【完結】天に輝く二ツ星   作:アクアハーレム最後の刺客不知火フリル

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2.「もしかしてものすごい便秘とか」「だとしたら死んでますね」

 雨宮(あめみや)吾郎(ごろう)は人生最大の事件に対面していた。

 推しであるアイがイケメン俳優と子を為してたとか、家路につく途中でカラスにバードストライクを喰らって崖に落ちて死んだ(あのカラスマジ許さん)とか、そこら辺のあれそれをすっとばすほどの衝撃的な状況……。

 

「よーしよしルビー、ママでちゅよ~」

「アイ、そっちはアクア」

「ありゃ?」

 

 気がついたら、身体が縮んでいた! というか別人の赤子になっていた! 

 この現実を受け入れるのに、彼とて大分時間がかかった。さりなちゃんの言っていた転生がどうのって話が現実になるなんて、思ってもみなかったからだ。しかも自分にそれが降り掛かるとは! とそんな感じである。

(しかも愛久愛海(アクアマリン)て……すごい名前をつけられてしまった……ヒカルくんは止めてくれよ……)

 なにぶん生前で二人と関わっていた時間があっただけに、自分の父親となるカミキヒカルは(アイと比較して)まだ一般常識がある方だと判断していたのだが……ネーミングセンスはアイと同レベルだった。キラキラネーム(物理)である。

(病院に来たときは推しに彼氏がいるっていう事実に脳が破壊されそうになったけど、ヒカルくんも良い子だし、なによりアイに甘やかされているというこの状況!)

「よーしよし」

「ば、ばぶー」

 思わず声が出た。疲れきった社会人には効果覿面であった。

 

 ★

 

「はんぎゃー! はんぎゃー!」

 

 星野瑠美衣(ルビー)は激怒泣きした。推しに甘やかされている双子の兄が羨ましすぎるからであった。

 生前は親に愛されぬまま若くして死んだ。ルビーの世界はB小町と無駄にたくさんあった本、そしてゴローせんせだけだった。それが今ではどうだ? 最推しのアイの娘に転生したという望外の幸運。

「どうしたんだいルビー? おーよしよし」

 ヒカルパパにだっこしてもらい、思わず怒りを忘れて笑ってしまう。

 そう、父親はあのイケメン俳優カミキヒカル。

 テレビでみていて、せんせの次くらいに格好いいと思っていた。若くして活躍する二人は、ルビー(さりな)にとって眩しい光だった。

 生まれてすぐの頃は推しに男がいる~! と脳を破壊されたが、数日も過ごせばすっごい良い人で。パパ認定するのも時間の問題であった。

「ルビーはパパ大好きだねー? まあ私の方がヒカルのこと好きだけどね! 私の方が!!」

「まだ一歳にもなってねぇ娘に張り合うんじゃねぇよ」

 と呆れたように話しかけてきたのは、妻のミヤコさんを連れだってやってきた、斉藤壱護社長であった。

「とにかく! アイドル「アイ」は本日復帰となる! 今後について話し合うぞ!」

 

 その言葉に、アイとヒカルは姿勢を正した。

「復帰第一段は夜の歌番組。生放送だが、いけるな?」

「まかせて」

「よし。子供たちは……」

「基本的には僕が面倒を見ます。そのために、二年も休養を取っていますからね」

「はぁ……」

 ヒカルはニヤリと笑う。ミヤコはどうせ手伝わされるんだろうなとため息を吐いた。壱護は呆れたように彼を見ていた。

「ああ。その間は動画投稿をするんだったな?」

「ええ、はい。そこで相談なんですが……」

 

「この双子たちを動画に出してみませんか?」

 

「「はぁ!?」」

「「ばぶ!?」」

 

 おもわずミヤコと壱護がハモった。双子たちも何故!? とびびった。アイはそれを聞いて理解したのかナイスアイデア! と言わんばかりに目を輝かせた。

 

