【完結】天に輝く二ツ星 作:アクアハーレム最後の刺客不知火フリル
19.オタクリアルショー
今日、恋愛リアリティーショー『今からガチ恋♡始めます』の初回放送が放映されるとあって、かなとルビー、それからアイの三人でタブレットを置いて鑑賞態勢だ。
「うーん、アクアが恋愛かぁ」
「先輩まだ言ってるの?」
「そりゃ言うでしょ」
「まぁそうだよねぇ、おにいちゃんが恋愛番組……フクザツだぁ」
ここはセンパイとしてアドバイスしておこう、と親心を出すアイ。
「まあまあ、ルビーもかなちゃんも。身内の恋愛演技ってほんとヤな気分になるのは分かるケド。でもそういうのって所詮
アイにとってかなはまさしく“天性の才能のある子”である。自分の子供が一番とは思っているものの、匹敵するくらい才能があると認めている。なので名前もスルッと覚えた。
「まあそうですよね……む、このゆきって子撮られ慣れてる。上から下まできっちり整ってるわね~」
「ほんとだ、カワイイ」
「まあ私には及ばないかなっ☆」
「「それは比べるのがかわいそう」」
「あれー?」
何人か自己紹介していく中で、あからさまにかなの表情がうげ、と嫌なものを見た顔になる。
『黒川あかね、高校二年生。役者です』
「うわ出た」
「先輩の知り合い?」
「まぁそうね、同い年で私を差し置いて演劇界隈で『天才役者』って言われてる子よ」
「へー。あ、もしかしてヒカルの言ってた女の子がこれかな? たしかこんな名前だったね、ララライの期待のホープだっけ。あんまりそうは見えないけどな~。演技もしてないし……この暗い子が本当に『
「見ただけじゃ全然分かんないですよね」
「ねー☆ 私的には、今のところかなちゃんの方が良いかも!」
「そ、そうですか? ありがとうございます……」
「わーセンパイ照れてる~?」
「うっ、アイさんに褒められたらそうなるわよ!」
ずいぶん明け透けに言い放題だが、アイからすれば『天才役者』イコール、ヒカルのことだ。つまり天才役者と呼ばれているのなら少なくとも若い頃の彼に匹敵する何かがあるはず、と注視することにした。そうしているうちに、アクアの自己紹介となった。
「あ、おにいちゃん出てきた!」
『どうも……アクアです。一応役者やってます。よろしく』
「あれ? おにいちゃんこれ素の性格じゃない?」
「ほんとね」
もう少し演技で着飾ってくると思っていただけに拍子抜けした。テンションやや低め。敬語も少なく砕けた口調。二人にはそれが素の性格に見えたが、アイからすれば違うように見える。
「んー……ちょっと違うね。所々を余所行きに調整してるから、『素のアクアを演じてるアクア』かな」
「なんでそんな珍妙なことを……?」
「んー……たぶん、探りが目的かな?」
かなの疑問に、アイは自信満々に答えた。
☆
「かっこいい~! 役者さんって憧れる~!」
「どうも、MEMちょも可愛いよ」
「えー? ほんとー?」
アクアは内心ガッツポーズをしていた。ルビーとかなに翻弄されて失っていた自信が取り戻されるようだった。アクアとてオスである。男女平等が叫ばれて久しいが、それでも女性にからかわれるのは本意ではない。MEMちょとの中身の無い会話は正直だるいのだが、その気疲れを凌駕するモチベーションがアクアにはあった。
「それでー、アクたんはどうして今ガチに出たの~?」
「まあ、そうだな。簡単に言えば……今後のためかな。恋愛演技が出来なきゃ役者としては幅が狭まるだろ?」
「真面目だ~」
しかしこれに過剰反応した、想定外がいた。先程まで置物のように黙っていた黒川あかねである。
「えっ? アクア君には有馬かなちゃんが居るのに?」
「あかね……お前なぁ……」
「あっ、ごめんなさい。でも、だって……」
有馬かなの名前をうっかりだしてしまう。この番組内部で恋愛するというテーマなのに、番組外の女の名前が出るのはどうなんだ。ちらりとアクアとMEMがプロデューサーや演出を見るとどうやら“行け”ということらしくなにも言ってこない。ならば好き放題させてもらおう。
「大体、かなとは親友だし、そういうんじゃないって」
「なになに? あかねちゃんって天才子役の有馬かなちゃんのファンなんだー? アクア君ってそうなると、あのアクかなの片割れってことかな。“アクかな”懐かしいねぇ、最近もやったんだっけ?」
