【完結】天に輝く二ツ星   作:アクアハーレム最後の刺客不知火フリル

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休憩回。アクアの性癖のお話


26.アクアの好み

 アクアとあかねはより距離が縮まり、役者としての話も深くするようになった。そんな、ある撮影日の事だ。

 

「あかねは演技をするとき、なにか気を付けている事とか、コツとかはあるのか?」

 

 アクアのそんな疑問。アクアとしては、あのクオリティの憑依演技をどのように出力しているのか、気になったからだ。

 

「特別なことはしてないよ? でも……沢山調べて情報を整理することはいつもやっているかな」

「ああ……時代背景や心情か」

「そう! それだけじゃなくてね、人間関係とか、その役の過去とか……何を考えてたのか、とか」

 

 アクアもそういった事は、やらないわけではない。登場人物の心情や行動には、必ずきっかけとなる過去や原因がある。だが、あかねのいう()()とは、ややずれている気がした。

 

「性格も、過去とか幼少期の経験があるからだよね? そういうことを、調べて理解すると、より役への理解とか共感が深まるの。そのために心理学とか、マイヤーズ=ブリッグス・タイプ指標とか、あとプロファイリングの本とかも使ってみたり……そういういろんな情報を参考にして役の性格をパズルみたいに組み上げると、一層理解が深まって演じやすいっていう……感じかな」

 

 これは凄まじいな、とアクアは感じた。アクアからすれば、調べて情報を並べ、性格を推測したからといって、それを演技に100%反映することはできない。参考にはなるが、それだけだ。だが黒川あかねはそうした情報を自分の中で整理して、それこそ彼女のいう通り、パズルのように自分の中に人格を組み上げてしまう。一種の人格エミュレートだ。こればかりは彼女の感受性・共感性の高さに感服するばかりだ。

 

「そういうものなのか。参考になるな……でも、大変じゃないかそれは。メソッド演技に近い手法だろう」

「んー……確かに役の影響を少しは受けることはあるけど、役のせいで落ち込んだり暗くなったりとかはないかな?」

 

 それは、あかねだけの才能と言える。アクアはもちろん、我の強いかなですら、暗い役や荒れている役をやると多少なりとも影響を受けるものだ。感情演技とはその役の気持ちに“なりきって”やるものだから。だがあかねは自分とは違う性格を頭の中で()()()()()演技するため、自分への影響が非常に少ないのだろう。邪魔になったら崩してしまえるし、必要になれば組み直せる。そのパーツを利用して別の演技にも活かせるというわけだ。かなが手放しで“天才”と誉めるわけだ、とアクアは感心する。

 

「それは……凄いな」

「そうかな? でも……作った役と自分と乖離が激しいと大変だよ」

「それはわかる。好みとか全く違うと、演技も中々なっとくいかなくてな」

「やっぱりアクア君も?」

「まあな。だが、だからこそ遣り甲斐もある。難しい役どころほど『やってやる』って気分になる」

「凄いわかる! あ、そうだ! 好みといえば……アクアくんはどんな女の子が好き?」

 

 あかねからの自然な質問。少なくとも『今ガチ』ならば自然と出る質問だ。アクアは話の組み立てや持っていき方が自然になりつつあるあかねに成長を感じていた。

 

「好みの女性像ってことか? 別に……好きになった奴が好み……って、そういう答えは求められてないよな」

「うん。髪型とか体型とか、性格とか……顔とか?」

「顔はまずくないか? まあ、そうだな。真面目に考えたことはなかったか……せっかくだし、考えてみるか」

 

 かつてのアクアなら、B小町のアイと答えただろう。だが、今のアクアとしては星野アイは母親という認識のため、候補として上げるのに躊躇われた。仕方ないので、要素要素を一つ一つ紐解いていくことにした。

 

「そうだな……まず、話していて苦ではない相手だな。男女問わずだ。話していて楽しい方がいいだろ」

「話していて楽しい……」

 

 すかさずメモをするあかね。まるで尋問だな、と思いながらアクアは供述を続ける。

 

「髪型は……特別な拘りはないかな。どちらかというと短めのが好きだが、長いのが嫌いってほどでもない。似合っているのが一番だ」

 

 ふと脳裏にかなとルビーがよぎる。二人とも、髪型を変えても似合う。というか基本的になんでも似合う。セミロングのかななんてどうだろうか。ありなんじゃないか。ルビーのアイそっくりなサラサラロングヘアーは、どう弄っても楽しそうだ。

 

