【完結】天に輝く二ツ星 作:アクアハーレム最後の刺客不知火フリル
ファンタジー的な表現が今後含まれる可能性が強まります。
なにせ高千穂ですからね
1000本以上の楽曲に携わった作曲家ヒムラの手掛けた、B小町の新曲“POP IN 2”はきっちり納期通りに提出された。
創作者というものは、楽曲などに限らず気まぐれでルーズな人間が多く、締め切りはいつもギリギリという人が多い。業界に長く居る人物ほどそれは顕著な傾向になるだろう。もちろん例外というものは存在するのだが、ここではそれではない。ではなぜ、作曲家ヒムラの創作魂に火が着いたのか、それはまさにB小町に
しかも、自身も一度は携わったB小町の伝説的復活ともなれば、よりやる気も増していくというもの。最近の彼にしてはあっという間に作品が完成し、尽きかけていたモチベーションの復活により、むしろ最近はより精力的になったという噂まで流れるほどだった。新生B小町の三人は、知名度も相俟ってその位にクリエイターたちの琴線を刺激する存在となっていた。
そうして現代の流行なども取り入れた最新の楽曲として生まれたPOP IN 2と、STAR☆T☆RAINのPV二本撮りに加え、MV撮影まで。MEMちょの意外なコネにより比較的安価に作成してもらえることとなったPV撮影。慰安旅行も兼ねてB小町メンバー+あかねとアクア、そしてミヤコは二泊三日の宮崎県は高千穂にやってきていた。
「ついたーっ!」
「いえーい高千穂ーっ!」
レンタカーから下車すると、ハイテンションなMEMとかなが、到着に思わずテンションと声を上げる。アクアとルビーにとって宮崎県は所縁の深い土地だ。どちらも理由は違えど前世において命を落とした場所で、生まれた土地でもある。感慨深いような、懐かしいような。そんな複雑な気持ちではあった。だがそもそも
「いらっしゃい高千穂へ! 私は映像ディレクターのアネモネって言います!」
「アネモネー! おひさー!」
「MEMちょ! おひさー!」
いえーい、と二人でハイタッチする。アクアはその様子を観察しながら、これは使える、と思っていた。
(映像Dとのコネ……便利そうだな)
映像Dに問わず、懇意にしているクリエイター、というのは事務所にとってひとつの強みだ。作曲家ヒムラもそうだが、優秀なクリエイターとの縁というのはアイドル事務所としては強い。例えばアクアが声をかけたら、五反田監督なんかは動いてくれるだろう。アクアにとって五反田は、唯一気軽に遊びに行ける男友達である。実際に、今度撮影されるあかねの主演映画にも、自分の役を用意してもらった。クリエイターとしての力量は間違いないのだが、ホンモノにこだわるあまり予算をかけすぎてしまう部分があるのだけはどうかと思う。
「この度はお忙しい中こんな田舎にわざわざ来ていただいて!」
「いえいえ、こちらこそ割引価格で作成してもらうのですから」
ミヤコとアネモネDが社交辞令を交わしながら、この地、高千穂についての話を他の皆に解説している。
天孫降臨の地、そして天岩戸伝説のある地。二つの伝説に所縁のある神が、歌や芸能の神、
「おにいちゃーん! おみやげよろしくねえー!」
そんな台詞をルビーが残し、アクアとあかねを残してスタジオへ向かっていく面々。かなはなんだか背中が煤けているような気がした。
「それじゃ、私たちはどこ行こっか? 色々あるみたいだけど」
「そうだな……」
アメノウズメを祀神とする荒立神社への参拝なら、全員で行くべきだろうが、他の場所ならば巡っても良いだろうと考えた。悔しがられるは悔しがられるだろうが。特にかなに。
「とりあえず、ルビーのお土産の処理と……パワースポット巡りでもするか。その後は、まあルビーたちの撮影でも見に行けばいいだろ」
「うん! かなちゃんの新衣装を真っ先に見れるのは、同僚だけの特権だもんね~! 今度フリルちゃんに自慢しようかな」
「フリル? いつの間に仲良くなったんだ……?」
「JIFの時に。B小町ファン仲間として連絡先を交換したんだ。自慢すると悔しがってくれるから、反応が楽しくてつい……」
「そうか……とりあえず道の駅に行くぞ、あそこならバスも通ってる」
「うん!」
あかねとフリルの意外な接点におどろきつつ、あかねと二人で道の駅に向かう。そこでお世話になっている人や家族、社員向けのお土産を購入。もちろんミヤコやルビー、かなが配るためのものもいくつかピックアップしておく。多めにしても、消え物なら事務所のケータリングとして消費してしまえばいい。残念ながら未成年のため、ミヤコが居なければ購入できない商品(酒)もあったが、それは仕方ないと諦めた。
「お饅頭はどこでもお土産としてあるね。へー、チーズ入ってるんだ」
「珍しいだろ」
地元の土産ほど、地元の人間がよく食べたことがある……というのは地方あるあるな話だ。アクアとなってからは久々だが、ゴローとしては結構食べたものだ。
「最近は便利でいいな、お土産物も郵送で送れるサービスがどこでもやってるから」
「確かにそうだね。手荷物たくさんで歩き回るのは大変かも……あ、写真撮ろっか。道の駅の前にある、大きい顔があるところ」
「あそこか」
