【完結】天に輝く二ツ星   作:アクアハーレム最後の刺客不知火フリル

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自慢のアレとかソレ。


44.自慢

「見て見てこれ」

「え? これってナンパのDMじゃん! 誰?」

「同じドラマに出た堂山くん」

「やっぱフリルさんはモテモテやねぇ」

 

 ある日の昼休み。アクアのとなりで、女子三人が芸能人らしい恋バナをしている。微笑ましい光景ではあるのだが、これを聞かされているアクアとしてはたまったものではない。誰がかっこいい、誰と誰が実は付き合ってる、この人にナンパされた、とか。フリルやみなみから飛び出す同僚や現場の男女の話を聞かされる度に、やはり自分はダメな方の部類であると気がつかされて胃がキリキリする。

 すると、突然フリルがこちらに話を振ってくる。

 

「アクアならどうする?」

「何が?」

「話聞いてなかったの? この私、不知火フリルをお食事に誘って、私ごとぺろりといただくならどうする? っていう話をしてたの」

「お前国民的美少女っていう清楚系の肩書きあるの忘れた?」

「カメラがないからそれはここにはいない。今ここにいるのはド下品下ネタも平気でトークする系一般女子高生の不知火フリルだよ」

「お前が一般女子高生の基準だったらこの世の終わりだ」

 

 なんだこいつ、25で今ガチで女子高生ヅラして現役アイドルにまでなったMEMちょよりもメンタル無敵だな? アクアはそう思ったが口に出すほど野暮ではなかった。主にMEMちょの名誉のために。

 思わず視線を逸らすと、その先にはキラキラとした期待の視線をこちらに向けるみなみとルビー。どうやらアクアの味方はこの場には居ないらしい。ひとつため息をついて、まあ真剣に考えてやることにする。適当に答えてもそれはそれでからかわれるので。

 

「で、どうなの?」

「わかったよ……真面目に考えてみるか。まずフリルは一回や二回の食事程度で陥落するようなタマじゃないから、回数を重ねることだな。比較的静かで、二人きりを意識するような場所を選ぶ」

「その前に食事に誘う口説き文句からよろしく」

 

 鬼か? と思わなくもないが、誘い文句を期待している妹とその友人がいるので仕方なく続ける。

 

「シチュエーションの指定までするのか? まあいいけど……そうだな、お前とかち合うなら……例えば撮影終わりとかだよな。その時、暇なら晩飯でも食いに行かないか? 位の気楽な感じだな。もちろん俺の奢りで、メールとかよりは直接誘う方がいいだろう。あんまりガツガツすれば、その堂山くんのように避けるだろう、お前」

「もちろん。よくわかってるねアクアは。わざわざDM送ってくるあたり下心丸見えだから断ることにしたよ実際。フリル博士かな?」

「残念、B小町博士だ。続けるぞ。それで、まずは真っ当に仲良くなる。だがそもそも、フリルのような自分の価値を理解しているタイプは、自分に釣り合う人間か、超える人間でないと……その……」

 

 流石に同い年の女子三人に囲まれてそういう話をするのは……こう、キツい。だが不知火フリルはメンタル化け物無敵美少女だった。

 

「そうだね、セックスはしないよ」

「お前さぁ……」

「「わーっ!」」

 

 案の定、直接的な表現のせいで声を上げて顔を赤くするギャラリー二人。アクアはあまりのあけすけさに手で顔を覆ってしまう。

 

「別に恥ずかしがることはない。十代なら男女問わず誰だってセックスには興味津々。そんなことより続けて。仮に何度かお出掛けして仲良くなったとしても、この不知火フリルは鉄壁ガードだよ。彼氏彼女とかになるともっと難しいと自負している」

「“この不知火フリル”ってどんな一人称だ」

 

 しかし確かに、不知火フリルは黙ってれば怜悧な雰囲気のある顔面で体型もバランスがよい。特に泣き黒子はセクシーさも醸し出している。自信満々の一人称も納得だろう。だが性格はなんだかよくわからないし油断できない天然クソボケ女だ(アクア評)。

