【完結】天に輝く二ツ星 作:アクアハーレム最後の刺客不知火フリル
シリアスで疲れたのでギャグ寄りの平和な回です。
※オリジナルエピソードです。ご注意ください。次話から本編に復帰します
有馬かな。ルビーにとって目の上のたんこぶである。
ルビーはアクアが好きだ。4年も前に死んだ自分の事を覚えててくれていたし、あのキーホルダーも死ぬ時まで大事にしてくれていたらしいし。例えあのときの恋がはしかのような勘違いの初恋だったとしても、ここまでされて惚れない女はいないだろう。詩的に言うならば二度目の初恋、であろうか。今日も今日とて花嫁修行気分で両親から家事を教わっている。
星野瑠美衣。かなにとっての最大の敵である。
かなもアクアが好きだ。同年代で、初めてのライバル、初めての友達、初めての親友、初めての異性。なにもかも、かなにとってもアクアにとっても初めて同士の仲。しかも、ピンチだった自分を助けあげてくれた男。しかも顔よし器量よし性格よしだ。惚れない道理はない。ちなみに中学校は別々になってしまったが*1、それもまた良いと考えている。本当にたまにだが家にも遊びに来てくれるのは確かだし。わざわざ変装までして、人目を気にしてくれるのが秘密のデート感がしてドキドキする。まあゲームしてみたり、一緒に料理したりとかしている位だ。かなも少しは簡単な料理くらいはできるようになった。
だから、久々の二人の出会いは最悪であった。
「……ちょっとルビー、距離感おかしくない? 兄妹の距離感じゃないでしょ」
「はー? 別に家族だからこのくらい普通なんですけど? 仲良しだから当然なんですけど!? そう言うかな先輩こそ距離感おかしくない? 親友にしてもあんなに顔近づけるもんなの?」
「え? 別にこのくらい友達同士ならやるもんじゃないの?」
「そうだった、この人友達もおにいちゃんしかいないんだった!」
「張り倒すわよ!!」
アクア不在で始まったこの不毛な争いはどんどんエスカレートしていく。
「まあいいけど~? アクアがおにいちゃんで良かったわね~。私はアクアと結婚できるし、幼馴染み。しかも親友で心を許した仲だけど~?」
「は? おにいちゃんと同じ産道を通ったこともない癖になに言ってるの? 私はもう既におにいちゃんと同じ籍に入ってるから既に結婚したようなものなんだけど?」
あんまりにもあんまりな恐ろしい発言にかなは声を荒げる。
「同じ産道って発想が怖いんですけど!? ていうかどういう超理論なのよそれは! まぁ、私は結婚できるけどね? 六法全書が味方に付いてるのよ!」
「愛は法律を超越するんですけど! だいたい兄妹で子供作っちゃダメな法律はないし!」
「遺伝子がアレな問題とか知らないの!?」
「ぶっぶー残念でしたー、近親間の遺伝性疾患は一世代くらいなら問題ないし、くりすぱーなんとかっていうのでなんとかなるってネットニュースになってたし! *2」
「え、あんた常日頃からそういうの調べてるの?」
「うん。だっておにいちゃんに迷惑かけたくないし」
「キモ……」
「ライン越えたねぇロリ先輩!!」
「いや子供作る前提で結婚しようとしてる実妹とかいう存在は控えめに言ってもキモいわ!!」
「なんだとー!?」
「なによー!?」
ヒートアップしていき、アクアが戻ってくるまで続いたあまりにも不毛な言い争い。そんなこんなで、初コンタクトは最悪だったのだが、ある意味でお互いの秘密の気持ちを共有する、秘密の共犯者でもある。それ故に、奇妙な連携をこの頃から産み出していたのだが……アクアが中学に入学して半年くらいしたころ、転機が訪れた。
「かな先輩、ヤバイ。助けて」
「どうしたのよ急に。アンタが弱音吐くなんて相当じゃない」
「おにいちゃんが学校でヤバイほどモテモテになってる!」
「話を聞かせなさい」
脅威が迫れば手を組める。呉越同舟ではないが、敵の敵は味方なのである。
