【完結】天に輝く二ツ星 作:アクアハーレム最後の刺客不知火フリル
みなみが衝撃の女子会をしている間のほほんとした空気でアクアと二人きりで鉄板焼きを楽しんだフリルは、その後もレギュラー番組やドラマでも精力的に活動。最近演技が更に良くなったと言われるのは、アクアの影響も少なくないはずだ。
そしてとうとう、完全アドリブの日がやってきた。
「フリルの七色キッチン~! 今日も司会担当の、B小町の星野ルビーです! ……はい、ということでね、今回も始まったんですけど。見てくださいこれ! 進行用の紙が真っ白!」
「俺はなにも聞かされていないんだが?」
「私も」
ルビーの元気なタイトルコールとは裏腹に、本当に何も書いていないのである。あるのは用意された材料だけ。アクアもフリルもどういうこと? と混乱していることをカメラに示す。
「料理初心者のフリルちゃんにこれは流石に無理では……え? はい? あ、ディレクターからカンペでアクアがメインで進めても良いとの連絡が今来ました、今」
「いつものとは逆の形だな、俺が作って、二人がお手伝いだ。そろそろフリルも少しは慣れてきただろ?」
「少しだけね、少しだけ。ちょっとだけよ。アクアも好きね」
「古い」
「そんな馬鹿な、永遠のコンテンツのハズでは……!?」
そんなアホなやり取りをしながら、アクアは素早く用意された材料を見る。
(玉ねぎ、ニンジン、ジャガイモに……薄切りにスライスされた牛肉と牛脂、それから各種調味料……これ見よがしにおいてある醤油と砂糖、それに調理用酒)
これだけ見ればなんとなく分かる。“肉じゃがを作れ”と書いてある。ここまで比較的和食続きだったから、その流れを汲みたいのだろう。
だがそれはまさにディレクターの思惑通りではないか? ここまで無茶振りをされたのだから、無茶苦茶をこっちがやってもいいだろうとアクアは考える。
万が一を思って用意しておいた“アレ”を使う時が来たようだ。
「お題がないなら、何やっても良いんだよな」
「おっと怖い発言をしたぞぅ?」
「すみません、持ち込みの調味料とかも使って良いですか?」
ADがOK! と書かれたカンペを取り出す。ディレクターはそれをみて面白そうにしている。こちらが何をするのか楽しんでいるのだ。
(クソ、どうやってもあっちの掌の上かよ……まあいいや、どこかでカレーは挟みたかったし)
想定外の事態に出来たので一旦良しとしたアクアは調味料を持ってくるために移動する。
「じゃあとりあえず調味料持ってきますね」
数分して、アクアが持ってきた調味料はスパイスの類いだった。
「クミン、コリアンダー、ターメリック、あとは……チリペッパー。こんなもんでいいか」
「結構専門的なものが出てきたね」
「案外そうでもないぞ? 近年ではスーパーや100円均一ショップなんかでもこの手のスパイスが置かれていることもある。大航海時代じゃないんだ、結構安価に手に入るぞ。つまり今回作っていくのは初心者でも作れる自作スパイスカレーだ」
アクアのその発言に、おおー、とルビーとフリル、それにスタッフまでも声をあげる。中にはメモ帳を取り出したスタッフまでいた。
「これは三人前の分量だから、注意してくれ」
そういうと、アクアは素早く二人に指示出しをしながらてきぱきと調理を始める。
「フリルとルビーはまず、ジャガイモ、ニンジン、玉ねぎの皮の処理を頼む」
「わかった」
「任せて!」
ピーラーで一生懸命ニンジンの皮を剥くフリルと、包丁でジャガイモの皮をリンゴの皮でも剥くかのようにしゃしゃっと剥いてはジャガイモの芽を包丁のアゴを使い取り除くということを、いとも簡単にやってのけるルビー。
「やっぱ料理上手だね」
「おにいちゃんのお手伝いをしてたら自然と覚えたよ。あ、玉ねぎはみじん切りだよね?」
「ああ、それは俺がやる。フリルは米を三合炊いておいてくれ。ルビーはニンジンを輪切りに、ジャガイモは四つ切りに。終わったら鍋に油を引いて温めておいてくれ」
「はいはい」
「任せて、そのくらいは出来る……鍋で焼くの?」
「フライパンに残った油でソースを作るのと同じ理論だ、旨味が全部凝縮されるんだ」
「なるほど」
そこからもトントン拍子で準備が進んでいく。下準備を終え、ここから調理の時間だ。
「鍋で玉ねぎを飴色になるまで炒めたら、スパイス、バター、牛肉、玉ねぎを投入して軽く炒める。この分量は今回は、それぞれ大さじ1としておく。チリペッパーは少量、味を整えるためにコショウと生姜を少々。生姜はチューブのものでいい」
「カレー粉っていろんなスパイス使うイメージあるけど」
「意外に思うだろうが、クミン、コリアンダー、ターメリックの三つさえあればカレー粉になるからな。チリペッパー等の辛みを調整するものは好みだ。さて、ここにさっき切った野菜を投入し、ヒタヒタになる程度に水をいれたら顆粒コンソメを投入、煮詰めていくぞ。今回は普通に鍋で煮詰めていくぞ。強火で温めて、沸騰したら弱火に変える。そこから20分くらいだな」
