【完結】天に輝く二ツ星   作:アクアハーレム最後の刺客不知火フリル

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もうすぐ12月ですね(致死呪文)


中堅改め上澄み編
64.条件


「地上波でやる料理番組のレギュラー……?」

「そ。どうかな?」

 

 慰安旅行から数か月後、新学期も始まった頃。ある収録現場の終わりに、鏑木Pから持ちかけられた企画があった。それが、なんと地上波で毎週行われる料理番組のレギュラーというものだった。まさか本格的な地上波デビューが料理番組とは、分からないものである。

 

 あれから、B小町とアクアとあかね、それぞれが進級するまでの間にもメキメキと頭角を現していった。B小町の新PVもできがよく再生数も当たり前のように200万を突破。新曲「POP IN 2」のオリジナルMVは爆発的な人気を誇り2000万再生を突破したほどだ。

 かなのネットドラマの反響は大きく、既に新たなドラマのオファーが来ているとのこと。BS(衛星放送)のドラマとはいえ、テレビに再び有馬かなの名前を轟かせることになるだろう。アクかなの繋がりで、そのドラマで()()()()()()()()()()アクアとしては幸運な状態と言える。実際は大きくなったアクかなを! という番組プロデューサーの強い意向があってのキャスティングなのだが、アクアは知る由もない。

 CMやモデルとしての仕事もランクが上がっている上で、斎藤社長やマネージャーにより働きすぎにならないようにバランスを取ってもらっている現状は非常に良い状態だ。神社での参拝が効いている気がしてならないが、その度にツクヨミのにちゃっとした気味の悪い笑顔*1を想起してしまうので、素直に感謝しきれなかった。

 

「個人的に話を持ってきたってことは、何かあるんですね? 貸し1でいいですよ」

「いやいや、君を地上波に出してあげようって話なんだから僕の方が重いでしょ」

「地上波デビュー自体なら“それが始まり”のテレビ再放送で出てますし、子役時代にも出させてもらいましたけど」

「それでも改めて地上波に出るのは大変だよ?」

「今はネットフリックス配信の時代では?」

「まだまだ地上波の力は大きいさ」

 

(全く、この悪い子供め……)

 

 鏑木は言葉の応酬をしながら内心そう思いつつも、アクアをやはり面白い男だと気に入っている。普通の高校生なら呑んでしまうような破格の条件を、こちらが何か問題を抱えていると看破して貸しを作ろうとして来る。なんともやりにくく、そして交渉しがいのある相手だ。こういう相手から譲歩を引き出す時、してやったりとほくそ笑むのだ。

 なので、初めからそう決めていたことをさも譲歩したかのように、降参のポーズをとりながら付け加える。

 

「わかった、わかった。B小町のリーダーの星野ルビーもバーター出演でつける。星野兄妹のセットは結構人気だからな、これでどうだ?」

「……男がそばにいるアイドルはダメじゃないですか?」

「昔のアイ一強の頃ならともかく、今のB小町はアクアに限ればそういうのは大丈夫なのよ、実は」

 

 面白いことに、B小町は『アクアが集めたアイドル』であることがファンにもバレている。というか幼馴染みのかな、妹のルビー、今ガチでスカウトしたMEMとくれば、もうファンから見るとアクアは完全に敏腕アイドルプロデューサーという立場だ。言い方を変えればファン一号*2である。

 もちろん、アクアがそばにいるということで嫌悪感を抱くファンが居ないわけではないのだが、B小町そのもののカリスマ性と輝きでその辺の嫉妬やら悪意やらは消し飛ばされてしまう。特に年末ライブツアーの時の三人は、鏑木から見てもJIF(全員処女)の時と比較して、間違いなく三段階くらいレベルアップしていた。今なら万単位の箱も埋められるだろう。

 何より、男女問わず人気なのが良い。かなとMEMという外部からの導線を引いて、アイドルライブを見せてさえしまえば、虜に出来てしまう。これでいて今でこそ天然おバカマルチタレントをやっているアイの全盛期には及んでいないのが恐ろしいのだが。

 

「で、主演は誰になるんです? まさか俺とルビーがメインなわけ無いでしょう。ルビーはあんなですけど料理得意ですよ。俺も()()()()料理できますけど、こういう長丁場の料理番組をやるんなら、ド素人を中心に据えるべきだ」

 

 ルビーは花嫁修業とか色々理由をつけて両親から料理を教わっており、レシピがあれば普通に作れるし、レシピが無くてもある程度のものは作れるほどだ。アクアは男料理だからと謙遜してこう言っているが、実はお菓子作りも出来る。クリスマスケーキはこの男が「暇だったし、せっかくだから」と作ったし、冷蔵庫にあるものから適当に何か作れる程度には料理スキルがある。この男に出来ないのはまともな恋愛と、アスリートクラスの運動くらいなものなのではないだろうか? そう思わせるほどにアクアはゼネラリストである。前世という下駄で底上げしているが故に、やはり他人から見ると彼は天才なのだ。

 

「ちっ、バレたか」

「バレますよ。で、誰なんです」

「不知火フリルだよ。クラスメイトなんだろ?」

「フリルか……」

「番組形式としては、フリルの調理をアクアとルビーでアシストする形になるな」

 

 まあ、不知火フリルなら絵になるだろう、とアクアは考える。失敗でも成功でも微妙でも、彼女には他の人にはない外連味があるので、どう転んでも面白いのだ。味があると言うと聞こえが良いが、要するにクセのあるタレントだ。それだけに、なぜ自分が呼ばれた? という話になってくる。鏑木も初めは相性のよさそうなルビーはともかくなぜアクア? そう思っていた。だが、ある妙案……あるいは、悪魔の閃きとも言うべき発想を思い付いたからだ。

 

「で、なんで自分なんです?」

「その方が()()()()()って上は思ったらしいな? 僕もそう思うよ」

「そういう魂胆ですか……」

「アクア争奪戦、楽しいじゃないか」

 

 アクアの交遊関係は女子が多い。彼女がいるにも関わらず、だ。彼が真面目な子、という印象を持っているからこそ比較的騒ぎになっていないが、もし番組をきっかけに不知火フリルと急接近……とかなったら、メディアや世間は面白がるだろう。もちろんそれをアクアが嫌がるのは目に見えているので、大事な妹であるルビーの立身出世というエサをつけて、アクアを釣ろうとしている。つまり、ルビーのためのアクアではなく、アクアのためのルビー。元々逆なのだ。

 

「どう? やる?」

「………………。はぁ、一応持ち帰って相談してからになりますが、出演すると思っていただいて結構です。断ったら学校でフリルが延々と擦ってきそうですし」

「そっかあ。じゃ、よろしくね~」

 

 余裕たっぷりに去っていく鏑木Pの姿をみて、アクアは自分が思惑通りにさせられたことを悟りつつも、ルビーの出番が増えるのであれば良いか、と諦めた。

 

 

*1
よゆうのえみ

*2
アイドルグループの最初のファンはプロデューサーという意味




相○マ○ブ的というか、ビストロスマッ…的な番組な

ガチ濡れ場(R18)って需要ある?

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