【完結】天に輝く二ツ星   作:アクアハーレム最後の刺客不知火フリル

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ギアは少しずつあげていくもの


89.モデラート(控えめな速度で)

「おにいちゃんとの女装デート、実際どうなの?」

「性癖がぐちゃぐちゃにされてしまった。もうダメ。時々良くない目でまりあちゃんを見てる」

 

 あの日から、フリルもかなハウスに遊びに来て屯するようになっていた。フリルとの打ち合わせの後に遊びに来たり、暇さえあればアクアのお嫁さんたちはこの家に集まるのが日課となっていた。ルビーからのぶっちゃけた質問に、フリルはデートを思い返して、顔を真っ赤にしていた。幾度か女装デートをしていくうちに、フリルはそれにどっぷりハマってしまったらしい。

 

「ええなぁ、女装したマリン君……えーと、まりあちゃんやね。まりあちゃんと着衣女装えっちとかええと思うんやけど、かなちゃんはどう思う?」

「んー……アリね」

 

 みなみはいつの間にかというか、当然の帰結というか、えっちなこと担当になっていた。このメンバーの中で唯一アクアと対等に渡り合えるのがみなみだからというのもあるが、そっち方面の発想は他のメンバーには無いものを産み出してくれるのだ。新鮮なえっちをいつでもお届けというわけだ。マンネリは存在しなくなった。

 

 驚くべきことに、フリルはまだアクアとそういうことをしていない。アクアがフリルの意思を尊重しているというのもあるが、フリルの「いや、まだ付き合い出して初のデートでいきなりエッチはちょっと……」という一言により、このドスケベ集団に世間一般の認識を思い出させていた。思い出させただけだが。

 

「常識人側だと思ってたんだけどなあ……」

「あはは……」

 

 エロ会話をしている横で、MEMちょはがっくりと肩を落とし、それに対して愛想笑いしか出来ないあかね。MEMちょもすっかりこのエロ集団の仲間として慣れてしまっていた。それでも一線はわきまえているので、この中では一番の常識人なのはたしかなのだ。フリルは色恋以外の常識は抜けているので。

 

 そうしていると、がちゃんと鍵を開ける音がした。あかねはそれに反応してとたとたと小走りで玄関に向かっていく。それを見てフリルはボソリと呟く。

 

「……犬だ」

「相変わらず犬ね……」

「やっぱあかねお姉ちゃんは本質的に犬だよね。それも室内犬」

「あかねちゃんにも慣れてきたなぁうちも」

 

 好き放題言われているが、あかねはご主人様(アクア)の帰りを迎えたいのだから仕方ない。

 

「おかえりなさい、アクア君!」

「ただいま」

 

 ぴょこんと飛び付くようにアクアに抱きつくあかね。そのまま流れるようにキスを交わして、あかねを放す。

 

「メシは?」

「まだみんな食べてないよ」

「よかった。五反田監督のお母さんからお土産を押し付けられてな」

「あ、もしかしてお肉?」

「あたり。貰い物だけど消費しきれないんだと。折角だからって」

 

 アクアが提げていたビニール袋の中にはいかにも高そうな肉が入っている。それも結構な量だ。そんな会話をしながら、リビングに向かう二人。

 

「おかえりあーくん。あ、それお土産?」

「ああ。貰い物だけど牛肉」

「ほんと!? おにいちゃん好き~♡ んー♡」

 

 ぎゅーっと抱きつくルビーをそのままに、肉を冷蔵庫に放り込むアクア。そしてルビーともキスを交わす。

 

「ん。皆も今日もお疲れさまだな」

「特にMEMちょ。大型案件お疲れさま」

「いやー、VTuberとのコラボは流石に緊張するねえ」

「すっかりバーチャルYouTuberも市民権を獲得したな」

 

 ルビーが離れると、流れるようにMEMとハグ、キス。もちろんかなやみなみ、フリルにも忘れずに、平等にキスとハグを交わす。

 

「ん……。みなみも今日は撮影だったってな」

「んっ、ええ感じに撮れたんよ~? 写真集買ってな~?」

「もちろん。ん、かなもお疲れさま」

「あーくんもね。五反田監督とドラマ撮影の詰めをやってるんでしょー?」

「まあな。母さんたちの過去の話が映画化するから、シナリオを詰めるから相談しろって言われてな……。ん」

「んっ……あ、これもしかして初キスじゃないかな」

「そうかもしれん……なんかすまんな」

「いいよ、こういうのも私達らしいんじゃない?」

「かもな」

 

 アクアは最近、五反田監督と“真実のアイ”という、ドキュメンタリー映画の台本作成をしている。アイとヒカルの出会いの物語を、ドーム公演までの話を構築していくものだ。もちろんアクアが暇な時にアドバイスをする程度なのだが、アクアの意見は有識者としての(本物)の意見だ。五反田監督はそれを欲していた。映画主演はもちろんアイとヒカルだが、若い頃のヒカル役とアイ役を、アクアとルビーがやることになっている。映画のシナリオは三段構成となっており、幼少期編、出会いとアイドル編、そしてスターダム編となる。フリルを脇役のB小町メンバーの一人に使う予定という、なんとも贅沢な映画であるが、上からの予算をたっぷりともらった五反田監督は容赦なくそれを湯水のように消費していいものを作るつもりらしい。相変わらずこだわりの強い監督だった。

 

「そういえばちっちゃい頃のあーくん達の映像とかはどうするの?」

「ああ、それは父さんやミヤコさんが散々撮りまくってたホームビデオを編集したものを五反田監督に渡して、それをさらに編集する形だ」

「なるほど。ミヤコさんといえば、ミヤコさん、なんか最近調子悪そうだよね……まさか!?」

「俺もそう思ってる」

 

 ミヤコはここ最近体調不良だが、おそらくアクアはおめでただろうと思っている。伝手のある、あの自分達も産まれた宮崎の病院で、彼女も出産することになるのだろう。

 

「いいなー私もおにいちゃんとの子供ほしい!」

「気が早い。まだ高校生だぞ」

 

 アクアとルビーの実にインモラルな会話に、思わずクスッと笑ってしまうフリル。自分もいつかアクアとの子を産むのだろうかと考えると、下腹部が熱を帯びてくるような気がする。

 

(でも、まだ、まだだよ。もう少し楽しまないと損)

 

 フリルはMEMのように焦ってはいない。何せまだ高校生だ。みなみほどえっちじゃないし、かなやルビー、あかねほど覚悟が決まってるわけでもない。興味がないと言えば嘘になるが、少なくともフリルから何かしようとは思わなかった。アクアからしてくるなら話は別だとも思っている。例えばさっきのキスとか。

 

(アクアはどれくらいで我慢できなくなるかな?)

 

 アクアが狼になるのを、フリルは楽しみにしていた。




フリル「例え恋人だとしてもさ、数回デートしたくらいでえっちするわけないよね」
みなみ「えっ」

ガチ濡れ場(R18)って需要ある?

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