感想を書いたりする読む専でしたが、性癖を刺激されて書いてみたい欲が出たので書いてみました。
誤字などおかしいところもある拙い文ですか、暇つぶしにでもなれば幸いです。
こんばんは。目が覚めたら棺桶の中で、吸血鬼になっていた転生者です。
前世はオタクで、特に吸血鬼キャラが大好きだ。
人間の生き血を啜って永い時を生きる残酷で冷酷な夜の一族。不死の肉体を持つ恐ろしい怪物だが、それとは裏腹に強く、気高く、威厳があり、優雅で、上品で、美しい。子供の頃に、このギャップに厨二心を刺激されて大好きになったのである。
有名なところなら、東方projectのレミリアとフラン。ジョジョの奇妙な冒険のDIO。HELLSINGのアーカード。物語シリーズのキスショット。ありふれた職業で世界最強のユエなどなど。
話し出すとキリがないからとりあえずここで割愛する。俺は今挙げたキャラに憑依したり、そっくりな姿に転生したわけじゃない。
俺が転生したのはKONAMIのホラーアクションゲーム、悪魔城ドラキュラのラスボス、ドラキュラだった。
なんで?なんでドラキュラ?
疑問に思ったけど別に嫌なわけじゃない。というかうれしい。悪魔城ドラキュラは吸血鬼好きとして何度もプレイした。シリーズを集めたり、思い入れが強い作品のキャラだから文句はない。わかった時は漏らす手前まで興奮してよろこんだよ。
とりあえず、ドラキュラについて軽く説明しよう。
ドラキュラは名前通り吸血鬼だ。悪魔城と呼ばれる闇の魔物たちが跋扈する城の城主であり、魔物たちの上に君臨する魔王だ。
ドラキュラは作品によって生い立ちや姿形は異なるが、ほとんどの作品において世界を闇夜で覆い尽くそうとする人類の敵として、ベルモンド一族を始めとしたヴァンパイアハンターの主人公たちを悪魔城で待ち構える、威厳たっぷりのイケオジだ。
だが、今世の俺は女だ。
もう1度言う。女だ。
性別が逆なのにドラキュラだと確信できた理由は3つ。1つ目は顔だ。
どんな顔をしているのか具体的に言うと、白い美魔女だ。
俺がよく知るドラキュラの外見年齢は、40代から50代くらい。白い髪と髭と尖った耳が特徴な威厳に満ち溢れたイケオジだ。それを30代半か後半くらいまで若返らせて性転換させたような顔で、妖艶かつクールビューティーな妙齢の女性だ。
髭がないシャープな輪郭の顔は、息子のアルカードにも似ている。作中で敵対する2人だけど、やっぱ似た者親子なんだと思った。
2つ目の理由は身体。
顔だけじゃなく、スタイルもいい。出るところは出て、引っ込むところは引っ込んでいる。デカすぎて立ってから下を見ても爪先が見えねぇ。
無駄な贅肉がなく引き締まった、サキュバスもビックリのナイスバディだ。さようなら、大人になれなかった我が息子よ。初めましてこんばんは、抜群の女体よ。
そして何より身体がデカい。人間をそのまま2倍大きくしたような巨体で、多分4m近くある。
悪魔城ドラキュラシリーズのほどんどの作品において、ドラキュラは主人公たちの2倍かそれ以上にデカい。膝をついてやっと目線が合うくらいの巨人だ。
そして3つ。目を覚ました場所。
早朝出勤で階段を踏み外して転げ落ち、頭をガツンッ!して日の出を見ながら意識を失った。それが最後の記憶だ。そして目が覚めたら蝋燭の明かりしかない部屋の中心で棺桶の中だった。
葬儀場に運ばれたのかとパニックになって部屋を飛び出すと、そこは豪華絢爛な玉座の間だった。
