【完結】天に輝く二ツ星 作:アクアハーレム最後の刺客不知火フリル
これも全部たぶん疫病神(仮)ちゃんってやつの仕業なんだ。おのれ疫病神(仮)!
疫病神(仮)「違うよ?」
「それでは会議を始めましょう。題して『アクアとルビーの知名度をあげちゃおう大作戦』!」
「いきなりね。あなたのチャンネルに出せば済む話じゃないの?」
ミヤコの疑問は当然である。いわゆる導線、バーター、運送や輸送とも呼ばれるネットタレントではよく見られる手法だ。
「普通のタレントならそれでもいいんですが、アクアたちはまだ赤ちゃんです。そうなると、視聴者や一般の感想としては、嫌な表現ですが僕の付属物でしかないですよね」
「まあ、そりゃあな。だから双子たちだけの強みをってなるのは理解できる。だがそれこそ普通のタレント相手ならばだろ、それは」
「そうなんですよね。悩ましいんですよ」
ヒカルのチャンネルに出れば、確かに知名度を稼ぎ、業界人に目を向けさせることは可能だろう。だがその時、彼らが見るのは「天才役者カミキヒカルの付属物」としての価値だ。それではスタートダッシュとしてはやや
ミヤコはそこでふと自分がこっそり撮っていた動画を思い出した。
「そういえばヒカル君。双子たちが面白いことをしていたわよ。かわいかったからつい動画撮っちゃったのよ。見る?」
「見ます」
食い気味にミヤコのスマホに近づいた。壱護は呆れていた。当のミヤコは、自分の息子のように感じ始めたとはいえイケメン(子持ち)に顔を寄せられて心臓が少し跳ねたが。
そこには、サイリウムをブンブン振っている双子の姿があった。
「これなら、行けるかもしれない」
光明を得た。
☆
「アクア、ルビー。せっかく僕も今日は休みだからさ。アイのライブ行く?」
「あい!」「まま!」
(ライブ! ママの生ライブ!? マジ!? おにいちゃん!!)
(ああ……絶対に行かなきゃな!!)
相変わらずのドルヲタ双子であった。
大興奮のあまりおもわず変な返事をしてしまったが、そこはアイに選ばれた男である。
「もうお返事が出来るようになったんだ!?」
驚く父親をみて、しまったと焦る双子。
「うちの子たちは天才なんじゃなかろうか? いや間違いなく天才」
よかった親バカで、と嬉し恥ずかしながらも胸を撫で下ろした双子。
「よし、そうと決まれば出発だ。サイリウム持ってく?」
双子は元気よくしゅばっと両手にサイリウムを構え、掲げた。思わずヒカルは写真を撮った。
そうして支度を終えた星野一家御一行は、サイリウムを両手にB小町へのライブへと向かった。もちろん、関係者席だ。おまけでミヤコさんもついてきた。信頼して運転手を任せられるのは彼女くらいしかいないからだが。
「すみませんミヤコさん。いつもご迷惑お掛けします」
「いいわよ別に」
ミヤコは存外、この子持ちイケメンに頼られるのは悪くない状況だと思っていたし、アクアとルビーもなんだかんだ可愛がっていた。
「関係者としては初めて来ましたけど、相変わらず満席ですね」
「まあ、このくらいの販促ライブなら、B小町なら余裕よ。将来はドームよドーム。このくらいは埋めて貰わないと」
双子はうんうん、当然でしょ、といわんばかりにばぶばぶ言った。
そしてもちろん、イケメンと赤子二人が居る関係者席は好奇の目で見られていた。子連れでアイドルライブに来る猛者は誰だ? と。そして顔を見られて、彼のTシャツをみて納得する。そして、ファンはステージを待つ。
ヒカルは真剣な表情をして居るが、「無限恒久永遠推し」うちわを片手に苺プロスタッフのTシャツ(非売品)を身に纏っていたからだった。生配信の宣伝効果と認知普及は、確実に出ていた。
「あ、B小町の出番ですね」
「あい!」「あいー!」
「えっ」
B小町が出てきた瞬間、手を振りアイの名を呼ぶ双子にぎょっとするミヤコ。元気一杯に両手挙げててかわいい~、撮っちゃお。パシャリ。シャッター音が鳴る。いやそうじゃない。ミヤコは混乱していた。
「そうそう、この子達、もうこんな返事できるようになったんですよ。すごくないです?」
「え、ええそうね……」
まだ数ヵ月しか経ってない赤子ってこんな風にしゃべれたっけ? とミヤコも思わないでもないが、アイもヒカルもよくよく考えれば天才の部類に入る人間だ。その二人の血を色濃く受け継いだんだろうと勝手に納得した。
(ギリ喃語とも言えなくもない範囲での発音なら、誤魔化せるみたいだな)
(なんご?)
