【完結】天に輝く二ツ星 作:アクアハーレム最後の刺客不知火フリル
クリスマス。元々聖誕祭であったその日は、日本においてはクリスマスパーティーという祝いの日としての側面が強い。年末を数日前に控えるこの日は大晦日を除いて最後のハレの日であるためか、家族や友人同士でパーティーをしたり、恋人や夫婦で特別な一日を過ごしたり、プロポーズをしたり、とイベント事の一日となる。
もちろん言うまでもないが、特別な一日ではない人々も多々いる。そんなクリスマス暇人のためにも、動画配信者にとってクリスマスは稼ぎ時だ。それはどのチャンネルであろうと例外なく、一定以上の視聴者数を確保できるチャンスであった。
もちろんB小町も例に漏れず、クリスマス配信を行うこととなった。B小町の人気は飛ぶ鳥を落とす勢いであり、某大手所属のアイドルが地上波の放送で思わず「かつてのB小町以上かもしれない」「手ごわいライバルが現れた」と発言してしまい、より世間でも注目を集める存在になった。その成果が、ご覧の通りである。
【生配信】クリスマスプレゼント企画【B小町ちゃんねる】
「「「B小町~、ちゃんねる~!!」」」
B小町ちゃんねるにおいては、ファンに対して平等であるためにスーパーチャットの読み上げ等の特殊な対応は一切行っていない。それにもかかわらず、挨拶となるタイトルコールだけで、レッドカーペット*1が敷かれていることからも、彼女たちの人気が「どれほどのものになったのか」を、視覚的に推察できるだろう。
「いや~、今年は暖冬って聞いてたけど、急に寒くなったね! ファンのみんなは大丈夫だった?」
正直油断してた
体調悪くなるねんな
ルビーちゃんたちは大丈夫?
令和ちゃんは加減してもろて
スイッチ切り替えるレベルで変わるから衣替えに困る
「うわー、コメントを見る限り、視聴者さんたちも大変そうだね……その寒い中でもライブツアーに参加してくださった皆さんには感謝しかないです!」
「ストリーミングライブのチケットも3000超えで、本当にありがたいわね。みんな、ありがと」
「ちなみに私達は、衣替えのタイミングも体調も大丈夫でした!」
まずは天気や気候トーク……天気デッキ*2から始めるMEMちょ。そこから12月に行われていた三大都市ライブツアーの話題に広げるルビー。
12月のライブは慰安旅行後に行われたもので、オンラインのストリーミングライブとしても配信された。まだまだ現地で応援したいというファンは多いが、忙しかったり予定の都合が合わない、家庭の事情で遠出できない等の難しい事情のあるファンにとってうれしい配慮であった。ちなみにアクアは全公演を生で意地でも見た。もちろん隣にはあかねがいて、推し活するカップルとしての認知度は確実なものとなっている。
「まあ正直にぶっちゃけると、死ぬほど疲れたけどね……」
「かなちゃん先輩は二足の草鞋だから仕方ないじゃん」
「東京ブレイドの後は、ライブツアーしながらネットドラマの収録、それに加えてCM撮影が2本で……」
「うわあきつそう」
かながぐったりと肩を落として疲れたアピールをする。すると、他人事のようにその事を茶化すルビー。それに対してかなが悪い顔をしながら脅しにかかる。
「今のうちにアイドル専業のありがたみをかみしめておくといいわよ。ふふふ……」
「はいはい、かなちゃんから圧を感じ始めたので、そろそろ次のお題に移ろうと思いまーす」
かなちゃんは役者、アイドル、歌手の三足だもんね
大丈夫? 休めてる?
SNS見るかぎりでは元気そうだね
目が虚ろにw
これは大分キテますね
あかねちゃんもよう見とる
ピーマン煽りするのか慰めるのかどっちかにしなさいよw
かなちゃんオタク、濃いのばっかだしみんなピーマン体操リメイク期待してるの草なんよね
B小町ちゃんねるでは、ルビーが天然ボケ、かなが毒舌ボケツッコミ、MEMが司会進行という構図になっている。生配信頻度は2週間に1度程度だが、MVやPVの投稿、基本暇なルビーの練習歌ってみた動画(ルビーの歌唱力をさらに向上させる目的の動画)、公式スケジュール発表なども投稿されるため、意外と投稿頻度は多い方である。それでも我慢できないB小町中毒の視聴者は、MEMちょのチャンネルに流れていくという寸法だ。
「ピーマンニガテなの知ってて言うのズルじゃない……?」
「はいはい、かなちゃんのメンタルが崩壊する前にいきますよー! 今回の企画は……こちら! 旧Twitter、現Xでのプレゼント企画~! 要件を満たした応募者に、抽選でB小町グッズをプレゼント!」
「「おー」」
気の抜けた拍手をする二人をよそに、ハイテンションで、MEMちょが説明を続ける。
「応募方法は以下の通りだよ! B小町公式アカウントをフォローして、この後投稿されるポストをハッシュタグ「#B小町サンタ」を付けて引用リポストすること! もちろん1人一つまで、複数のサブアカウントで連投しても意味ないから気を付けてね!」
「で、プレゼント内容は?」
「なんと、プレゼントを、三種類も用意しちゃいます!」
「三種類も!?」
3種類も!?
