【完結】天に輝く二ツ星 作:アクアハーレム最後の刺客不知火フリル
「えーっ!? ずるい!!」
B小町三人のPV撮影の休憩時間に、午前中に行っていた天岩戸神社での一件をかなたちに話すと、やはりというか案の定というか羨ましがられた。ルビーに。
「そうか……?」
「そうだよ? パワースポットの神社で、突然神妙で意味深な事を言って消える子供なんて、すごいそれっぽいじゃん!」
そう言いながらずるいずるいと駄々をこねるルビー。まだまだ未知に興味津々の彼女としてはそういう特別な体験は羨ましいのだ。それとは逆に、うげーっとその横で嫌そうな顔をしているのはかなだ。
「羨ましくなんてないわよ……恐いわほんと」
「ふーん? かなちゃんはそういうの怖いんだ?」
MEMがからかうように言うと、何も分かってないわね、と言いたげにため息を吐くかな。
「当たり前よ。私、これでも泣きで売ってきた子役なのよ? 散々“そういう現場”にも行かされたわ。ホラー映画に泣き役として、大人には見えないものに怯えて泣く子供って、ある意味定番でしょ? そういうのをやってると、やっぱり中にはあるのよね、ホンモノってやつが」
「う……確かにそう言われてみると……私も聞いたことあるなぁ、ホラー系のYouTuberとかが不法侵入して……とかそういうヤツ」
「でしょ? だから業界に長く居る人ほど、パワースポットとかホラースポットは信じるクチなのよ。高千穂にみんなこぞってお参りに来るのも、そういうのが理由ね」
神秘的な体験、程度ならまだいいが、本当に金縛り等をはじめとしたホラーな現象に直面すると本当に最悪だろう事は想像に難くない。MEMちょ自身も、言われてみると確かに周囲でそういう話を聞いたことがあった。
「仮に御利益やパワースポットを信じていなくても、基本的にバカにはしないのよ。そういう話がゴロゴロ転がってるから」
「へー……そういう話を聞くと、ますます参拝に今すぐ行きたくなってきたなー」
「MEMちょは深夜もお仕事でしょ、まだまだ無理よ」
「うぐっ」
痛いところを突かれて呻くMEMちょ。彼女は成人済みであり、労働基準法の深夜労働にひっかからないため、収録は合同シーンを除いて後回しにされていた。
「あはは……なんか……ごめんなさい?」
「心に痛いっ!」
特に仕事もなく純粋に慰安として来ているあかねが申し訳なさそうに謝ると、良心の呵責からか、内心毒づいていた自分が小さい人間のように思えて罪悪感を感じてしまった。
「その話は良いだろ。……しかし、三人とも、新衣装似合ってて可愛いな」
「うん! 可愛い!」
アクアが話を中断し、三人のアイドル衣装を誉め、あかねが追従する。するとかなは当然でしょ、といわんばかりに胸を張り、ルビーは嬉しそうに笑顔になり、輝きが通常時の三割増しに。MEMも顔を少し赤くして恥ずかしそうで嬉しそうにしている。その様子を見る限り撮影は順調そうだなとアクアは感じた。あかねの脳内は変わらずかなちゃん! かなちゃん! と半分くらい有馬かなの事でいっぱいになった。残り半分はアクアなので、脳内でもアクかなだった。
「可愛いよねー三人とも」
「ディレクター、お疲れ様です。順調ですか?」
「どうも。いやー想定以上だね。素材がいいから、余計に撮りやすいんだよね。どう切り取っても絵になるから、編集の腕次第ってところかな?」
「そうですか。確かに、今のB小町は、アイドルの中でも最高峰だと思いますよ。身内贔屓ですが」
「確かに言うだけあるよ」
自信満々にそう言いながら、アクアを値踏みするかのように見るアネモネ。
(いやー、やってんねぇこの子。まさかMEMちょまで熱をあげてるとは……)
アネモネの知る限り、MEMはかなりガードが固い。仲良くなるまでは簡単だが、恋愛関係に発展するのには時間がかかるタイプだし、そうでなくても、相手が性交目的だと察するとすぐに逃げてしまうタイプだ。だが、アクアにはそう言った嫌悪感を向けている感じはしない上に、衣装が似合ってると誉められただけで赤くなっている所を見るにかなり堕ちているな、とアネモネは見立てた。しかも、あかねという彼女が居ながら。
