【完結】天に輝く二ツ星   作:アクアハーレム最後の刺客不知火フリル

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ひとまず、幼少期編は終了です。2~3話ほどオリジナルエピソードを挟んでから芸能界編の予定です

※オリジナルエピソードです。また、間接的な性描写があります。ご注意ください。


閑話
幕間2.忍び寄る想定外


 ある日の一家の、久々の全員が休みの一幕。

 

「そういえばさぁ、最近ララライに入ってきた男の子を金田一さんがすごい気にかけててね。「コイツは育て甲斐がある」とかなんとか言っちゃって張り切ってるみたい」

 

 食卓で朝食後の一服として紅茶を嗜んでいたヒカルが、ふと思い出したかのようにそんな話を始めた。

 ヒカルは金田一にお世話になったので結構感謝しているのだが、金田一にとってヒカルは役者としては育て甲斐のない天才だった。ララライで舞台に出るようになる頃には既に“人を騙す瞳”を覚えていたし、教えれば教えた以上に出来るようになる学習能力に加えて、特に教えてない技術も他の役者の見よう見まねで身に付けてしまうような天才であった。

 金田一がヒカルに唯一まともに教え込んだのは、それこそ芸能界での()()()くらいなものである。結局それも殆ど使われない知識になったのだが、息子にその知識は受け継がれていた。無駄ではなかったのである。

 

「へー、確か……あー、ララライの代表さんだよね?」

「アイもワークショップの時会ったことあるよ」

「あ、もしかして不機嫌そうな無精髭の人?」

「その人」

 

 アクアは人の覚え方がひどいと内心嘆いたが、そろそろ慣れてきた。そもそも双子の顔すら見間違えていたような人が、ちゃんと人を分別出来るような余裕が出来たことは、喜ばしいことであった。以前は時間をかけても、ちっとも興味を引かれない人の名前を覚えられなかったが、今では頑張ればなんとか覚えられる程度にまでなっていた。心の傷が癒えたからだろう。

 あのライブのあと、双子たちや社長たちに自分の幼少の頃の経験を改めて語ったアイ。そのため、ルビーはよりアイにベタベタになったし、アクアもきちんと甘えたり、日頃の感謝を伝えるように心掛けるようになったりした。社長たちは余計に過保護になったものだ。

 当の本人はいやーもうヒカルが居るし、子供たちもいるから! と気にしてない様子だったが。

 

「姫川大輝くんって子でさ、中々成長が僕としても楽しみなんだよ」

「ふーん、じゃあ将来のアクアのライバルなんだ?」

「そうだなぁ、ライバルかもね。でもアクアはもっと立派になれるさ」

 

 夢はでっかくハリウッド、どうだい? と惚けて見せる父。

 

「父さん、俺は挑戦するだけはしてみたいかな。まあ、日本で一番になってからにするよ」

「じゃあ私も夢はでっかくママを超えて世界一のアイドル!」

 

 そんな可愛いことを言うもんだから、アイはもう子供たちが愛おしくて仕方ない気持ちが溢れた。もう愛をごまかす必要がなくなった無敵のアイは、双子を思わずぎゅっと抱き締める。きゃー! とルビーが嬉しそうな悲鳴を上げた。

 

「大きく出たね~? このこのー!」

「母さん苦しいよ」

「おにいちゃん嬉しそうだからもっとぎゅーってしよう!」

「おっけー☆」

 

 ぎゅー、と母と妹に抱き締められるアクア。推し(アイ)推し(ルビー)に挟まれて、熱されたマシュマロのようにふにゃふにゃになってしまう。こんな幸せがあって良いのか? いや良いに決まっている。アイはそれだけの苦労をしたのだから。

 

「姫川かぁ、なんだか懐かしいな」

「んー? 何が?」

「いやね、僕が11歳位の時かな。同じ苗字の人が同じドラマに出ててね。確か当時の朝ドラの女優だったかな?」

「へー」

 

