【完結】天に輝く二ツ星 作:アクアハーレム最後の刺客不知火フリル
「アクア君、JIFのグッズの準備は大丈夫?」
「ああ、問題ない。あかねはどうだ?」
「私も大丈夫。ちゃんと
いかにも気合十分といった具合で、鼻息を少し荒くして持ち物確認をする二人。この瞬間、彼氏彼女というよりどう見てもB小町推しの同志でしかなかった。
「そういえばアクア君、オタ芸出来るんだよね?」
「まあ、一応嗜みとしてな」
「じゃあ教えてもらえないかな。一応動画とかは見たんだけど、少し自信がなくて」
かつてサイリウムベイビーと呼ばれた自分が、妹達の応援のためにサイリウムを振ることになり、しかもオタ芸を教えることになるとは。なんだか感慨深い。
「えーっと、一通りは出来るんだけど」
「おい、教える部分がなくなったぞ」
「そうじゃなくて、なんかこう……熱意? そういうのが出てない気がして……と、とりあえず見て!」
そう言いながら動き始めるあかね。確かに動きのキレはいい、ペンライト捌きも素晴らしい。綺麗に動けている。だが、それだけだ。
「なるほどな。こればっかりは、現場に行ってみないと出ないものだと思う」
「そっかぁ……」
実際のライブの“熱”というべきものは、感じてみなければわからないものだ、とはアクアの持論だ。
「ただ、JIFに関してはほとんど振るようなスペースは無いと思う。関係者席だと余計にな。普通に振って応援すれば良いと思う」
「そっかぁ……」
残念そうに肩を落とすあかねを見て、ふとアクアは妙案を思い付いた。
「まあ、せっかく覚えたんだし……動画でも撮ってSNSと公式チャンネルのショートにでも流してもらうか?」
「いいの?」
「俺も久々にやってみたいって気持ちもあるからな。一応マネージャーに確認は取るけど、まあ大丈夫だろう」
アクアがマネージャーに連絡をとっている姿をみながら、あかねは頬を緩ませる。こういう細やかな心遣いだ。少々遠回しながらもしっかりと気遣いをしてくれるところは、アクアの好きなところの一つだ。お前のためじゃないといった風に誤魔化すけど、誤魔化し方が不器用なところも含めて。
「よし……明日ならスタジオに空きがあるから、出来るそうだ。この後暇だな……今日、少し出掛けるか?」
「うん!」
事務所を後にして外に出ると、中天に太陽が座している。時刻は午後2時を指していた。
「暑いな……良い時間だ、喫茶店にでも行こう」
「うん、じゃあ……ここ行ってみたいんだけど」
「これは……良い所だな。場所も近い、ここにするか」
レトロな雰囲気で、いわゆる隠れた名店というような雰囲気を漂わせているが、あくまでそういうデザインというだけだ。完全個室も完備している上、外観も店構えも分かりづらい。その上徒歩圏内で行ける場所だった。
そうして、二人は示し合わせることもなく手をつないで歩き出す。こういう時も、アクアは当たり前のように車道側を歩く。歩幅もあわせてゆっくりと歩いてくれる。こういうことを当たり前のようにやってくれるから、あかねも他の皆も、アクアのことがより好きになってしまう。
「ついたぞ。……よし、入るか」
「うん」
しれっと事前予約でもしていたのか「先程二名で予約した雨宮です」とアクアが告げ、席に案内される。豊かな木の香りがして、モダン調の室内は心が落ち着くようだ。
「メニューはどれにしよっか?」
「ここはスフレパンケーキが美味しいらしい。俺はそれと……紅茶にする。あかねは?」
「うーん……じゃあ、おなじものにしようかな……あ、はちみつとは別にソースがかけられるみたい」
「俺は、はちみつにする」
「じゃあ苺にしちゃおうかな……紅茶は同じので」
呼鈴をならして店員を呼ぶと、アクアがさらりとあかねの分まで注文してしまう。飲み物を持ってくるのを先か後か同時か聞かれたときに答えただけで、ほとんどアクアが注文してしまう。おそらく、支払いもアクアにとられてしまうのだろうと分かってしまう。こういう人だから、自分も何かしてあげたいと思えるのだ。
「……どうした、あかね」