アクアはまず顔が良い。どう顔が良いって、まず見慣れぬ金髪青眼で切れ目、鼻筋も通っていて浮世離れした儚い印象を受ける。目鼻立ちも整っている。それでいて様々な知識に造詣が深く、賢くて勉強が出来る。その割に勉強を必死にやっているような素振りもなく、休み時間は常に難しそうな本を読んでいる。そんなやや内気な雰囲気でありながら、いざ運動させれば中々どうして出来る。人並み以上程度ではあるが、とにかくチャンスを逃さないのがずるい。あと、頼ると世話を焼いてくれる優しい所とか、兎に角挙げればキリがない。
中学生にあるまじき大人びた雰囲気も相まって、同性から嫉妬されるどころか、それを通り越して拝まれるくらいモテている。
「……それは不味いわね。つまり、アクアが他のメスにころっとやられるかもってこと?」
「そう! だっておにいちゃん優しいし、グイグイ押されたら受け入れちゃいそうな怖さがあるもん!」
「まあ、確かにありそうね……」
アクアは優しい。優しすぎるほどだ。きっぱり断ったり出来なさそうと言うのは、かなとルビー二人の共通認識だ。実際には中学生と恋愛してもな、というアクアの心情があるので殆ど断られる。実際にアタックして受け入れそうなのはそれこそかなくらいなのだが、本人は知らぬままである。
「こうなったら仕方ないわね。同盟を結んで私たち二人で妨害工作するわよ」
「妨害工作?」
かなは意外と頭が回るし、結構計算高い。口が純粋に悪くて押しに弱いという弱点さえ除けば、長年芸能界で生き延びてきた経験が光る。ルビーにはないものだ。頭は回るがアホだし人生経験も殆ど14歳レベルだ。小学生が赤子に転生して中学生に成長したとしても、小学生以上、ましてや大人レベルの知性や経験を獲得したことにはなれない。当たり前の話である。
「いい? 仮に、仮によ? 私がアクアとその……あの、あれよ。付き合ったり、その先までいったりしたとしても、絶対アンタが……ルビーがくっついてくるでしょ」
「まあね。おにいちゃんと離れるとかあり得ないし」
「それは私が昔からルビーとアクアがベッタリなのを知ってるからよね。でも他の子はそれを知らない」
「そうだね。あ、じゃあ私がところ構わずおにいちゃんとベタベタしてたら……」
「牽制にはなる。ブラコンの妹がくっついてる男には、中々近寄りがたい。アクアのスペックが高いからこそ、一人占めしたいと思うのよ、普通は」
これが第一の妨害ね、と一旦締めた。だがまだ話は続く。
「次に二つ目。それでも諦めない奴相手の対策ね。
「匂わせで良いの?」
首をかしげるルビーに、かなは真剣な表情で答える。
「そういうので嘘吐いたら、アクアにばれるじゃない。それに……付き合ってないのも本当だし。そこで嘘吐くのはね。付き合ってるけど隠してます、ならいいけど」
「それもそっか」
なんだかんだ素直な先輩だな、とルビーは思うようになった。自分の前世は取り繕った嘘で隠していたから。こういうところは見習っていきたいと、眩しいと思っていた。
「で、だから例えばそうね……アクアと私って結構チャットでも話すじゃない」
「そうだね。おにいちゃん、陰キャだから。自分から話しにいく事ってしないから、中々友達出来ないし、余計にかな先輩に話してるかも」
「ふーん。ふーん。……まあいいわ。で、そういうときにあんたが近くにいたときに『またかな先輩と話ー?』とか言って私の話題をちょっとだけ出すのよ。ちょっとだけ」
自分が数少ない……恐らくほぼ一人だけのアクアの親友という立場にかなは気分がかなり良くなった。
「その方が自然だもんね。それで?」
「そうすれば周りのアクア好きな子は、気になるでしょ。明らかに女の名前が出てくれば。流石にそれを本人には聞けなくても妹には聞ける」
「あ、そっか!」
それで相手は当然気になって、妹のルビーに聞いてくる。かな先輩って誰? アクアさんの知り合い? と。
「それに二歳くらいからの付き合いの幼馴染の女の子だよ、とか言えば」