 母の声色が平坦になった。抱きつかれていたアクアとルビーの背筋が凍った気がした。チラリと横を見ると、物凄い平坦な無の表情をしたアイが居た。普段、笑顔の方が多い母の真顔に幸せに浸っていた双子はビビった。父はそれに気づいているのか居ないのか、のほほんとした雰囲気のまま紅茶を楽しんでいる。

 

「それでね。あ、そういえばこの話したことなかったっけ? その時に、その姫川さんに殆ど襲われるような形で一夜を過ごしちゃってさ」

 

「は?」

 

(ママが見たことない顔してるー!?)

(なんて話をしてるんだ父さん! まだ午前中だぞ!!)

 

 アイに抱き締められる強さが、かなり強くなった。ギチギチという擬音が聞こえそうな位である。端的に言ってアイはキレた。例え昔の女とて自分以外の女の影を感じればそうもなろう。アクアにはよーく身に覚えがある。女遊びしていた頃、やたら距離の近い同僚に似たようなことをされたので。

 

「知ったような口で“あなたの価値を教えてあげる”なんて口車にのせられちゃってさぁ。まあ、それ一度きりで付き合いもなにも無かったけどね。いやぁ酷かったね。僕そのとき、それが何かも分かんなかったからね」

 

(母さんもだけど、父さんも大概な過去してるな)

 

 普通、そういった性行為を知識としても知り得ていないような子供がそういった行為を受けたら、男女どちらでもかなりの確率でトラウマになるだろう。だというのに、自分達が生まれたということはそれを乗り越えたということだろう。強い父だと思った。

 とはいえこれは、そんな知識に造詣が深いアクアだからこその反応。ルビーはさらに怒りメーターを上昇させて空気を冷凍庫のようにしているアイにビビりっぱなしである。

 

「ふーん。ふうううううん。そーなんだぁ?」

 

 そんな風にキレるアイを見て、なぜか愛おしそうな顔をしてアイを撫でるヒカル。一撫でしただけでアイはふにゃふにゃになった。

 

「ふぇ……」

「ふーん? アイってば可愛いね」

「何が……?」

「ん? 気づいてないの? 僕の昔話に出てきた女の人に嫉妬してたでしょ? だから僕は愛されてるなってのと、嫉妬してるアイは可愛いなぁって」

 

 そう言って笑いかける。アイは茹で蛸のように真っ赤になった。

 

「うわぁリアルニコポナデポだぁ」

 

 ルビーは現実にこんな人居たんだ、やばー。みたいな顔で両親を見つめている。実はアクアに似たようなことされたらおんなじ反応するのは、乙女の秘密だ。

 一方のアクアは脳が焼かれていた。いくら身構えても中々慣れるものではなかった。脳焼きは身構えている時には来ないものだ、アクア。脳内のイマジナリ吾朗がそんなことを抜かした気がしたので念入りに脳焼き感覚をイマジナリ吾朗に送り込んでやった。イマジナリ吾朗は脳が焼かれた。

 

「嫉妬……これが嫉妬? こんな黒くてモヤモヤしたのが……」

「ごめんね、アイにとっては気持ちのいい話じゃなかったね」

「むー」

 

 ぷくー、と頬を膨らませて私怒ってますアピールをするアイ。ヒカルはそんなアイを見て。双子たちをそっとソファーに戻して、アイをお姫様抱っこした。

 

「きゃっ!?」

「アクア、ルビー。父さんはアイと()()()()()()()()をしてくるから、リビングで遊んでてね」

「ヒカル!? ち、ちょっと!」

 

 そんなことを午前中から言い出すヒカルに猛抗議といわんばかりにじたばた腕の中で暴れているアイだったが、額にキスをひとつ落とされただけでしおらしくなってしまう。

 

「良い子にしててね?」

「はーい」「わかった」

 

 そうしてアイをお姫様抱っこしたまま、寝室に消えていく二人。

 