「体型はどうかな? 胸とかお尻とか身長とか」

「お前がそれを言い出すのか……。そこも特に拘りは……いや、どうだろう。身長は俺より低い方がいいかな」

「アクア君より大きい女の人は中々いないと思うけど……なるほどなるほど。胸とかお尻とかは?」

「そこ念押しして聞くのか? ……そこは、魅力として引き立ってるならいいだろ」

 

 嘘ではない。だが、胸に関しては、やはり大きい方がどちらかといえば好きである。流石に大きすぎるものはどうかと思うが、やはり夢があるものだ。最近二人とも胸の存在感が大きくなってきて、それなのに抱きついてくるし、押し付けてくるから困る。

 

「なるほど、なるほど……性格の好みとかはあるかな」

「性格……は特に無いかな。強いていうなら、何かしら個性や特徴がある方で……きちんと話し合いが出来るならそれで」

「話し合いが?」

「話し合いの前に手が出るタイプとか、話を聞かずに捲し立てるタイプもいるだろ。流石にそういうのはちょっと苦手かな」

「それは、私もかな」

 

 流石にこの辺はカットされるだろうなと思いながら話すアクア。話しているうちに、だんだんと口が緩くなっていった。

 

「じゃあ、総合して女の子の好みの部分っていうか……ツボみたいなのはある?」

「ツボ……」

 

 自分のツボとはなんだろうか。油断していたアクアは、ごく自然に、脳内でルビーとかな、そしてあかねを比較していた。三人とも違うタイプだ。共通点は何かを模索していた。そして、答えが出た。

 

「輝くものがある……なにかひとつ、誰かに誇れるモノを持っている人がいいかもな」

「それは……才能ってことかな?」

「才能……才能か。才能だけじゃない、性格でもなんでもいい。その子を誰か……友達とかに、自慢できる、輝くキラキラしたものがひとつでもあるといい……かな」

 

 かつてさりなちゃんはあの小さな病室でもキラキラ輝いていて……ルビーとして外に出たとき、その才能はより輝いていた。

 かなは、昔も今も人の目を焼きかねないほどの煌めきを宿す太陽だ。あかねも、そうしたキラキラしたもののひとつだとアクアは思うようになった。

 

「キラキラした輝き……B小町のアイさんみたいな?」

「まあ、それも確かにそうだな」

「ふうん……まあ、ある意味刷り込みなのかな?」

「……そうなのかもな」

 

 アクアにとって、幼少期どころか前世からの推しである。今でこそ母親という意識が強いが、彼女がアイドルとして振る舞えばアクアやルビーは一瞬で子供から限界オタクに戻るだろう。今でもアイの事は推しだが。

 

「じゃあ……えっと、あんまり自信はないんだけど……アイさんの真似とかやってみよっか?」

「出来るのか……?」

「ホントに自信はないけど! 二日三日くらいの付け焼き刃だし!」

 

 わたわたと言い訳しているあかねに胡乱な視線を向けるアクア。母親と思っているとはいえ、未だにアイガチ勢。あの天性の輝くような瞳を真似できるのは、元々持っていたヒカルと、あるいはそれ以上の輝きを宿しているかもと期待しているルビーくらいだと考えている。アクアの使うそれは、本人的には完成度50%の未完成品だ。端からみれば、もちろんアクアの瞳も惹き付ける魅力があるのだが。

 

「じゃあ、やってみてくれるか?」

「うん……」

 

 あかねが目をつむり、ゆっくりと深呼吸する。きゅっと口角があがり、彼女が『嘘』を纏う。瞳を開くと、アイそっくりの輝きが宿っていて……。

 

「『()()()、どうかな? どう? 似てるー?』」

 

 ただ彼女はアクアに、似てるかな? と聞いているだけだ。それだけなのにも関わらず、アイそのものだった。天性の瞳、目を引く動き、無敵にも思える存在感。まさしくアイだった。

 

「似てる……いや、もはやそのものだ」

「『アクアにそういわれると嬉しいかな☆ いやーしかし今日もあっついね~? アイス食べた~い』」

 

 そんなアイみたいなことをいうものだから、アクアもつい何時ものように突っ込んでしまう。母さん、という言葉だけはなんとか飲み込んだ。

 

「そんなことばっかやってると太るぞ」

「『えーアクアのケチー』」

「ケチじゃない」

「っと、こんな感じ! どうかな?」

「……ああ、いや、すげぇわ。本物さながらだ」

 

 アクアは降参とばかりに嘆息した。あかねはこれをまだ「もう少し完成度上げられるかな」と思っていた。恐るべきあかねの才能であった。




つまりアクアは才能フェチってことですね。
???「血の重みを感じる」

ガチ濡れ場(R18)って需要ある?

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