【完結】天に輝く二ツ星 作:アクアハーレム最後の刺客不知火フリル
アイが芸能界復活した、その日の夜。父親が寝ているのを良いことに、双子はリビングのテレビでアイの生放送の録画を見直していた。
「ていうかなんで放送の時に起こしてくれなかったの!?」
「俺は何度か起こしたぞ」
「え……マジ?」
「マジ」
激怒するルビーをさらりとあしらうアクア。赤子が平然と会話しているという異様な光景だが、双子たちには、お互いが転生者同士である、という認識があるため問題なかった。ヒカルが見たら卒倒しそうだが。
一通り(父親を起こさぬよう静かに)二人してアイに関して興奮して語り合いながらも、時間が経過すると、うとうととルビーが船をこぎ始めた。アイ限界オタク強火ファンと化している赤子は、控えめに言って気持ち悪かったが。気にする人物はここにはいない。
「ふぁ……この身体だとすごい眠くなる……」
「赤子の時は特にそうだが、成長ホルモンが寝てる間に出るからな。寝る子は育つっていうだろ。見終わったし、そろそろ寝るぞ」
「ふーん。お兄ちゃんって時々、せ……お医者さんみたいな事言うね」
ポロリと、思わずこぼした。本当は、せんせみたい、と言おうとしてしまって、あわてて取り繕っただけだった。
「よく分かったな。確かに俺は医者だったよ」
意外、という顔をするアクア。ルビーの脳裏には
「え、そうなの? なになに? 何医だったの?」
「前世のことはあんまり話したくないんだが……」
「えー、いいじゃん! 可愛い妹の頼みだよ?」
「自分で言うかそれ? まぁ確かに、アイとヒカル君の子だから当然だが」
このとおり、とおねだりするルビーをみて、仕方ないとため息を吐いた。なんだかんだ初めて出来た妹という存在にアクアはどうも甘くなってしまった。
「はぁ……まぁ何度も聞かれるよりはいいか。
産婦人科医。ルビーは、どきりと心臓が跳ねた気がした。そして、取り繕った。誤魔化して取り繕って、良い子するのは……嫌だったが、得意だったから。
「へー。じゃあお兄ちゃんの前世はクソ田舎出身ってこと?」
「おい、女の子がクソとかいうな。それにな、確かに、俺の勤務先は
アクアはそうは言いつつも、まぁド田舎だよなぁとは思っていたが、ルビーの心の中はそれどころではなかった。
宮崎の山の中の病院。産婦人科医のアイ推しのドルオタ。冷静で冷たいように見えて、実は、寝落ちした自分に毛布をかけてくれたり、自分ばっかり質問してるのに、こっちにはあまり聞かずにいてくれる優しさだったり。
(まさか、そんな、でも……)
ルビーは、アクアの顔がどうしても
「へー、宮崎なんだ?」
「あ、やべ。……まあいいか、同じ転生者だし」
「ううん、私も宮崎に長いこと居たから」
嘘ではないが、ごまかした。
「でも宮崎のお医者さんなのに、アイ推しとかヤバすぎじゃない? まだあの頃、ママはテレビに全然出てなかったのに。歴戦のドルオタおじさんなの?」
自分でもひどい事を言っている自覚はあるが、
「そんなじゃねぇよ、昔……もう、4年も前になるのか。
懐かしそうにルビーを見つめるアクア。
どんどんパズルのピースがはまっていくことに、ルビーは怖気づいた。だって、だって。忘れようと思ってたのに。
せんせは、事故で死んじゃってるってママとパパが言ってた。崖下で死体が見つかったんだって。それを聞いた時にはたくさんないちゃって。でも、でも……。
「へー、そうなんだ? じゃあ疑問解決かな」
ルビーは尻込みした。真実を知るのが怖かったから。きっとそっくりな良く似た別人だと思い込んだ。本当はロリコンなんだ? とか言おうとしたかったけどやめた。
だって、そんな幸せな真実、怖かったから。夢から覚めてしまいそうで。
「じゃあ、もう俺の前世はいいだろ。もう寝ろよ」
「うん……」