「……ねえ、おにいちゃんこれって」

「言うな、皆までいうな」

「これ絶対またエッチしにいってるやつじゃん!」

「言うなっていったろ……」

 

 あまりにもあけすけに言うルビーに、肩を落とすアクア。とはいえ、アクア的には夫婦仲が非常によろしいのは喜ばしいことだと考えている。

 二人ともまだまだ若い、自分もかつて両親くらいの年には結構激しく女遊びをしたものである。それに比べれば健全であるとも思えた。イチャイチャを見せつけられるこちらの立場を考慮しなければだが。もっといえばこの歳でそんなことを理解しているこちら側が悪いといえば悪いのだが、心情的にはそうも言ってられなかった。

 

「じゃあ私たちもエッチなこととかする?」

「何を口走ってるんだお前は。そもそもまだ幼稚園児だし、兄妹だぞ、いろんな意味でダメだ」

「えー」

「えーじゃない」

 

 アクアは努めて無視している。ルビーが結構本気で言っていることに。前世での彼女に希望を与えるだけの約束……16になったら考えてやるよ、という言葉を彼女は今でも大切にしているし、事あるごとに将来はおにいちゃんと結婚する! と宣言している。両親や社長夫妻からは「パパと結婚する」みたいな子供の微笑ましいあれそれだと考えているようだが、知らぬが仏である。

 

「じゃあ、ほっぺにちゅーでいいからぁ~……ダメ?」

「……分かったよ、ほら」

「ここね、ここ」

 

アクアは妹に甘かったのもあるが、なにより彼女の懇願に勝てるわけもなかった。ルビーが右頬を指差すので、サッと終わらせようとアクアは唇を近づけて……ルビーがこちらの唇に合わせてきた。触れるような一瞬のバードキスだったが。

 

「っ!」

「んふ、前世含めてのファーストキスだよ? せんせ(アクア)にあげちゃった♡」

 

 それで、そんな思わせぶりな科白(セリフ)をいうのだから、たまったものではない。顔に熱が集まるのを自覚する。

 

「……いつの間にこんなテクニック覚えたんだ」

「YouTubeで似たようなのやってたから」

「すげえなYouTube。じゃなくて。もっと大切にしなさい、そういうのは」

「大切にしてるから、アクアにあげたんだよ?」

「うぐっ……」

 

 アクアは、今自分の肉体が子供であることに感謝した。妹とはいえ、こんな可愛らしい子に迫られて悪い気はしない。妹に、かわいらしい小さな悪魔の尻尾が生えているような気がした。それはそれでありだな、有馬も似合いそうだ……とか考えるアクアも色々手遅れであるのだが、自覚は一切ない。

 

「降参だ、ルビー。でもちゃんと将来の事を考えてくれよ? 将来アイドルになるんなら、俺とでもこういうことはだな……」

「妹の私が兄に甘えるのは自然の摂理なんですけど。与えられた当然の権利なんですけど。それとも……ダメ?」

「う……ダメ……とは言わない……」

「やった! おにいちゃん好き! 結婚して!」

「兄妹だから法律的に無理だって……」

 

 兄は折れた。妹に勝てるわけがなかった。

 そして数時間後、両親は肌を艶々にして寝室から出てきた。

 

「今日もアクアとルビーは仲良しさんだね。さ、そろそろお昼ごはんにしようか」

「あ、今日はヒカルが作ってくれるって!」

 

 先ほど以上にべたべたにくっついてイチャイチャしている両親を見て、やることやってんなぁ、とアクアは黄昏た。自分に引っ付いてる妹との色恋とかあれそれは棚にあげた。




まさか一夜限りの関係、しかもしっかり家族計画したのに命中しているとは夢にも思うまい。

※追記 9月7日(木) 0:25に二次創作新作日間ランキングに15位にランクインしていました。皆様の応援のおかげです。ありがとうございます。

ガチ濡れ場(R18)って需要ある?

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