【完結】天に輝く二ツ星   作:アクアハーレム最後の刺客不知火フリル

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49.勘違い? それとも本気?

「ルビーちゃん、やっぱヤバいんじゃ……」

「へーきへーき! おにいちゃん達にはもう連絡いれてあるし!」

 

 ルビーに、アクアの稽古場に遊びに行こうと誘われてホイホイ付いてきたは良いものの、実際に現場近くとなると腰が引けてしまう。

 

「いやでも、やっぱ事務所(キャノンファイア)に迷惑かけるわけにもいかへんし……!」

「大丈夫大丈夫、“同級生のアクアくんの出待ちです♡”とか言っとけば関係者でしょ」

「わっ、流石現役アイドルやなぁ、媚び声完璧やん。……でもほんまに大丈夫?」

「へーきへーき」

 

 なんとものんきなルビーに、なんだか流されてしまうみなみ。確かに演技関連には疎い身としては、こういう場所に興味がない訳ではない。むしろ興味津々だ。ただ、その目的が彼女持ちは色々とアレなのでは? と思わなくもない。ずんずんと平気で稽古場へ向かっていくルビーの度胸のつよさに感心するばかりだ。

 

「よっし、稽古場いこっか!」

「あんたねぇ、まだ稽古中よ。ダメに決まってるでしょ」

「ゲーッ! かな先輩!」

 

 廊下でアクアを待っていたらしいかなが二人を待ち構えている形となっていた。何故か悲鳴を上げるルビーの顔を両手で包み込んで、頬をこねくりまわして怒りをアピールするかな。

 

「人のことを関羽扱いとは良い度胸ねこのクソアイドル! ……あら? あなたは確か、アクアのクラスメートの……」

「あ、うちは寿みなみ言います」

 

 先輩に挨拶をするみなみだが、やはりじろじろと胸に視線を向けられてしまう。もはや慣れたものだが、こうも観察されるとなんともいたたまれない気持ちになる。

 

「思い出した、キャノンファイアの寿みなみちゃんよね。私は苺プロの有馬かな、女優兼アイドルやってるわ。……生で見ると想像の90倍くらいおっぱいでかいわね」

「あはは……ありがとうございます?」

 

 一応、誉められたのでお礼を言うが。誉められたというよりは殆ど見たままの素直な感想という感じだ。

 

「先輩それ盛りすぎじゃない? あと、もう終わりそう?」

「たぶんもう少しね。……お花摘みしにいくわ。お茶飲みすぎたかも」

「あ、じゃあ私もー。みなみちゃんは?」

「うちはおかまいなく……」

 

 みなみはなんとなく遠慮してしまい、一人で待つことにする。

 

「はぁ、どうしようかなぁ」

 

 アクアにわざわざ会いに来たなんて、まるでアイドルの追っかけにでもなった気分だ。事実、アクアの事は嫌いではない。むしろ好ましいと言えるだろう。もっとも身近な優しい男の子、というのがみなみの認識だ。だが……。

 

(15……あかんあかん! よくない方向に思考が流れてる!)

 

 ルビーから聞いたアクアのアレがどうにも、あの時以来ちらついてしかたない。脳裏から離れてくれないのだ。最近は夢にまでアクアが出てきている。一昨日には、もはやアクアとそういうことをする夢まで見てしまった。その度にアクアは彼女持ちだと邪念を振り払うのだが、みなみの脳裏から消え去るどころかどんどん存在感を増していっていた。しかも、包容力のある歳上のような雰囲気のアクアにリードされるように優しく初めてを迎えるとかそういう具体的なまさしく夢のようなシチュエーションで。衝撃のあまりに暫くは忘れられそうになかった。

 

「君、誰かの出待ち?」

 

 すると、向こうから話しかけてくる男がいた。鴨志田だ。可愛い女の子が居るとなれば取り敢えず声をかけておくのが鴨志田の流儀だ。しかもかなり胸が大きいともなれば余計にそうなるというもの。

 

「え、えと……その……」

 

 さてどうしよう。確かに出待ちは出待ちだ。だがアクアの名前を出しても良いものか迷う。アクアは彼女持ちであることは公表された事実だ。ここでアクアの出待ちと宣言したら、アクアに惚れてますと言うようなものだ。だが……だが。

 

「あー……アクア君の出待ち……になるんかな? 今はおらへんけど、妹さんと友達なんですよ」

 

 非常にぼやかして曖昧な感じだったが、アクアの出待ちだ と、ついぽろりとこぼしてしまう。口から言葉を出してしまえば、気持ちは余計に固まってしまう。ヤバいと思いつつも、止められない自分もいた。ちょっと恥ずかしくて、頬が少し熱くなった気がした。

 

(あー、この子はダメだわ)

 

 その様子を見て、鴨志田は誘っても断られるだろうことを、何となく理解した。男としては間違いなく上にいるアクアと自分を比べてしまうと、悔しいが自分の方が負ける。だが先程釘を刺されたばかりなので、その妹に手を出すのは流石に気が引ける。つまり、望み薄でも粉をかけることにした。

 

「そうなんだ。アクアさんならもう少しで出てくると思うよ。時間も時間だし。呼んでこようか?」

「あ、いやいやおかまいなく……」

「良いって気にしないよ。名前は?」

「あ、うちは寿みなみです」

「ふーん。みなみちゃんね。俺は鴨志田朔夜。役者だよ」

 

