【完結】天に輝く二ツ星   作:アクアハーレム最後の刺客不知火フリル

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牛歩でも歩かなければ前には進めない。歩き続けるだけでいい


84.牛歩

「えへ、えへへへぇ……」

 

 自室で全く笑顔を抑えきれずちょっと奇っ怪な声を漏らしている桃色の髪の少女がいた。少女の名は寿みなみ。現役グラドルの高校二年生だ。

 

 昨日は夢のような時間だった。みなみの想像以上のあんなところやこんなところまで弄くり回されて、すっかりアクアに蕩けさせられてからの、本番。しかもまだ日も明るいというのに。最高の体験だったと言っていい。有り得ない仮定だが、万が一みなみがアクアと別れたとしても、決して忘れられずにすがってしまいそうな……そんな鮮烈な“思い出”となった。

 

「いやでも、マリン君とルビーちゃんがあんなことになっとったとはなぁ……いやぁ、すごいわぁ」

 

 ピロートークで語られた、アクアの本当の出生の秘密。腕枕で甘えさせてもらいながら、アクアの本当の両親についてまで教えてもらった。まさかあのカミキヒカルと、アイの子とは。しかし言われてみると納得がいく。そう考えてみれば、ルビーとアクアは、方向性こそ違えどヒカルとアイのハイブリッドなのだ。

 

 特に、アクアの見境無く異性を引き付ける力は間違いなくアイ譲りだ。誰も彼も口には出さないが、彼女がいるのもお構いなしに狙おうとしている人は芸能科にも一定数居る。大概があかねとの破局のタイミングを狙っているようだが、全てを知り得たみなみからすれば、アクアを狙うにあたってそれは悪手だ。

 まずはルビーと仲良くしなければアクアに近寄ることすらさせてもらえない。クラスメイト以上の仲になるにはそういう回り道が必要なのだ。

 そういった意味でも、みなみは幸運であった。ルビーへの第一印象で偶然ながら好意的に捉えられ、距離を詰めることに成功したのだ。しかし、それでもそこからチャンスを自分から作っていかなければ、アクアの攻略は出来ない。アクアは攻められるのに弱いが、一定以下の攻めは却って逆効果だ。せめて二人きりで食事くらいはしなければ、アクアは靡いてくれない。

 

「時間大丈夫やろか? ……うん、ロケの収録開始時間に間に合いそうやね」

 

 みなみが独り言で呟いた通り、今日は“山盛りグルメ登頂録”の収録日だ。もちろん事前打ち合わせもしたし、アクア達のように台本がないということもなかった。あんなものは例外である。

 みなみは身支度を整えると、両親にいってきますと告げて出掛けていった。

 

 

 一方、不知火フリルもアクアに対しての攻略の手応えを感じ始めていた。

 

(予測通りとはいえ、本当にみなみに抜かれるとはね)

 

 みなみはかわいい。自分のように変な性格でもなく、エセ関西弁も可愛らしい声とイントネーションが癖になる。そしていうまでもなく大きなおっぱいという武器。最近は下半身も心なしかむちむちしてきており、しかしお腹はへっこんでいるという女性の夢のような体型をしていた。初めから競争としてはみなみが勝つであろうことは理解していた。

 これから売れてくるであろうみなみとは異なり、自分は既に売れに売れまくっている。そうなると日常生活でもフリルは殆ど捜索されているようなものだ。ゴシップ記事を書く記者やパパラッチだけではなく、一般人のファンやアンチすらも、不知火フリルを見つけたら写真を撮るだろう。一応事務所は「不知火フリルの写真撮影は本人の許可が無い状態で撮影された場合、無差別に訴える」と表明しているものの、それが周知されているかというと微妙だ。だから慎重にならざるを得ない。

 

(今の私に出来ることは、“フリルの七色キッチン”を使って距離を詰めていくこと)

 

 収録後に、次回の打ち合わせと称してお茶(デート)。いい時間だから、ルビーと一緒に食事(デート)。番組で使うから練習するためにと言い訳して買い物(デート)。とにかく回数を重ねて重ねて、地道に距離を詰めるしかない。

