【完結】天に輝く二ツ星   作:アクアハーレム最後の刺客不知火フリル

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良く考えるとアクア未死亡前提の推しの子二次創作群ぜんぶが「アクア生存IF」になってることになりますね(なのでそれに合わせてタグを編集した)


星に夢を その9

「マリンくん、もうすぐ公開やね」

「ん? ああ。すごいよな、全国公開ってのも」

 

 アクアはみなみに話しかけられて、スマホから顔を上げて返事をした。映画「真実のアイ」は、SNSやニュースを始め、各所で広告をバンバン打っている。関係者も上も売れると判断しているからだろう。書籍を読んだことのある人ならば実写化に期待し、そうでない者でもアイやヒカル、あるいは2代目B小町やアクア等といった役者のファンからの導線から興味を持たれる。

 

「うちも映画出てみたかったなぁ~」

「低予算映画とかならバーターで引っ張ってやってもいいんだが、こればっかりはどうしてもな」

 

 アクアもすっかり売れっ子であり、単価もぐんぐん上がっているため、それこそ五反田監督が敢えて低予算映画を作る時にアクアが縁故で呼ばれる時以外は殆どそういう現場はなくなった。それに、アクアとしても「真実のアイ」は母の半生を描く肝煎りの作品だ。経験のないみなみを呼び込むことは、残念ながら難しい。

 しかし、バラエティ向けな性格をしているから、焦ることはないと考えていた。地上波デビューをしてSNSで「爆乳大食いグラドル」として視線を集めている。キャノンファイアはそうしたメディア展開にも強い事務所だ、そういうオファーが来てもなんとでもなるだろう。

 

「まあ、そうやねえ。やっぱネット配信系からがええんかな?」

「低予算現場から上に行く方が安牌だな。俺のデビュー作は……まあ、参考には出来ないな。かな風にいうなら「コネの子」だったし」

「一応「今日あま」が子役やなくて役者としてのデビューと考えればええんちゃうかな?」

「そうか? まあそうなるか。それでも半分くらい縁故だけどな。みなみも、そういうのに備えて演技の練習だけでもしとくか? 損はしないだろ」

「んー、そやねえ」

 

 今もぽやぽやとしているように見えるみなみだが、これでいて中々に強かである。なんなら自分がそろそろ準レギュラーになりつつある「山盛りフード登頂録」に、サプライズアクア*1させる腹積もりまであるくらいだ、度胸がある。素養もあるだろう。

 

 役者視点で見るみなみは、かな達のような天性の才能持ちというわけでもなく、フリルのような独特な存在感があるわけでもないし、MEMちょのような自己プロデュース能力があるわけでもない。

 

「参考になるかは分からんけど、とりあえず真実のアイは見に行こかなって思っとるんよ。あ、もちろんマリンくん達で一緒にな?」

「この日は空いてるか? まあ先行試写会でもう見たは見たけどさ。皆で見に行こうって予定空けてるんだよ。あかねがその辺調整してるだろうけど、一応な」

「ちょいまってな~……うん、もちろん空いてるで~。ここ空けといてほしいってのはそういうことだったんやな」

「あかねには頭が上がらないな、マジで……」

「ほんまにな~」

 

 そんな会話をしながら、アクアは真剣にみなみが役者としてやっていけそうなのか考える。

 

 みなみの良さはこの人に好かれやすい空気感と、ぽやぽやした表情で、人と人の間に入ってコミュを取るのが上手いところ。間延びしたゆるいエセ関西弁と、心にスッとはいってくる声質(CV)がそれを支えている。それでいてグラドルなので脱ぐことに抵抗が少ないため、肌を見せるような作品だったり、アダルティ・エロコメディチックな作品にも出やすい、となんとも使い勝手が良さそうだ。つまり監督やスタッフに好かれやすそう。あとは演技力だが、アクア視点ではまだ未知数と言えた。

 

 しかし。しかしである。みなみは天才たちの演技を生で何度も見てきた。方向性はイメプレとかごっことかそっち(エロ)方面だが、たとえプレイでも手を抜かない演技バカども(アクア・かな・あかね)を手本にしてそういうことをしてきたのだ*2。そのピンク色の経験はみなみの中にまるで雪のように……いやどちらかというと鍋底にこびりついた汚れのように……まあ表現方法はともかく蓄積されている。

 

 結論。グラドルとしてのカメラへのアプローチ。蓄積した演技経験。人好きする性格と声。これらが基礎演技力で連結された時、みなみは花開くだろう。もちろん、今すぐという事はないが。

 

「マリンくん。今日はこの後どうしよか~?」

「もちろん、みなみと遊ぶよ」

 

 さっきから腕だの頭だのに、最強の武器(ばくにゅう)をぐにぐにと押し付けているのだから、何をしたいかなど火を見るよりも明らかであった。

 

「うち()でええん?」

「なんだ、みなみ()遊ぶ方がいいか?」

「まぁ、えっと……えへへ♡」

「良し、覚悟しとけよ」

 

 たっぷりと遊んだ。みなみは今日も頭の中までピンク色だった。まあ高校生だからこんなもんでしょう。

 

 ……ここまではいいのだが、その経緯は当然他の面子にはバレていて、特に最近仕事も増えて事務所も違う多忙なフリルはおかんむりであった。あかねも気を配ってはくれているし、アクアも気を付けてはいるが多忙なものは多忙なのだ。

 

「というわけで、不平等はんたーい。デート増やせー」

「『ごめんね、りる……』」

「……ん、許す。まりが悪いかっていうとそんなでもないし」

 

