【完結】天に輝く二ツ星   作:アクアハーレム最後の刺客不知火フリル

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39.埋め合わせ(ルビー編)

 JIFの反響は、苺プロの想定した以上のものとなっていた。グッズは完売、現地での予約による二次生産分も既に完売する見通しだ。また、CMをはじめとするいくつかの企業案件が既に舞い込んでいる。そのおかげか、社内のあちこちから嬉しい悲鳴が上がっている状態になった。

 また、いくつかのアイドルグループから引退・卒業宣言が発表された。理由は明らかにされていなかったが、新生B小町がアイドル業界に多大な影響を与えた結果なのは間違いないだろう。メンバーの元々の知名度も相まって、アクアとしてもB小町は確かに裏技(グリッチ)染みている強さだと感じていた。集めたのが自分であることは棚に上げた。

 

 しかし、その渦中の人物の一人であるルビーはというと。

 

「おにいちゃぁーん、ぽんぽんなでてぇー、あたまもなでてぇ」

 

 兄に膝枕をして貰いながら頭や腹を撫でて貰っていた。JIFの直後ともあってMEMちょは“鉄は熱いうちに打て”と言わんばかりに配信に力をいれているし、かなも舞い込んできた仕事の選別をマネージャーと行っていて忙しいようだった。しかし、一番注目されていたルビーは、その辺の仕事を副社長のミヤコに全てぶん投げて、自宅で兄に甘えるという暴挙に出ていた。

 

「よしよし……頑張ったなルビー、夢を叶えられてよかったなぁ」

「えへー」

 

 アクアもアクアで、ルビー(さりな)が、とうとう夢のステージに立てたことを喜びとにかく甘やかしていた。普段はにべもなく厳しい兄だが、こればかりは別とばかりに甘やかしていた。

 

「何かしてほしいこととかあるか?」

「ちゅーしてー、ちゅー……んっ、えへへー」

 

 ルビーの求めるままに唇を重ねる。なんだこのかわいい生き物は? アクアはやや冷静ではなかった。元々ルビーの事となると、やや暴走気味ではあったが、うるんだ紅玉のような瞳で見つめられると、甘やかしてしまう悲しい兄としてのサガでもあった。

 

「おにいちゃんすき、愛してる」

「俺もルビーの事好きだぞ、愛してるよ」

 

 なんともむず痒い言葉を交わしながら、もう一度キスをする。そんな風に甘やかされているルビーは、恥ずかしさが無いわけではないが、それ以上に愛されている実感を感じていたし、愛していると伝えたかった。

 

 アクアとルビーは、愛を与えられなかったと感じていたあまりに、愛というものに幻想を抱いているきらいがあった。いうなれば無償の愛(アガペー)こそが真実の愛だと。だが、両親と過ごしていくうちに、そうではないと気づくことが出来た。愛にも種類があるし、愛しているか、愛されているかどうかなんてものは主観でしかないと。友人達の経験や、両親の愛を受けて初めて気づいた。だから、アクアもルビーも言葉にすることにしている。愛は、言葉にしなければ伝わらないと自然に考えるようになった。だからこそ、自分の気持ちを素直に伝えるべきという思いがある。なんだかんだ、この兄妹は双子らしく似た者同士なのだ。

 

「今日のお昼ごはんなんだっけ」

「母さんのオムライスだったかな」

「やったー! ママのオムライスだ!」

 

 突然双子に戻ったかと思えば、やはり恋人のように視線を絡めて、どちらともなく唇を再び重ねる。ルビーは、こういう日常の中で非道徳的(インモラル)な行為をすることに興奮を覚えはじめていた。

 

「ん……ふぁ。明日はかな先輩のとこに遊びに行くんでしょー? いいなぁ」

「そういう約束だからな、すまん」

「んー、いいよー。その代わり今日はたっっっっぷり甘えるもーん」

「お姫様のご所望通りに」

「やったー。……やっぱりキスって気持ちよくて、ふわふわするね」

「……ああ」

 

 アクアは自分で自分の節操のなさに呆れていた。しかし、アクアの悪癖には、彼自身も把握していない理由が存在していた。

 アクアは心のどこかで、未だに人生のボーナスタイムという意識がまだ残っている。もちろん、表出することもなく、やがて消えてしまうような程度の気持ちであり、時間が解決してしまうものだろう。だがそれは、一種の死にたがり(デストルドー)だ。

 故に、それに強く強く反発する生存欲求(リビドー)がそれに反応した。愛してくれる人のためにも、軽く見ている自分の命に更に重石()を無意識に載せて、今を生きようとしているのだ。その結果、アクアは恋多き人となってしまったのだった。元々女遊びをしていたゴロー時代からそういう性質があったのだが、血筋と環境が更に悪影響となり、アクアの倫理観は一般的なものとはかなりズレたものとなってしまったのだった。

 

 そして、その光景を陰ながら見つめている両親がいた。その両親は二人の空気の邪魔をしないようにこっそりと扉の向こう側から覗いていた。

 

「いやぁ……流石にちょっと仲良し過ぎじゃない? アクア、彼女(あかねちゃん)居るんだよね……? それにかなちゃんとも似たような感じだし」

「そうだね」

「あーあー気持ち良さそうにキスまでしちゃって……兄妹でキスって普通しないよね……? たぶんそうだよね? あってる?」

「世間一般的にはね。でも仮に二人も()()だったとしてもさ、僕ら人の事言えないよね」

「うーん、痛いところを突くなぁ……」

 

 片や小学生で姦淫を受けて中学生で父親になった男、片やアイドルやりながら出産して二児の母となった女だ。息子と娘の倫理観が爛れておかしなことになっていたとして、それをとやかく言える立場ではなかった。

 

「……ね、ヒカ……んっ……」

 

 子供達のキスで火が着いたアイを、すかさずヒカルは唇を重ねて油を注ぐ。

 

「んっ、んっ……んむ……ふは……」

 

 アクアとルビーとは違う、舌を絡めてにちにちと水っぽい音のする濃厚なキスを交わす。一度口を離すと、舌を長く伸ばして愛しい彼に求める。

 

「れー……られれ(たべて)?」

「いただこうかな」

 

 アイの求めるままに彼女の舌を啜り、舐め、貪るように交わす大人の接吻。アクア達の観察もすっかり忘れて、二人はそれに没頭した。

 

「ぷぁ……」

「ん……甘いね。お昼前にアイス食べたね? ダメだぞ」

「いいもーん、太ったこと無いし」

「それは結構。……僕たちもダメな親だなぁ。子供にあてられてこんなんしてたら本当に言い訳つかないや」

「確かに。まあでも、二人が幸せそうだし、愛があるなら大丈夫大丈夫!」

「そうだね。さ、そろそろお昼作らないと」

「あ、ほんとだ! いけないいけない……続きはお昼の後でね?」

「もちろん」

「アクアー! ルビー! ごはんつくるよー!」

 

 それ以上に、この夫婦は元からどこかズレていた。やはりアクアのスケコマシは両親の血筋のせいかもしれない。




息子娘が盛ってるのを盗み見て盛り出す夫婦。倫理観は浜で死にました

ガチ濡れ場(R18)って需要ある?

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