モニュメントの前まで移動して、ツーショットを撮る。いかにもラブラブカップル、みたいな感じでアクアは少し恥ずかしかったが、あかねが楽しそうにしていたのでそれは飲み込んだ。
その後、二人はバスで移動し天岩戸神社に。実際に天岩戸があると言われる天安河原という洞窟に近づくと、思わず身体が震えてしまう。
「う……なんていうか、すごいね」
「ああ」
アクアもあかねも、パワースポットに行ったことがないわけではない。都内であれば神社仏閣には訪れたことがある。だがそういった場所でなにか感じることはなかった。
だがこの大自然の中にある暗黒の空洞を眺めていると、なんだか空気が重く震えているような感覚になる。まるで太陽を奪われたかのように、寒気まで感じるような気がしてきた。
「調べたところによると、感受性の高い人は失神することもあるくらいパワーがあるそうだ」
「アクア君ってそういうの信じるタイプ?」
「まあ、本物はあると思ってるよ」
なにせ転生という間違いなく本物オカルトな存在が自分だ。信じないというのはナシだろう。あかねもこういうパワースポットや神秘的なものを信じる口らしく、一気に表情が明るくなる。
「私もっ!」
「ああ……そうだ、石積みをすると願いが叶うとか……やってみるか?」
「うん」
アクアとあかね、二人で石積みをする。アクアは来年の飛躍を、あかねはアクアのお嫁さんたちとの良縁を願った。
その帰り道、お守りでも買おうかと相談していた時の事だ。
「おねーさん、おにいさん。こんにちは。りょこーのひとですか?」
アクアは、内心うわ出た、と思った。いつか控え室で出会った、ショートヘアの自称神のお子様、ツクヨミがそこにいた。あの時と全く同じ黒主体のかわいらしい服装で、やはりどこか子供の雰囲気ではなかった。わざとらしいたどたどしい口調が、余計にアクアには異質に感じられたが、真実を知らないあかねからすると、普通に年相応の子供に見えるらしい。
「そうだよ。きみは地元の人かな?」
「うん、このあたりにすんでるんだ。せいかくにはちょっとちがうけど」
あかねがしゃがんでツクヨミと視線をあわせそう聞くと、にこりと年相応に笑って返す。アクアがツクヨミに視線を向けると、無言の視線を向けてくる。初対面の体で居ろよ、ということらしい。
「わたしね、ここじゃないけどじんじゃのむすめなの。だから……そう、ぱわーとかみえるんだよ。そこのおにーさんにわるい
「悪いパワー……悪霊……?」
なんだかファンタジーじみたことを言い出した子供だが、子供のいうことだとあかねは受け入れる態勢のようだ。アクアとしてはぶっちゃけ面倒事の気配しかしなかったので、勘弁してほしかったのだが。
「うん、でもわたしが……そう、ぱわーあいてむをあげるからあんしんして! これをもってればあくりょーもはなれていくから」
「そうなんだ、すごいね」
「えーっと……あった」
そういってツクヨミが取り出したのは、お土産物屋でよく売っている、金属製の刀のストラップだった。アクアもツクヨミの目線にあわせるようにしゃがんで、それを受けとる。
「はい、どうぞ」
「どうも……?」
このおもちゃでどうしろと……と思うと、それと一緒に何か紙切れを渡してくるツクヨミ。後で読むとして、アクアは、それを受けとるべきだと考え、刀のおもちゃをうけとった。
「おねーさんは、おにいさんのおよめさん?」
「えっ、そう見えるかなぁ~? まだ、お嫁さんじゃないんだよ、まだ。恋人なの」
「そっか。じゃあおねえさんにはこれ!」
ツクヨミはあかねに本物のお守りを渡していた。あかねは、勢いに押されてそれを受け取ってしまう。
「えっ、これ……」
「じゃあね、がんばって!」
「え? きゃっ!」
びゅう、とまた強い風が吹き、枯れ葉が巻き上がって視界を覆う。気がつくと、やはりあの子供は消えていた。
「あれ、さっきの子は……?」
「もう居ないみたいだ」
あかねがきょろきょろと周囲を見渡すが、誰も居ない。あかねは、釈然としないまま渡されたお守りを見る。その錦の小袋には、丁寧にこう綴られていた。
安
産
祈
願
あかねの顔がゆで上がったように真っ赤になり、だらしなく口許がゆるむ。仕方のないことだろう。あかねからすれば、見ず知らずの子供に、アクアとの間にいつか子供が出来ると思われたのも同然だからだ。
「あ、安産祈願……えへ、えへへへ……そう見えるかなぁ? アクアくんと夫婦……アクアくんとのあかちゃん……えへへへ……」
妄想の世界へ旅立ってしまったあかねを尻目に、アクアは渡されたメモを見る。そこには端的にこう記されていた。
『今回は緊急事態。君なら本当に
アクアは、まさか悪霊退治か、と肩を落とす。転生者とかいうオカルトの塊ゆえに、このメモを戯れ言と片付ける気にはとてもなれなかった。
「参ったな……俺は
「うふふ……子供の名前は何がいいかなぁ、
「おい、あかね、戻ってこい」
あかねの肩を揺さぶると、あかねはようやく現実に帰ってきた。
「……はっ!? あ、えーと……あっ……あの……見てた?」
「全部口から漏れてた」
「はうっ!」
自分の妄想が垂れ流しになっていた事を知ったあかねは、夕日よりも赤い顔になった。
主に島根の方にいる妹系女神のせい
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