【完結】天に輝く二ツ星 作:アクアハーレム最後の刺客不知火フリル
夏はまだ先だが、男女の仲を進展させるイベントとして、夏祭りは今でもマストなイベントだ。今ガチに於いても、重要なイベントと言える。
だからこそアクアたち男三人は甚平に着替えている。
「流石に俺たちは地味だな~」
「まあ、こういうときの華は、女性側ってのが鉄板だろ」
別に俺たちが着飾ってもいいけどな、と言うアクアだが、ミスマッチな金髪ながらもさらりと着こなしているというか、堂に入っている。
「そういうアッくんは似合ってるな~」
「なんだじろじろと。別に普通だろ」
「いやいや、似合ってるって!」
「俺も似合ってると思う。貫禄ある」
「それ褒め言葉か?」
謙遜しおってこいつめ、と言わんばかりにアクアにからむ二人。それに鬱陶しそうな素振りを見せつつ、嫌ではないのか振りほどいたりはしなかった。
「そういや気になったんだけどさ、女子ってなんで支度にこんな時間かかるん?」
「当たり前だろ、男だっててっぺんから爪先までバッチリお洒落してメイクもするならあのくらい掛かる。それに今回は夏祭りだろ、振袖だけでも着付けに30分はかかるものだ」
「そういうもんなの?」
「そういうもんだ」
そうしていると、女子たちが出てくる。ばっちりとめかし込んだ姿は、三者三様ではあるが、かわいらしいと言っていいだろう。三人とも元が良いのだから、当然だが。
「いえーいアクたん、似合ってるぅー?」
おそらくギャグ反応狙いで来たであろうおどけたMEMちょに、真面目に反撃するのに結構アクアははまっていた。
「ん……似合ってるよ。こういうMEMちょも新鮮でかわいいな」
「っ……! もー! さらりと歯の浮くような台詞言わない! そういうのはあかねにとっといてあげなよ!?」
「別に本音を言っただけだが」
「っ、も、もー! アクたんのばーか!」
真っ赤になって抗議するMEMちょは、なんとも可愛らしい反応をする。フリルあたりが見たら目の保養とか言い出しそうだ。もーもー牛のように良いながら、さも怒ってますと言った感じでケンゴの方へ向かったが、顔は赤いままであった。
そうしてMEMがアクアから離れてから、あかねが話しかけてくる。
「アクア君。私はどうかな?」
「もちろん、あかねも浴衣がよく似合ってる。それに……ネイルも」
「あ、気づいてくれたんだ。ゆきちゃんにしてもらったんだ」
淡い青のネイルアートが施されたあかねの手は、アクアとしても魅力を感じる。おそらく自分の名前の色から取ったのは理解した。
「ああ、綺麗だよ」
「えっと、アクア君も似合ってるよ」
「ありがとう。何か照れ臭いな」
アクアはそう言って、軽く頬を染めて微笑む。普段はしれっとした顔で相手を誉めるくせに、時々こんな風に照れるのだから、あかねの胸は締め付けられっぱなしだ。しかも、胸元からは少し鎖骨が覗いている。こんなえっちなアクア君を放送して良いの? 少女のあれやこれやは大丈夫なの? とあかねは純粋に疑問に思った。もちろん倫理コード的には一切問題はない。
「花火、どれにしようか?」
「吹き出し花火とかどう?」
「よし、やってみるか」
二人きりで、黄色い吹き出し花火を黙ってやっている。心地よい空気感で、あかねはなんだか懐かしいような気分になった。アクアとしては、新鮮な気分だった。前世はこんなことをやってくれる親はいなかった、保護者の祖父も祖母もそういったことを誘ってもくれなかった。今世の両親は優しいが、自分も含めて忙しいというのもあるし、何よりマンション暮らしに手持ち花火は難しい。
「手持ち花火なんて初めてかもな」
「そうなの?」
「ああ、俺は子役で忙しかったからな。実家もマンション住まいだし……」
中学生の頃に、お互い比較的に暇であった時期にかなやルビーとデートと称して、出店で売っている変なお面をつけながら花火を見に行ったことはあったが、実際にこうして手持ち花火をやるのはアクアは初体験と言って良かった。
「思ったよりも楽しいな。……これは?」
「ねずみ花火だね。アクア君は知ってるかな?」
「流石に名前はな。実物は初めてだ」
火をつければ、激しく回転してその軌跡が輪のような形になる。予測できない動きをしながら激しく回転し、最後には大きな破裂音と共に弾けた。
「うおっ」
「あ、アクア君びっくりした?」
「まあな」
その後もアクアはへび花火や吹き出し花火というようなややトリッキーな花火ばかり選んでは火につけていく。
「へび花火は思ったより地味だったな。吹き出し花火は、逆に激しかった。ドラゴン花火って名前に負けてない……なんか変な楽しみ方してるな」
「楽しみ方は人それぞれじゃない?」
あかねはそうはいうが、アクアは自分が“あまり経験しにくいことをやってみよう”という基準で花火を選んでいる自分に気づいてしまった。花火は美しさや激しさ、儚さを楽しむものじゃないのか? という基準が彼の中にあるからだが。
「よし、次は線香花火にしてみるか」
「うん。どっちが先に落ちるか競争してみない?」
「やってみるか」
同時に火をつけて、仄かに線香花火が光を宿し、火花を散らす。ふたりで黙ってこうして見ていると、なんだか心が落ち着いてくる気がした。ここ最近は、どうにもルビーやかなにアタックされて、気が休まらなかった。だから、むしろ今ガチの時間の方が、今は落ち着けていた。だから、じっと光の玉を見つめながら自分の気持ちを整理する良い機会であった。
(かなの事は……好きだ。ルビーもだ)
どっちの方が好き、というわけではない。どちらも好きで、大切だ。きちんと言葉にしたことはない。
(あかねの事は……どうだろう)
嫌いではない。むしろ、好ましいと思う。恋愛的な意味でも……悪くない気分だ。なんとも贅沢な悩みだ。だが、星野アクアもどうやら欲張りらしい。かなもルビーも欲しい、渡したくない。あかねは? あかねはどうだろう。何だかそれは嫌な気分だ。
アクアは自己分析をして、思わず苦笑してしまう。すっかり父の言う通り、好きな人が増えてしまっていた。
別に、恋愛リアリティーショーだけが理由ではない。彼女の人となり、性格、輝き……放っておけないという危なっかしさ。様々な点が好ましいと思えた。
(だけど……あかねはどうするつもりだ)
アクアはエスパーではない。あかねも自分のことを好ましく思っていてくれることは、なんとなくわかる。だが本当に自分の事を好いていてくれているのか、そこまではわからない。所詮恋愛リアリティー
線香花火がぽとりと同時に落ちた。今ガチの終わりも、すぐそこまで迫っていた。
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