【完結】天に輝く二ツ星   作:アクアハーレム最後の刺客不知火フリル

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料理修業という名の主要メンツの出番作り。今後日常のみなみと番組のフリルがメインになるのでその調整ですね
とはいえまずはみなみ編。冒頭のはおまけです
スタートダッシュで出遅れたならブーストは大事


66.アクアの料理修業 その①

 日曜日の午後6時から、地上波放送局による全国区放送が決定した新番組“フリルの七色キッチン”。もちろんネット配信サイトによるタイムシフト視聴にも対応している。

『不知火フリルの初冠番組! 星野兄妹が不知火フリルと共に、家庭料理からフルコースまで、様々な料理を勉強していく!』というキャッチコピーで放送予告されたそれは、SNSを中心に爆発的に広まっていった。

 

 話題の中心は『星野兄妹は料理できるのか?』である。ルビーは出来なさそう、という意見が多く、アクアも出来るイメージはない、というのが世間一般における認識だ。アクアが調理する場面はほぼイコールで実家かかなの家(ハーレムの魔窟)なので、当然だが一切公開されない。

 公開されている部分は、あかねとのデートによる外食ばかりだ。料理男子、という文言が未だに通用しているあたりに、世間の一般的な男性観(男は普通料理しないしできないでしょ)が見てとれる。

 

 そんなビジュアル的な期待はされているが、料理番組的な期待度は薄い番組を、いそいそと録画予約する準備をしていた者も居る。もちろん両親達もその一人ではあったが、その数少ない者の中に、星野アイの母である星野あゆみも居た。年甲斐もなく最新機種の録画機器を購入し、リアルタイムでも見るために新品の薄型テレビも購入した。わざわざ店員に録画方法を念入りに聞き込んでメモまでとった。

 

 きっかけはアイのほんのおもいつきで、彼女宛に年賀状を書いた。それだけであった。内容だって謹賀新年くらいしか書いてなくて、結婚したとかそういう話も一切あゆみには知らせていなかった。棄てるように切った親子の縁なんて、そんなものである。

 だが、愛を手に入れた星野アイが、もう一度だけ信じたくてハガキを送り……それに対して、同じく謹賀新年とだけ、彼女の直筆で書いたハガキが返ってきた。星野アイにとっても、あゆみにとっても、ただそれだけで良かった。お互いに二度と会うことはないだろう。アイも、今なら自分がほとんど棄てられる形で置いていかれた理由も、何となくわかったから。だから、生きていてくれるなら、もうそれでいい……そういう踏ん切りがついた。それも愛だって気づいた。

 贖罪になんてならないし、許さないけど、生きていることだけは伝えよう。あなたが愛してくれていたのもようやく分かったけど、絶対に許したりしないから。でも、毎年、新年のハガキだけは送りあおう。そういう、冬の日差しのような厳しい愛だった。でも、あゆみはそれだけで嬉しかったし、心が休まる気がした。

 

「テレビ越しにだけれど、孫の姿まで見れるようになるなんて思っても見なかったわ」

 

 別に教えられなくたって、自分の苗字を名乗っている、娘そっくりの双子なんて見れば分かる。大体、ハガキに大きな青と赤の瞳に星の入った龍と、同じ色でデザインが似ている小さな龍が二匹ずつ描かれていたのだから。無言のサインで、娘息子が出来たことくらいは察した。

 名前は流石に芸名だろうと思っているが、やはりどこかであの子のセンスかも、とも思っている。

 ずいぶんと嗄れてしまった筈の声に、いつからか張りが戻ってきた。皺だらけの手も気にかけるようになった。孫の存在は、更年期も過ぎた彼女にとっての、新たな生き甲斐となったのだ。

 

「……アクアは女の子がまわりに多いわね。モテモテなところまであの子そっくり」

 

 年嵩を重ねて、独り言以外にも趣味が増えた。罪は消えないが、傷は癒してくれるだろう。

 

 ☆

 