 そんな風に自宅で思考を巡らせていると、知り合いから連絡の通知メッセージが来た。内容を確認すると、ある意味驚きの、ある意味納得の内容が表示されていた。ジャンルで言えばスキャンダルだ。

 

 このように、フリルに近づくために、あるいは仲良くなるために、フリルにとって要らない情報まで勝手に流してくる人物は多い。メッセージを送ってきた相手もそれ目当てであり、あわよくばフリルとの友誼を深めたいと思っている、雑誌系の関係者だ。今回もそういった勝手な情報の押し売りであったが、今回ばかりはフリルの役に立った。だが、フリルは下心が見えている相手と仲良くするつもりは更々無い。仕事で会ったら挨拶でもしてやろう位の気持ちにはなったが、それだけだ。

 フリルは通知画面を即座にスクショして、返信もせずにスマートフォンを机の上に置き、少し考え込む。それでもフリルへのタレコミが尽きることはないだろう、それだけの価値が不知火フリルにはある。

 フリルはなにかを思い付いたのか、ふと顔を上げた。

 

「……いいね、これ。アクアに恩の押し売りでもしようかな。うまいことやれば、アクアハーレムズに自然に交ぜてもらえるかもね?」

 

 善は急げ、あるいは思い立ったが吉日とでも言わんばかりにもう一度スマートフォンを手に取るとアクアへメッセージをささっとスクショ付きで送る。それはひとつで二種類の毒のようだ。速効性が高いが対処さえしてしまえばよい毒と、遅効性だが致死性も低い毒。フリルはメッセージを入力し終えると、

 

 

「この不知火フリルには夢がある。アクアと大手を振ってデートをするためにも、この情報は利用させてもらおうかな」

 

 フリルの“ドキドキデート大作戦”の布石を打ちつつ、何となくテレビをつける。テレビは丁度“山盛りグルメ登頂録”が放送されていた。

 

「あ、みなみ。……3.5キロのカツ丼? うわでっか、これを30分? 無理では……?」

 

 画面の中のみなみは山のようなカツ丼を前にしている。その仕草をみていれば分かる、アクアと上手く行ったようだ。

 

『えらい大きいけど、美味しそうやね!』

『そういえば、寿さんは関西人なんですか?』

『や、うちは両親も生まれも育ちも神奈川なんで、エセ関西弁なんよ……堪忍してな?』

 

 こてんとあざとく首をかしげる姿に、スタジオの芸人が“かわいい”と反応する。そんなやりとりをしながらもみるみるうちにカツ丼をハイペースで消費していくみなみ。ガツガツ食べるというよりは、丁寧で綺麗に食べている。なのにみるみるうちに量が減っていくのは圧巻の一言に尽きる。

 

「意外な才能だね。これ完食行けるんじゃ……」

 

 完食なるか? と煽りをいれておいてコマーシャルに入る。MEMちょが化粧品の宣伝をしていた。フリルはなんだか待ちきれなくてそわそわしてしまった。

 

『ごちそうさまでした!』

『はやっ! まだ五分残ってますよ!?』

 

 結果から言えば、みなみは時間内に完食した。まさにペロリと完食、と言った風だ。テロップに独特なフォントで“登頂成功!”と表示されている。

 

「みなみも頑張ってるみたいだし、私も頑張らないとだね」

 

 フリルが芸能人を辞めない限り、この限りない道は続く。だから、歩き続ければいい。恋愛も同じだ。ただ歩き続けるだけでいい。

 

 フリルは決して止まらない。




止まるんじゃねえぞ

アクアの正規攻略法
①ルビーと仲良くなる(シスコンなので妹と仲良くできない人は遠ざけられがち)
②ルビーを通じてアクアと仲良くなる
③アクアに自分を強くアピールする(攻めないとアクアはスルーする。話さなければ伝わらない)
④期を見て攻める(アクアに意識させた上でイベントを発生させることで恋愛フラグが立つ)
⑤星野アクアゲット!

 グリッチで全部すっ飛ばしてアクアをゲットした名探偵あかねちゃんは異質すぎる
 かなちゃんとルビーがバグなしAny%個別ルートあかねがバグあり100%ルートしてたみたいな
 MEMちょ? MEMちょはエンジョイプレイしてたら偶然新規開拓した感じ

ガチ濡れ場(R18)って需要ある?

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