「理由を聞いても良いか?」

「もちろんです。まず、僕とアイの子ですからね。容姿に関しては目立たないほうが不自然です。遅かれ早かれ、芸能界に目を付けられることになると思います。金髪で目立ちますし」

 まぁそりゃあな、と双子を見る壱護。彼から見ても、双子は愛らしいだけでなく将来性も感じられるほどだ。アイはふふん、と胸を張った。アクアがこぼれ落ちそうな胸をガードして事なきをえた。

「それだけなら、その時が来たら……でいいんじゃないの?」

「そうですね。ミヤコさんの疑問も尤もです。そこが次のポイント……カバーストーリーをある程度外に出しておくことでのバレ防止です。あらかじめ世間に「預かった僕の親戚の子」という情報を与えておくんですよ」

「なるほど、そう来たか……」

 下手に隠されているから、暴こうとするものだ。ならば、ある程度逆に世間にさらしてしまえ──ということらしい。

「もちろん、アクアとルビーの未来の選択肢を増やすという意味もあります。ネットタレントとして苺プロに所属という形にしておけば、苺プロの力で守る事もできますし、もし彼らが芸能界以外の道を進むのであれば、なおさら真実を隠さなければならないですから。それに……運が良ければ子役として得難い経験を……というわけです。更に運が良ければアイと共演……なんて出来るかもですしね?」

 

 なるほどこの男、なんだかんだ言いつつアイのわがままを叶えてやろうとしているらしい。アイと双子は満面の笑みを浮かべていた。アイはともかく、双子は話を理解しているとは壱護は夢にも思わなかったが。

 

「ただ、アイには申し訳ないけど、もしその場合は「小さい頃から可愛がってる血の繋がっていない弟妹みたいな子」という演技()をしてもらうことになるけど」

「大丈夫! 嘘はとびきりの愛だからね☆」

「どうでしょう社長。社長がNOというならば諦めますよ」

 

 無駄に頭の回るガキめ、と思わずにはいられなかったが……だが、それ以上に夢を見た。この四人がいつか共演できる、そんな未来を。もちろん、双子たちが芸能界に進むのであればだが。

(おにいちゃん! ユーチューバーデビューしちゃうかも私たち! アイドルへの第一歩になるかな!)

(早まりすぎだろ……まあ確かに、演技はちょっと興味あるかもだしな)

「こうなれば一蓮托生だ! ミヤコ、撮影機材の準備を頼むぞ」

「はいはい……まぁ、そうね」

 確かにこの双子が目立たないというのは無理だろうし、だったら悪目立ちする前に、目立ち方をこっちで弄ってやろうというのはアリな話だ、とミヤコは感心した。流石は天才と揶揄されるだけはあると。

「題して「美形を隠すなら芸能界の中」! どうです?」

「あはは、センスなーい」

「アイには言われたくないんだけど……」

 このお気楽夫婦、どうしてくれようかとミヤコは呆れた。




・星野アイ
特に原作と変わったところは無し。
大好きとかは言えるけど愛してるはまだ言えてない。
たぶん姫川大輝のことを知ったらめちゃめちゃ嫉妬する。

・カミキヒカル
大幅に原作から変化した男。
親にネグレクトを受け、ほとんど愛されずに育った為に自分の価値が分からなくなっていた。5歳ごろに両親は離婚、父親が一応親権を持っていたが病死。その後はララライが殆ど育ての親。子役を経験しており、アホほど稼いだ。
アイとの間に子供が出来たことを切っ掛けに自分に強い責任が覆い被さった事実を知り、命の重み……つまり自分の価値をようやく認識できた。
業界人や関係者には「成長期で身長と声帯が変化しているため演技がブレる&撮影に支障を来すため」+「親戚の子を預かることになった」のダブルコンボで休養をゴリ押ししている。
姫川愛梨との間に自分の子がいることはまだ知らない。

ガチ濡れ場(R18)って需要ある?

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