そんな感じでじっと愛おしい気持ちでアクアの事をみていたら、視線に気づいたのか店員が去ってからそう聞くアクア。こういうところばかりは鈍いのも、かわいいと思える。
「んー、キスしたいなぁって……んむ」
そう告げれば、ぐっと顔を寄せられてキスをされる。最初は触れる程度だったが、目で訴えるともう一度。今度は激しく舌を絡めるような長いキスを。にち、にちと淫靡でねっとりとした水音が、二人きりの空間で響いている。たっぷりと時間をかけて口づけを交わし、やがてお互いに離れる。
「んふ……はぁ……んふふっ……あくあくん、すき……」
「俺も好きだよ、あかね」
アクアは二人きりのデートのような空気の時、ちゃんと自分だけをみていてくれるのが、嬉しい。あかねから振らない限り、彼から能動的に他の女性の話題が出ることは、殆ど無い。好きと言えば、必ず好きと言葉で返してくれる。普段はちょっと鈍いのに、スイッチさえ入ってしまえばこっちの気持ちも汲んでくれる。そのうえ照れ臭そうに笑うのだ。そういうところが、たまらない。
「ん……いい匂いがしてきたね」
「ああ……甘い匂いだ」
やがて運ばれてきた、お洒落な食器に美しく盛られたパンケーキと紅茶。それをSNSアップ報告用写真として数枚撮り、保存。念のためマネージャーに確認をとった上で、適当な時間に投稿することになる。もちろん当日投稿はしない、かなにも今のマネージャーにも「そんなことすると今の居場所が簡単に特定される」と口酸っぱく言われたので。もちろん、写真の位置情報を記載する仕様もオフにしてある。これで場所バレについては対策できるだけはした。お互いにオフの格好なので、二人分のパンケーキだけが見える構図にしつつ、アクアの服がチラリと見える程度にしてある。
「どう?」
「ん……旨いな。ふわふわの食感もそうだが、はちみつとバターの香りが強いのがいいな。これは……有塩バターか、どうりで甘味が引き立つわけだ。あとは卵のまろやかな味わい。パンケーキ自体の甘さは控えめだが、そのおかげで素材の味が引き立っている。うん……紅茶はストレートにして正解だった」
「ふふっ。食レポの練習?」
「やっておいた方が何かと役に立つだろ。……少し長いな」
こんな時でも、仕事のコトを意識している。でも、あかねのことを無視してるわけじゃなくて、あかねに向けて食レポをしている。あかねのことを放り出している訳でもない。本当に女心を擽るのが得意な男である。
「アクア君、理屈っぽいからね……人のコト言えないけど……あ、これ酸味がほどよくて美味しい。アクア君のはちみつも気になるなぁ。今度はそっちにしようかな」
「一口食べるか?」
ん、と先につき出されたフォークに刺さったパンケーキを食べる。これはいわゆる食べさせあいっこのチャンス! あかねはチャンスを見逃さない。
「ん、甘くて……優しい味。はい、アクア君おかえし。あーん」
「……そうか、そうなるのか……少し恥ずかしいな」
口ではそういいつつも、顔を僅かに朱に染めながら苺味を食べるアクア。
「……甘酸っぱい。なるほど、ソースというよりは、少しジャムよりなのか? 苺の食感が楽しいな」
「でしょ? 他にもブルーベリーと季節のフルーツがあるんだって」
「また来る理由が増えたな」
「……うん!」
(~~~~っ!! 私の攻略本を持ってるの!? アクア君! もう! すき!)
アクアから誘ってもらったデートの、もう一度の約束なんて、自分から言い出しにくい。それを察したのかしていないのか、アクアからもう一度デートしよう、と言外に言われた。あかねの心は喜びっぱなしだった。
「この後、どこか行くか?」
「じゃあ、アクセサリー見に行ってもいいかな?」
「わかった」
kurokawa_akane |
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アクア君とおでかけデートしてきました! ネックレスは二人で選んだよ!
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