「そう。勝手に『二歳くらいから付き合ってる幼馴染みの彼女』に変換される。分かってきたじゃない? 自分が結論を出した勘違いって、中々訂正できないものよ。それに私には“アクかな”っていう世間の認識もあるから、余計に勘違いしそうじゃない?」
「うわーワルだぁ」
「別に私たちは騙してないからいいのよ。勝手に邪推して勘違いする方が悪いってことよー?」
二人して、ニヤリと笑う。アクアに秘密の悪巧み。悪巧みとは何故こうも楽しいのだろうか。
「もう、その際だからぶっちゃけるけど。別にあんたがアクアと結婚したいくらい好きでも……まあ、気にしないことにするわ。結婚したとしてもくっついてくるんなら、仲良くした方がトクでしょ」
「まあ……確かにそう考えれば、仮に私がおにいちゃんを独占したってかな先輩との付き合いが消えるわけじゃないもんね」
「当たり前でしょ、幼馴染みで親友でライバルで先輩で……あと何かあったかしら」
「先輩、肩書き多くない?」
「こういう結び付きは多い方がいいのよ。なんかお得だし、肩書きがひとつ剥がれても他のが残るでしょ? ダメコンよダメコン」
「わーずっこい」
「カツカレーみたいなもんよ」
二人の立ち位置は、実は結構似ている。どちらかをアクアが選んだにしても、どちらかが離れたりすることはない。くっついたままである。
「あと、あのスケコマシ三太夫は人助けして勝手に惚れられそうだから……もうこの際増えることは気にしないわよ」
「うわぁ、幼馴染みの余裕?」
「そうじゃないわよ。ただ、アクアは最後まで責任とるタイプでしょ。だから気にしてたらストレスで死ぬわ」
「あー……確かに。おにいちゃん優し過ぎるもん」
「ま、幼馴染みっていう立場は一生揺るがないからってのも確かにあるわね。……でもアクアを芸能人でもない地味な一般人のメスにかっさらわれるのは、腹立つじゃない? まさしく『誰よその女!』って気分ね」
「あ、なんとなくわかるかも?」
雑誌に載ったこともないくせに、撮影の苦労も知らないくせに! というプライドは何となく分かる。ルビーも曲がりなりにも、アイドルまでの繋ぎとしてジュニア部門の写真モデルをやっている。なんなら将来はアイドルだ。芸能界の大変さを分かち合えない相手とアクアが付き合うと考えたら、その相手と一生分かり合える気がしない。
「だからもう、女の子が周りに増えるのは……仕方ないと諦める。あんなのモテるなって方が酷だし。もちろんアンタにも、増えた他の女にも嫉妬を焼きまくるけど、無理に離そうとかそういうのはしない。でもそれは芸能人相手、その中でもよりすぐりもよりすぐりのメンバーでアクアのまわりを固めてガードするって方向でね」
「おにいちゃん防衛隊ってかんじだ、選びに選び抜かれた美人だらけの親衛隊ってことー? 端から見るとハーレムだぁ」
「いいんじゃない? 誰も来なくてもアンタと私がいるんだから実質常に二股状態よアイツ。そのくらいの甲斐性あるでしょ」
「おにいちゃんなら大丈夫だと思う!」
だって前世は女遊び結構激しかったみたいだし、私たち二人くらいなら余裕でしょ! という邪悪な思想は口には出さなかった。
「んじゃあそういうことで、不可侵条約ってかんじで」
「うわー破られそう」
「なんでよ!? あーもう、じゃあ和平でも友好条約でもなんでも良いわよ。同盟とか」
「んー、じゃあ同盟で。題して「おにいちゃんのお嫁さん同盟」! どう?」
「ネーミングセンス死んでるけど、まあそのまんまだし、アリじゃない?」
後に、この同盟の最初にして最大の敵、そして将来の頼もしすぎる味方を前にして、二人は同盟を組んでおいて正解だったと語る。
「せんせ好き♡ 内縁で良いから結婚して♡」
「あーくん好き♡ あーくんと結婚も子作りも全部初めて♡ 一番最初♡」
◆「16歳になったら重婚してやるよ」と言っていた
(流れ出すメフィスト)
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