 一方で、勉強する羽目になっているのが、そのアクアだった。学校でも事務所でも、常に参考書を抱えて読んでいたり、何か書いている。だが、恋愛戦争をしようとしているみなみにそれは関係ない話だ。いつもよりも積極性を出して、アクアに話しかけていた。

 

「アクア君、料理の勉強しとるん?」

「ああ、まぁちょっと番組で必要でな。無知を晒すのはまずいだろ?」

「別に高校生やしええと思うけどなぁ」

 

(……なんかいつもより近くないか……? まあこんなもんか)

 

 明らかにアクアとの距離を早速縮めにかかっているみなみ。普段は普通に座っている程度だったのが、今は肩も触れそうなほどに近い。アクアは、まあ多少は仲良くなれた証拠かな、と思った。有馬かなのせいでアクアの近くね? の距離感はフリルが普段やっている、鼻と鼻がくっつきそうなほどに近づくことである。

 学校でしか接点がなかなかないのなら、学校で縮めてしまえばいいと思ったらしい。他の女子からのやっかみを買いそうではあるが、みなみは基本的に女子に可愛がられるタイプの不思議系女子であるため、むしろやるじゃん、みたいな感じでからかい半分に推奨されていた。

 どこまでやったらアクアが赤くなるかとか戸惑うとかみたいな、みなみの知り得ない部分でトトカルチョまでしている。そのくらいアクアはかなり鉄壁だし、それ以前にルビーガードが固いのだ。

 ルビーと仲良くする分には良いが、アクアを狙うとなると、それとなくあかねとのラブラブエピソードで牽制されてしまう。

 その牽制攻撃にぶっ刺されて敗北感と共にあきらめた側からすれば、ルビーを躱して攻め込んでいるみなみは、まさに勇者に見える。そのため、負け組の星的な扱いをされていた。本人の知らないところでだが。

 

「そうか? いや、でも手を抜くわけにはな」

「アクア君のそういう真面目なところ、うちは好きやで」

「ありがとう。みなみのそういう優しいところが俺は好きかな」

「そ、そう? ありがとう……」

(あかん、アクア君強すぎる)

 

 近づくためにどんどん頑張って言葉を掛けるみなみだが、反撃にうろたえてしまう。好きと言うと必ず好きで返してくれるアクアは、もうなんか役者じゃなくてホストが天職なんじゃないかと時々思ってしまうほど、女の子のツボを突くのが巧い。

 あかねやかなはこれを常に全身に浴びていると思うと、離れられない理由が分かろうと言うもの。

 まず言うまでもないが抜群に顔が良い。不知火フリルと並んでも全く負けない顔面偏差値。普段が真顔なのだが、こちらを誉める時にふわっと柔らかく笑うし、意外と表情が豊か。アイドルオタクなんてのも、もうアクアレベルともなればあばたもえくぼと言わんばかりにチャームポイント。しかもすごい博識だし、カラオケも意外と歌ウマ。毒舌な所もあり、言葉にキレがあるが、気配りの達人で本当に傷つくことは言わない。理想をこれでもかと詰め込んだ素敵な男の子である。

 とにかく会話を繋げたいみなみは、料理の実技の話題に話を転換する。

 

「番組って、フリルちゃんとのやつだよね。アクア君は実際料理はどうなん?」

「別に……普通だと思うが。レシピ通りにやれば間違えることはないだろ」

「アクア君……レシピ通りにやれない子もたくさん居るんだよ?」

「俺の周囲では聞かない話だな」

 

 花嫁修業と称して幼少から料理をしていたルビーは元より、アクアと一緒に料理がしたくて覚えたかな、レシピ通りにやれば完璧にその通りに出来るあかね、弟二人を育て上げたMEMちょ、他人の作ったご飯が信用できないから覚えたアイに、役作りのついでで覚えたヒカル、と料理上手ばかりがまわりに居るからだ。強いて言うなら、もしかしたらミヤコがそうかもしれないが、自分で作るのが手間だからという理由で外食をしているので出来はするのだろう。それ故か、アクアはレシピ通りにやれないとか、米を洗剤で洗うとかそういう話は縁のない話であった。

