【完結】天に輝く二ツ星   作:アクアハーレム最後の刺客不知火フリル

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わるだくみ


74.フリルの奸計

 まだ、台本のある“フリルの七色キッチン”は、順調にお題となる料理をこなしていく。野菜炒めを皮切りに、ほうれん草のおひたしと白米、焼きそば、と順調にこなしていく。フリルの天然無知ボケと、それに対するアクアの博識な毒舌ツッコミ、その二人に振り回されつつもサポートをするルビーの三人組は、三回目の放送にして既に定番の流れとなりつつあった。

 今回は四回目の収録、豚のしょうが焼きもアクアの指導がありつつもなんとか不格好ながらも完成させ、収録を終えた。

 

「「「お疲れさまでした」」」

 

 三人でスタッフに挨拶をして、撮影スタジオを後にする三人。

 

「今日はどうしよっか。また会議する?」

「いや、今日はルビーが用事があるからダメだ。みなみ達と女子会らしい」

「ごめんね、フリルちゃん!」

「いいよ、私もそういう日はあるし」

「ほんとごめん! あ、もう行くね!」

 

 いつもならば次回に向けての会議と称したティーブレイクや夜食を食べに行くのだが、今回はルビーはみなみを含めた女子会の予定が入っていた。みなみから折り入って相談があるそうなので、ルビーもあかねを含めた色々と頼りになる少女(アクアのメス)達を引き連れていく、という形である。みなみからすれば、ルビーという味方をつけて、アクアの彼女であるあかねに挑む……という形だ。本来はもっと酷いのだが、知らぬが仏である。

 

 去っていくルビーを見送ったあと、思わずフリルと顔を見合わせる。

 

「二人っきりになっちゃったね……?」

 

 フリルは首をかしげてみてはいるものの、真顔……いや、ほんのりと頬を朱く染めているあたり、さしものフリルも少し恥ずかしいらしい。アクアも真顔で返す。

 

「そうだな。ここが局の廊下じゃなければ、少しは映えたかもな」

「そう、残念。でもこの後どうする?」

「まあ、確かにいい時間ではあるんだよな」

 

 思わぬ空白の時間に頭を捻るアクア。時計を見ると午後6時を指している。確かにいい時間だ。

 

「それじゃ、メシでも行かね? 肉だけど」

「いいの? わぁいやった、フリル焼き肉大好き」

「奢られる前提かよ」

「奢ってくれないの?」

「そこまで吝嗇家のつもりじゃない」

 

 そんな気安いやり取りをしながら、二人はタクシーに乗り込むと、目的地まで移動する。アクアが手慣れたように入店していき、フリルもそれに当たり前のようについていく。奢り慣れていたし、奢られ慣れていた。

 

「おお……焼き肉は焼き肉でも鉄板焼き、しかも目の前で焼いてくれるタイプ」

「オーナーが知り合いでな。たまたま、今日は良い肉が入ったって言ってたから」

 

 こぢんまりとした個人経営だが高級感を感じさせる鉄板焼き肉専門店の店主らしきシェフが、二人がカウンター席につくと素早く水の入ったコップとおしぼりを渡す。カウンターに置いてあるメニューに目を通すと、フリルはメニューに値段が書いてないことに気づいた。

 

「オーナー、お久し振りです」

「星野君。今日は良い飛騨牛が入ってるよ」

「じゃあそれをお任せで、コイツにも」

「はいよ」

 

 ちらりと壁際に目を向けると、サインがずらりと飾られている。芸能人御用達といったところだろう。色移りや臭い移りしないようにするためか、ガラス張りのショーケースの中に飾られていた。その中にはアクアとかなのものもあり、ああここに来たことあるんだな、デートで。という感想を受けた。しかも日付を見る限り、B小町結成前には来たことがあるようだ。目の前にある鉄板から、強い熱気を感じる。

 

「結構良いお店だね」

「だろ。この店は何度か来ててな」

「ふーん」

 

 この反応を見るに、少なくとも、有馬かなを連れてくるような店に自分を連れてきてくれたことは確からしい。

 

「焼き加減はどうします?」

「私はレア」

「俺もレアで」

 

 注文通りに、目の前で明らかに格の違う、キメ細かいサシの入った美しい牛肉が分厚くカットされて、焼かれていく。焼き肉というよりもステーキだ。味付けは塩のみという、肉に絶対の自信をもって提供していることが窺えた。

 

「とりあえずサーロインをどうぞ」

「いただきます。……!?」

 

 フリルがその肉を口に入れると、旨味と食感を確りと舌に残して()()()。いや、消えたと錯覚するくらいにやわらかく、脂の甘味と、臭みの無い肉の味、そして僅かに振りかけられた塩がそれをまとめあげている。アクアはそれを慣れたかのように結構なスピードで肉を消費している。フリルが半分食べる頃にはアクアはステーキを完食しておかわりを頼んでいた。