入り口から豪勢な玉座に続く赤く長い絨毯。それを挟むように綺麗に並んだ大理石の柱。玉座の上には色鮮やかなステンドグラス。部屋を明るく照らす無数の蝋燭と燭台。天井には大きなシャンデリア。中世ヨーロッパの城を舞台にした、映画の撮影現場にいるような気分だった。
入り口の両脇にある窓から外を見ると、ここが高い塔の天辺で巨大な城の中心だとわかった。見下ろすとヨーロッパの城のように周囲にいくつもの塔が立ち並び、他にも大きな時計塔や洋館や教会のような建物とも繋がっているのが見えた。さらに城の周辺は巨大な城壁が囲われていて、外は断崖絶壁の陸の孤島。それに、蝙蝠の群れが飛び回っていて不気味な雰囲気だ。
ドラキュラとアルカードそっくりな顔。
人間離れした巨体。
立地最悪で蝙蝠がいっぱいの不気味な巨城。
この3つのワードで、今の自分はドラキュラ(女)でここが悪魔城だと確信した。
異世界転生と聞けば神様と会って転生特典をやると言われた後にオギャーと生まれてきたり、だれにも会わず目を開けたらそこにいたパターンがあるが、俺は後の方みたいだ。
転生特典は外見だけじゃないと思い、ドラキュラらしく蝙蝠に変身しようと頭の中でイメージを働かせると、一瞬体が縮んだと思ったら蝙蝠になれた。1匹の蝙蝠になるだけじゃなく、大量の群れに変身したり、息子のアルカードのように狼や霧に変身することもできる優れもの。しかも体を動かす練習を少しするだけですぐに慣れた。流石はドラキュラボディ。
空を飛んで悪魔城を出てみると、そこは荒廃した都市。悪魔城はその中心にそびえ立っていた。
北斗の拳の世紀末ほどではないが、まるで戦争や大地震に巻き込まれたかのような荒れ具合だ。真夜中であることを抜いても、人の気配が少ない。それに、風に乗って血の匂いと何かが腐ったような悪臭がした。
前世の日本と似ている近代的な建物の屋上に、日本語で書かれた看板をいくつも見つけてここが日本だとわかった。だけど、解せないことが多い。
悪魔城ドラキュラの世界の歴史は長い。
吸血鬼の王にして混沌の魔王ドラキュラと、聖なる鞭を持つヴァンパイアハンターのベルモンド一族との戦いは、11世紀末から21世紀と1000年近い歴史がある。最新の時代は2036年。ドラキュラの生まれ変わり、来須蒼真が主人公を務める「蒼月の十字架」の時代だ。
この世界はその先の未来で、蒼真がドラキュラになった後の時代なのか?それなら、蒼真はどうなった?有角幻也と名乗り、蒼真を見守っていたアルカードはどうなった?
蒼真がいないなら、ドラキュラによく似た俺は一体だれなんだ?
そんなことを考えていたら、街をグルリと1周していた。とりあえず、一旦悪魔城に戻ろう。まだ城内の探索もしていない。身近なところから手掛かりを探すとしよう。
悪魔城最上階の窓から玉座の間に飛び込んだ。窓を潜ったその瞬間、得体の知れない悪寒に襲われた。
「おやおや。人っ子1人いない城かと思ったら、城主は外出中だったのか」
部屋の最奥、玉座から渋い男の声が響いた。
体が重い。水中いるかのように動きにくくて息苦しい。なんとか顔を上げると、玉座にだれかが座っているのが見えた。
身長2m以上の屈強な巨体。白いワイシャツと黒いスーツ。癖のある短い白髪。赤い瞳が特徴の偉丈夫だ。学校の体育館のように広い玉座の間を埋め尽くすほどの威圧感の正体はこいつか。
「だれもいなかったから、勝手に上がらせてもらったよ」
この声と三日月のような不敵な笑顔を俺は知っている。この男を見て確信した。この世界は「悪魔城ドラキュラ」の世界じゃない。
「初めまして。僕はオール・フォー・ワン。君の名前は?」
ここはヒロアカの世界だ!