(赤ちゃん言葉ってやつだ。あうーとかばぶーとかそういうやつ)
(なるほど!)
ライブが始まれば、あとはB小町の舞台だ。きちんと積まれた練習から繰り広げられる、計算された演出と躍り、歌と笑顔。これこそまさにアイドルといった風に圧倒される。
だが、その中でも一際目を引くのがアイだ。完璧に計算され尽くした万人受けする
気づけば、双子たちは手ではなくサイリウムを振っていた。まだ周囲には、ただサイリウムを持たせられている赤子としか捉えられていなかった。
だが、次の瞬間……双子たちのドルヲタ魂に火が着いた。
「「ばぶばぶばぶばぶばぶばぶ!!」」
そこには、完全に赤子であることを忘れてオタ芸をする双子の姿であった。
「!?」
それに一番驚いていたのはベビーカーの隣に居たミヤコとヒカルである。キレッキレのサイリウム捌きで、大人顔負けのオタ芸を披露する双子。思わず固まるだろそりゃあ。
「なんだあの双子!」「すごいサイリウム捌きだ!」
ざわりと周囲がざわめく。ある意味アイドルよりも注目されていた。
「まずい、注目され過ぎてる。ミヤコさん」
「わかってます、離脱するわ!」
ヒカルとしても想定外であった。まさか……
「まさかこの子達がオタ芸まで真似してしまうほどの天才赤ちゃんだとは……」
親バカ全開だった。双子たちは(しまった、つい本能で……!)と狼狽えていたが。
「もうそれでいいわよ……それで、動画はどうするのよ。撮れなかったわよ、あのタイミング」
「ああ、観客の中に撮っている人が何人か居ました。SNSにアップされたら肖像権侵害をちらつかせて動画をこっちのものにしちゃいましょう」
「よく見てるわね」
「舞台演劇は視野の広さも必要ですから」
後日、SNSで案の定動画が投稿された。動画転載される前にSNS投稿者に連絡を取り、動画を
また、いくつかの番組からサイリウムベイビー動画の使用依頼も届いたため、苺プロはあわてて双子を子役タレントとして登録。少なくない出演料を確保することに成功した。
タレントとしてのスタートダッシュとしては、これ以上ない完璧なものだった。
そして、もう一つ、ヒカルにとっての想定外が。
「……ふーん? なるほど、あれが“イイ”のね? 覚えちゃったぞ~?」
あんなかわいいの、絶対忘れないし鬼リピする! とSNSの反応を眺めながら、鼻息をあらげるアイ。アイドルとして、一つどころではない殻を破り覚醒したアイがそこにいた。
使用依頼が来た番組というのは、いわゆるかわいい動画X連発!とかそういう類いの番組とか、ニュース番組とかですね。どの時代でも、赤ちゃんコンテンツは強い。
・サイリウムベイビー
ヒカルくんとしては普通にかわいいサイリウムを振るだけの双子のつもりだった。だが奴らは……弾けた。
・きゃわ~~~♡♡♡してたアイ
カミキくんとしても想定外の覚醒イベント。
・苺プロ
双子をモデルにした撮影系の依頼がわさっと来て慌てている。かわいいもんねあの双子。
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