 

「おいし……あ、食レポでもすればよかったかな」

「別に良いだろ、カメラがまわってる訳じゃねえし」

「それもそうだね。いちいちやわらかーいとかいうの面倒だし」

「アレみんな言うよな。流行り?」

「別に? 柔らかいものを柔らかいって(1から10まで全部)言わないと今の世代には通じないだけだよ。でもケーキ食べて甘いよりも先に柔らかいが来るのは流行り」

「そういうもんか」

 

 いかにも業界人らしい会話をしながら、アクアはヒレステーキも完食。

 

「結構食べるね」

「高校生だからな、なにやっても腹が空く」

 

 実際には夜中や休日に()()()をしているため、不足しがちなタンパク質を肉体が求めているだけであったが、飲食店でする話でもないし、フリルに話せる内容でもなかった。だが……。

 

(ふーん、栄養バランス気にしてるアクアがそれ言う?)

 

 普段の食生活を観察していれば分かるものだ。アクアは確かに食べる方だが、撮影の実食で栄養バランスが崩れるのを気にしているのか、満腹になるのを避けるためなのか、撮影の日は昼食を食べているのを見たことがない。そんな男が一般的高校生の食欲を理由にするか? 答えはNo。つまりタンパク質を消費する出来事があるということで、それは恐らく運動以外。それくらいはフリルも推察できた。つまり、やはりアクアは複数人と関係を持っている。

 

「じゃあ私もおかわりしちゃおっかな。あ、シャトーブリアンとかあります?」

「容赦しねぇなぁ……俺も頼むか」

「せっかくのお食事デートだからね、奮発してもらわないと」

「デートか?」

「女の子と二人きりで出掛けるなら友達相手でもデートだよ」

「それもそうか」

 

 

 フリルとアクアが()()二人きりになるなんてことは普通はあり得なかった。そこには当然、フリルの思惑が絡んでいる。事の次第は、みなみがデートを満喫した次の登校日のことだ。早朝の教室で、フリルとみなみが二人きりになった時のことだ。

 

「みなみ。アクアとデートしたって? すごくずるい」

「み゛ぅ!?」

「変な声出さない」

 

 いったいどこから聞き付けたのか、フリルはみなみの言い訳(男避け)を理由にデートにまでこぎ着けた事を知り得ていたらしい。脂汗がドバドバでるみなみ。

 

「アドバイスをしたのは私だけど、ものすごい攻め強だね」

「うう……堪忍してな……」

「私もデートしたいので、協力してくれたらいいよ。みなみにもメリットがあるから」

「本当に……?」

「本当本当。フリル、ウソつかない」

「信じるよ……?」

 

 そんな甘言と口八丁手八丁で誤魔化されて、みなみはルビーに相談というアクアとの進展に繋がる手段を与えられた……筈だったのだが。

 

「こんにちは、改めてはじめまして、黒川あかねです。今日は、よろしくね?」

「知ってると思うけど有馬かなよ。よろしく」

「寿みなみです……。よ、よろしくお願いします……」

 

(なんでこんなことになっとん!? ルビーちゃん!?)

 

 行き先をルビー(アクアのメス)に任せたら、いきなりかなハウス(エロ伏魔殿)に連れ込まれ、何故か彼の彼女(同上)親友(左に同じ)に囲まれていた。だが、フリルの推測は当たっていたということとなるであろうことは、流石に呑気してたみなみにも理解できた。

 

「あの……つまり、二人ともアクア君とそういうことなんね……すごいなぁ」

「え? 四人よ四人。寿みなみ、あんたが五人目よ」

「ごに……えっ???」

 

 脳が理解を拒んでいる。みなみは硬直した。みなみが硬直から回復するまでの間、のほほんとした空気であかね達は会話をしている。

 

「ホント……よくもまぁ。こんな良い女ばっか引っ掛けて来るわね、あーくんも。寿みなみ……あ、出た出た。キャノンファイアのグラドル? へー写真集出たんだ、中々売れてるみたいねー」

「しかも優しくて可愛い癒し系の良い子だよね! あ、あかねお姉ちゃん、MEMちょは?」

「コラボ配信で、相手都合で予定がずれたから結構遅れるって言ってたよ」

「あちゃあ、せっかくB小町の方がお休みなのに勿体無い」

「もう滂沱の涙を流しそうな勢いだったわよ? まあお相手、企業所属の大物で遅刻常習犯らしいけど」

「そういうとこは芸能界も動画配信業界も変わらないんだぁ……なんか闇を見ちゃったかも」

 