 

「ああいや、一人居たわ。料理できなさそうなの」

「誰なん?」

五反田(こどおじ)監督。実家から出たことないらしい」

「アクア君の知り合い?」

「昔映画に出たときにな」

「あ、『それが始まり』? うち、あれ好きなんよ。その監督さん料理出来ないんかぁ」

「監督としては腕は良いんだが、大人としてはちょっとな」

 

 なんだか業界の裏話を聞かせてもらえた気がして、少しドキドキする。元々アクアとの距離を縮めてるのでその大きな胸の奥の心臓はドキドキしているのだが、更にドキドキしてしまった。

 

「あーあ、ルビーちゃんもアクア君も地上波デビューかぁ。なんや遠くに行ってしまったみたいで寂しいなぁ」

「みなみなら、すぐ追い付けるさ」

 

 ほら、こんな風にぼやくと、すぐこういうほしい言葉をくれるのだからたまらない。だがみなみはここで止まらずに、次の一手をとる。

 

「それならアクア君が連れてってくれへんかなぁ?」

「別に実力でも行けると思うが?」

「友達でうちだけ置いてけぼりは寂しいし……」

「……まあ、気持ちは分かるけどさ。考えとく」

 

 考えておくという曖昧な言葉の癖に、本当に何とかしてくれそうな気がしてしまう。なので、フォローをいれておく。

 

「あ、無理してねじ込むんは、うちのイメージに良くないから、自然にお願いな? しぜーんに」

「……難しいことを言うな。まあ、チャンスがあればな」

「やたっ、アクア君ありがとう! 大好きやで~」

 

 お礼も兼ねて、自分の最強の武器を押し付けて抱きついてみる。ぐにっと変形するほど押し付けると、ようやくアクアは……わずかに顔を赤くした。みなみも真っ赤だったが。

 それとなく眺めていた女子たちは、驚いたり項垂れていたりした。項垂れているのはほとんどが賭けに負けた女子だったが、ごく一部の女子はなだらかななんにもない胸を死んだ目で見つめていた。

 

「なんか最近好きの安売りしてるのか?」

「アクア君専売の特別価格なんよ。ええやろ?」

「あんまり好き好き言って誰かに抱きつくなよ、危ないだろ」

 

 男は狼だぞ、と付け加えるアクア。こちらの身を案じているのも確かだが。

 

「なるほど……つまりアクア君にとってもうちのおっぱいは魅力的なんだ」

「やめろ、俺の発言を分析するな」

「あ、図星? 言質取ったで~? ルビーちゃんに言い触らしちゃお」

「勘弁してくれ……」

「じゃあ今度お出掛けに付いてきて欲しいなぁ、男避けで」

「……そんなんでいいなら」

 

(やっぱフリルちゃんの分析は間違いないみたいやね)

 

 フリルの分析曰く、アクアは自分の価値を結構低めに見ているとのこと。だから「自分よりもいい男が居る筈」という思考なので、ガードが固いのだとか。それゆえにアクアを男避けに使うという、本来ならば贅沢も良いところを、友達の関係にあり、実際にナンパをされていたみなみならば通る。ちなみにフリルには取れない手だったりする。フリルの我が強いのが原因だ。

 

「いつなら空いとる?」

「ここの土曜はどうだ?」

「ちょっと遠い日やね。そこならうちも空いとるから、よろしくな~」

「はいはい」

 

 初デートというには気安いやり取りだが、アクア相手ならこれでいい。

 

(やっぱね、エチケットとして持っていった方がええよね……サイズってどれがええんやろ。とりあえず普通ので……)

 

 脳みその中はピンク色だったが。




あゆみさんのやったことは許されないけど許されないなりに幸せ噛み締めろオラッ!という気持ちで書き殴りました。

それはそうとそろそろアクアと両親も絡ませてやりたい

ガチ濡れ場(R18)って需要ある?

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