「この間にご飯も炊けるね!」
「ああ。ただ、定期的にかき混ぜないとカレーが焦げ付くから注意だ」
さて、待ち時間となったのでトークタイム! とディレクターからの指示が来る。さてどうしたものかとアクアが悩んでいると、フリルが口火を切る。
「そういえば、収録が終わると、時々ご飯にアクアが連れていってくれるんですけど。あ、ルビーちゃんと一緒にね、三人で」
「そうだね、おにいちゃんいいお店たくさん知ってるから」
「そう。この間も鉄板焼きで目の前で分厚いお肉を焼いてくれるお店に連れていってもらって……」
「おっとそれは知らないぞ? おにいちゃんどういうこと??」
どうやら先日の専門店の話をしているらしい。アクアは火から目を離せず定期的にかき混ぜている。カレーが焦げ付くので。
「別に同級生とメシを食いに行っただけだろ、何か問題でもあるのか」
「おにいちゃん……二人きりで女の子と食事はもうデートなんだよ?」
鍋をかき回しながらとぼけるアクアに、呆れるように、咎めるように言うルビー。それに対して、今度はフリルがボケ始める。
「え、そうなの? あ、じゃあアレデートだったんだ」
「なんでフリルちゃんが理解してないのぉ!?」
お互いにデートをしたという確認をしておきながらテレビではこれである。まあ、フリルに指摘されるまで自覚が薄かったアクアもアクアだが、あえて自分からすっとぼけるフリルもフリルだ。ある意味では生粋の芸能人ということなのだろう。
「じゃあSNSで自慢すれば良かった、アクアとデートしたいえーいって。写真ものせちゃう」
「燃える! 燃えちゃうから!」
「火をつけろ、ぶちまけたガソリンに」
「大爆発だよぉ!!」
流行のフレーズをうまく使いながらも、炎上をギャグでごまかしながらアクアとの仲良しアピールをし始めるフリル。アクアもそれに便乗してボケる。
「そうか……女の子と二人きりの食事はデートなのか。知らなかった」
「コンプラの鬼みたいなおにいちゃんがどっかいっちゃった!」
「いやだって、お前も知ってるだろ。かなとはそういうの散々やってたぞ」
「小学生の頃にね!? 今高校生!! 高校生にもなればそれはもうデートだから!」
小学生感覚で食事デートをしていたと語るアクアに、食事ぐらいならデートと捉えていなかったフリルと言う非常識コンビと、比較的常識人ルビーという構図が中々面白い。普段はキラキラしたアイドルをやっているだけに、激しいツッコミから本人の気質が見えてくるようでファンには人気だったし、テレビとしても面白いとされた。
「そうなんだ。じゃあ気を付けないとだね」
「そうだな。そうか、女の子と二人きりの食事はもうデートなのか……。そうだ、デートと言えばあかねとのデートの時の話で、アイドルショップに行った時の話なんだが」
アクアはそうやってワードを拾っては話題を転換していく。面白い話や普通の話もいくつかあったが、実際に使用されるのは収録時間を考慮しても十数分だろう。だがそれでも尺稼ぎと、なにもしない時間を作らないように気を付けながら三人で会話を繋いでいく。20分というのは意外と長い。ご飯が炊ける音が、炊飯器から鳴り響いてキリとなった。アクアは野菜がしっかり柔らかくなっているか確認してから、配膳していく。
「できた! おお、カレーだ」
「意外と簡単だったね」
「わざわざスパイスを用いなくても、市販のカレー粉や固形や粉末のカレールウを使ってももちろん良い。カレーは初心者向けの料理でありながら、極めようとすると奥の深い料理だ。味付けにも結構万能に使えるから、頼りすぎには注意だな。さあ、食べてくれ」
「いただきまーす! ……うまっ! 野菜の旨味と肉の甘味がルウに染み込んで……たまんないね!」
「いいね、野菜がしっかり火が通っていてやわからい。スパイス少なかったのにしっかりカレーの味でおいしいよ」
「そうか、よかった」
二人が美味しそうに食べる姿を見て、ふわりと柔らかく笑うアクア。ルビーはこれに慣れているが、フリルはそうではないし、スタッフもそうだ。女性スタッフはわかりやすく見とれていたし、フリルも一瞬だけ彼の笑顔に気を取られていた。
もちろんアクアのこの笑顔はオンエアされ、「アクアの微笑み」がトレンドワード入りすることとなった。
料理番組という形にしたから、クソ真面目に料理の作り方を調べている描写している自分がいる……
とりあえずカレー系なら外れはないと思っているアクア
一応市販のカレー粉とかも持ってた
アクア「正直かなの家の方が調味料も調理道具も揃っててやりやすいんだよなあ」
かな「そりゃ気合入れてキッチン改築したもの」
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