 実に楽しそうに会話をしている三人を見ながら、ようやくみなみは全てを理解した。

 

「……ええ? つまりそういうことなん?」

「そういうことなのです!」

 

 自信満々に胸を張るルビー。まさに獅子身中の虫も良いところだ。味方だと思っていたルビーも実質敵だったのだ。いやまあ、これから事実上の勧誘をされるところなのだが。

 

「いや、かなちゃん先輩とMEMさんは、まだわかるんよ? ルビーちゃんは分からんって」

「ルビーは私とあーくんが初めてあった時から、アクアにベッタリだったわ。何歳だっけ?」

「2歳くらい! 付き合いだしたのは最近だけど。あ、もちろんあの頃からおにいちゃんと結婚する気満々だったよ! おんなじお腹で育ったんだから結婚するのはもう運命だよね!」

 

 ルビーのそんな滅茶苦茶な発言を気にしつつも、ふとみなみは純粋な疑問をルビーにぶつける。

 

「そうなんか……あれ? 兄妹で結婚は出来ないんじゃないん?」

「法律婚はできないけど、事実婚で! しかもそれでも結婚式をやってくれるから大丈夫! 関係者誰も呼べないけど……精々がうちのパパママ位かな?」

 

 みなみは想像してみる。六人の花嫁を引き連れてやってくるアクアの姿を。……ギャグでなければもはや壮観とでも言うべきだろう。

 

「なんやよう分からんくなってきたけど……うちとアクア君……マリン君が付き合ったり結婚したりは、ええってことかな? 仲間に入れてくれる的な……」

 

 みなみが伺うようにかなをみる。ハーレムの仲間は平等にしているアクア。そこに優劣はない。

 だが、間違いなくアクアを除いた女性同士では、上下(カースト)がある。みなみから見ると、女王蜂(クインビー)はかなだ。家主ということもあるが、有馬かなは昔から()()()()()()()()()()人物だ。本能的にみなみはかながこのメンバーのトップだと悟った。

 

「まあそうなるわね。でもそれはみなみがキチッとあーくんを落としてからよ。ルビーが連れてきたってことは秒読みって感じかしら」

「うん。ほら、みなみちゃんのおっぱいすごいから! GだよG。ガッツのG!」

 

 ルビーがアクアの落ち状況とみなみの魅力を語り、みなみがそれを恥ずかしそうに訂正する。

 

「公称はそうなんやけど、最近大きくなって……Hなんです」

「「エッチ!?!?」」

 

 かなとルビーがハモって驚愕する。あかねは苦笑しながら質問をした。

 

「すごいね……参考までにトップアンダーも聞いて良いかな」

「えと……109の80です」

「メートル超え……!? すごいね!?」

 

 バストの話題で盛り上がり始めた三人を見て、みなみは確信する。

 

(あ、これならみんなと仲良く出来そうやわ)

 

 それはそれとして、フリルがメリットのみなのは何だか複雑だ。結構みなみはメンタルダメージを受けていたので、仕返しというか告げ口することにした。

 

「そういえばフリルちゃんも結構アクア君をきっちり狙ってるみたいやけど」

「ああ、それはあかねが把握してるから大丈夫。まだ時間かかるらしいわよ」

「え、そうなん? あかねちゃんのエミュ能力えっぐいなぁ」

「あはは、あんまり再現度に自信はないけどね?」

 

 なんかもうあかねにばれていた。みなみは内心フリルに憐憫の祈りを送りつつ、あかねにドン引きした。

 

「なんというか、名探偵というよりはストーカーやねあかねちゃん」

「そんなことないよ!?」

 




ちなみにみなみの惚れ状況とかアクアの落ち具合は名探偵あかねによって推測されています。精度?80%くらい(残り20%はどうしても前世の記憶を考慮できない要素の部分)。

・おまけ
作者のためのアクアハーレムカースト(アメリカ風)分かりやすくまとめ
(予定含む)

・アクア(Jock)
ハーレムの主。全員同等に愛している。
・かな(QueenBee)
ハーレムの取りまとめ役。かな“将軍”なのはそのため
・あかね(Sidekicks)
ハーレムの調整役。作戦立案・意見具申役。あかね軍師
・ルビー、MEMちょ(Pleaser)
アクアの取り巻き。ルビー護衛隊長。あるいはMEM情報大臣。かなやあかねに意見具申が出来る立場
・みなみ(Wannabe)
今のところここ。sidekicksに昇格するには何かしら特別な役割が必要。まずはアクアを落とそうね
・フリル(Floater)
自由イズフリーダム。有益なものを運んでくるので暴挙も許される立場。情報屋フリル。

ガチ濡れ場(R18)って需要ある?

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