 

「まあ……そういうわけでまず仲良くなるにも前提条件のスペックがあるわけだが、そこは満たしたと仮定して進めるぞ」

「アクアなら問題ないからね」

 

 かなり際どい発言をフリルがしていたが、アクアは気がつかずに続ける。

 

「どうも。そうして仲良くなっていけば、いけるチャンスというか、タイミングがあるはずだ。二人きりで遊ぶのが当たり前になって、どんどんパーソナルスペースもなくなっていけばどこかしらでアクシデントやイベントが起こるだろ。そこでグッと押せばいけるだろ」

「……なるほど。事前準備をするんじゃなくて偶然を利用して流されるようにってこと?」

「前振りがあると身構えて逃げるだろ、お前」

 

 ふむ、と考え込んでたしかに、と言うフリル。言葉の上とはいえフリルが攻略された(?)ことにルビーとみなみがおお、と感嘆の声を上げる。

 

「流石おにいちゃん、スケコマシだね!」

「確かに同じシチュになったらドキドキしてまうかもしれへん……悪い人やぁ」

 

 みなみは、自分がそのシチュエーションになったらと当てはめたのかその大きな胸をぎゅっと押さえて顔を赤くしている。彼女の妄想の中では、当たり前のようにアクアがいて……。

 

(って、あかんやん! アクアくんは彼女持ち!)

 

 ぶんぶんと頭を振って雑念を追い出そうとしているみなみをよそに、考え込んでいたフリルが顔を上げる。

 

「じゃあ実践編やってみようか」

「残念ながら暫くは暇じゃないから無理」

「アクアのいくじなし」

「浮気するのは勇気ある行為とは思わんぞ」

 

 フリルのボケを華麗にスルーしたアクアだが、公認浮気をしている自分の事は都合よく無視した。その時、手元のスマホが震えていることに気づいた。

 

「ん? あかねからだ。すまんが席はずす」

 

 アクアはこれ幸いにとそそくさと席を立つ。これ以上責められるのは嫌だったからだ。

 

 廊下に出て電話に出る。

 

「もしもし、アクアだ」

『あっもしもし、あかねです。今ちょっと時間大丈夫?』

「ああ」

 

 こんな風にあかねがわざわざ電話をしてくるのは珍しいことだ。

 

『大事なことだから直接言いたくて……』

「わかった。役の話か?」

 

 あかねが大事な話、と言えば大体が仕事か役の話だ。アクアは続きを言うように促す。

 

『うん、それなんだけどね……ほら、私の役って許嫁でしょ? だから演技が終わるまでお互いに禁欲するのはどうかなって』

「………………なるほど。俺の役もあかねの役も、二人ともそういう面には疎そうだからか」

 

 たしかに鞘姫と刀鬼の関係性を考えれば、間違いなくプラトニックな関係だろうとは思う。思うがそこまでは思い付かなかったアクアは、言葉を返すのに少し時間を要した。

 確かにあかねのストイックさはアクアも見習いたい部分があるが、流石にここまでやるとは。

 

『そうなの。だからそういうのから離れておくのが役作りに良いのかなって……あ、一応かなちゃん達には許可とったよ!』

「わかった。折角だ、やってみよう」

『やたっ、ありがと!』

「別にデートをやめる訳じゃないしな。普通に過ごそう」

『うん。また遊ぼうね。……えっと、じゃあ切るね。大好きだよ』

「俺も大好きだよ、あかね」

『……♡』

 

 あかねの幸せそうな、はふぅ、というため息と共に、通話は切られた。

 

「役作りのために禁欲か。まあ、余裕だろ」

 

 人生経験豊富なアクアならば、性欲のコントロールくらいは出来る。そのすました感じが、それがアクアのモテる要素のひとつであった。

 

 一方、アクアがいなくなって女子だけになった瞬間、女子達は顔を見合わせ、声を潜めて性欲に囚われまくった会話を始めた。

 