眠気があるのは確かだった。だから、そう言われてしまえば、油断してそのままうとうとと眠くなり始めてしまった。目蓋が重くなっていく。
「おい、ベッドまで行けよ……しょうがないな」
アクアは愛おしそうにルビーの頭を撫でた。アクアも、ルビーの姿にさりなを重ねた。ふいに、口から言葉がこぼれた。
「アイについて語る熱量は、君そっくりな子だよ」
「さりなちゃん」
目が覚めた。目の前には、あの時のように微笑む
「悪い、起こした……」
だって。だって。そんな奇跡。なんで。でもだって。
「せんせぇ……!」
思わず、目の前の大好きな人に、抱きついた。
「……さりな、ちゃん……なのか?」
「うん……お兄ちゃんは……ゴローせんせ、でしょ?」
「……ああ……!」
それは、確認の儀式。思わず目を見合わせて。
二人とも涙を流した。静かに泣きながら、抱き締めあった。望外の奇跡を起こした、姿も見えぬ神と、運命に感謝した。
☆☆
「あ。すみません、ミヤコさん。買い出しに行ってきますね。ミルクとおむつが足りないので……ついでに色々買ってきますね。双子のこと、よろしくお願いします」
「はいはい、大丈夫よ。この子たち良い子だから」
ミヤコはイクメンのイケメン(15)に手をヒラヒラと適当に振って、彼を送り出した。
ここは苺プロの事務所の自宅部分。現在の彼は苺プロ所属のYouTuberとしてデビューする準備をしているところである。そのため、事務所で壱護と会議をしたり、機材の準備や撮影ブースの調整などがあるため、こうして日中は社長宅に双子を置いているのである。
「しっかし、本当に手のかからない子たちね……」
トイレや空腹以外では滅多に泣かないし、機嫌が悪くてもアイのライブ映像を見せておけば、それに夢中になって大人しくしている。おしゃぶりをしたことがない程だ。
もちろんミヤコは子守りは面倒なので、三人きりの時は基本的に、アイのライブのDVDを見せて大人しくさせている。そうしとけばトイレ以外では滅多にうるさくしないので。たまにサイリウムを見つけだしては振っているが、ミヤコとしては大して気にしていなかった。なんなら結構可愛いなーとか思っていた。
だが、今日は少し違った。
「……あら? この子たち、こんなべったりだったかしら」
双子が柔らかいマットの上で、小さめのサイリウム(双子が欲しがったので甘々な
だが、やけに距離が近い。べったりという表現が正しいだろう。普段から隣りに座っては居たが、今日はもうなんか密着しているというか、べたべたしていた。DVDは別にB小町だけがライブしているわけではない。資料として残してあった地下ライブ時代のものとなれば、対バン方式で他の地下ドルも前座とかで出てくるし、テレビで流れたものともなればCMも流れる。
そういう合間合間になると、ルビーはアクアのほっぺたにほっぺたをくっつけてみたり、ぐりぐり頭をお腹に擦り付けてみたりの甘え放題で、アクアはそれを愛おしそうに受け止めていたり、頭を撫でてやったりしている。
「あの子達、両親の真似でもしてるのかしら? ……可愛いわね。写真か動画でも撮っとこうかしら」
神ならぬ身であるミヤコには、双子が転生者で、お互いに脳を焼きあったような関係性で、前世からの関係で、しかもアイ最推しのドルオタなどということは知る由もないのだが。しかし、アクアですら予想できないもっとも想定外なことは。
(なんかお兄ちゃんから良い匂いするぅ……くんくん)
とんでもない怪物が目覚めたということであった。
(ルビーはかわいいなぁ)
(絶対結婚しようね、
ルビーはせんせ♡ アクア♡ お兄ちゃん♡を使い分けることでアクアを誘惑しようとしている
10/31 追記 ゴローの遺体について追記しました
ガチ濡れ場(R18)って需要ある?
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