの思い出を撮った画像フォルダが、合計で二桁超えるので他人のことは言えないだけとも言う。
もちろん、SNS上ではキス以上のことはしておらず仲良くデートしているもどかしくて甘酸っぱいが、B小町(特にかな)が関わると様子がおかしくなるドルヲタカップルで通している。学生カップルってもっとこうやりまくりなんじゃ? *2 と思うアクアだったが、よく考えればそんなものを公式SNSに垂れ流すわけがなかった。
「じゃあこれをTwitterとインスタにタイマー投稿して……よしっ!」
「この後どこか行きたい所あるか?」
「アクア君と一緒ならどこでもいいよ?」
アクアの質問にこう返すあかね。大体の「なんでもいいよ」とか「どこでもいいよ」とかはその文字通りではない。しかしあかねの場合は本気でどこでもいいと思っている。直帰でもいい。路地裏でも、買い物でも、本当になんでもいい。だからこそアクアは手を尽くしてやりたくなるのだ。
「そうか。じゃあそうだな……」
ちらりと腕時計をみると、午後四時半。さてどうするか。
「食い終わったら、食休みも兼ねて散歩でもするか?」
「いいね。じゃあそうしよう!」
ぱっと花が咲くように笑うあかね。アクアと一緒ならば、本当になんでもいいのだ。その上でアクアはあかねのツボをおさえてくるのだからたまらない。
「まあ、このでっかいパフェを食べちゃわないとだけどね」
そういいながらまだ半分も減っていないパフェを眺め、仕方ないとばかりにスプーンでクリームを掬いながら雑談に戻る。
「そうだな。そういえば……この間のあかね主演の朝ドラ、ものすごい賛否両論だったな」
「あれは、まあしょうがないかな」
フィクションには、非現実性を求めるファンは少なくない。特に創作であれば。あかねの出た朝ドラは、最終的にヒロインも主人公も心中するという壮絶な作品だったため、その
「でもそれだけ意見が割れてるのは、カントク風に言うなら「本物」である証拠だと思う」
「そうかな?」
「そうだろ」
アクアもそういいながら、スプーンでパフェを掬う。運ばれてきた時は見映えが非常に良かったのだが食べ進めると崩れてきて、量も多いので軽食とは言いにくい。
「それだけ真剣に見てもらえた、って事だからな。曰く『愛の反対は無関心』だったか?」
「エリ・ヴィーゼルだね。たしかにそう考えると良い作品でもあったのかな」
この手の話題に聞きなれない人名が挙げられ、おもわずアクアは首を傾ける。ただ、あかねがこういった知識で間違ったことは殆どないため、アクアが自分が何か間違えているなと思った。
「あれ、マザーテレサじゃなかったのか?」
「日本だけだよそれ」
「え、マジか」
アクアは驚いたが、それだけだ。愛の反対の無関心とは、つまりそういうことなのだ。言ったのが誰かどうかなんて事は気にしないし、テレサが言ったことにした方が『通りが良い』から真実を知っても嘘をつくし、多くの人が興味を持たない調べもしない。結果としてテレサの言葉として人々の記憶に間違って残っていく。
「まあ、このフレーズ自体、ドラマとかでもない限りそんなに使うことはないけどな」
「そうだね」
そんな、中身のあるような無いような話を続けながら、パフェを攻略していく。
「今夜どうする?」
「今夜? もちろんアクア君の家にお泊まりだよ」
「あんまり親御さん心配させんなよ」
「大丈夫、そこら辺のスケジューリングは完璧だから」
ほら、とびっしりと予定が書き込まれたスケジュール手帳を見せる。あかねらしい丁寧で綺麗な字で細々と、プライベート・仕事問わずさまざまな予定が記されている。そして今日の日付の部分にはハートマークが記されていた。
「なるほど。散歩終わったらかなのとこに帰るぞ。やるならそこで、だ」
「……うん♡ いっぱいしようね♡」
あかねの数少ない
「仕上がった」ニノ
地獄のようなシェイプアップと鬼のような化粧と死ぬ気の運動によって完成した。コンセプトは“理想の当時の自分”。そこに加えてアイから聞いた「ミリ単位の調整」もくっつけた最高潮状態。
とはいえ化粧はメイクスタッフに任せたものだし、シェイプアップは一時的なもの、ミリ単位の調整も付け焼き刃なので、時間経過でバフが解除される本人的にはまさに劇場版限定フォーム。
だが絞った肉体だけは裏切らず、その後も定期的に運動した結果健康的になって贅肉が消え、食事量も増え、肌環境も改善したので小皺が消えた、特に目尻。
MVの影響もあってか、ニノの仕事と給与が増えた。ネット上では劣化していたのが再生したとか整形したとか好き放題言われている。ちなみに整形は生まれてこのかたしたことはない。
作者は、ニノ本人は実際努力家だし、ポテンシャル自体は大手アイドルグループのセンターを勤められる能力はあったと思っている。単純にアイがそれを上回る魔性のカリスマだっただけで。まあ良くも悪くも真面目すぎてどうにかなった、というのが現状の認識。ニノ転生モノとか出ないかな
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