 というわけで不満をストレートに棒読みでぶつけたフリルは、番組収録後の流れでアクアと双子コーデ女装デートをしていた*3

 ルビーは自宅に帰ればいつでもアクアにかまってもらえるので、妹妻(いもうと)の余裕と言わんばかりに空気を読んで先にかなハウス(エロ伏魔殿)に帰った。

 

 ちなみに、女装アクアの偽名は(たまたま)斉藤夫妻の娘と名前がかぶってしまったので愛称そのままの『まり』になった。

 

「『でも、ちょっと意識から抜けてたのは本当だから。あかねに甘えすぎたかな』」

「一理ある。私たちも気を付けないとね」

 

 ねー、と頭と頭を寄せあう。アクアの言う通り、あかねが何でもやるものだから、あまりに頼りすぎているという事を改めて自覚した。気を付ける、とはいっても予定をどうこうするとか、そういうのではなく、誰と遊んだとか誰とデートしたとかそう言う回数を覚えておこうという話であった。

 ただでさえ今はあかねもそれなりに多忙な筈なのに、何故か当たり前のように全員のスケジュールを把握しており、今月も「はい、これ今月の予定表だよ」と渡してくるし「この日なら空いてるよ」と本人よりも詳しくスケジュールを把握しているのだ。

 もちろんあかねは、本人たちから聞き出しているとはいえ事務所が違うフリルやみなみの予定も当然のように把握している。しかも、あかねがアクアたちと遊ぶ時や過ごしている時にスケジュールをまとめているとかそう言う素振りも見せないのにである。

 どうやって時間を捻出しているのか不明なので軽くホラーだった。*4

 

「『あかねには頭が上がらないなホント……』」

「そうだね。こんど感謝の気持ちを込めたプレゼントでもしよう。まりちゃんにリボンつけて。あと眼鏡もかけよう、ルビーも興奮する」

「『なんでわたしなの……? まあ、いいけど……』」

 

 そういいつつも、少し恥ずかしいのか頬に朱が差している()()。要は女装したアクアをあかねに差し出そう、という話をやんわりと受け入れていながらも、恥ずかしさで顔を赤くしているのだ。フリルはもう心のマリン砲が最大仰角になったが、まだ目的地にはついていない。フリルはこういうじれったいのも結構好きである。しかし興奮しているのはしているので、それをごまかすように、別の話題に。

 

「あかねと言えば、私とあかねがやってる月9ドラマの収録でさ、私とゆらさんが濡れ場だったんだけど」

「『すごいネタバレを食らった。まあ確かに寝そうな空気は出してたけど』」

「ごめんごめん。でもめっちゃよかった」

「『りる?』」

 

 この面食いは……と思わずあきれてしまう。相手が女性で、しかも撮影時に知り合った顔見知りなのでまだ良かったものの、もしアクア以外の男の話が出てきていたらアクアも少し嫉妬しただろう。

 

 フリルは映画で濡れ場を撮ったという話が既に業界では回っており、そういう演技も出来るならばと仕事の幅が増えていた。だがその上でフリルの所属事務所は濡れ場はフリルのブランドイメージをあまり崩さないように相手は相当な美男美女に絞るようにしている。

 そのうちの数少ない許された濡れ場のひとつが、フリルが主人公、あかねがその親友、片寄ゆらがフリルの憧れる格好いい先生という役のドラマだ。あかね役はフリル役に秘めた想いを寄せているがフリル役がゆら役の事が好きなのも知っていて……しかもゆら役とフリル役は義姉妹という()()()()な関係性だ。ジェンダー平等だのなんだのは抜きにして、普通に女性同士の恋愛劇として非常に高評価だ。男性からも美女同士のからみあいで非常に眼福という声もある。

 

 呆れているアクアをよそにフリルは続ける。

 

「いや本当に、私がタチだったからさ。終わった後も顔まっかっかにしてたゆらさんかわいくてつい自慢したくて……」

「『ルッキズムの権化だー』」

「いいでしょ。みてこの美貌」

「『確かに』」

 

 フリルはこのようにルッキズムの権化であることを誤魔化さないし、寧ろその通りだと肯定して茶化すことも多い。アクア的には、これはフリルなりの自己防衛術なのだろうと思っている。まあそれはそれとして、熱しやすく冷めやすい、典型的な惚れっぽいタイプなのも事実だ。

 そんなフリルを、自分だけに釘付けにさせるには()()()()()()()()()()()()だと、フリル本人が言外に教えてくれたので、アクアは毎回じっくりコトコト煮込むのだ。

 そんな心配せずとも、フリルの中身(こころ)はアクアにぐずぐずに溶かされているのだが、それはおくびにも出さない。

 

 これはアクアとフリルの真剣勝負なのだ。……プロレスともいう。

 

「じゃあ……こんなりるを独り占めできる男は、幸せ者だな」

「……♡」

 

 フリルもフリルで油断できない、こっちがおちゃらけた態度をとるとすぐこれだ。特にフリルの弱点である耳朶の側で吐息がかかる距離で言うのだ。脳に響くような囁き声で。かわいい女装した女の子みたいな子から発せられる低音イケメンボイスによる生ASMR。アクアの必殺技のひとつとも言うべきそれに脳が蕩けるようだった。

 

 

 

 

*1
星野アクアをサプライズ出演させて主演が全部食われるようならキャスティングを見直した方が良い、とかそう言う意味ではない。

*2
その影響でフリルとルビーも演技力が底上げされていたりする

*3
アクアは鍛練の成果(?)により用意さえしてあれば10分で女装完了できるようになった。そのうちの殆どはメイクに時間がとられる

*4
実情としては、元々情報収集とそのまとめと整理が得意なあかねにとって大した手間ではないからというだけ。「天才」なのだった

ガチ濡れ場(R18)って需要ある?

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