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「へぇ。なかなかいい城じゃないか」
いかにも「魔王」が住んでいそうな不気味な外観に、禍々しい空気を放つ城を見上げて僕は笑みを深めた。この城の主人はセンスがいいようだ。
始まりは信奉者からの連絡だった。『突然、街の中心に巨大な城が出現した』と。最初は幻覚を見せる『異能』にやられたのかと思ったが、それはそれで欲しい『異能』だ。
しかし、その期待はいい意味で裏切られた。
下ろされた巨大な跳ね橋とその先で開け放たれた巨大な城門の存在感。
見事な彫刻が並び、美しい薔薇が咲き乱れる薔薇園の香り。
押し開けた巨大な両扉の手触りと重量感。
感知系の『異能』で調べて見ると、確かな質量がある。これら全てが幻覚ではなく本物だ。
それから豪華絢爛な城内を見て回った。莫大な量の書物か保管された図書館。無数の歯車が回る時計塔。ステンドグラスと十字架が厳かな雰囲気を出す礼拝堂。ローマのコロッセオを彷彿とさせる闘技場など、この城は巨大な施設の集合体であることがわかった。
しかし、これだけ広大な城にだれもいないのが不気味だ。
「1番高いところなら、だれかいるのかな?」
RPGに登場する魔王が城の天辺にいるのはよくある話だ。窓を開け、空を飛んで城で1番高い塔に入ると、そこはより豪華な玉座の間だった。しかし、ここにも人の気配はない。
「これは、なかなか立派だね」
赤い絨毯の先、部屋の最奥にあるのは人が座るにはあまりに大きな玉座だ。この玉座に持ち主はおそらく、4mかそれに近い巨人なのだろう。
試しに座ってみると、かなり弾力があった。それでいて硬すぎず柔らかすぎず、座り心地は抜群だ。身長225cmで体格もいい僕が座っても持て余すけどね。
それより、この城は一体何なのか。
人の数だけ『異能』がある世界へと向かっていくこの時世、僕ほどじゃないにしても、強力な『異能』を持つ人間は多数存在する。城をあっという間に創り出す『異能』の持ち主がいてもおかしくない。
そろそろ新しい拠点が欲しいと思っていたところだ。ぜひ、この城を創り出した人物と会いたい。
思考を張り巡らせようとしたその時だ。遠くから、無数の羽音が聞こえる。外を蝙蝠が飛び回っていたのを見たが、この音はかなりの群れだ。それがこっちに近づいてくる。
開け放たれた窓から夥しい数の蝙蝠の大群が飛び込んできた。天井を飛び回る群れはまるで空を舞う黒い龍のようだ。
群れそのものが1つの意思を持っているかのように玉座の間の中心に下り立つと、集まって巨大な黒い塊になり、蠢いて形を作っていく。そして人型のシルエットになり、色を変えてその正体を現した。
身長が4m近い巨人のような巨体の女だ。
服装は高い襟の裏地は赤い黒マントを羽織り、その下に右足を晒した煽情的な紺色のスリットドレスを身に纏い、アクセサリーは右手の人差し指に、深紅の丸い宝石が付いた指輪をはめている。
「おやおや。人っ子1人いない城かと思ったら、城主は外出中だったのか」
貴族のような高価な服装と、立ち姿から漂う気品でこの女がこの城の主だとわかる。
女はゆっくりと顔を上げた。
軽いウェーブがかかった、胸まで伸ばした白い髪。シミ1つない純白の肌。感情が見えないガラス玉のような吊り目と、燃えるように力強い光を放つ赤い瞳。同じくらい赤い唇。欧米人のように高く筋の通った鼻。ファンタジーに出てくるエルフのように尖った耳。
人形のように整った美貌と人ならざる妖艶な気配を放つ絶世の美女だ。
(・・・・・・ッ!この女は、何なんだ)
平静を装っているが思わず見惚れかけた。
今までいろんな美女たちを見てきたが、目の前の女の前だと霞んで見える。
(まさか、僕は魅了されたのか?)
精神に感する『異能』かと警戒し、探知系の『異能』をフル活用して注意深く観察したが違う。『異能』がもたらす副産物でもない。信じられないけど、これは元から備わっているものだ。
それだけじゃない。この女は美貌だけでなく、並ならぬ重厚な存在感を放っている。姿を現した途端に、この城の禍々しい空気が濃くなった。
この女だ。この城の正体は、目の前の女の『異能』そのものかも知れない。そう考えれば納得できる。
『異能』を奪い、与えることができ、自由に組み合わせて使うこともできる僕が言うのも何だが、この女の『異能』は何なのか予想がつかない。
「初めまして。僕はオール・フォー・ワン。君の名前は?」
当たり障りのないように、軽く挨拶する。
女は少し間を置いて、ガラス玉のような目で僕を見つめながら口を開いた。
「我が名はドラキュリア。吸血鬼にして、混沌より生まれし魔王である」
大声でもないのに広く高い玉座の間の全体に響くような凛としたその声は、鼓膜だけでなく脳髄にまで響くような衝撃を与えた。
「……「魔王」か」
「吸血鬼」というワードより、「魔王」というワードが僕の頭の中で何度も何度も反響する。
「生意気だね」
僕は嗤った。
これが後に「悪の帝王」と「混沌の魔王」と恐れられる2人の出会いであった。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。