 結構内気な感じの彼女に、押せばいけそうな雰囲気を感じる。押していけそうなら押してみるのが彼の手法だった。ダメで元々という気持ちもある。

 

「ルビーちゃんの友達ってことは芸能科だよね、モデルさんかな?」

「んまぁ、ええとキャノンファイアです……」

「キャノファとか笑う。俺、結構知り合いいるんだよね。ノノンとか上野クレハとか……」

「あー、先輩ですね」

 

(参ったなぁ、はやくルビーちゃんたち帰ってこうひんかな……)

 

 ここで困ったみなみ。アクアに会いに来ただけというのに、なんだか知らない遊んでそうなお兄さんに声をかけられてしまっている。断れる雰囲気でもないので、なんだか流されてしまいそうだった。

 

「じゃあ、みんなでどこか……」

「その皆に俺が含まれてると良いな?」

 

 誰かがそう言うと、ぽん、と鴨志田の肩を叩く。思わず鴨志田が振り向くと、そこにはアクアがいた。みなみの表情が一気に明るくなる。花の咲いたようにぱっと変化した。

 

「あ、アクア君!」

「よ、みなみ。わざわざ来てくれてありがとな。鴨志田さんもわざわざ相手してくれて」

 

 あきらかに態度の違うみなみを尻目に、タイムオーバーだと鴨志田は心の中でうなだれた。しかし、外面は取り繕って、アクアの皮肉に乗っかる。なんでもないようにして見せた。アクアなら強く出て咎めてもよかったものを、わざわざ言い訳の理由をくれる余裕まで見せられて、なんだかもうアクアに勝てる気がしなかった。

 

「いやぁ、アクアの妹さんのお友達を、無下にするわけにもいかないと思って。あれ、もうあがり?」

「ああ、メルトの奴がへばって限界だから」

「アイツ体力もないな……いや、演技中の気の抜き方を知らねぇだけか」

「そういうことだ。片付けをノロノロやってるから手伝ってくれると助かる」

「しゃーない……んじゃ、お疲れ」

「お疲れ様」

 

 そういうと稽古場へ消えていく鴨志田。みなみはほっと大きな胸を撫で下ろした。アクアは思わず視線を向けそうになったが、みなみの目をみてごまかした。みなみはじっとみつめられて、胸が跳ねた気がした。

 

「大丈夫だったか? 鴨志田さん、悪い奴じゃないんだけどな。すぐ女の子に粉かけにいく悪癖があるから……」

「あはは……アクア君が出てきてくれたからもう平気。大丈夫やで~」

 

 稽古上がり故か、しっとりと蒸気を纏っているアクア。その青い瞳にずっと見つめられると、なんだかドキドキしてしまう。会話しているつもりだが、なんだかふわふわした気持ちになってうまく喋れているのかよくわからなかった。

 

「ルビーは?」

「かなちゃん先輩とお手洗いに行ってます。たぶんもう少ししたら戻るんじゃないかな」

「そうか……悪い、変な気分にさせたな」

 

 そういってこちらに気を配ってくれる。距離もなんだか普段より近いし、汗のにおいがなんだか男性を感じてしまいドキドキする。普段、自分がそういう目でみられているから慣れていると思っていたが、実際にアクアをそういう目でみると煩いくらいに鼓動が高鳴る。ルビーやフリルが言っていた鎖骨にも目が行ってしまう。胸元からチラリと覗くそれは確かにえっちだと思う。

 

(変な気分にさせてるのはアクア君やん! あかん……うち、惚れてまうかもしれん……!)

 

「ん……? おい、みなみ。顔が赤いぞ。大丈夫か?」

「うひゃ!? 大丈夫です!!」

 

 顔をみるために更にアクアに近寄られて、変に大きな声が出てしまった。バクバクと煩いほど心臓が高鳴る。このままキスでもするんじゃないかと混乱してしまう。実はそこまで接近しているわけではないのだが、混乱して思考能力のぼやけたみなみの脳はそう判断した。

 

「あー、おにいちゃん!」

「やっと終わったのね」

 

 かなとルビーの言葉に、冷や水をかけられたように、精神が現実に引き戻されるみなみ。アクアもパッと離れてしまう。そして、ようやく落ち着いてくる。間違いなく熱暴走して思考が冷静ではなかった。だが鼓動はまだ高鳴ったままだ。ほどなくしてあかねか出てくる。

 

「おまたせ! それじゃ、そろそろ行こっか」

「わかった」

 

(う~~……これは一時の気の迷いや、きっと……)

 

 果たしてこれは恋心なのか、あるいは性欲が見せた一時の幻なのか。恋というには未熟すぎて、しかし、友情というにはもう遅い気がして。前を歩くアクアを見るみなみには、まだ判断ができなかった。





友達以上恋人未満。セフレというにはみなみはピュア過ぎる、グラドルやってる割に。というか推しの子の若い子は擦れてない子が多すぎる


・おまけ
「なあおいメルト、どう思うよ?」
「……鴨志田さん、どうしたんです急に」
「いや、お前もみたろ。アクアが女を四人も引き連れていく光景。俺はもうヤバいと思う」
「まあ……確かに端からみるとヤバいと思う。でもルビーちゃんが混じってるし、そういうのにはならんでしょ」
「まあ……だよな。流石のアクアでも溺愛する妹の前ではやらんよな」

※実際はみなみがいたので起きなかっただけ

ガチ濡れ場(R18)って需要ある?

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