【完結】天に輝く二ツ星 作:アクアハーレム最後の刺客不知火フリル
フルコース。簡単に言えば3~4皿程の料理が1品ずつ時間差で出てくるものだ。フランス料理といえばフルコース、というイメージが強い人も多いだろう。実はその歴史は一時期途絶え、帝政ロシアで提供されていた方式がフランスに持ち帰られ復活したという不思議な歴史がある。
「それじゃあ、アクアがんばって☆」
アイのなんとも無責任な応援を背に、アクアは二人を連れだって調理スペースへ。
アクアはまず冷蔵庫や保管されている材料を一通り確認しながらメニューを考える。
(
番組のメイン趣旨であるフリルの成長を忘れてはいけない。ここはフリルの七色キッチンであって、アクアの青空キッチンとかではない。フリルがアクアの手伝いとして、きちんと輝けるようにしなければならない。料理でのそういう配分や役割分担はアクアの役目だ。
(欲張るのはやめる。
すかさずルビーにアイコンタクト。
(ルビーはアイの会話相手を頼む。そのかわりフリルと二人で二人前作る。今日くらい母さんと食事を楽しんでいけ)
(わかった! お酌とかすればいいんだよね!)
(流石だ)
「ルビーはアイのお相手と配膳を。俺とフリルで調理を行う。いくぞ。これまでの成果を見せる時だ」
「うん!」
「わかった」
二人の信頼の視線を受けながら、アクアは材料を選び抜き出していく。
「へー、今日はルビーがお相手してくれるんだ? かわいいウエイトレスさんだね☆」
「そうでーす! 誉めてくれて嬉しいっ! ……じゃあまずは、
「んー、どうしよっかな? ノンアルコールにしとこうかな!」
「はーい、じゃあジンジャーエールをどうぞ」
「はい、じゃあ……」
「「かんぱーい♡」」
当然だが未成年が酒の接待行為を行うのは違法である。なので、当然ノンアルコールのものが選ばれる。そうして可愛らしく乾杯をしている裏ではアクアが矢継ぎ早にフリルへ指示を出していく。
「まずはオードブルはサラダを頼む。サラダにはレタス、ミニトマトをそれぞれざく切り、輪切り。玉ねぎも入れるが、それはメインでも使うから俺がやる。まずはそこまで、やれるか?」
「渡されたぶんだけやればいいんだよね、大丈夫」
フリルはそういうと落ち着いて包丁を振るっていく。危なっかしさは感じられないのをアクアは確認して、その間にスープの仕込みをしていく。玉ねぎのみを使ったコンソメスープだ。これならば時間はそんなにかからない。鍋に水を張り火にかけたら素早く玉ねぎをスライサーでスライスしていく。スープ用とサラダ用に分けたら、固形コンソメと一緒に鍋に投入。フリルにサラダの盛り付けを指示し、最後に酸味の強いシーザードレッシングを掛けて完成。
「お待たせしました、
「さっぱりしてそうだね!」
サラダで失敗はないだろう。アクアはスープの味見をして塩コショウで味を整えたら機を見て配膳するだけとなった。デザートは冷蔵庫にある市販のアイスクリームを使えばいい、チョコソースでも掛けてやれば立派なデザートだろう。
(
「タチウオに下味をつけてくれ。俺はメインのグリルを始める。メモにかいてある通りのものを振っておいてくれ」
「わかった。もう捌いてあるんだよね?」
「ああ、骨取りもおわった切り身がある」
アクアがメイン料理の作業をしている間に、フリルはタチウオを取り出す。バットにのせられて綺麗に処理されている。
(メモによると……まずは塩コショウを振って馴染ませる)
メモを見ながらであるが、フリルは不思議と一体感を感じていた。好きな人と料理をするだけでこんなに楽しいとは、思っても見なかった。それもアクアとの共同作業。
「全体に塩コショウが馴染んだら、小麦粉を全体にまぶす……」
「よし、こっちの仕込みは終わった、もうグリルに火を掛けている。小麦粉がおわったらスープを頼む、ムニエルはこちらでやる」
「そのくらいは任せて」
そこからはトントン拍子で温かい玉ねぎだけのシンプルなコンソメスープ、タチウオのムニエルがアクアやフリルに盛り付けをされ、ルビーによって配膳されて、二人が食べていく。その度に美味しい美味しいと笑顔で言うものだから、本格的に作っていないはずのフリルもなんだか嬉しくなっていく。
「よし、焼けた! メインの牛肉のヒレと玉ねぎの串焼きだ」
「うわ……美味しそう」
シンプルに塩コショウのみで味付けされたそれは、たっぷりの肉汁を滴らせている。こればかりはアクアが直々に配膳をした。
「お待たせしましたお嬢様方、メインの牛ヒレと玉ねぎの串焼きでございます」
「わ……ごくり……!」
思わず生唾を飲み込むアイを見て、アクアは成功を確信する。後はコーヒーとアイスを出すだけの簡単なものだ。時計を見ると、収録時間ギリギリだ。
(なんとか……なったか)
食事中に番宣もねじ込み、ルビーとアイの軽快なトークと食レポ、そしてアクアとフリルの迅速な連携によってなんとか成し遂げられた。フリルも胸を撫で下ろしていた。
「フリル、気を引き締めていこう。……うん。もうデザートの準備をしよう。ドリンクのコーヒーの用意は出来ているからな」
「あれ、何時の間に」
「粉コーヒーのドリップだから、大して時間を掛けたものじゃない。スープの隣で一緒に沸かしたお湯でドリップして、それを冷蔵庫で冷やしていただけだ。よし、盛り付けは任せる。俺はコーヒーをコップに注いでくる」
「わかった」
かくして、アイにフルコースを提供、という試練を連携して突破した。その反響は放送時から大騒ぎとなった。無茶振りをするアイ、それに対応するアクアとフリル。ルビーが手伝わなくてもアクアのお手伝いを完遂したというフリルの成長。より一層、この番組を見守っていこうという層が増えていった。
ちなみに敢えて提供順番やテンプレートを崩す独創的な方法「ヌーベルキュイジーヌ」というものがあるそうです。某カードゲームの新テーマもそれが元ネタです。
実際に最後にハンバーガーを持ってくる場合もあるらしい。ハンバーガーに対する自信がありすぎる……
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