【完結】天に輝く二ツ星 作:アクアハーレム最後の刺客不知火フリル
有馬かなは、まるで嵐のようだったと後に共演者は語る。
かなは、たった一回の参加であることをいいことに滅茶苦茶やって帰っていった。ケンゴやノブユキに、ゆきとアクアが見ている前でわざと話しかけに行って二人の嫉妬心を煽ってみたり、MEMちょに「アクアってかっこいいでしょ」とか言ってあの顎クイを思い出したのか彼女を茹で蛸にしてみたり、あかねに引っ付いてみて「あかねちゃーん」なんて猫なで声で耳元でささやいてどぎまぎさせてみたりと、まあ兎に角やりたい放題やった。プロデューサーやディレクターの思惑どおり、兎に角引っ掻き回すだけ引っ掻き回し、まちがいなく停滞感は吹き飛ばした。ちなみに、一番の勝ち組は、かなにサインを貰って、連絡先まで交換して、間近でアクかなを堪能していて、ライバル効果で関係を実質後押しまでしてもらった形になったあかねだったりする。
美少女二人に恋人繋ぎされて、挟まれているアクア。かなは、嵐のように男女の関係を引っ掻き回すだけ引っ掻き回して、最後は笑顔で「じゃあね! あんたたちの恋愛模様つまみにしてジュースでも飲みながら応援してるわよ!」といって帰っていった。そして振り回される、今ガチメンバー。番組メンバーとしては、かなとアクアの距離の近さがエグすぎる事に驚きはしたものの、あれが日常ならばあかねやゆき、MEMに近づかれてもそれは照れないわけだ、という納得もあったが、それ以上に振り回されたという印象だった。
視聴者からは「有馬かなサプライズゲスト!?」「子役の頃より大きくなってる!」「アクアは漫画の主人公かな?」「リアリティないんですけど」「アクアが少し赤くなってる」「あんな可愛い幼馴染居るのにこの番組でたの?」「あかねちゃん負けるな、がんばれ!」「幼馴染みのかなちゃんもしっかり嫉妬してかわいい」「好き放題やって帰ってったな……」「“アクかな”が今回だけなんて勿体ない」と様々な声があがり、新たなあかねの脅威にして、昔からのカップリングである“アクかな”が認知された。あっという間に三角関係……いいやMEMちょも巻き込んでの四角関係だ! とSNSで喧々諤々の大騒ぎに。画面の外にいるライバル、という見えない恋敵というのも新鮮で盛り上がった。番組側の思惑は、成功と言えた。
「アクたーん! 私も巻き込まれてるんだけど!? ねぇ!」
「俺のせいじゃない」
もちろんMEMは思惑通りにはなっていないので、他にぶつける先もないので仕方なくアクアに抗議したが、アクアはにべもなく切り捨てた。
「しかもかなちゃんさぁ! 自分の宣伝に良いようにこの番組使ったでしょ!」
「だろうな……」
真面目に恋愛する気ゼロだったMEMちょとしては、完全に巻き込まれた形だ。もちろん、アクアの事は悪く思ってはいない。たとえお世辞だとしても、自分を……夢見たアイドルになれると言ってくれたのだ。少しはときめくものだ、たとえお世辞とわかっていても。
もちろんアクアの本音ではあるのだが、それをそうだと信じられるほどMEMは若くなかった。ただそれだけの話である。
「なんていうか、パワフルだねぇ」
「まあな。実はあれでいて、少し繊細なところもある。才能としても前を歩き続けてくれる目標で……まあ、得難い幼馴染みだよ」
今までしたことのないような優しい瞳をするアクアに、MEMからみても、かなはアクアの大切な人だと見て取れた。
「ふーん、かなちゃんはアクたんの大事な人なんだぁ?」
「……」
このからかいへの返答に、アクアは少し返答に迷った。確かにアクアにとって大切な人であることは確かではあるが、その答えを言えば間違いなく使われる。定点カメラが置いてあるから。だが……ここでノーというのは憚られた。ではどうすべきか……アクアは
「うるさいことを言うのはこの口か?」
「ひぅ……」
ぐっと近づいて、優しく顎に手を添えて持ち上げる……顎クイでこちらと視線をあわせる。自分への自信を全力で外に出す“星の瞳”をアクアの持てる全力で演出して、MEMの視線を逃がさないように固定する。ついでに彼女の顔も赤くしておく。定点カメラの位置を意識しながら、マイクに囁き声として乗る程度の声量でMEMちょに囁く。
「俺といるんだ、かなじゃなくて俺を見ろよ……?」
「ひぅっ……はぃぃ……」
よし、見せ場はこんなもんでいいだろとアクアは満足した。夕日よりも赤い顔にさせ、MEMを顔面の暴力と演技で黙らせて、ベンチに座らせて自分も隣に座る。おしゃべりの彼女が得意のアヒル口もできずに、恥ずかしそうに縮こまって静かにしているのを見て、自分の優位性を再確認できたと心の中での自信になっていた。
一方、やや焦っているゆき。目的である“自分が一番目立つ”という目的を一撃で崩されかけて少し動揺していて、そのことをあかねと話し合っていた。肯定も否定も特にせず相槌が多い彼女は話し相手として楽な方であるため、たまにゆきが一方的にあかねに話しかけるという場面があり、今回のそれもその一幕である。
「有馬かなさん、凄かったね」
「う、うん。そうだね……」
あかね自身は特に目的も無く……強いて言うならばマネージャーが映像系でのあかねの価値を示すために焦ってだした今ガチだが、今の目的はアクアだけだ。あかねはいいだろう、半分後押しをされたようなものだ。だがゆきとしては違う。
「でも、一回だけで助かったし、確かにダラダラ感を打ち破ってくれたのは確かかな」
「うん、うん」
劇薬で爆薬ではあったが、発破をかけてくれたのも確かだ。だが、あの太陽もかくやという輝きに、ゆきは相手の土俵では勝てないと瞬時に察した。あんなの、目を離せるわけがない。本当に一度きりで帰ってくれて助かった。
(何が“有馬かなは最近は役者としては落ち目”よ! マネージャーの嘘つき! 全然違うじゃん!)
有馬かなは落ち目、というのは現在の業界の中でも、役者としての有馬かなに一切直接触れてこなかった業界人の感想だ。端から見れば、役者よりも歌手として活動しているように見える以上、その判断が、完全に間違いだと断じる事が出来るわけではない。だが、役者の有馬かなと一度でも仕事をした人物はそうではない。今回の有馬かなは、半分くらいは役者のつもりで来ていた。だから、ゆきにはその実力がどんなものかおおよそ把握できていた。
(でも、参考にはなった。あの全方位に“私を見なさい”と全力で訴える感じ……カメラひとつくらいになら、私だって……!)
ゆきはファッションモデルである。だからカメラを“使う”事ばかりに意識が向いていた。カメラを使って、良いアングルで撮れるようにと。だが映像系ではそれだけではダメだと、有馬かなから学んだ。時にはカメラに“見せつけて”、カメラの向こうにいる視聴者を意識しなければならない。これを使いすぎてはいけない事もわかっている。これは諸刃の剣、ナルシストの考え方だから。
「あかね、あのかなさんの回にも負けないように頑張ろうね!」
「そうだね……あれで本来の半分くらいだったし、二分の一かなちゃん一回分だけだもんね。よーし、負けないぞー」
「あれで半分なの!?」
「えっ? うん。けっこう楽にしてたし、全然本気じゃないとは思う」
あれが半分だとするならば、本気の有馬かなはそれこそ太陽のような……と考えて、漸くゆきは、彼女が何故“
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