MEMちょの如何にも“最近のアクかなは無知です”という煽りに、あかねが発火した。
「う、うん。“アクかな”は本当にすごくて。あの……かなちゃんはそれこそ物心が付く前から芸能界に居て、それで二歳くらいの時かな、初めてのアクかながB小町のアイさんが出演してて今でも代表作として紹介される『それが始まり』が実はアクかなの初めてなの。アクアくんの大人みたいな不自然な子供と、かなちゃんの如何にもおどろおどろしくて怪しい子供っていう対比がすごくて。私も初めて見たときぞっとしちゃって……それでそれからアクかなっていうコンビが正式に売り出されるようになって。アクアくんとかなちゃんの五歳くらいの時にプライベートの様子を撮影した動画が今でもヒカルさん……あっ、俳優のカミキヒカルさんのYouTubeチャンネルにアーカイブが残ってて、それがもうすごい仲良しって感じでね。かなちゃんって結構口が悪いんだけど、それもアクア君相手だから気軽にしてる感じがすごくて尊いの。それであの最近やったアクかなの話、えっと『今日は甘口で』実写ドラマだよね。あれもよかったなぁ、久しぶりのコンビなのもそうだけどかなちゃんが伸び伸びと演技してるのがわかって。それだけじゃなくてもちろんアクア君もすごいんだよ? 気味の悪いストーカーっていうなかなか難しい演技をきちんとやりきって……あの水音をわざと出して歩くのが一気に空気を塗り替えてて……おどろおどろしくて怖い雰囲気がすごくてすごい感じで……かなちゃんの最後の恋する乙女って感じの表情も最高だったよ。そうだ、ヒカルさんのチャンネルといえば“カミキミッション”で時々アクかなしてくれるの助かる、私も演技の参考に見てるんだけどなかなか二人の演技には及ばないなって思ってて、あ、カミキミッションっていうのはヒカルさんの出したお題に沿って五分間アドリブ演技するってものなんだけど、あれは実はララライでも取り入れてる練習でね先輩達が頑張って考えて作った難しいお題のアドリブとかあって……そういえばカミキミッションで思い出したけどアクアくんの妹のルビーちゃんも演技上手だよね、役者さんやらないのかなあ、折角なら共演してみたいって」
立て板に水を流すがごとく、あるいは爆弾が爆発するかの如く言葉の洪水が溢れ出した。MEMちょはドン引きしていたが、アクアは真剣に話を聞いていた。
「あかね」
「思っていて……何? アクアくん」
「お前、かなのこと大好きだな」
「え、うん。かなちゃんに憧れて演技を始めたし……実はかなちゃんに演技のアドバイスを一度貰ったことがあるんだぁ」
余計な一言に、有馬かな限界オタク二号にも火が着いた。
「そうなのか。ああ、そういえば昔、かなの真似をしてる子供が同じオーディション会場に居たって言ってたな。それで指導してやったとか自慢されたが、あれか?」
「たぶんそう。おんなじ帽子かぶってたんだけど、そしたら『私の中途半端な真似してる間は一生上に行けないわよアンタ!』なんて言われちゃって」
「ああ、間違いないそれだ。やっぱかなはこうでないとな。『今日あま』では久しぶりに泣きの演技やったけど、あれ生で見てもよかったよ。“10秒で泣ける天才子役”健在って感じだった」
「いいよね! あの太陽の演技……有馬かないいよね……」
「わかる。いい……」
有馬かな限界オタクと化した二人に、MEMちょが気後れしながら話しかける。
「あのー二人ともー? 撮られてるの忘れてない?」
「「あっ」」
二人は顔を真っ赤にした。当然のごとくオンエアされ、有馬かな限界オタクがトレンド入り。今ガチにおいてひとつの注目の組み合わせとなる……“アクあか”の誕生である。
陰キャコミュ障のオタクちゃんが
おしゃべりの場で置いてけぼりにされて、
なにか喋らなきゃって焦ってたら
憧れの人から大好きなジャンルの話題を振られたので
おしゃべりできる嬉しさで暴発して話しちゃうの図
最初は控えめに話してるつもりだったけど
ついついヒートアップしちゃって
早口長文を垂れ流し、話題もなんだか飛び飛び
かわいいね
これをオタク君に変えると非常に身に覚えのある光景になります(吐血)
ガチ濡れ場(R18)って需要ある?
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