アネモネの見立てではかなも中々怪しい。「好きな人を思い浮かべて振り返って」という要望にはすぐに応えたし、好きな人が居るのか? と聞くと無言になり否定しなかった……つまり肯定をしていた。それはアクアだろう事は、かなの態度を見ていれば分かる。
もちろん実妹であるルビーは考慮外だ。仲が良すぎる気もするが、こういう兄妹が居ないわけでもない。純粋にアクアに誉められて嬉しいのだろう。
アネモネとしては、誰が本命なのか知りたいと思っていた。まさか、妹含めて全員が本命だとは、夢にも思っていない。
「撮影は日程通りに行きそうですか?」
「んー、MEMちょ次第だけどこの分なら今日中にPV二本分は大丈夫そうかな」
「よかったです。そろそろ撮影再開ですよね、失礼します」
「はいよー」
アクアはそういうと、撮影ブースの隅にあるパイプ椅子にあかねとふたりで座り込む。ちょうどカメラの後ろ側になる位置だ。MEMちょたち三人の合同シーンになる。
(おやぁ……? 顔つきが三人ともかなり良くなってるぞ?)
明らかに、全員がカメラの向こうのアクアを意識している。まあ、ルビーは兄にいいところを見せたいのだろうが、他ふたりは明らかに女の色を感じる。
(これは良いのが撮れそう……かな!)
☆
「はーい22時だから解散だよー、未成年組は宿に戻ってー。MEMは居残りねー? 18歳だもんねぇ?」
「はぁい私は18歳以上ですぅ」
アネモネの年齢いじりにMEMの目が死にかける。だがそこは気配りの達人のアクア。パフォーマンスに影響しないよう、何よりMEMを心配してフォローを入れた。
「あんまり気にするな。俺はありのままのMEMが好きだぞ」
「好っ!? っーー?!?!?」
「撮影、がんばれよ。PV楽しみにしてる」
「うん……!」
わぁ、女たらしにメスが騙されてるシーンだぁ、とアネモネは思った。
(なんだかんだ言ってもMEMもしっかりメスなんだね。YouTubeと結婚しそうな勢いで一時は心配したけど、良かったわ……いや、8つも下の子に熱をあげてるのは……いやでもあんなイケメンにあんなこと言われたらなぁ)
20後半ともなれば、流石に脳裏に結婚がちらついてくるというもの。MEMとてアイドルをしているから、と母親に言い訳はしているが、やはり心のどこかで子供を見せたいという気持ちが無いではない。夢も大事だが、親も大事だ。相手は親に心配されそうな相手というのがネックだが。
「よーし、がんばるぞぉー!」
気炎万丈といった姿を見せるMEMをみて、良いのが撮れそうならいっか、とアネモネは思考を放棄した。
一方、スタジオから出た面々はホテルへと向かっている。
「おにいちゃーん、今日くらい一緒に寝ようよぉ」
「ダメ」
「けちー」
高校生にもなって兄と一緒に寝たいとワガママを言い出すルビーはどうなんだと思わなくもない。一応全員分の個室があるわけだが、誰かと一緒に寝たって構わないのは確かだ。だが流石に男女同衾は色々不味いだろう。いくら兄妹とはいえ、だ。
だが、アクアは冷たい男ではないし、ルビーが一緒に寝たがっている理由も把握している。そのために手荷物に色々と準備をしてきたのだ。メッセージアプリでルビーにメッセージを送る。
『後で部屋に来い』
それに、アクアにはこういう思いもあった。
(大体、妹から誘うのは縁起が悪いだろう。俺から誘うのが筋だ)
九州といえば、
メッセージは既読になった。
日本神話的には女性から誘うとNG
ガチ濡れ場(R18)って需要ある?
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いらない
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