三種類も!?
3種類も!?
そんなプリンじゃないんだから
プリンより嬉しいだろ
三種類も!?
わざとらしいMEMちょの煽りに、コメント欄もルビーもわざとらしく驚く。様式美、あるいはテンプレートな反応だ。茶番と言い換えても良いだろう。
「ひとつめはC賞、B小町アクリルチャーム! 旧B小町でも人気だった無限恒久永遠推しチャーム! B小町三人のデフォルメイラストが描いてあるよ! 抽選用は……全部で300個なので、300名様にプレゼント!」
「しかもイラストはなんと……あの東京ブレイドでお馴染みの鮫島アビ子先生の書き下ろしです! これはすごいよ!」
ルビーとMEMの煽りにコメント欄がざわめく。
おお、あのキーホルダーか!
アビ子先生の!? ほしいかもしれん
無限恒久永遠推しのやつ、全員分あったなあ……
昔地下ライブの時に併設されてたちゃちぃガチャのやつねw
販売しないんですか!?
確かにほしい
アビ子先生も最近より忙しそうだ
これクラスが後二つあるってこと……?
このアクリルチャームイラスト依頼が通ったのは、大部分がアクあかなの三人組の縁故である。特に拘りが強くて気むずかしい陰キャタイプの鮫島アビ子にとって、作品をきっちり良いものにしてくれた人に頼られるというのはとても嬉しいようだ。仕事も休載週に加えてアシスタントが育ちつつあるおかげか、少し余裕が出てきた故に請け負って貰えたものであったりする。
「もちろん販売もするよー! 後々で受注生産式になるから、つまり今回のものはフライングゲットできるよ! つづきましてB賞は50名様に限定苺プロTシャツ! サイズはフリーサイズだから注意してね!」
「これもキャンペーン終了後に受注販売されるよ!」
「そしてA賞! 10名様にのみプレゼントされるのは………」
MEMはさくさくとプレゼントを紹介していき、最後のものになる。BGMがドラムロールを流し、固唾を飲んで待つ視聴者とメンバー。
「じゃんっ! A賞はステージの特別席チケットです!」
バーン、という効果音と共に拍手のSEが入れられる。
「おお、太っ腹だねえ!」
「いいじゃない」
「だよねー! あ、しかもチケットには当選者の名前が印刷されるよ! もちろん使用済みチケットを持ち帰ることもできるよ!」
ヤバイな、これはほしい
いいね
応募しよ
応募し得だな、やるか
チケットへの実名印刷は、転売対策だ。だがそれ以上にプレミアムアイテムとしての価値はファンにとって垂涎ものだろう。
コメント欄の感触をみながら、MEMちょは時計を確認する。B小町ちゃんねるの放送予定時間は約30分だが、まだ10分。クリスマスの配信は、もう少し時間がかかりそうだったが、話題が尽きそうもなかった。
「それじゃあ、お便りをいくつか読んでいくねー」
☆
かくして、“B小町の”クリスマスは終了した。ここからはアクア達のクリスマスパーティーだ。ターキーに揚げ物といった普段は中々食さないものを食べ、クリスマスケーキも楽しみ、クリスマスソングなんかも歌ってみたりと、“学生らしい”クリスマスパーティーを楽しんだ。
「意外な才能よね。アクア、歌も上手かったんだ?」
「ルビーの音痴を治すついでに練習してたら自然にな。かなには負けるが」
「おにいちゃんは何でも出来そうだよね!」
「出来ることしか出来ねえよ」
そんな他愛もない会話をしながら、かなの家のリビングで寛ぐ、あかね、かな、ルビー。MEMちょも最初の方は緊張していたが、アクア達がまるで実家のようにかなの家で過ごしているためか、気がつけばMEMちょも肩の力を抜いていた。
そうしていると、アクアの右肩にこてんと頭をのせるかな。それをみてなにかを察したのか、あかねが後ろからハグを、ルビーは膝の上に。MEMちょも、遠慮がちにアクアの左手に手を添える。
「それじゃ、そろそろ
「せっかくのクリスマスだから、色々持ってきたよっ」
「あはは……私もおこぼれを貰いたいなーなんて……」
「流石のおにいちゃんも四対一なら勝てないハズだよねっ!」
この覚えたてのお猿さんたちは、どうやら結託してアクアをやっつけようとしているらしい。アクアは余裕たっぷりの表情でこう返した。
「明日はみんな休みだろ。容赦しないからな」
アクアは、四つのデザートを皿まで平らげた。
ペロリと平らげた模様。
……デザートをですよ?
ガチ濡れ場(R18)って需要ある?
-
みたい
-
いらない
-
結果だけ見る