「……やっぱり前から思ってたけどさ。おにいちゃんってドスケベの化身だよね」

「わかる。特に鎖骨がエロい」

「鎖骨とかあんまじっと見いひんからなぁ……でもたしかにえっちやわ」

 

 男子だけになると下ネタが出るように、女子だけになれば当然下世話な会話も出てくる。異性に見栄を張りたいしそういう話で下品だと思われたくないのは男女共にかわらないものだ。不知火フリルとかいう特異点は除くが。

 

「エロと言えば……アクアくんはあかねちゃんとそういうことしてるか知ってる? やっぱ毎晩激しかったりするん?」

「みなみちゃんも遠慮無くなってきたね」

 

 かなとはそういうことをしているし、自分もしてもらう予定などとは口が裂けても言えないのだが。あかねについては知りえているので言ってしまうことにした。

 

「えーと、聞いたところによると、まだしてないみたい。ただ、あかねちゃんがすごい張り切ってるみたいで……なんか、準備をしてるとか? おにいちゃんはそれを待ってるみたい」

「うわぁ、初体験に気合入ってるんやね! まあ、あんな彼氏彼女だったらお互い盛り上がりそうやし」

 

 その『準備』というのは、首輪とリードとか縛り方とか、そういう方向性なのはあかねの名誉のためにも言わなかった。しかしそこで満足したみなみと異なり、フリルはもう一歩踏み込んできた。

 

「ところで、ルビー。アクアのアクアはどれくらいなのか知ってる?」

「あー……」

 

 ルビーは思わず言葉をつまらせる。仕方ない話だが、ルビーは前世、親に放置されてしまったのが遠因で、元々こういう話をするのは苦手、というか具体的な性交行為自体に忌避感があった。アクアイコールゴローである、という奇跡の再会、自分達の前でも当たり前のようにイチャコラする両親、平気な顔で猥談してくるかな。そういう刺激的な荒療治のおかげで忌避感はなくなり、ちょっとした猥談程度なら楽しめるようになったものの、やはりかなやあかねのような身内ではない相手と直接的な話をするのは、やはり少し腰が引ける。

 だが、そのかな先輩が女子高生同士ならこういう直接的な猥談をするのは、当たり前らしい事を言っていたのを思い出した。そういう当たり前の日常への憧れを持つルビーは、結局兄の下半身の秘密を売却して青春の1ページを購入することにした。

 

「おにいちゃんのマリン砲かぁ。一回だけお風呂でみたことがあって……目算で良い? あと、おにいちゃんには内緒ね?」

「ええで。うちも気になる」

「アクアは今いないし、今のうち」

 

 本当はかな先輩から聞いた話だが、適当に理由は嘘をつき、アクアのマリン砲に言及することに。

 

「そのときは()()()なかったけど……なんていえばいいんだろ。15……もっとありそう。怪物?」

「ごくり……」

「ひゃぁ……!」

 

 思わず生唾を飲むフリルに、何を妄想したのか顔を真っ赤にするみなみ。ちなみに具体的な表現をすると、太いのがすごく()()らしい。

 かな曰く『アクアのは確かにでかいけど、それ以上にとにかく太いのがやばいのよ。あんなの味わったら、二度とアクアから離れらんなくなっちゃう。もう強すぎてメス殺しの魔剣アロンダイトよ』とのこと。例えはよくわからなかったが、気持ち良さそうなことは理解した。ルビーとて次は我が身だ。かなから送られてきた()()()に写っていたそれ。あれが、ここに。きゅんと下腹部が熱を帯びる。

 

「……♡」

 

 ルビーは本番を夢想して、思わず下腹部を撫でた。結局、アクアが戻るまで三人の猥談はアクアのアロンダイト(仮)の話が延々と続き、ルビーはなんだかひとつ大人になった気分だった。




魔剣アロンダイト()
前世の経験値をフルに発揮した武芸(意味浅)により振るわれる女殺し(意味浅)の魔剣。

ガチ濡れ場(R18)って需要ある?

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